脳・脊髄・神経の病気

猫の前庭障害ってどんな病気?原因や症状や治療法とは?

投稿日:2018年2月3日 更新日:

 

突然、猫が腰が抜けたようによろよろと歩くようになってしまったり、歩きたがっているのにバタンと倒れてしまったりしたらびっくりしてしまいますよね。

そのような時、顔が傾いたり、よく目を見ると黒目が小刻みに左右に揺れていたりしませんか?

それはもしかしたら「前庭障害(ぜんていしょうがい)」が起こっているかもしれません。

前庭障害という言葉は聞きなれない言葉かもしれませんね。

一体猫に何が起こっているのでしょうか?

前庭障害の原因から症状、治療法について獣医師の私が解説したいと思います。

猫の前庭障害とは?

前庭とは、猫の内耳に存在する、蝸牛と三半規管に接している器官のことです。
「蝸牛」(かぎゅう)には、音を脳に伝える役割を果たしている「蝸牛神経」がつながっていて、三半規管には、体の平衡感覚や位置情報を脳に伝える役割を果たしている「前庭神経」がつながっています。
この2つの神経を合わせたものが「内耳神経」(ないじしんけい, 第8脳神経)と呼ばれています。
前庭障害とは、この内耳神経のうち、主に「前庭神経」の方になんらかの異常が生じ、平衡感覚を失ってしまった状態のことを指します。

猫の前庭障害ってどんな症状がでるのか?

体の平衡感覚を保つ働きをしている前庭が障害されますので、体のバランスを保てなくなります。
頭の傾斜(顔が左右に傾いてしまう)や、ぐるぐる回る、転倒、前屈姿勢、フラフラ歩く、頭をブルブル振るなどの異常が見られます。
眼をよく見ると、黒目が左右に揺れる「眼振(がんしん)」が起こっていることも多いです。

猫の眼が揺れている!ひょっとして眼振かも?考えられる病気とは?

眼がぐるぐる回っていて、常に船酔いのような状況ですので、食欲がなくなってしまったり、食べても嘔吐してしまうこともあります。
飲水ができなくなってしまうと脱水症状を起こすこともあります。
まっすぐ歩いたり、距離感覚つかめなくなりますので、トイレに行くことができず、排泄をトイレ以外の場所でしてしまうこともあります。

猫の特発性前庭障害にかかりやすい年齢や季節ってあるの?

猫の場合は年齢に関係なく発症しますが、中~高齢猫が多いです。
季節に若干関係があるようで、夏の暑さが落ち着いた秋にかけての期間に発症が多い傾向があります。

前庭障害を起こす原因とは?

特発性(とくはつせい)前庭障害

原因がわかないことを「特発性」と言います。
実は、前庭神経の炎症の原因は分からないことが非常に多くあります。
ストレス、環境、外気圧など、様々な要因が複合した可能性が考えられます。

末梢性(内耳の異常)

猫では末梢性が多い傾向にあります。
耳の奥にある内耳で発生した炎症が、前庭神経に波及することで発症します。
内耳炎をおこす原因としては、外耳炎、中耳炎からの波及や、ポリープ、耳腫瘍などが原因として挙げられます。
耳の炎症の原因としては耳ダニやマラセチア外耳炎、細菌性外耳炎などがあります。
不適切な耳の洗浄により神経を損傷させて症状を起こすこともあります。

中枢性(脳の異常)

脳腫瘍、脳梗塞、メトロニダゾール中毒、外傷などや、髄膜部分に細菌が入り込み、症状が出る髄膜脳炎という病気が考えられます。
また、生後6ヶ月〜3歳の子猫に多く見られる、猫伝染性腹膜炎(FIP)といったウイルス感染症による脳炎からの波及が原因となることもあります。

遺伝

シャムは特発性前庭障害にかかりやすい猫種とされています。

前庭障害の検査方法とは?

病歴と身体検査、神経学的検査、中耳炎や内耳炎を起こしていないかを検査していきます。
他にもレントゲン検査なども同時に行い、総合的に判断していきます。
検査結果を踏まえて、三半規管に異常があるのか、脳幹に異常があるのかを推測し、脳幹の病気の可能性がある場合にはさらにMRI検査を行います。
中耳炎などの場合CT検査も有用ですが、一般的には耳と脳幹両方調べられるMRI検査が一般的です。

前庭障害の治療とは?

特発性の場合は特に治療をしなくても、通常2~3週間以内に回復することが多いです。
耳の炎症を起こしていた場合は、耳の洗浄を行いながら、適切な抗生物質や抗炎症薬を用いた治療を行ないます。
前庭神経に影響している疾患や外傷などがある場合は、それぞれにあった治療をしていくことで改善することが多いです。
感染を除外した上で、抗炎症薬であるステロイドの投薬を行うと症状が顕著に改善するケースもあります。
前庭障害の症状が回復するまでには少し時間がかかりますので、転んだ際に怪我をしたり、歩き回ってぶつかったりして二次的なけがをしないように、自由に動き回ったり、段差の上り下りができないように、狭い空間を作り、毛布やタオルでふかふかにしてあげるなど、生活環境から危険を取り除くことも重要です。
また、気持ち悪さから食事や水をとれなくなる場合は、強制的に食べさせる必要があります。
少しでも自力で食べることができるなら、フードをふやかしたりすることで水分を摂取できるようにします。
嘔吐してしまう場合は、吐き気が落ち着くまでの3日間程度、絶食絶水で点滴治療を行うこともあります。
運動失調や斜頚は数日から数週間でゆっくりと回復しますが、回復後も斜頸は後遺症として残ることがあります。
脳腫瘍、脳炎、脳梗塞などは原因の病気を治す事が大切ですが、脳幹は手術が非常に難しい部位なため、脳腫瘍の治療は一般的に非常に困難です。

前庭障害は予防できる?

特発性や中枢性の場合は予防は難しいですが、末梢性の場合は外耳炎や中耳炎などを予防するために、定期的に耳掃除やダニの駆除を行うなどで予防することができます。

さいごに

前庭障害の症状は突然起こり、驚いてしまうことも多いかと思います。
しかし、この病気を知っていれば、冷静に顔の傾きや眼振をチェックすることができますよね。
前庭疾患は多くが特発性で、時間はかかりますが自然に回復することが多いです。
だからといって病院に行かなくてよいという事ではありません。
何らかの原因が元にある場合は治療が必要になりますので、原因をしらべる必要がありますし、特発性であっても一般状態を保つためのケアや投薬をする必要があるからです。
回復するまではすこし時間がかかりますので、自宅でごはんを食べるサポートをしてあげたり、排泄の手伝いをするなど、丁寧なケアをしてあげる必要があります。
猫は不安でいっぱいになっていますので、優しく寄り添ってあげてくださいね。





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