呼吸器の病気

猫の肺に水がたまる肺水腫とは?原因や症状や治療法について解説

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猫が突然口を開けてハーハーと呼吸をしている!

あわててすぐに病院に連れて行ったら、「肺水腫」と診断された時、あなたはすぐに猫がどういう状態か理解できますか?

肺水腫は字のとおり肺の中に水がたまっていて、息が苦しく、非常に危険な状態です。

肺水腫は、朝まで元気だった猫に突然起こり、あっという間に進行していく病気です。

そこで今回は、猫が肺水腫になった時の原因や症状、治療法について獣医師が詳しく解説いたします。

猫の肺の構造

肺は本来、血液中へと酸素を送り、二酸化炭素を排出させるという役割を果たしています。
この酸素と二酸化炭素のガス交換をしているのが、「肺胞」という重要な器官です。
気管支の末端にぶどうの房状に存在し、表面にはびっしりと毛細血管が張り巡らされています。

肺水腫とは?

「肺水腫」とは病気の名前ではなく、「肺に水が溜まっている状態」のことを示す言葉です。
何らかの原因で本来空洞があるべき肺胞に、肺胞を包む毛細血管から浸みだした水がたまってしまい、肺の機能が低下していく状態です。
簡単にいえば、肺の中が水でおぼれているような状態です。
肺水腫を起こすには、必ず元になる基礎疾患があります。

水が溜まる原因

肺水腫を起こす原因は大きく分けて、心臓が原因の場合と、それ以外が原因の場合にわけられます。

心原生肺水腫(しんげんせいはいすいしゅ)

心臓の病気が原因で起こった肺水腫を心原生肺水腫と呼びます。
肺水腫を起こす一番多い病気は心臓の病気で、中でも肥大型心筋症が最も多く、98%を占めるとも言われています。
肥大型心筋症はほとんど無症状で進行し、肺水腫を起こすほど悪化して初めて発見されることが多くあります。

肥大型心筋症とは?

どんな病気?

心臓の筋肉が厚くなり、心臓の通常の伸縮性が失われ、血液を送るポンプの役割ができなくなることで、全身に十分な血液が循環しなくなる病気です。
心筋症には、「肥大型」「拡張型」「拘束型」の3種類あり、どの状態も血液循環が悪くなる症状が起きますが、肺水腫が起こりやすいのは「肥大型」と「拡張型」です。
肥大型は、心臓の筋肉が厚くなりますが、拡張型は逆に心臓の壁が薄くなり、内側の室内が広がった状態です。

肺水腫が起こるしくみ

どちらも心臓のポンプ機能が失われることで、血管内に過剰な血液が停滞することになり、血管がパンパンで高血圧になり、徐々に中の血液やリンパ液などの水分が肺ににじみ出て肺水腫をおこします。

肥大型心筋症の原因とは?

肥大型心筋症の原因は遺伝が関係しています。
肥大型心筋症は発症に年齢差はなく、どの猫にも起きる可能性があります。

肥大型心筋症の症状とは?

心筋症は悪化するまで無症状なことが多く、そのまま進行すると肺水腫の他にも、心臓でできた血栓によって下半身への血流が遮断され、ある日突然後ろ足に激痛を伴った麻痺を起こすこともあります。

肺水腫の症状は?

心臓に変化が起こり始めても、ほとんどの場合無症状で通常通りの生活を送ります。
ある日突然ゼーゼーと口を開けて苦しそうな呼吸をして、口を閉じることができなくなりよだれを流します。
ハッハッと浅い呼吸を繰り返すこともあります。
咳が出ることもあり、咳き込むとさらに呼吸困難を起こしやすく、チアノーゼ(下の色が青くなる)を起こして失神することもあります。
呼吸が苦しく、体を横にして寝ることが出来なくなり、少しでも空気を取り入れようと、首を上に伸ばしたまま座わっていたり、酸素の消費を控えるためにじっと動かなくなります。
末期になると、口の端や鼻から血液の混じったピンク色の泡が、咳や嘔吐とともに出ることもあります。

血栓塞栓症の症状

肥大型心筋症のもうひとつの症状に血栓症があります。
肥大した心臓の壁に血液が当たり続け、血液の乱流が起こることで血栓ができるといわれています。
血栓は、血管の細くなる大腿部動脈への分岐点で塞栓することが多く、突然猫がのたうちまわって苦しみだし、激痛から大声で鳴き出すのが大きな特徴です。
血流が遮断されるため、後ろ足に血行が無くなり、麻痺と冷感がおこります。
この激しい症状は寿命を縮めるほどの痛みで、その後数時間であっという間に亡くなってしまうことも多くあります。
すぐに治療をしたとしても、数日で亡くなってしまうケースも多いです。

肥大型心症の治療とは?

心臓に対しては、血管拡張剤や強心薬を使い、収縮力が良くなるように治療していきます。
肺水腫は、胸水と違い、ひとつひとつの肺胞に水分がたまっているので注射針で抜くことは出来ず、利尿剤で水分を排出させるしかありません。
咳や呼吸を楽にするために、気管拡張剤も使用されます。
また、少しでも呼吸を助けるために、酸素室で管理することが多いです。

他には、猫での症例は多くはありませんが、「僧帽弁閉鎖不全症」などの心臓の病気でも肺水腫をおこすことがあります。

猫の肥大型心筋症とは?原因や症状や治療法は?寿命(余命)はどのくらい?

非心原生肺水腫

熱中症

心臓病よりはるかに少ないですが、心臓病以外でも肺水腫は起こります。
突然発症し、劇的に悪化するのが、熱中症です。
熱中症で体内に熱がこもってしまうと、猫は体温を下げようとします。
人間の場合、体中の汗腺から汗をかくことで体の熱を下げていますが、猫は肉球でしか汗をかくことができないため、ハッハッと舌を出しながら呼吸をするパンティングという動作で熱を放出します。
熱中症が悪化すると、パンティングもさらに激しくなり、動悸が起こります。
すると、心機能が追いつかなくなり血液の循環が足りなくなってしまいます。
流れの悪い血液が血管内に溜まりはじめ、血管の容量がいっぱいになってしまうと、行き場を失った水分が浸みだしてきてしまうのです。
それが肺に溜まり、肺水腫となります。
猫は寒さには弱いが、暑さには強いと間違った認識を持たれていることが多いことから、猫の熱中症は意外と多く発症しています。
人間と同じで、真夏に風の通らない、締め切った部屋でお留守番をさせたりすると、帰って来た時にはすでに亡くなっていたり、危篤な状態になっていることがあります。
肺水腫を起こすと、呼吸に使える肺胞部分が減ってしまうため呼吸困難に陥り、さらに熱の放出もできなくなりますので、大変危険な状態となってしまいます。

低タンパク血症

体内のタンパク質が尿に排出されてしまい、全身のタンパク量が減ってしまうと、血管内に水分を保持しておくことができなくなり、血管の外へ水分が流れてしまう事があります。
この場合は、肺に流れ出て肺水腫となるだけでなく、胸水や腹水が溜まる可能性もあります。
低タンパク血症は感染症、肝硬変、腎臓病などさまざまな病気が原因で起こります。

有毒ガスの吸入

有毒物質を肺の内部に吸い込むことによって肺水腫が発生することがあります。

感電

感電で起こる肺水腫は心臓病や低タンパク血症でおこる肺水腫とは異なる機序で発症します。
肺胞にはたくさんの毛細血管が張り巡らされています。
この毛細血管は、肺に酸素と栄養を供給し、反対に要らなくなった老廃物を回収する役割があります。
血管のすぐ内側は血管内皮細胞で覆われていて、その細胞同士の隙間を血中の水分(血漿・けっしょう)が浸みだしたり、含まれたりすることで分配と回収がバランス良く保たれているのです。
ところが感電で大きなショックを受けると、血管内皮細胞の配列が変わりこの隙間が大きくなってしまい、浸みだす水分が過剰になることで肺水腫が発生します。

猫の肺水腫の症状とは?

肺水腫の症状は原因の違いに関係なくすべて同じ症状です。
肥大型心筋症の症状をご覧ください。

肺水腫の診断

呼吸困難の症状や身体検査から、呼吸器の病気を疑いレントゲン検査ですぐに診断できます。
しかし、それだけではなく、肺水腫を引き起こしている原因となる病気や要因を特定する必要があります。
本来一刻も早く基礎疾患を見つける必要がありますが、状態が非常に悪い中で、体に負担のかかる検査を行うと、多大なストレスがかかり一気に状態が悪化し、場合によっては死につながることがあります。
獣医師の判断の元、肺水腫の治療を先行し、状態を安定させてから検査を行うこともあります。

肺水腫の治療は?

肺に溜まった水はひとつひとつの肺胞から注射器で水を抜くことは出来ないため、利尿剤で排出させていきます。
また、原因疾患の治療を行わなければ、肺水腫の治療でいくら肺から水分を抜いたとしても、またどんどん水分は出てきますので、一刻も早く、肺水腫を引き起こしている原因の病気を治療していくことが大切です。

肺水腫になった場合の寿命は?

基礎疾患が何かにもよりますが、急性の肺水腫である場合、わずか数時間で命を落としてしまうこともあります。

肺水腫は完治するのか?

肺水腫だけに限って言えば、治療によって肺水腫が完治することは十分にあります。
しかし、原因疾患が心臓にある場合、症状が出るころにはすでに心臓は肥大化し、完治することはまずありません。
治療が功を奏して症状が落ち着いたとしても、常に爆弾を抱えている状態で、いつ肺水腫が再発してもおかしくない状態です。
体への負担はかなり大きいため、ここから長生き出来る猫は多くありません。

肺水腫の治療費用は?

猫が肺水腫を引き起こしてしまった場合には、どの程度の治療費がかかってくるのでしょうか。
まず、肺水腫は命の危険がありますので、つきっきりで徹底的な治療が必要になってくるため、ほとんどの場合、酸素管理下で入院することになるでしょう。
原因疾患や症状によっては3~4日程度の場合もあれば、7日以上の入院になる場合もあります。
治療費としてはおおよそ1日1万円前後は覚悟しておいたほうが良いでしょう。
治療の前には診察が行われますが、レントゲンや血液検査、超音波検査など、肺水腫を引き起こしている原因を突き止めるためや、肺水腫の状態を確認するための検査費用でも4.5万円はかかってきます。
肺水腫の治療には、肺水腫自体の治療と、基礎疾患の治療2つが同時進行で行われますので、時間も費用もかなりかかると思っておいていただいた方が良いと思います。
また、幸運にも治療が奏功して退院したとしても、また同じように肺水腫を繰り返す可能性がありますので、生涯治療が必要と心得ておいてください。

肺水腫は予防できるのか?

肥大した心臓は元に戻ることはありません。
一度肺水腫を起こしてしまうほど進行した心臓の病気は、進行を遅らせることはできても完治は見込めません。
そのため、初期の段階で心臓の異常に気付き、ケアをしていくことが重要です。
症状がない段階で飼い主が心臓の異常に気付くことは難しいと思いますので、定期的に動物病院で健康診断を受けるなど、体調管理をしておくことが重要です。

さいごに

肺水腫は数時間で命を落としてしまうほど危険な状態です。
朝まで様子を見よう。1日様子を見よう。と思っている間に取り返しがつかない状態になる可能性が高いです。
また、肺水腫を起こしてしまっている猫に、自宅で飼い主がしてあげられることはなにもありません。
とにかく、一刻も早く動物病院で治療をすることが命を救う第一歩です。
仮にすぐに治療を開始したとしても、治療の甲斐なく亡くなることもあるほど切迫した状態であることを理解し、対応してください。
病院に連れていく際、興奮させたり、過剰なストレスをかけるとその場で急変することがありますので、気持ちは焦りますが、ゆっくりと猫に不安を与えないように来院してください。
病院に行く前に電話をし、到着次第すぐに治療にとりかかれるようにしておくとよりスムーズです。
肺水腫の猫を救うのは飼い主の懸命な判断です。





愛猫のために知ってほしいこと


「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」

「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」

という飼い主さんはとても多いです。

動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。

動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。

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