泌尿器の病気

猫に多い膀胱炎。治療法は?自然治癒する?血尿も症状なの?

投稿日:2017年2月16日 更新日:

 

「猫が何度もトイレにいくけど、もしかして膀胱炎になった?」

「猫が膀胱炎を繰り返していて、なかなか治らない。自然治癒することはないの?」

「猫の膀胱炎に効くサプリメントってないの?」

このような疑問はありませんか?

猫は非常に泌尿器のトラブルの多い動物で、中でも膀胱炎は非常に多く見られる病気ですので、猫の膀胱炎にまつわる悩みを抱えている飼い主の方は沢山いらっしゃると思います。
そこで今回は「猫の膀胱炎」にスポットを当てて、膀胱炎の症状や原因、治療法のほか、多くの飼い主の方が疑問に思うことなど詳しく解説していきます。

目次

膀胱炎ってどんな病気?

まずは膀胱炎とはどんな病気なのか、どんな症状が特徴なのかについて解説します。

膀胱について

膀胱とは、腎臓で作られた尿を一時的に貯めておく臓器で、尿がある程度貯まると膀胱内の圧が高まって神経を刺激し、「トイレに行きたい」という感覚が生まれます。
これが「尿意」になります。
この膀胱に炎症が起きる病気を「膀胱炎」といいます。

猫の膀胱炎に共通する症状とは?

膀胱炎になると「尿を貯めておく」、「尿意を感じる」という膀胱の機能にエラーが起こるようになり、膀胱炎を発症した原因に関係なく共通した症状が見られるようになります。
それは一体どんな症状でしょうか?

頻尿

排尿回数が増加することを頻尿と言います。
具体的に1日何回以上なら頻尿という決まりはありませんが、猫の正常の排尿回数は多くて4回ですので、5回以上の排尿は頻尿の目安となります。
猫が頻尿になると、何度もトイレに行く、少ししか尿が出ない、排尿を我慢できないためトイレ以外の場所で排尿してしまう、といった行動が見られるようになります。

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血尿

血尿とは、尿中に赤血球が出現している状態を言います。
軽度の血尿では明らかな色の変化に気付きにくいですが、症状が進行すると尿の色がピンクから赤色になっていることに気付くことができます。
ペットシーツや猫砂は白い色のものを使うとわかりやすいでしょう。

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下腹部痛

膀胱炎になると下腹部に痛みや不快感が起こるため、猫がトイレでじっとうずくまっている、トイレに座っている時間が長いなどの行動が見られるようになります。

猫の膀胱炎の分類

猫に見られる膀胱炎は原因によって、尿路結石(膀胱結石)による膀胱炎、細菌性膀胱炎、特発性膀胱炎の3つにわけることができます。

膀胱炎の診断方法

膀胱炎かどうかを診断するためには、問診(猫の症状)、尿検査、超音波検査、細菌培養検査などを行いますが、特に尿検査は尿中の赤血球の有無や細菌、結石の元となる結晶を見つけるためにも、不可欠な検査と言えます。

尿検査について

猫が膀胱炎かもしれない場合、多くの飼い主の方が「尿を持っていかないといけないのでは?」と悩まれるかと思いますが、病院に行けば尿道カテーテル(雄猫のみ)もしくは膀胱に直接針を刺すこと(膀胱穿刺)で採取することが可能ですので、ご心配の必要はありません。
むしろ自宅で採取して時間の経過した尿は、誤った検査結果になることがあるため、採取したらできるだけ早く動物病院に持参する必要がありますので注意しましょう。

猫の尿路結石(膀胱結石)による膀胱炎ってどんな病気?

尿路結石(膀胱結石)の原因や特徴、治療法について解説します。

原因

結石が膀胱内にできると、物理的に膀胱の粘膜を刺激するため膀胱炎を引き起こします。
猫の尿路結石は、「ストルバイト結石(リン酸マグネシウムアンモニウム)」と「シュウ酸カルシウム」の主に2つの種類に分かれます。
若い猫ではストルバイト結石が、高齢猫ではシュウ酸カルシウム結石の発生が多く見られます。
ではなぜ結石が出来てしまうのでしょうか?

摂取している水分量が少ない

猫の先祖は砂漠で生息していた動物であるため、猫は水を飲む量が少なく濃い尿を少量だすような体になっているのですが、尿が濃くなると結石をつくりやすくなります。
つまり、猫は元々膀胱結石の発生が多い動物ということになります。
また、肥満になると運動量が減るため水を飲む量が更に少なくなり、結石のリスクが高くなることが知られています。

尿の中のミネラルが多い

猫が食べているフードの中にマグネシウムやカルシウムといったミネラルが多いと、これらが尿中に多量に排泄されるため結石が出来てしまいます。

尿のpHが高い(アルカリ性)

ストルバイト結石は、尿のpHがアルカリ性に傾くと出来やすいということが分かっています。
ちなみに、シュウ酸カルシウムの発生には尿のpHは関連しません。

この病気の特徴

膀胱結石ができると先ほどの膀胱炎の症状の他、排尿後の砂やペットシーツがキラキラしている(結晶尿)などの症状が見られます。
また結石ができると細菌感染の温床になりやすく、細菌性膀胱炎を併発することがあります。

治療法

フード(餌)を療法食へ変更する

尿路結石や結晶の発生を防ぐには、猫に毎日与える餌を見直すことが重要です。
すでに尿路結石が出来ている、もしくは結石の元となる結晶が見られている猫には療法食を与えましょう。

外科手術による摘出

ストルバイト結石であれば療法食への変更である程度の溶解が期待できますが、サイズが大きくなってしまうと溶解しきれない、もしくは溶解に時間がかかり症状が長引くことがあるため外科手術による摘出を検討します。
一方、シュウ酸カルシウム結石であった場合、餌の変更は予防的な効果しかないですので外科手術による摘出を行います。

猫の尿路結石の原因や症状、治療方法、餌について解説します!

猫の細菌性膀胱炎ってどんな病気?

細菌性膀胱炎の原因や特徴、治療法について解説します。

原因

細菌感染により膀胱に炎症が起こる病気を細菌性膀胱炎と言います。
健康な猫は濃い尿をすることで細菌が繁殖しにくい環境を保っていますが、慢性腎不全や糖尿病では尿が薄くなるため、細菌性膀胱炎になるリスクが高くなります。
また、高齢で免疫力の弱っている猫や、猫免疫不全ウイルス(いわゆる猫エイズ)や猫白血病ウイルスに猫は、元々膀胱結石を持っている猫は細菌性膀胱炎を起こしやすいです。

この病気の特徴

重度の細菌性膀胱炎になると、本来尿は黄色くサラサラとしていますが、尿が膿っぽくなり(膿尿という)、鼻水のようにドロッとした液体が猫砂やペットシーツに付着することがあります。
また、臭いも強くなるため、同居の動物(特に犬)が排尿のトイレの臭いを気にすることがあります。
細菌性膀胱炎を放っておくと、尿管を伝って腎臓まで炎症が及び腎盂腎炎を起こすことがあり、腎盂腎炎になると発熱や元気食欲低下などの全身的な症状も見られます。

治療法

治療には検出された細菌に応じた抗生物質の投与が必要です。

猫の特発性膀胱炎ってどんな病気?

特発性膀胱炎の原因や特徴、治療法について解説します。

原因

特発性膀胱炎とは、尿路結石や細菌感染といった原因が見つからない膀胱炎のことを言います。
はっきりとした原因は特定できていないのですが、猫自身側の問題(内的要因)に加え、環境からのストレス(外的要因)が複雑に絡んで発症すると考えられています。

内的要因(猫側の問題)

猫の膀胱粘膜のバリア機能が低下していたり、交感神経系の乱れ、内分泌系の乱れ、肥満が挙げられます。

外的要因(環境ストレス)

トイレが気に入らない(場所や猫砂、大きさ)、同居している動物に対するストレス、室内飼育によるストレス(外に出られない、運動不足)、騒音によるストレスなどが挙げられます。

この病気の特徴

特発性膀胱炎は猫の膀胱炎の約60%を占めると言われており、特に若い猫に多く見られ、1週間以内に自然治癒したり再発を繰り返すこともある病気です。

治療法

特発性膀胱炎は原因不明のため、猫の飼育環境の改善などの対症療法が中心となります。

環境の改善

ストレスが1つとは限りません。
猫のストレスの原因を出来るだけ排除することが大切です。
特にトイレに関するストレスは大きいものなので、トイレ環境の見直しは大切です。
後述の「必見!膀胱炎を防ぐにはどうしたらよい?」に詳しく解説していますので参考にして下さい。
その他には、猫の居心地のよい隠れ場所を作ったり、ストレス発散のためにキャットタワーや爪研ぎ、おもちゃを与えたりすることも重要です。
手の空いたときには、猫とのコミュニケーションの時間を作ってあげましょう。

猫の特発性膀胱炎に配慮したフード(餌)に変更

ロイヤルカナン社の「pHコントロール+CLT」やヒルズコルゲート社の「c/d マルチケアコンフォート」は、尿路結石予防効果に加え、加水分解ミルクタンパとL-トリプトファンを添加することで、脳内の精神安定物質であるセロトニンやGABAなどの働きを高めストレス症状の緩和を図ります。
・・・何だか難しい話ですが、人間にもGABA入りのチョコレートがありますが、それと同じようなものとお考えいただいてよいでしょう。

薬を使うことも

症状が強い場合は、抗炎症剤の内服を処方することがあります。

必見!膀胱炎を防ぐにはどうしたらよい?

猫は膀胱炎になりやすい動物だということがお分かりいただけたと思いますが、では膀胱炎を未然に防ぐためには、どうしたらいいのでしょうか?

トイレをキレイに!

猫はきれい好きな動物なので、トイレが汚れていると排尿を我慢することも多く、膀胱炎になりやすくなります。
中でも特発性膀胱炎を引き起こす最も大きなストレスの原因は「トイレによるストレス」と考えられています。
それでは、猫のトイレにおける注意事項について見ていきましょう。

設置場所に注意

猫が行き来しやすい場所に配置してあげることはもちろん、洗濯機の近くなど騒音のするところを避ける、人通りが少なく静かな場所を選びましょう。

トイレは適切な数を用意

猫の飼育数プラス1個が目安になります。

できるだけキレイに

汚れたらこまめに掃除してあげることをおすすめします。

サイズは大きめを

猫の体長×1.5倍が目安になります。

猫砂もいろいろ試そう

できるだけ重い素材のもの、足のうらにくっつきにくい素材、無香料のものなどいろいろ試して猫が好む猫砂を探してみましょう。

水飲み場を増やす

飲水量の増加は結石発生のリスクを減らします。
いつでも新鮮な餌を飲めるように家の複数箇所に水飲み場を設置するようにしましょう。
蛇口から流れる水を飲むのが好きな猫には、ウォーターファウンテンなどを試してみてもよいかも知れません。

猫下部尿路疾患に配慮したフードを選ぼう

猫下部尿路疾患とは、下部尿路(膀胱から尿道)におこる病気の総称で、細菌性膀胱炎、特発性膀胱炎、尿路結石などを一括りにした言葉です。
パッケージに「猫下部尿路疾患配慮しています」と記載されているフードは、結石の作りにくい尿pHになるように計算されていたり、結石の成分となるミネラル量を調整してあったり、炎症を抑える効果のある抗酸化成分を配合してあるなどの特徴があります。
一言でフードと言っても記載されている病気へ特化している度合いによって、「療法食」、「準療法食」、「一般食」があります。
すでに尿路結石が出来ている、もしくは結石の元となる結晶が見られている猫には専用の療法食を与えた方がよいですが、今まで尿路結石を指摘されたことがない猫は準療法食か、配慮との記載のある一般食を選択するとよいでしょう。
特に若い去勢雄は肥満になりやすく、尿路結石や特発性膀胱炎のリスクが高いことが知られていますので、フードの見直しをおすすめします。

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猫にとって心地よい環境を整えよう

運動不足にならないようにキャットタワーなど高低差のある運動器具を置いたり、猫は狭いところに隠れるのが好きなので猫ちぐらのようなスペースを与えてみましょう。
また爪研ぎも段ボールのものだけでなく麻やカーペット状のものを選んでみたり、手の空いたときには猫じゃらしなどで猫とのコミュニケーションの時間を作ってあげましょう。
特に多頭飼育は猫のストレスになりやすいので、仲の悪い猫は部屋を分けるなどの工夫が必要です。

よくある猫の膀胱炎についての疑問

猫の膀胱炎に関して、多くの飼い主の方が抱かれる疑問を4つピックアップして解説します。

猫の膀胱炎は自然治癒したり繰り返すことがある?

猫に多い特発性膀胱炎の特徴は、特に治療をしなくても自然治癒したり再発することにあります。
ただし、尿検査によって細菌感染も尿路結石も否定されないと特発性膀胱炎と診断することはできません。
また、高齢の猫は特発性膀胱炎よりも細菌性膀胱炎もしくは、尿路結石(シュウ酸カルシウム)の可能性があります。
繰り返すようなら本当に特発性膀胱炎かどうか、動物病院を受診して診断してもらいましょう。

抗生物質を飲んでいるのに膀胱炎が治らない

動物病院を受診し尿検査で細菌性膀胱炎と診断されているのなら、処方した抗生剤が確認された細菌に対して有効でないか、もしくは有効である抗生剤を飲んでいたが、治療中に別の細菌が増えてしまった(菌交代症という)可能性があります。
このケースではもう一度動物病院を受診し、尿の「細菌培養検査」を受けて頂く必要があります。
ただ、動物病院を受診したけれど尿検査が出来なかった、もしくは細菌性膀胱炎と診断されていないなど念のため抗生物質を処方されたという場合なら、細菌性膀胱炎ではなく特発性膀胱炎であった可能性も考えられます。
膀胱炎の診断に尿検査は不可欠なので、動物病院で一度しっかりと尿検査をしてもらい、診断結果次第で治療法を再検討してもらいましょう。

膀胱炎には薬以外の治し方はある?サプリメントは有効?

膀胱炎になりやすい猫向けのサプリメントというと、一番よく目にするのが「クランベリー」を使った商品になります。

動物病院向けの商品でいうと、日本全薬工業から販売されている「ウロアクト」が挙げられ、サプリメントの効果として「尿路結石や細菌性膀胱炎の発症の予防」が期待されています。

もし猫が細菌性膀胱炎を繰り返している、尿路結石用のフードを一切食べてくれない、というケースならこういったサプリメントを試すのも一つの方法でしょう。
しかし気をつけて頂きたいのが、クランベリーのサプリメントは特発性膀胱炎の予防には効果はありません。
くれぐれもクランベリーサプリメントがすべての膀胱炎の対策になると誤解しないようにしてくださいね。

猫が膀胱結石になった!手術するとしたら治療費はどのくらい?

平成27年に日本獣医師会が調査した「診療料金実態調査」を元に解説します。
「膀胱切開の平均は3万7千円弱」となっていますが、4〜10万と回答している病院が35%もあり、病院によって代金設定にかなり幅があります。
おそらく「膀胱切開のみの金額」で算出している病院もあれば、「膀胱切開なら入院費などを含めてこの金額」と設定している病院もあるのが原因でしょう。
単純な膀胱結石の摘出手術なら、多く見積もっても総額で10万前後になるのが一般的ではないかと思います。

さいごに

このサイトの記事は獣医師が監修していますが、インターネット上には誤解を招く内容の記事で溢れています。
「特発性膀胱炎(原因不明)」を「突発性膀胱炎(突然起こる)」と混同していたり、膀胱炎になりやすい猫にはクランベリーが有効と記載されていたり・・・挙げればキリがありません。
膀胱炎は非常に多い病気ですので、時に飼い主の方も悩みの種になるかと思いますが、気軽に獣医師に相談するようにして正しい治療法を選択するようにしましょうね。

関連記事になります。合わせてご覧ください。

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愛猫のために知ってほしいこと


「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」

「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」

という飼い主さんはとても多いです。

動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。

動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。

経済的な問題で愛猫の寿命を縮めないためにも愛猫が元気なうちにペット保険に加入することが大事になります。

でも「ペット保険っていうけど、どういう保険があるの?」という疑問も出てくるかと思います。

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