泌尿器の症状

猫の尿量が多い!少ない!原因は何?病気のサイン?平均や正常値も解説

投稿日:2017年2月23日 更新日:

 

「おしっこの時間が長くなった気がするけど、尿量が多いのかな」

「最近ちょっとしか尿をしてないけど、うちの猫、尿量が少ないのかも」

猫の排尿は毎日のことなので普段から意識している方が多いと思いますが、尿の量について不安になったことはありませんか?
今回は、猫の正常な尿量についてのお話と、猫の尿量が多い時または少ない時の原因について解説します。

尿量の正常値とは?

尿量は猫の個体差や食べているキャットフードの内容、飲水量、運動量および環境など様々な要因で変動するため、正常値を示すことはとても難しいのですが、参考値は一日に猫の体重1kgあたり10~30ml程度とされています。
例えば、体重5kgの猫では、一日に50~150mlの尿をするということになります。
尿量の幅が広くてわかりづらいかもしれませんが、実際に猫の尿量が多いのか少ないのかを判断するためには、健康な時の猫の尿量と比べられるように日頃からチェックしておくことが大切です。
使用前のトイレと24時間経過した使用後のトイレの重量を量ることで、その差から一日の大体の尿量を把握することができますが、猫砂やペットシーツを使用していると正確な尿量を毎日測定するのは難しいと思います。
排尿後の猫砂の塊の大きさやペットシーツのシミの大きさなどをチェックするだけでも、十分早めに異変に気付いてあげられるでしょう。

尿量が多い場合

猫の排尿の時間が増えたり、排尿後の猫砂の塊やペットシーツのシミが以前より大きくなるなどの変化がみられると、猫の尿量が多い可能性があります。
どのような時に、猫の尿量は多くなるのでしょうか。

尿量が多いかどうかの目安とは?

まず、尿量が多い(多尿)かどうかの目安は、一日に猫の体重1kgあたり18~20 ml以上とされています。
例えば、体重5kgの猫では、一日に60~100ml以上の尿をした場合、尿量が多い疑いがあるということになります。

生理的に尿量が多くなる場合

飲水量が増えたり、塩分をたくさん摂取した時、治療で輸液やホルモン剤または利尿剤の投与を行った後には、体の自然な反応で尿量が増えます。
これらは通常一時的なものですが、長く続く場合は他の原因も考えられますので、注意深く猫の様子を確認してください。

病気によって尿量が多くなる場合

慢性腎不全

腎不全は、腎臓の組織が壊れてうまく働かなくなった状態で、高齢猫に多い病気です。
腎臓には老廃物や毒素を含む血液をろ過して尿中に排泄する機能がありますが、その機能が低下すると、体にまだ必要な水分や塩分を体内に引き戻せずに尿中に水分が排出されて尿量が増えます。
また、慢性腎不全になると、食欲の低下や貧血、嘔吐などがみられ、さらに進行すると体の有害物を排出できずに体に蓄積する「尿毒症」という深刻な状態に陥ります。
腎臓の組織の3分の2以上が壊れてから症状が表れますが、腎臓の組織は一度壊れると再生することはありません。
治療としては、低タンパク質のキャットフードを与える食事療法や水分補給、薬物療法などで進行を遅らせることと併用して、全身状態を良くする対症療法が行われます。

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糖尿病

糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンの量が減ったり、うまく働かなくなることで、体の細胞が糖をうまく取り込めなくなり高血糖が引き起こされる病気です。
糖尿病になると尿中に多量の糖が出て、腎臓での水の再吸収がされなくなるため尿量が多くなり、飲水量も増えます。
その他、食べているのにやせる、嘔吐、よく寝る、毛づやが悪い、元気食欲がないなど無症状から昏睡に至るまで様々な症状がみられます。
特に10歳以上の高齢猫、去勢した雄、肥満猫ではかかりやすい病気です。
治療としては、毎日のインスリン注射に加え、食後の高血糖が起こりにくい低炭水化物、高繊維のキャットフードを与える食事療法も併用します。

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子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は避妊手術をしていない雌猫の子宮が細菌に感染して、子宮内に膿がたまる病気ですが、犬と比べて猫ではまれです。
尿量を調整する抗利尿ホルモンが抑制されるために尿量が多くなる他、元気食欲がない、嘔吐や発熱、貧血症状もみられます。
治療としては、子宮と卵巣を取り除く外科手術が行われますが、腎不全を併発している場合が多いため、まずは腎不全の治療を優先することもあります。

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甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが過剰分泌されることで全身性の様々な障害が引き起される、高齢猫によくみられる病気です。
甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を活発にし、体温を一定に保つ役割のあるホルモンで、過剰に分泌されると代謝が異常に上がり、腎臓の血流量も増加することから尿量が多くなり飲水量も増えます。
また、動きが活発で落ち着きがなくなったり、食欲旺盛なのに痩せる、下痢や嘔吐などの症状が特徴的です。
首の付け根あたりにある甲状腺に腫瘍ができることが原因で、腫瘍は良性(甲状腺腺腫)のことも多いですが、悪性(甲状腺がん)の場合もあります。
治療としては、手術で甲状腺の摘出を行うか、抗甲状腺ホルモン薬の投与を行います。

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尿量が少ない場合

トイレに行く回数が変わった、排尿後の猫砂の塊やペットシーツのシミが以前より小さくなるなどの変化がみられると、猫の尿量が少ない可能性があります。
どのような時に、猫の尿量は少なくなるのでしょうか。

尿量が少ないかどうかの目安とは?

まず、尿量が少ない(乏尿)かどうかの目安は、一日に猫の体重1kgあたり6.5ml以下とされています。
例えば、体重5kgの猫では、一日に尿量が32.5ml以下である場合、尿量が少ない疑いがあるということになります。
また、一日に猫の体重1kgあたり2ml以下であると無尿と言われます。

生理的に尿量が少なくなる場合

飲水量の減少、高温環境、過度の運動、呼吸の回数が多い時には、体が水分を必要としているので、排泄される水分、つまり尿は少なくなります。

病気によって尿量が少なくなる場合

全身状態のトラブル

脱水症、発熱、心不全、ショック状態にある場合、体内の水分がたくさん使われて水分量が不足したり、体内循環が悪くなるために、排泄される尿量は少なくなります。
それぞれ放置すれば重篤な状態となりかねませんので、動物病院で補液などの適切な処置が早急に求められます。

腎不全

急性腎不全は薬物や感染症などで急激に腎臓が損傷して機能できなくなるために、初期から尿量が少なくなる、または無尿状態となり緊急の処置が必要です。

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慢性腎不全は前述のとおり初期症状から飲水量とともに尿量が多くなる病気ですが、末期になると腎臓が尿をいよいよ作ることができなくなり、尿量が少なくなります。

尿路のトラブル

尿は腎臓で正常に作られているものの、尿石症や尿道狭窄など尿を排泄する尿路のトラブルにより尿量が少なくなることもあります。
特に多い尿石症は、泌尿器に結石ができた状態で、膀胱や尿道に結石があって尿が出にくくなる病気です。
トイレに何度も行く頻尿がみられるものの、ぽたぽたと少量しか尿が出ていなかったり、血尿や痛みも伴って排尿時にギャーと鳴くことがあります。
特に雄猫では、尿道が細くて長いために尿道に尿石が詰まる尿閉(尿路閉塞)状態になりやすく、排尿できずに膀胱がパンパンに膨らみ、放置すると腎臓への負担が増して急性腎不全から尿毒症になってしまいます。
結石の種類はいくつかあり、ストラバイト結石の場合は尿の酸化を促すフードに切り替える食事療法により溶解しますが、シュウ酸カルシウム結石の場合は食事療法では溶解しないため、外科手術も検討されます。
また、飲水量を増やす、低マグネシウム食を与えるなどの予防も効果的です。

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それ、本当に尿量が少ないのでしょうか?

猫はトイレが狭い、汚れている、落ち着かない場所に設置してあるなどの理由から、排尿を我慢したり、別の場所で隠れて排尿することがあり、飼い主がトイレの様子を見て猫の尿量が少ないと勘違いしてしまうこともあります。
排尿を我慢すると、膀胱炎や尿石症、腎不全のリスクが高まりますので、気持ちよく排尿できるトイレ環境を整えることは病気予防の面からも重要です。
猫はきれい好きなため、排泄物が少しでも残っていると嫌がりますし、洗濯機の横や真っ暗な廊下や玄関など、リラックスできない場所での排泄も避けることがあります。
また、多頭飼育の場合、ほかの猫との相性が悪く、飼い主の気付かないところでトイレに行くのを妨害されているということはないでしょうか。
猫の頭数+1個が理想的なトイレの数と言われていますので、トイレの数や設置場所には気を付けてあげましょう。

さいごに

猫の尿量が多い、少ないといった変化は、泌尿器系にトラブルを抱えやすい猫にとって重要なサインです。
しかし、猫の尿量が多いか少ないかは、健康な状態と比較することで気付くことが多い現象ですので、毎日近くで過ごしている飼い主さん自身が排尿の回数や尿量、飲水量について気に留めておき、変化が見られたらすぐに動物病院を受診してください。

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