猫の瞳孔、いわゆる黒目は周りの明るさによって真ん丸になったり、線のように細くなったりコロコロと変わります。
これは正常な反応でまったく異常ではありません。
しかし、瞳孔の大きさが左右で違うというのは、明らかに異常です。
何らかの病気の可能性があります。
瞳孔の大きさが左右違う時に考えられる原因は何なのでしょうか?
考えられる原因についてお話ししたいと思います。
猫の瞳孔について
猫の瞳孔は通常では周りの光の影響や感情によって変化します。
暗い場所では、光を多く取り込むために瞳孔を大きく見開き、明るい場所では光が入り過ぎないように、細く縮めて調節しています。
基本的には、この瞳孔の大きさの変化は左右対称に起こります。
猫の瞳孔の大きさが左右違うという場合には、どちらかの瞳孔が縮まったまま、または開きっぱなしで動かせないと言う状態で異常です。
注意してみるポイント
瞳孔の大きさが違うという症状がある場合には、他に何らかの症状が出ていないか注意深く観察する必要があります。
他の症状の有無により、どこに病変があるのかを推測することができ、検査や治療がスムーズに行えます。
チェックするポイントは以下の通りです。
目のチェック
・涙や目ヤニが多くないか?
・目が左右に揺れていないか?
・瞬膜(目の内側にある白い膜)は出ていないか?
・眼が白っぽく濁ったりしていないか?
・眼球に傷やかさぶたなどはないか?
・眼をまぶしそうにしていないか?
・目が見えにくそうな様子はないか?
その他のチェック
・耳を痒がったり、汚れていたり異常はないか?
・頭を左右に振っていないか、傾いていないか?
・歩き方はおかしくないか?
・元気・食欲などに変化はないか?
・吐いたりしていないか?
・飲水量は増えていないか?
瞳孔の大きさが左右違う時に考えられる原因
目そのものの病気による異常の場合、全身性の病気、または神経系の異常が挙げられます。
目自体の病気
目自体の病気としては以下のものがあります。
詳しくみていきましょう。
網膜変性症・萎縮症
網膜変性症は、網膜が変性して、視覚障害が起こる病気です。
暗いところで見えづらい夜盲症から始まり、症状が進行すると、最終的には失明に至る場合もあります。
痛みがないため、進行するまで気付かないことが多くあります。
原因としては、遺伝性のものや、ビタミンA,E欠乏症、タウリン欠乏症によるもの、他の眼疾患や全身性疾患からの続発、薬物中毒、特発性などの後天的なものが挙げられます。
光感受性の低下により瞳孔が開きがちになり、網膜が薄くなるため網膜下のタペタムの領域が広くなり目がいつも光って見えるようになります。
緑内障
緑内障は、眼の中の房水の流出が妨げられ、眼圧が高くなることで視神経が圧迫され、損傷を受け、視覚を失う病気です。
原因
原発性
眼の構造的な異常で防水の流出が妨げられます。
続発性
外傷やブドウ膜炎、水晶体脱臼などの他の眼の病気などによって房水の流出路が妨げられることで眼圧が上がります。
猫の緑内障の多くは続発性緑内障です。
猫伝染性腹膜炎(FIP)、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)、トキソプラズマ症は目の病気を起こす基礎疾患として重要です。
症状
眼圧が急激に上がる急性タイプと、ゆっくり進行していく慢性タイプに分類されます。
急性症状
・目の充血
・瞳孔が開く
・眼をしょぼしょぼさせる
・瞳孔が開いているためまぶしそうにする
・眼が青っぽく見える(角膜の浮腫)
・目の痛みのため顔を触られるのを嫌がる
・元気食欲低下
・動かない、じっとしている
・嘔吐
・ものにぶつかる、つまづく
慢性症状
急性症状に加えて、以下の症状が現れます。
・眼球が次第に大きくなる
・角膜の内側にひびが入ったように見える
・失明
治療方法
急性期
視覚の回復の可能性が残っているため、眼圧を下げる点眼薬の点眼を行い、一刻も早く眼圧を下げる必要があります。
水晶体脱臼(前眼房)など続発性の場合は早急に水晶体摘出をおこなう場合もあります。
緊急に眼圧を正常範囲内戻すため入院治療を選択することもあります。
慢性期
頭痛などの不快感を除去する治療を行います
眼球摘出や義眼挿入、硝子体内薬物注入などの外科処置を行う場合もあります。
予防方法
予防は難しいため、早期発見、早期治療が重要です。
⇒猫の緑内障の症状や原因や治療法は?手術費用はどのくらいかかる?
白内障
猫の白内障とは水晶体(レンズ)が白く濁る目の病気です。
犬や人に比べてまれな病気ですが、目の炎症や損傷で猫にも白内障が起こることがあります。
原因
水晶体の新陳代謝は目の中の液体である房水でおこなわれています。
ブドウ膜炎などで房水の産生に異常が見られたり、ケンカやトゲなどによる穿孔性の損傷で眼房内に異常が見られると、水晶体の新陳代謝が悪くなり、タンパク質の結合体ができ白内障を発症するといわれています。
外傷による白内障は、片側の目だけに起こることが多いです。
先天性のものは遺伝的な要素が強く、ペルシャ、バーマン、ヒマラヤンに好発します。
胎児期からすでに症状の見られるものや、生まれてから症状がでることもあります。
遺伝的なものだけでなく母猫の栄養やストレス状態も大きく影響していると考えられています。
症状
最初は水晶体の周囲から起こり、目が白いと気づく頃にはかなり進行しています。
徐々に水晶体内の変性が進み、逆さY字のような白濁が見られるようになります。
白濁の進行と共に視界が悪くなるため視覚障害がみられます。
光への反応が鈍くなり、瞳孔の動きが鈍くなります。
治療方法
初期には症状を軽減し進行を遅らせるために、点眼薬などの内科的治療を行い、他の目の病気がある場合は同時に治療を行います。
重症で緑内障など他の目の病気の誘引となる場合は、外科的に白濁した水晶体を摘出することもあります。
予防方法
猫の白内障は、加齢性ではなく外傷や他の眼疾患によるものが多いため、予防は飼育環境を整えることや早期発見早期治療のため体調管理をすることが大切です。
先天性に症状が見られた場合には、次世代への予防として繁殖には使用しないようにします。
⇒猫の白内障の症状や原因や治療方法は?手術費用はどのくらい?
全身性の病気
慢性腎不全や甲状腺機能亢進症
腎不全や甲状腺機能亢進症も進行すると高血圧になったり、交感神経が優位になったりするため、瞳孔の大きさに異常が見られる場合があります。
神経系の異常
ホルネル症候群
猫で、瞳孔の大きさが左右で違う場合、まず疑われるのがホルネル症候群です。
特徴としては
・片目の瞳孔の大きさが反対側よりも小さい
・瞳孔が小さいほうの瞼が大きく開けない(瞼が垂れている)
・目が落ちくぼんでいる
・目の内側から白い膜のようなもの(瞬膜または第三眼瞼)が出ている
といった症状がみられます。
犬でも見られますが、猫のほうが頻繁に見られます。
ホルネル症候群は、脳の視床下部と眼球をつなぐ、頚部交感神経経路の周辺に異常がおき、顔に分布している交感神経(自律神経)が麻痺することによって起こります。
ホルネル症候群についてくわしくみていきましょう。
ホルネル症候群を発症する原因
特発性
とくに原因がなく、数ヶ月で自然に回復します。
ホルネル症候群の原因は特発性の場合が多いため、そのまま経過を見て2~3か月で回復する場合が多いです。
中耳炎や内耳炎など耳の病気
内耳炎や中耳炎などは、顔面麻痺などの神経症状を引き起こすため瞳孔の神経反射に異常が見られます。
感染症(トキソプラズマなど)
トキソプラズマは通常、成猫が感染しても症状が現れないことが多いですが、脳への寄生の場合は神経症状が出る可能性があります。
⇒猫のトキソプラズマの症状や原因や治療方法は?予防はどうしたらいいの?
脳炎や脳腫瘍
神経症状が出現して瞳孔反射に異常が出る可能性もあります。
椎間板ヘルニア
交通事故などの外傷などで椎間板ヘルニアを起こした際に発症する可能性があります。
さいごに
猫の瞳孔が左右異なる場合は、基本的には異常です。
特発性の場合2~3か月で自然に回復することもありますが、もし特発性でなく、進行性の病気(脳腫瘍など)の場合、様子を見ている間にどんどん進行してしまう可能性があります。
瞳孔の左右差があることに気付いても原因は多岐にわたるため、自分で様子を見てよいのか判断することは難しいでしょう。
気付いた時点で、必ず病院で診察を受けましょう。
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