感染症

猫にひっかかれた所が腫れてきたけど大丈夫?病院に行った方がいいの?

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野良猫に触って引っ掻かれた時はもちろん、自宅で猫にひっかかれた時も、思っている以上に腫れることがありますよね?

噛まれたわけではないからと様子を見てしまう飼い主さんは結構いらっしゃいます。

しかし、ひっかき傷を甘く見てはいけません。

猫に引っ掻かれるとどのような危険性があるのでしょうか?

引っ掻かれた時の応急処置や、病院に行った方がいい目安なども解説いたします。

猫にひっかかれた場合

猫の引っかき傷は、引っ掻かれた直後は大したことがなくても、しばらくすると傷口周辺が腫れてきます。
多くの場合はここまで進行しても、自然に治ります。
実は、猫の爪は非常に鋭いので、皮膚をとても鋭利に裂きます。
傷は浅く見えますが、見た目以上に深くまで達している場合が多いです。
スパっと切れた皮膚はあっという間にくっつきます。
つまり、表面の傷口が早々に閉じてしまい、深部では細菌が増殖してしまう可能性があるということです。
その結果、傷口周辺が水ぶくれのようにボコッと腫れ上がってきます。
さらに進行すると、頭痛や発熱、関節痛、食欲低下、吐き気など、風邪のような症状が出ることがあります。
重症化した場合には耳の付け根や首筋、腋、鎖骨などにあるリンパ節が腫れてきます。
これらの症状は細菌に感染している証拠です。

猫に引っ掻かれて感染する病気

猫にひっかかれた場合に感染する病気について解説します。

パスツレラ症

パスツレラ症とは

パスツレラ菌を持っている猫に噛まれたり引っ掻かれたりして感染する日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)です。
日和見感染症とは、健康は人の場合は感染しても症状を発現せず、高齢や幼児、免疫力が下がった際などにのみ発症する病気のことです。
猫ひっかき病より、こちらの方が重傷になることが多いです。

猫の保菌率

調査した猫のうちの97%が口の中にパスツレラ菌を持っていて、この菌を手足に持っている猫は約20%と報告されています。
猫だけでなく、犬の75%も保菌していると報告されています。

パスツレラ症の感染経路

当然噛まれることより、引っ掻かれた場合の方が感染率は下がりますが、ひっかれただけでも感染することはあります。
また、濃厚な接触や唾液を通しての感染もありますので、食べ物の口移しなどは言語道断です。
猫はこの菌を持っていても無症状なので、どの猫が保菌しているのかがわからないのが厄介なところです。

パスツレラ症の症状

引っ掻かれたところが、早いと数時間程度で腫れて赤くなります。
これとともに、リンパ節が腫れたり、発熱や痛みが現れたりする場合もあります。
ひっかかれたところが炎症を起こしますが、この炎症は深部まで拡がります。
免疫力が下がっている際に発症すれば、死亡する恐れがある敗血症(病原体が全身に広がって各所で炎症を引き起こした状態)や髄膜炎(中枢神経である脳と脊髄を包み込んでいる髄膜に炎症が波及した状態)などが起きる場合もあります。
肺炎や気管支炎、副鼻腔炎、肝膿瘍、腹膜炎、関節炎、腎炎なども起こします。
問題が免疫機能にある気管支拡張症患者、HIV感染者、悪性腫瘍患者などの人が感染すると、症状がより重症化するため、十分に注意する必要があります。

パスツレラ症の診断

菌の分離同定を患部の膿汁から行うことによって診断します。
パスツレラ症は人畜共通感染症であるため、普通の人間の臨床検査機関で血清学的検査ができます。

パスツレラ症の治療方法

パスツレラ症を治療する際は、可能な限り早く抗生物質を投与する必要があります。
抗生物質としては、特にクロラムフェニコールやセファロスポリン系、テトラサイクリン系、ペニシリン系などがパスツレラ症に効果が期待できるとされています。
猫に噛まれて感染すると高い合併率があるので、症状が現れない場合でも、抗生物質が予防的な処置として投与される場合があります。
ほとんどのパスツレラ症の症状は、抗生物質を投与することによって改善し、重症化するのを防止できます。

パスツレラ症の予防

パスツレラ症を予防するためには、まず猫や犬に引っ掻かれたり、噛まれたりしないことが必要です。
猫と食器を共用したり、餌を口移しで与えるなどというような事も、パスツレラ症が感染する要因になるため止めましょう。
猫に触ってからうがいや手洗いをすることも効果的です。
猫は、爪を定期的に切って、深く傷をつけられないようにしておきましょう。

猫ひっかき病

猫ひっかき病とは

グラム陰性の桿菌であるバルトネラ・ヘンセレ(Bartonella henselae)という細菌が引き起こす病気です。
この原因菌は判明してからまだ30年弱しかたっていません。

猫ひっかき病の感染経路

このバルトネラ属菌というのは、猫に寄生する「ネコノミ」に存在している事が多いです。
猫に寄生したネコノミは、自分の糞便と一緒にバルトネラ属菌を猫の体表に排泄します。
猫はよく自分の体を舌で舐めたり足で毛づくろいするため、このバルトネラ属菌を口の中の歯や爪といった部分に知らず知らずのうちに付着させてしまっていて、こういった猫に引っ掻かれたり噛まれることで、猫ひっかき病が発生してしまうのです。

保菌率

日本に生息している猫の1割はバルトネラ属菌に感染しているといわれており、中でも子猫の保菌率は高くなっています。
パスツレラ症と同じく猫にはまったく症状がでません。
ノミの付着率の高い野良猫に噛まれたり、引っ掻かれるとかなり危険です。

猫ひっかき病の症状

バルトネラ菌に感染している猫に引っ掻かれると、数日~10日程度の潜伏期間(噛まれてから症状が出るまでの期間)の後、軽傷では、赤くなったり、水ぶれができたり、硬くなったりします。
その後、発熱、倦怠感、頭痛、関節痛、食欲不振などの全身症状が出ます。
リンパ節の腫れは、受傷部位が上半身に多い為、脇の下や首に多いです。
重症化すると、発熱が長引き、体重減少、全身のリンパ節や肝臓や膵臓が腫れ、胸水が溜まったり、麻痺や脊椎障害まで至ることがあります。
健康な成人ならここまで重症化するのはまれですが、免疫不全の人、高齢者や幼児は特に注意しましょう。

猫ひっかき病の治療方法

劇的に効果のある抗生物質がありませんが、自然に治ることが多いです。
治るまで数週間から場合によっては数ヶ月かかることもあります。

ひっかき病についてはこちらをご覧ください。

猫のひっかき病って何?症状や治療方法とは?

猫に噛まれたり引っ掻かれたりした場合の応急処置

猫に引っ掻かれたら、すぐに自分で応急処置をほどこしましょう。

水道水で傷口をしっかりと洗い流す

猫に引っ掻かれたら、まずは水道水でしっかりと傷口を洗い流しましょう。
痛いとは思いますが、傷口をぐいぐい広げて、細菌を絞り出すように念入りに洗い流します。
出血があってもどんどん水で流してください。
病院で処置をしてもらう場合は生理食塩水を使うこともありますが、家で処置をする場合は水道水で問題ありません。
大切なのは強い水圧でしっかりと洗い流すことです。
自分では痛みから手加減をしがちなので、病院ではよく他の人に処置をしてもらいます。

傷口をしっかりと消毒する

湿潤療法ではこの消毒の過程は本来行いませんが、猫に引っ掻かれた場合は菌への感染を防ぐため傷口の消毒の工程は外せません。
ただし、傷口に消毒液が残ったままにしてしまうと、消毒液が必要以上に傷を治す細胞に悪影響を与えてしまいます。
そのため、傷口の消毒が終わったら、消毒液を水道水で洗い流して水気をふき取るようにしましょう。
自己判断で薬を塗るのは危険もありますのでやめて下さい。
もし、悪化するようなことがあれば、すぐに病院へ行きましょう。
一昔前は、唾を付けておけば治るという迷信もありましたが、口の中の細菌をすり込むだけですので絶対にやめて下さい。

湿潤療法用の絆創膏を貼る

しっかり上記の応急処置ができたら、湿潤療法用の絆創膏を貼ります。
例えば、「バンドエイドキズパワーパッド」「プラスモイストP」「デルガードクイックパッド」などです。
基本的に湿潤療法用の絆創膏ではこまめに取り換えず、数日間貼り続けることが推奨されています。

病院で診察

もし時間的に可能なら、病院で診察してもらった方が安心です。
引っかき傷の症状は、早ければ数時間で発症します。
腫れが進行したり、倦怠感を感じるようなら、すぐに病院に行きましょう。
早く的確な対応をした方が重症化を防げます。

絶対にしてはいけないこと

暴力をふるう

猫に引っ掻かれた時、痛さのあまり思わず猫を叩いたり、暴力を振るってしまうかもしれませんが、絶対にしてはいけません。
暴力を振るうと、猫が興奮してさらに引っ掻いたり噛み付こうとすることもあります。
猫は決して飼い主さんが嫌いで引っ掻いたりしているわけではないので、叩いたからといって反省することはありません。
逆に、猫との信頼関係を損ねてしまう可能性の方が高いと言えます。
思わず叩いてしまいそうになったら、猫を無視してその場を離れましょう。

間違った手当

近年、傷の手当の新常識として「湿潤療法」が認知されてきています。
従来は傷の手当てをする場合、患部を消毒することが大切だとされてきました。
しかし、この方法だと傷口の悪い菌と同時に傷口を治すために必要な細胞まで死滅させられてしまい、傷口の治りを妨げることが分かったのです。
そのため湿潤療法では、従来のように傷口を消毒せず、水道水で洗浄したあと患部を乾燥しないように保護します。
実際にこの湿潤療法を行なうと、従来の手当てよりも傷跡も残りにくく治りも早くなることが確認されています。
そのため単なる引っ掻き傷が出来ただけであれば、湿潤療法の手順に沿って水道水で洗い流し、患部を保護すればいいのです。
しかし、猫に引っ掻かれてしまった場合は、傷口から菌に感染してしまう恐れがあるので、この方法は行ってはいけません。
水道水で洗い流すだけでなく、しっかりと従来のように消毒をして、感染しないようにしなければいけません。
基本的な引っ掻き傷であれば湿潤療法を使えるため、傷を早く治せる分、傷跡も残りづらくなります。
しかし猫に引っ掻かれた場合は、消毒が最優先になるため、湿潤療法を使うよりは傷の治りが遅く、傷跡が残りやすくなる可能性もあります。
また傷が深くなればなるほど、当然傷跡は残りやすくなります。
残った傷跡は赤い色ではなく、白や黒っぽい線状で残ります。

さいごに

猫の引っかき傷は、少し腫れても軽視されがちですが、甘く見ると痛い目に遭います。
引っ掻かれた際に感染する病気があるというのは比較的最近判明したことで、一般にはまだ知られていない場合もあります。
やはり傷を負わないことが一番ですが、一緒に暮らしていれば接触しないというのは難しいですよね。
できる限り、爪切りをこまめにしたりして深い傷を負わないように気を付けましょう。
よく、「猫に引っ掻かれて腫れてきたんですけどどうしたらいいですか?」とご質問頂くことがありますが、残念ながら獣医師は人間を診察することも、お薬を処方することも当然できません。
我々が引っ掻かれたり噛まれたりしたときも、人間の病院に行きますので、人間の病院に行くようにしてください。
その際、可能であれば「外科」を診察している病院であれば、初期対応をしっかり行っていただけると思います。
他の科の場合、パスツレラ症や猫ひっかき病の存在を知らない場合もあります。
猫を飼う以上この病気を知っておくことで、自ら重症化するリスクを回避できますよね。
また、猫に引っ掻かれた傷は比較的他の傷に比べて跡に残りやすいです。
顔など、残って困る部位は引っ掻かれないようによく注意してください。





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