耳の症状

猫の耳にできものができた!原因は何?病気のサイン?

投稿日:2017年3月15日 更新日:

 

「猫の耳に赤いしこりができていたけど、もしかして悪いものなのかな?」

「猫の耳の中が臭いと思ったらしこりがあった。これが原因?」

猫の耳は皮膚の中でも色々なトラブルが起きやすいところですし、飼い主の方がよく触る場所なので異常に気付きやすい部位でもあります。
今回は、猫の耳にできものができたら飼い主の方はどんなところに気をつけて観察したらよいのか、そして猫の耳に多いできものとは何なのかについて解説していきたいと思います。

猫の耳の構造について

猫の耳の一番外側のヒラヒラした部分を“耳介(じかい)”と言い、ここは軟骨を皮膚で覆ったような構造になっており、耳介の外側には毛が多く内側には目立った毛はありません。
基本的に猫の耳介はピンと立っていますが、スコティッシュフォールド(内側にくるんと巻いている)やアメリカンカール(外側に巻いている)などの猫種では軟骨が変形しているため、その猫に特徴的な耳介の形をしています。
耳の穴を“耳道”といい、ここも周りが軟骨で囲まれています。
猫の耳道はまず垂直に下がって、途中で水平方向に折れ曲がり、鼓膜へとつながっていきます。
ここまでを“外耳道”といい、鼓膜の奥には中耳、内耳と呼ばれる部屋に別れています。

猫の耳介のできものにはどんな病気がある?

猫の耳介にしこりができているなら、肥満細胞腫・扁平上皮癌・軟部組織肉腫(線維肉腫など)の発生頻度が高いことが分かっています。
それぞれどんな病気なのか見ていきましょう。

肥満細胞腫

肥満細胞腫という言葉の響きから“肥満=脂肪”というイメージが出てきて、肥満細胞腫を脂肪腫と混同されてしまう方も少なくありませんが、全く別の病気です。
肥満細胞腫とは“肥満細胞”とよばれる細胞が腫瘍化した病気なのですが、この細胞はアレルギー反応などの生体防御反応に重要な役割をしており、細胞の中に沢山の化学物質を含む顆粒を持っていて見た目が膨れた形をしていることから、その名が付けられました。

特徴

猫の肥満細胞腫には「内臓型」と「皮膚型」の2つの型があり、後者は猫の皮膚腫瘍の中でも多く見られる病気です。
耳介以外にも目の周りや首など頭頚部にできることが多く、痒みを伴うことがあります。
しこりの見た目は様々で、ドーム状に膨らんでいたり、時には赤く皮膚炎のようになっていたりします。
また、しこりは1つだけでなく多発することもあります。

治療方法

猫の皮膚型の肥満細胞腫は良性であることが多いです。
手術で取り除いてしまえばほとんどのケースで根治することが可能ですが、残念なことに全身に転移してしまっているケースでは予後不良と言われています。

猫の肥満細胞腫の原因や症状や治療法は?良性や悪性とは?余命はどのくらい?

扁平上皮癌

扁平上皮癌とは、表皮にある角化細胞が腫瘍化した病気のことです。

特徴

猫の皮膚にできる扁平上皮癌は、長時間の紫外線を浴び続けることが発症原因と言われており、毛が真っ白な猫や一部の毛が白い猫では特にこの病気の発症リスクが高いことが知られています。
扁平上皮癌のでき始めは、皮膚の赤みや脱毛といった皮膚炎のような症状が出ます。
やがて進行してくると、皮膚の一部が潰瘍化して出血→かさぶたができる、かさぶたが剥がれる→また出血するといった症状がよく見られ、さらに病状が進むと、かさぶたが剥がれる際に耳の辺縁も一緒に虫食い状に脱落していってしまいます。
猫の扁平上皮癌は耳介や鼻筋、眼瞼などの皮膚の発症が多いですが、皮膚以外にも歯茎や舌、鼻の中にも発生します。

治療方法

外科手術による摘出が一番の選択肢ですが、悪性腫瘍のため残念ながら耳介を温存するのは難しいです。
取りきれなかった場合は、補助的に放射線治療を行うこともあります。

猫の扁平上皮癌の症状や治療法は?末期症状や余命とは?

軟部組織肉腫(線維肉腫など)

軟部組織肉腫というは一つの悪性腫瘍のグループで、線維肉腫、注射部位肉腫、血管周皮腫、神経鞘腫、脂肪肉腫などの腫瘍が含まれます。
これらの腫瘍は共通した特徴を持っているため、軟部組織肉腫というくくりで診断され、治療が行われます。
猫の耳介には特に線維肉腫の発生が多く見られます。

特徴

他の臓器への転移することは比較的少ないですが、皮膚だけでなくその下の組織にまで深く侵入していることが多いです。
触った感触としては硬く、周囲の組織と密着しているためしこりの境がはっきりしていないこともあります。

治療方法

外科手術による摘出が重要です。
軟部組織肉腫は根を張るように周りの組織に浸潤しているので、しこりの周囲を大きめに切除する必要があるため、耳介を温存するのは難しい腫瘍です。
取りきれなかった場合は、補助的に放射線治療を行うこともあります。

猫の耳道のできものにはどんな病気がある?

猫の耳道にしこりができているなら、耳垢腺癌や鼻咽頭ポリープの可能性がありますが、耳垢腺癌は高齢の猫、鼻咽頭ポリープは若い猫での発生が多いです。
それぞれどんな病気なのか見ていきましょう。

耳垢腺癌

外耳道には耳垢腺とよばれる分泌腺があるのですが、それが腫瘍化したものが耳垢腺癌です。

特徴

耳垢腺癌ができると、猫の耳が臭い、耳から血の混ざった分泌液がでる、猫が耳を気にして掻いている、頭をよく振っているなどの外耳炎のような症状が出ます。
進行すると脳まで広がってしまうため、神経の症状(てんかん発作、起立困難、顔面神経麻痺など)も表れることがあります。

治療方法

全耳道切除術という外科手術を行います。
耳介の腫瘍とは異なり、全耳道切除は耳の穴が無くなりますが耳介を残しています。
残念ながら切除した片耳の聴力はなくなってしまいます。
取りきれなかった場合は、補助的に放射線治療を行うこともあります。

鼻咽頭ポリープ

鼻咽頭ポリープとは、猫の中耳や耳管から発生した炎症によるしこりで、外耳道や鼻やノドの奥(鼻咽頭)にまでそのしこりが大きくなることで様々な症状を引き起こしてしまう病気です。

特徴

若齢の猫での発生が多い病気で、高齢猫の発生は稀です。
ポリープが鼻咽頭にある場合は鼻詰まりの症状が強く、慢性的な鼻水やいびきのような呼吸が見られる他、重症なケースでは呼吸困難、フードを飲み込みづらそうにするなどの症状が出ます。
また、ポリープが外耳道に広がっている場合は、耳の中に液体や血液が溜まったり、耳垢が多い、耳を掻く、頭を振るなどの外耳炎と似た症状が出ます。

治療方法

手術によってしこりを取り除くことで完治が期待できます。

腫瘍と間違えやすい!猫の耳が腫れる病気とは?

猫の耳が腫れる“耳血腫”という病気があるのですが、腫瘍などのできものと間違われることがあります。
耳血腫とはどんな病気なのでしょうか?

耳血腫

耳血腫とは、耳の中心にある軟骨の周りに血様の液体が貯留することで耳介が腫脹する病気です。
しこりのような腫れ方ではなく、耳が分厚くなったような変化をしているならこの病気の可能性があります。

特徴

元々外耳炎などの病気があり頻繁に耳を振ったり掻いたりしていると、軟骨を損傷し耳血腫を発症しやすくなりますが、耳の病気がなくはっきりとした原因が分からずに発症することもあります。
一度耳血腫になった耳介は、程度の差はありますが多くの場合で耳介の変形が見られます。
この時に耳の穴を塞いでしまうような変形をしてしまうと、慢性的な外耳炎を引き起こすことがあります。

耳血腫の治療方法

治療方法には内科治療と外科手術があります。
内科治療は、針を刺して貯まっている血液を抜き、中にステロイドなどの薬を注入する方法です。
外科手術は内科治療をしてもなかなか腫れが引かないケースで実施されます。
手術で耳の軟骨を切開して貯まっている内容液を除去し、軟骨を開放したままにしたりドレーンと呼ばれる管を設置したりして、耳介に液体が貯まらないようにします。

猫の耳血腫の治療法とは?放置しても自然治癒する?治らないの?

さいごに

猫の耳にできる腫瘍である肥満細胞腫や扁平上皮癌の初期症状は、非常に皮膚炎に似ています。
高齢の猫の耳になかなか治らない皮膚炎が出来た場合は、腫瘍である可能性がありますので早めに動物病院を受診しましょうね。

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愛猫のために知ってほしいこと


「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」

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