消化器の症状

猫の便の色が黒い、薄い、赤い、白い、緑。原因は何?病気のサイン?

投稿日:2016年11月13日 更新日:

猫

「猫の便の色がいつもと違う…」

「猫の便がなんか赤っぽいけど原因は何?」

「猫が病気になると、うんちの色が変わったりする?」

なんてあなたは思ってはいませんか?

猫の正常な便の色は、食べているフードによっても多少は異なりますが、基本的には茶色~こげ茶色です。
猫のトイレを掃除するときに、便の色や形、においなどをチェックしていますか?
便は健康のバロメーターともいわれるくらい体の状態を反映しています。
それだけでなく、便の色が正常と異なる時、その色でどこに病気がありそうかな、と検討をつけることもできるのです。

そもそもなぜ便は茶色なの?

猫

少し難しい話になってしまうかもしれませんが、後で出てくる、なぜ茶色以外の便が出るのかを理解するのに必要ですのでお話しします。
意外かもしれませんが、便の色には血液の中の赤血球が関与しています。
体の中の赤血球はずっと同じものではなく、古い赤血球は壊され、どんどん新しい赤血球が作られています。
赤血球の寿命は120日と言われています。
古くなった血液は脾臓でむしゃむしゃと食べられ、血液に乗って肝臓に運ばれます。
肝臓で赤血球のなかのヘモグロビンという物質はビリルビンという物質に変化します。
このビリルビンは胆汁の成分となり、胆嚢に貯蔵され、食べ物が胃から十二指腸に移動してきたときに分泌され、消化を助けます。
腸に分泌されたビリルビンは腸内細菌によってウロビリノーゲンになります。
ウロビリノーゲンの大部分は再吸収され血液内にもどりますが、再吸収されなかったものは空気に触れ酸化するとステルコビリンになります。
このステルコビリンこそが便を茶色くしている色素です。
便が茶色くなるまでにはこんなにたくさんの臓器や腸内細菌が関わっているんですね。

便の色が黒い

「タール便」「メレナ」とも呼ばれ血が混ざっているのを示しています。
血液は腸を通る間に消化液などで酸化されると黒色に変化します。
つまり、黒い便は胃や十二指腸など上部消化管からの出血を意味します。
下痢を伴っている場合は、「1回量が多く」、「粘液や赤い血液はみられない」、「嘔吐もみられる」、「体重減少がある」などの特徴があります。
口~十二指腸あたりまでは内視鏡検査で確認をすることができますが、それ以降の腸に病気がある場合は開腹手術による精密検査が必要です。

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小腸炎

猫汎白血球減少症(猫パルボ)や細菌感染、寄生虫、膵臓の病気などがあります。

鼻出血。食道出血

鼻炎や鼻のがん、異物が食道を傷つけている時などに出血を起こします。

胃潰瘍、重度の胃炎

黒い便が出るほどの出血を起こしている場合はほとんど嘔吐も伴っていて、吐いた物の中にも出血が混ざっているはずです。

がん

猫の小腸にできるがんはリンパ腫、肥満細胞腫など悪性のものが多く、血便以外にも食欲不振、下痢、嘔吐、体重減少などを伴っていることがほとんどです。

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便の色が薄い

便の色がいつもに比べて薄い場合の原因になります。

カルシウムの取りすぎ

ミルクや、サプリメントなどで過剰なカルシウムを摂取すると、体に必要のない余分なカルシウムが排泄されて、便の色が白~灰色っぽくなることがあります。

膵臓の病気

膵臓からは食べた物の脂肪を分解してくれるリパーゼという消化酵素が出ています。
リパーゼが作られなくなってしまうと食べ物の脂肪分が消化できないので、脂肪が便の中に残ったまま出てきます。
この脂肪分によって便が白色~灰色にみえます。
正常な便の臭いとは明らかに異なるすっぱいにおいを放ちます。

便の色が赤い

便が赤くなるのは出血があることを意味します。
下痢、軟便、固い便を問わず、便に血が混じっていれば異常です。
赤い便がでるということは、血液が消化を受けていないことを意味するので、大腸(結腸、直腸)と肛門部分からの出血が疑われます。
便全体が赤く染まる場合は直腸より上部の大腸からの出血が疑われ、便の表面にスジ状の血が付着している場合は直腸や肛門からの出血が考えられます。
肛門から内視鏡で病変を確認し、場合によっては生検して病理検査を行います。

大腸炎

食物アレルギー、細菌感染、猫汎白血球減少症(猫パルボ)による下痢、免疫異常、寄生虫などいくつもの原因があります。
下痢や軟便になっていることが多く、何度も排便姿勢を取るがあまり便が出ない「しぶり」があり、「少量をちょこちょこする」、「粘液が付着する」などの特徴があります。
体重減少や脱水はあまり激しくありません。

悪性のがんや良性のポリープ

がんやポリープが原因でできる場合があります。

鈎虫症

鈎虫という腸の粘膜にかみついて出血をおこす寄生虫の感染があります。

異物誤食

異物を食べて、腸に刺さったり、粘膜を傷つけて出血を起こします。

肛門の周囲の傷や病変

肛門のわきにある肛門嚢の炎症や、がんやポリープ、さらにリンパ系の悪性腫瘍などができることもあります。
肛門付近を気にしてなめたり、おしりをズリズリするしぐさが見られることがあります。

便秘

固い便がでるときにわずかにきれて出血することもあります。

便の色が白い

便の色が白い場合の原因になります。

胆汁が分泌されない

便の色は胆汁に含まれるビリルビンですので、そのビリルビンが腸管内に排泄されなくなると、便が白っぽくなります。
原因には胆石や胆管がんによる完全胆管閉塞、胆管肝炎で胆管が外部から重度の圧迫を受けて胆汁が排泄されなくなることなどでおこります。

胆汁が生成されない

胆汁は肝臓で作られますので、肝炎や肝硬変で肝臓の働きが低下すると、胆汁が作られる量が減ったり、作られなくなったりして、胆汁が十二指腸に流れなくなり、便が白くなります。
白い便が出る時は重篤な病気にかかっていることが多いので、すぐに病院に行きましょう。

便の色が緑

ビルルビンが大量に便に出ている状態です。
ビリルビンは本来黄色ですが、空気に触れて酸化するとビリベルジンという緑色の色素になることで便が緑色にみえます。

便の通過時間が異常に早い場合

腸内でビリルビンがウロビリノーゲンに変化する時間もなく排出されてしまいますので、もとのビリルビンの状態で排泄されてしまいます。

腸の機能が低下している場合

腸炎などで機能の低下が起こると、腸でのウロビリノーゲンの再吸収が行われにくくなるのと同時に、ビリルビンからウロビリノーゲンの変化が遅くなり、ビリルビンのまま排泄されてしまいます。

腸内細菌が減少している

腸内細菌によってビリルビンはウロビリノーゲンに変化するので、細菌自体が少ないとビリルビンを変化させることができなくなり、ビリルビンのまま排泄され緑色の便が出ます。
抗生物質の長期の使用や、腸内環境が悪化している時などにおこります。

便が酸性になっている場合

善玉菌が増えると、腸内は酸性に傾きます。
この反応は良いことなのですが、ビリルビンが酸化しやすい状況になり緑色の便が出やすくなります。
人間の赤ちゃんの便が緑色なのはこのためです。

黄疸、溶血性貧血がある場合

黄疸は血液の中にビリルビンが増えた状態です。
溶血性貧血は赤血球が過剰に破壊され、ビリルビンの量が増えます。
腸内細菌のウロビリノーゲンへの変化に追いつかず多くのビリルビンがそのまま排泄されてしまうことで、便が緑色になります。
この場合、尿の色が黄色や茶色に変化したり、白目や皮膚が黄色くなる、元気がなくなる、食欲がなくなるなど他の症状を伴うことが多いです。
緊急を要しますのですぐに病院に連れていく必要があります。

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食べ物によるもの

与える食事やおやつによって緑色の便になることもあります。
たとえばクロロフィルという葉緑素(植物がもっている緑色の成分)を多く摂りすぎたときには緑色の便となることがあります。
クロロフィルは口臭や便臭を抑える効果があり、おやつやフードによく添加されています。
食事を変えたり、おやつをあげすぎた時などに便の色が変化することはありますが問題はありません。

便ではない場合

猫

便をよく見てみてください。
実は便ではなく毛玉の塊の可能性はありませんか?
猫の毛色にもよりますが、猫が毛玉を吐くとき胃の中で固まった毛玉が食道を通る際に、食道の形である筒状になって排泄され、あたかも便のように見えることがあります。
毛色が薄い場合などは変な色の便が出たとぎょっとすることがあるかもしれません。

さいごに

便の色がいつものように茶色ではない場合、なんらかの異常があることがあります。
便から重大な体の異変に気付くこともよくあります。
まずは、日頃の便がどのようなものなのか見ておいてあげることが大切ですね。
病院では便の細菌の状態や出血の有無を確認しますので、写真ではなく、できるだけ実際の便を持参するとよいでしょう。
その際、細菌に影響が出ますので冷蔵や冷凍はせず、できるだけ新しい便を持っていくようにしましょう。

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