泌尿器の症状

猫のおしっこ(尿)が出ない!原因は何?病気の可能性は?

投稿日:2016年12月16日 更新日:

猫

「猫が1日近く尿をしていないけど、何かの病気?」

「猫が何度もトイレに行っているけど、もしかしたらおしっこが出ていない?」

人間と同じように猫にとっても排尿は健康のバロメーターですから、いつもと排尿の様子が違うと、飼い主の方は心配になりますよね。
そこで今回は猫の尿が出ていない場合、どんな病気が原因として考えられるか、どのような症状が見られたら動物病院を受診した方がよいのか、詳しく解説していきたいと思います。

猫の排尿について

まずは健康猫の排尿回数の目安と、どのくらい尿が出ていないと異常なのかというところから見ていきましょう。

健康な猫の排尿回数の目安は?

十分に水分をとっている健康な猫は、1日に少なくとも1回、平均的には2〜3回程度排尿します。
水分摂取量などの変化で日によって±1回程度の誤差は出ますから、1日位尿の回数がいつもより少ないときがあっても、元気食欲があって翌日以降にいつも通り排尿していれば通常は問題ありません。
なお、排尿回数は、膀胱の容積によっても多少の個人差があるので、飼っている猫が元気で食欲もある時に「この猫は大体1日2回は排尿する」といったことを把握しておくことをおすすめします。

どのくらい尿が出ていないと異常?

猫は少なくとも12〜24時間に1回は排尿をしますので、最後の排尿から24時間近く経過してもまとまった尿が出ていない場合は、

・尿を出したいのに出せない

・尿が作られていても少ない

・尿自体が作られていない

という3つの可能性が考えられます。

尿を出したいのに出せない場合

猫

ちゃんと尿は作られるけれど、何らかの異常で排尿が出来にくいことを「排尿困難」と言い、猫が排尿困難を起こす病気で代表的な病気に「尿道閉塞(尿閉)」があります。
尿道閉塞は猫で非常に多い緊急疾患ですので、ぜひチェックして下さいね。

尿道閉塞(尿閉)とは?

膀胱に貯められた尿は尿道を通って外に排泄されますが、何らかの原因で尿道が詰まることを尿道閉塞と言い、尿が出にくくなります。
特に雄猫は尿道の先端が非常に細くなっているため、雌猫に比べ尿道閉塞を起こすリスクが高いです。

原因

なぜ尿道閉塞がおこるのかというと、膀胱にできた結石もしくはたくさんの結晶が尿によって尿道に流れてくるためです。
猫の尿路結石・結晶には、ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)とシュウ酸カルシウムの主に2つの種類に分かれます。
若い猫ではストルバイト、高齢猫ではシュウ酸カルシウムの発生が多く見られますが、尿道閉塞の原因の大半がストルバイトによるものです。

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症状

尿道閉塞の際には、何度もトイレに行くのに尿が出ない、トイレに行っていきんでもポタポタとしか尿がでない、ペニスの周辺が赤い尿で汚れている、血尿をしていた猫が嘔吐するようになった、元気や食欲がない、しきりにペニスを舐めている、排尿するときに痛そうに鳴いている、という症状が見られます。
これらに当てはまる症状がある場合は、できるだけ早く動物病院を受診するようにしましょう。

放っておくとどうなる?

尿道閉塞を放っておくと、作られたが排泄されない尿によって腎臓が圧迫され急性腎不全になってしまいます。
このタイプの急性腎不全は、早めに適切な処置をすれば回復できることも多いですが、発症から2日近く経ってから気付いた場合は亡くなってしまうこともあるため、要注意です。

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治療法

尿道閉塞になった場合、尿道内の閉塞物を洗い流したり、膀胱へ戻すことを試みて閉塞を解除します。
どうしても尿道が開通しない場合は会陰尿道造瘻術(えいんにょうどうぞうろうじゅつ)といって、尿道の一部を切除し広げる手術を行うことがあります。
・予防法
尿道閉塞の原因がストルバイト結晶によるものであれば、専用の療法食(ロイヤルカナン社pHコントロールやヒルズコルゲート社c/dマルチケア等)への変更でほとんどのケースで再発を予防することができます。

尿が作られているが少ない場合

猫

生きていく上で必要な成分である水や電解質が失われた状態を「脱水」と言い、脱水になると作られる尿が少なくなるため排尿間隔が延びます。
猫も様々な原因で脱水症状を起こすことがありますが、具体的な病気とその対策方法を見ていきましょう。

水分摂取不足、発熱

摂取する水分が少なくなったり、発熱で体内の水分が蒸発しやすくなると、体の中の血液量が減るため、尿の回数や尿量が少なくなります。

対処法

もし猫が環境の変化などのストレスで水を十分に飲めていない可能性があるのであれば、しっかり水分を補給してあげましょう。
また発熱していたり熱中症の可能性が考えられるようであれば、早目に動物病院を受診して下さい。

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下痢や嘔吐の時

下痢や嘔吐の時は一気に多量の体液が失われるため、簡単に脱水症状をおこしうる状況と言えます。
また脱水にならないようにと水を与えていても、体調が悪く十分に飲水ができなかったり、水だけ飲んでいても食事を食べていないと体の中の電解質が不足してしまい脱水が進行してしまうことがあります。

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対処法

軽度の嘔吐や下痢なら猫が自発的に飲食できる状態なら普段通り与えても問題ありません。
むしろ絶食絶水にするのは更なる脱水を引き起こすことになりますので、避けるようにしましょう。
水っぽい下痢が何回も認められたり、元気食欲がない場合、激しい嘔吐があり全然尿をしていない場合は後述の急性腎不全の可能性も考えられますので、可能な限り早く動物病院を受診しましょう。

尿が作られない場合

猫

腎臓で作られる尿量が基準値よりも少なくなることを「乏尿」といい、ほとんど尿が作られなくなることを「無尿」といいます。
乏尿や無尿になると、トイレに行って排尿姿勢をとることが極端に少なくなります。
猫が乏尿・無尿になってしまう原因には腎不全があります

腎不全

腎が機能しなくなることを腎不全といい、腎不全は慢性腎不全と急性腎不全に分類されます。

原因

急性腎不全は、薬物中毒や感染症、尿管結石や尿道結石による排尿困難などによって引き起こされます。
猫は観賞用の植物を誤食してしまう事故が多く、特にユリの花や葉、根などを少しかじっただけで簡単に「ユリ中毒」を起こし、急性腎不全で亡くなってしまいますので、要注意です。
一方慢性腎不全を引き起こす原因としては、原因不明のもの、多発性腎嚢胞、腎アミロイドーシス、腎盂腎炎、糸球体腎炎によるものがあります。

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症状

急性腎不全になると、乏尿や無尿状態に陥り尿がほとんどでなくなったり、非常に強い嘔吐が見られたり、元気食欲がなくグッタリするなどの症状が出ます。
慢性腎不全は高齢の猫に非常によく見られ、症状の経過は比較的長く、尿が薄く水を飲む量が多い(多飲多尿)、時々吐く、食欲が落ちてきたなどの症状が出て、末期になると乏尿や無尿の状態になります。

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治療法

尿管や尿道閉塞による急性腎不全の場合、手術や処置によって閉塞物を摘出することで腎臓の機能回復を待ちます。
また薬物中毒による急性腎不全では、透析や積極的な点滴を中心とした対症療法を行います。
慢性腎不全の場合は、タンパク質やリンというミネラルを制限した食事療法を中心として、活性炭や降圧剤の投与、点滴などを行っていきます。

獣医師解説。猫の慢性腎不全の原因や症状や治療とは?回復はするの?

さいごに

猫は元々あまり水分をとらない動物であるため、腎臓や膀胱といった泌尿器のトラブルを起こしやすい動物です。
尿路結石や結晶の発生を予防するためには、猫に毎日与える餌を見直すこと、いつでも新鮮な水を与えること、トイレは十分な数を設置し清潔に保つことが重要ですよ。

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