腫瘍

猫の扁平上皮癌の症状や治療法は?末期症状や余命とは?

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猫の顔の擦り傷が、いつまでたってもジュクジュクと治らない。

治ったと思ったらまた再発してしまった…。

最近よだれがすごい、口が異常に臭くなったなどの症状が見られたら、それはもしかしたら扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)」かもしれません。

扁平上皮がんとは非常に治療が困難ながんのひとつです。

飼い主さんは様々な場面で色々な選択を迫られることが多く、治療方法に悩むことが沢山あります。
この記事で、扁平上皮癌と診断され、どうしたらいいのか困ってしまっている方の手助けになればと願い、獣医師の私が詳しくお話ししたいと思います。

扁平上皮癌とは?

扁平上皮がんは、「扁平上皮」と呼ばれる細胞ががん化したものです。
扁平上皮細胞は、皮膚や目の角膜といった体の表面や、口腔・食道・鼻腔・気管・気管支といった体内への入口にあたる部分の表面に存在しています。
扁平上皮細胞が存在する場所ならどこでも発生しますが、猫においては「鼻の表面」、「耳」、「まぶた」、「唇」、「歯肉や舌(口腔)」、「肺」などに多いとされています。
皮膚の扁平上皮がんの場合は、白猫や部分的に白い被毛を持つ猫で発症しやすい傾向があります。
猫の口腔内腫瘍で一番多いのが扁平上皮がんです。
非常に進行の速い癌で、顔面や口腔内などできる場所によっては非常に治療がしにくいがんです。

猫の扁平上皮癌の症状

がんができる場所や進行度によって症状は様々です。

皮膚の扁平上皮癌

皮膚にできる扁平上皮がんは、白い毛の部分や毛の薄い部分にできやすく、特に、顔面の鼻筋や眼瞼、耳介に多く発生します。
扁平上皮がんができると、初期症状としては皮膚炎を起こしたように見えます。
脱毛や、炎症、厚いかさぶたや潰瘍が繰り返しできたり、治りにくい擦り傷のように見えたりします。
がんが進行してくると、侵された部分が腫れて潰瘍がひどくなり、出血したり膿んだりするほか、がんができている部分(例えば耳介)が壊死して脱落してしまったりすることもあります。

皮膚以外の扁平上皮癌

扁平上皮がんは、皮膚以外にも発生し、扁平上皮組織がある部位(目、口腔、気管など)のどこにでも生じる可能性があります。
がんができた部位に炎症やただれ、潰瘍、しこりなどができ、進行するにしたがって、その部位の機能を障害するようになります。
口の中の組織としては、舌と歯肉に好発します。
口腔内に扁平上皮がんができた場合は、しこりができ、その部分がただれたり、潰瘍ができたりし、出血が見られます。
血の混じったネバネバとしたよだれを流すようになります。
また、食べ物や水が飲み込みにくい様子を見せたりするようになり、ときにしこりが大きくなりすぎて口を閉じられなくなることがあります。
常に流れてしまうよだれや出血であごから胸、気にして手で拭うので、顔や手の毛は汚れ、場合によっては皮膚炎を起こしてしまうこともあります。
においも相当きつくなります。
鼻での発生では、初期にはくしゃみ、鼻汁、鼻出血、できものなどが現れます。
一見猫の風邪症状のように見えますが、治療を行ってもなかなか治らず、だんだんと鼻筋の部分が膨らんできて顔貌が変わり気付くこともあります。
肺に発生した場合は、乾いた咳、呼吸困難、元気がない、体重減少、喘鳴(ゼーゼー)、喀血(咳と共に血を吐く)といった症状を示します。
発生部位の多くは左肺後葉です。

猫の扁平上皮癌の原因

皮膚の扁平上皮癌

皮膚の扁平上皮がんができる原因としては、長期間、日光の紫外線を浴び続けることで、細胞が障害されがん化すると考えられています。
特に白猫や、被毛の一部が白い猫は紫外線による影響を受けやすく、日光皮膚炎を起こし、皮膚の扁平上皮がんを発症しやすいとされています。
また、猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)などによって免疫力が低下している場合にも発症しやすくなります。

皮膚以外の扁平上皮癌

皮膚以外の扁平上皮がんは、どんな色の猫にでも発生し、高齢の猫での発症が多いです。
口腔内の扁平上皮がんでは、環境中の煙草の煙など、大気を汚染するような化学薬品、スモッグが要因となっている場合があります。

猫の扁平上皮癌の治療

扁平上皮がんの治療では、切除できる場所に発生したがんの場合は、がんができた部分を中心にした広範囲な切除が第一選択です。
耳介にできた場合は耳介の根元から切除します。
口腔に発生した場合は片側もしくは両側の下顎ごと切除することもあります。
しかし、口腔や鼻など、広範囲な切除がむずかしい場合も多くあります。
舌の付け根にある扁桃に腫瘍ができた場合は転移性が高く、仮に手術しても1年以上生きられるケースが10%に満たないため、外科的な切除以外の方法が優先されます。
外科手術が困難な場合や外科的治療の補助療法として、放射線治療や抗がん剤治療などが行われることもあります。
以前は、抗がん剤は効果が低いと言われていましたが、最近では「分子標的薬」や「NSAIDS」が扁平上皮癌に効果があるという報告もあり、今後QOLの向上や、生存率の上昇などが期待できるかもしれません。
痛みが出た場合は少しでも苦痛を減らしてあげられるよう痛み止めなども必要になりますが、幸いなことに、見た目ほど猫は痛みを感じないようです。

猫の扁平上皮癌の余命

外科手術、放射線治療、化学療法を組み合わせても生存期間は約3ヵ月、1年生存率は約10%とされています。
しかし、効果のある薬が報告されていますので、今後生存期間が延びていく可能性は十分にあります。

扁平上皮癌で末期になるとどうなるのか?

猫の扁平上皮癌は悪性のがんですが、転移率は高くありません。
そのため、他の臓器に転移したり、がん自体によって死亡するというよりは、腫瘍の増大によって、物理的に食事を取ることができず、衰弱して亡くなってしまう場合がほとんどです。
扁平上皮癌の余命は2~3か月で、その事実から手術を選択しない飼い主さんの方が多いかもしれません。
しかし、残念ながらこの数か月は、ゆっくり看取るというよりは、顔の著しい変形や、絶え間なく流れる体液や血液、非常にきつい化膿臭をケアし続けなければなりません。
また、食べたいのに食べることができず、衰弱していく姿を見続けていかなければならず、猫はもちろんですが、飼い主さんも相当つらい思いをしなければなりません。
猫のがん治療は、がんの種類や進行状態、年齢、飼い主さんの考えによってもさまざまです。
また、獣医師によっても考え方はさまざまです。
完治が見込める部位のがんであれば当然手術を選択しますが、切除が不可能だった場合、QOL(生活の質)を上げるために腫瘍を小さくするだけの手術をするか、どこまで延命するかなど、非常に難しい判断を迫られる場面が多くあります。
「何もしない。」という決断ももちろん間違いではないと思います。
しかし、だんだんと進行するにつれて、想像以上に辛い姿を目の当たりにするでしょう。
その都度様々な方法を考える必要があります。

扁平上皮癌の末期にはどのようなケアができるのか?

この癌の辛いところは、食べたいのに物理的に食べられず衰弱していくという点です。
とにかく、食事を取る方法を考えます。
なるべく食べやすい形状のもの、好むものを与えてあげるようにしましょう。
また、状況によっては流動状にして強制給餌をする場合もあります。
口からものを食べられなくなった場合、食道チューブや胃チューブを挿入し、栄養を取らせるという方法もあります。
この際、麻酔が必要ですので、一時的な効果ではありますが、QOLを上げるために、腫瘍が小さくなるように腫瘍の一部分を切除する(減容積手術)という事もあります。
腫瘍の増大はとてもはやく、切除した後に、元の状態に戻るまでに時間はかかりません。
それでも、一時的に口から採食できるのであれば検討の余地があります。
食道や胃チューブに関しては決断できない飼い主さんも多いのが実情です。
しかし、何度も言うようにこの癌は食べたいのに食べられないのが問題です。
チューブからでもお腹を満たすことができれば猫の辛い状態を少しでも緩和してあげる事ができます。
この処置は延命治療ですので、判断の分かれるところですが、私は栄養不足で餓死する状態になるよりは、チューブからでも栄養が取れる方がいいのではないかなと考えています。
延命処置というと聞こえが悪いかもしれませんが、少しでも猫が楽になる治療を選択するという考え方が重要ではないかと思います。
しかし、延命治療に対する考え方は飼い主さんのみならず、獣医師でも大分考え方が異なりますので、かかりつけの獣医師と良く相談して治療方針を決めてほしいと思います。

猫の扁平上皮癌の予防

皮膚にできる扁平上皮がんの予防としては、猫が紫外線にあまり当たらないよう室内飼いをすることが有効です。
しかし、室内飼いの猫でも扁平上皮がんになることがあるので注意が必要です。
特に白い猫や白い被毛部分を持つ猫の場合は、紫外線が強い時期・時間帯に太陽の光を浴びたりしないように気をつけましょう。
猫はひなたぼっこが大好きですので、窓に紫外線防止フィルムを張るなどの工夫をすると良いでしょう。
また、普段から鼻や耳周辺の皮膚をチェックし、皮膚があれていたり、擦り傷のような傷口がなかなか治らなかったりする場合は、動物病院で診察を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。
また、扁平上皮がんは口腔内にもできやすいため、猫の口の手入れをするときに異常がないか、ご飯の食べ方や、口を気にするような動作がないかどうか、注意してみるようにしましょう。
猫のいる環境での喫煙は扁平上皮癌だけでなく、リンパ腫など他のがんへの発生率も高めます。
猫の被毛についたたばこの煙を猫自身が舐めとってしまうからです。
猫は人間と同じと考えてあげてください。
とくに、人間の赤ちゃんと同じように、猫も身体が小さいので、影響は大人よりも高くなります。
猫のいる場所での喫煙は控えましょう。

さいごに

今回は猫の扁平上皮癌について詳しく解説してきました。
進行が早くて命に関わる病気の一つです。
少しでも早く獣医師に相談して治療を始めることが大切になります。





愛猫のために知ってほしいこと


「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」

「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」

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