「猫が頻繁にお腹を舐めているなと思ったら、湿疹ができていた!」
「猫のお腹の湿疹がどんどん広がってきた!何かの皮膚病?」
このような経験や疑問はありませんか?
時折、猫のお腹にはこのような皮膚トラブルが見られることがあるのですが、お腹にできる湿疹は見るからに痒そうで、飼い主の方も「早く何とかしてあげたい」と思われるでしょう。
そこで今回は、「猫のお腹にできたハゲと湿疹」についてピックアップして解説したいと思います。
目次
猫のお腹がハゲて湿疹ができる原因は?
猫お腹の毛がハゲて、なおかつ湿疹ができている場合は、やはり何らかの病気のサインと考えます。
具体的な病名としては、好酸球性肉芽腫症候群(中でも好酸球性局面)、心因性脱毛、皮膚糸状菌症などが挙げられます。
病名は違えど、見た目の症状だけではどの病気なのかの診断は難しいですので、動物病院では自宅での猫の様子を問診で聞いたり、その他の皮膚に病変はないか、抜毛検査で毛の状態や病原体が確認されないかを見たりします。
もし猫のお腹に気になる湿疹が見られたら、飼い主の方は以下のポイントを把握しておくようにしましょう。
・猫がひっきりなしにお腹を舐めていることはないか?
・頻繁に猫が舐めているタイミングはあるか?
・最近子猫を飼い始めたなど、猫を取り巻く環境が変わったことはないか?
・室外に猫が行くことはあるか?
・同居動物がいる場合、同じような皮膚の症状はないか?
・お腹以外にも毛が抜けていたり、皮膚が赤い場所はないか?
好酸球性肉芽腫症候群(好酸球性局面)
好酸球性肉芽腫症候群とは「無痛性潰瘍」、「好酸球性局面」、「好酸球性肉芽腫」の3つの症状を特徴とした病気の総称です。
中でも好酸球性局面はお腹から内ももの辺りにかけて皮膚の病変が見られることが多い病気です。
それでは、好酸球性局面の原因、症状、診断方法、治療方法について解説していきましょう。
原因
アレルギー(食物やハウスダストなど)やノミなどの外部寄生虫、そして精神的な要因から起こる過度のグルーミングが原因として考えられています。
症状
初期には脱毛を伴う小さな湿疹がみられますが、徐々に拡大して円形状かつ盛り上がった赤い皮疹ができます。
激しいかゆみがあるため、舐め続けることで皮膚まで剥ぎ取られたような潰瘍という状態まで進行することがあります。
診断方法
皮膚の病変が見られるところの細胞をとり、“好酸球”と呼ばれる白血球が確認されるかを見ます。
場合によっては麻酔下で皮膚の一部を切除して、病理組織検査を行わないとわからない場合もあります。
治療方法
好酸球性肉芽腫症候群に食物アレルギーが関係していると考えられる場合は、食事の変更(低アレルゲン食)を行います。
ノミアレルギーの可能性が完全に否定できないことも多く、試験的にノミ駆除剤(フロントラインやレボリューションなど)を使用します。
また、対症療法としてステロイド剤の投与を行って痒みや皮膚の炎症を抑えていきます。
⇒猫の好酸球性肉芽腫症候群ってどんな病気?症状、原因、治療法について解説
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症の原因、症状、治療方法について解説していきましょう。
原因
皮膚糸状菌といわれる真菌(カビ)の感染が原因で発症しますが、特に屋外で拾った子猫で発症しているケースが多いです。
皮膚糸状菌は接触感染で広がるため、感染している猫から、人や同居動物にも感染するため注意が必要です。
症状
顔や耳、四肢が好発部位ですが、全身に病変が及ぶ場合もあります。
典型的な皮疹としては、円形に近い形の脱毛(リングワーム)ができ、その周りにフケやかさぶたが見られます。
痒みの程度は様々ですが、比較的軽度であることが多いです。
診断方法
ウッド灯というライトで毛を観察して青緑色に光るかどうかを見てみます。
この時光った毛を抜いて顕微鏡でみると菌体が確認できます。
もし光る毛がない場合でも、全身の毛をブラシでとかして集め、真菌培養を行うことで皮膚糸状菌症と確定する方法もあります。
治療
皮膚糸状菌症は病変が広範囲であることが多く、治療の基本は抗真菌剤の内服になります。
抗真菌剤は概して高額で、かつ菌体が体から完全に消失するまでには数ヵ月以上かかることがありますが、根気強く治療をしないと人間に感染することがある上に再発を招くことがあるため、くれぐれも治療を中断しないようにしなくてはいけません。
また、抗真菌薬の入ったシャンプー(マラセブシャンプーなど)は感染している被毛を効果的に除去することができるため、シャンプーが嫌いな猫が多いとは思いますが、ぜひ行いたい治療法です。
⇒猫がカビに感染?!皮膚糸状菌症の症状や原因、治療法、シャンプーについて解説
心因性脱毛
心因性脱毛の原因、症状、診断方法、治療方法について解説していきましょう。
原因
心因性脱毛とは、過剰に皮膚や毛を舐める行動や掻き壊すことによって引き起こされる自虐性の皮膚病です。
環境の変化(例えば引っ越しやペットホテルへ預けられたこと、新しい家族が加わったことなど)や飼い主の感心を引くためなどの精神的な要因が関連していると考えられていますが、明らかな原因がわからない場合も多くあります。
症状
体の1箇所もしくは数カ所をしつこく舐めるため、お腹や背中、後ろ足などに左右対称の脱毛が見られることが多いです。
脱毛といっても毛が抜け落ちたのではなく、猫のザラザラした舌で過度にグルーミングしたことによって毛が刈り取られている(断裂している)のが特徴です。
また、長い間グルーミングをすることによって皮膚が障害されて赤くなったり、潰瘍をおこしたりすることがあります(好酸球性局面)。
診断方法
飼い主の方からの問診(自虐行為があるかなど)や症状の他、抜毛検査によって断裂している毛があるかを確認します。
また、症状からはアレルギー性皮膚炎や皮膚糸状菌症などその他の皮膚炎と似ているケースも珍しくなく、糸状菌の培養検査などいくつかの検査を組み合わせて最終的に診断します。
治療方法
飼い主の気を引いて退屈してグルーミングを始めるようなら、音で舐める行動を制止しておもちゃなどで遊んで気を紛らわせる、十分甘えさせてあげるなどの対応をとりますが、舐めている猫をしかって制止することは逆効果なのでやめましょう。
また「猫のストレス源を特定し猫がリラックスできるような環境を改善することが望ましい」とされていますが、明らかな原因が不明である場合や、ストレス源を除去することができない場合は、薬物療法として抗不安薬を用いることがあります。
また、抗不安効果のあるサプリメント(ミルクをトリプシンで分解したカゼイン)が販売されていますので、薬物療法に合わせて使用してみることもあります。
なお、この病気の発端である猫の舐める行動を修正するのに長期に渡るケアが必要であること、かつ即効性のある治療法はないことを飼い主の方にご理解いただく必要があります。
さいごに
猫の皮膚病の診断と治療は、時に複雑で一筋縄ではいかないことがあります。
理由としては、同じ食物アレルギーでも好酸球性局面という病変で表れることもあれば、粟粒性皮膚炎や心因性脱毛という形で表れることもあり、病態から病名が絞り切れないということがあります。
また、心因性脱毛から二次的に好酸球性局面を引き起こすということもあり、何がおおもとの病態なのかを探るのに苦労することが多いというのもあります。
そしていよいよ心因性脱毛と診断に至っても、猫のストレス源を見つけ出すのもなかなか難しいことも多く、また舐めることが習慣化してしまうとその行動を修正するのも時間がかかるというのが難点です。
ですので、飼い主の方にはぜひ猫の皮膚病はその原因を特定するのに時間がかかること、改善するまでには治療が長期に渡ることも珍しくないことをぜひご理解頂ければと思います。
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