消化器の病気

猫の肝臓の数値が高いのはなぜ?病気の可能性は?原因、治療法について解説

投稿日:2017年5月21日 更新日:

 

「猫の血液検査をした結果、肝臓の数値が高かった!」

「猫の肝臓の数値が高い時には、どんな病気の可能性があるんだろう」

このようなことでお悩みではありませんか?

「肝臓の数値が高い」なんていうと、人間では飲み過ぎかな?なんて気になりますよね。
でも、お酒を飲まない猫の血液検査で「肝臓の数値が高い」場合には、どのようなことが考えられるのでしょうか。
今回は、猫の肝臓の数値と病気について、その原因や治療まで解説します。

肝臓の役割

肝臓の機能は非常に多様で、栄養素の分解と貯蔵、解毒、血液凝固因子やコレステロール、胆汁の合成など命にかかわる重要な臓器の一つです。
肝臓は損傷に対する再生能力や予備能力が高いため病気になっても症状が出にくく、「沈黙の臓器」と呼ばれることもあります。
猫の症状などから異変に気付いた時には、すでに肝臓はかなりのダメージ受けていて病状が進行していることも少なくありません。

血液検査における“肝臓の数値”とは?

健康診断で血液検査をしたことがある方はご存知かと思いますが、血液検査ではそれぞれの臓器の異常を調べるために複数の項目を測定します。
血液検査は大きく分けて、赤血球や白血球、血小板を調べる「血液一般検査(CBC)」、肝臓や腎臓などの臓器の働きを調べる「血液生化学検査」があります。
動物病院によって多少異なりますが、基本的に血液一般検査(CBC)と肝臓酵素(ALT、AST、ALP、GGT)、腎機能マーカー(Cre,、BUN)、血糖値(GLU)、脂質代謝のマーカー(T-chol)、タンパク質(TP、Alb、Glb、Alb/Glb)、ミネラル(P、Ca)、総ビリルビン(T-bill)といった項目がスクリーニング検査として測定されることが多いでしょう。
肝臓の状態をチェックするための項目は数多くあるため、実は「肝臓の数値が高い」というのは少し漠然とした表現ではありますが、一般的には血液検査から得られた結果のうち肝臓に由来する項目であるALT、AST、ALP、GGTが高いという意味で用いられます。

肝臓の数値が高ければ、病気なの?

血液検査では複数の項目を組み合わせて測定し、さらにレントゲン検査や生検(バイオプシー)などの検査や臨床症状から総合的に評価し診断していますので、「肝臓の数値が高い」からと言って一概に「肝疾患や特定の病気である、または異常はない」という断定はできません。
血液検査は、あくまでも体内で起こっている異変に気付くための初期段階の指標であるということをご理解ください。
また、血液検査の結果に一緒に記載されていることも多い「正常値」ですが、あくまでも健康な猫における平均値ですので、若干の個体差があります。
つまり、正常値にギリギリ届かない猫もいますし、微妙に正常値を上回ってしまう猫もいるということです。
それぞれの猫が健康な時の数値と比較することで異変に気づくこともできますので、定期的な健康診断をして数値を把握しておくといいでしょう。

肝臓疾患の時に高い数値を示す検査項目

では、具体的にどのような検査項目が高い数値を示すのでしょうか。
動物の内臓では様々な種類の酵素が作られていて、体内での化学反応をサポートしています。
肝臓ではいろいろな代謝が行われているため、他の臓器と比較して多くの酵素が存在しています。
このため、肝臓疾患についての血液検査では、酵素の程度を測定する検査が応用されています。

肝細胞の障害の程度を反映する酵素

肝細胞内に特異的に高濃度に含まれている酵素は、肝細胞が壊れると血液中に漏れ出してしまうため、肝細胞の障害の程度によって上昇し、検査数値が高くなります。

ALT(GPT);アラニンアミノトランスフェラーゼ

血清ALT(GPT)は肝細胞の変性・壊死を評価するために最も有用です。
急性肝炎では症状があらわれるよりも早く検査数値の上昇がみられますが、肝臓の障害が進むと軽度の上昇にとどまることもあります。

AST(GOT);アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ

血清ASTは前述のALTと同時に測定し、肝障害の程度を評価するのに役立っていますが、ASTは肝細胞以外にも心筋、骨格筋、赤血球などにも高濃度に含まれるため、単独ではALTほど肝臓に特異的な検査ではありません。

胆汁の流出障害を反映する酵素

肝臓の胆管側の細胞や胆管上皮などに存在する酵素は、肝内微小胆管の閉塞、胆管の炎症、肝外胆管の閉塞によって酵素が溜まったり、多く作られたりすることで上昇し、検査数値が高くなります。

ALP;アルカリフォスファターゼ

ほとんどの臓器に含まれる酵素で、主に肝臓、骨、小腸から血液中に流れ、肝臓を経て胆汁中に排泄されるため、血清ALPは胆汁うっ滞の指標となります。
ただし、骨疾患、腸疾患、妊娠などによっても変動するため、鑑別が必要です。
また、6か月齢未満の子猫では成長に伴う骨代謝によって高めに測定されることがあります。

GGT(γ-GTP);ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ

GGTは胆管や胆管に近い肝臓の細胞に広く分布している酵素で、胆汁うっ滞、慢性肝炎、肝がんの際に合成が促進されるため上昇し、検査数値が高くなります。

“肝臓の数値”が高い時に考えられる病気

それでは、どのような病気の可能性があるのか、主な病気を紹介します。

肝リピドーシス(脂肪肝)

いわゆる脂肪肝となり肝臓が正常に機能しなくなる状態で、血液検査上では、ALTは正常~中等度の上昇、ALPは高度の上昇、GGTは正常または軽度の上昇がみられるケースが多い病気です。

原因

特に肥満した猫において、糖尿病などによる食欲不振や不適切なダイエット等で数日間十分な栄養(特にタンパク質)を摂らない状態が続くと、体のエネルギーとなる脂肪が肝臓に一気に運ばれて脂肪肝に陥りやすくなります。

症状

元気や食欲の低下、体重減少、下痢や嘔吐がみられ、進行すると黄疸症状がみられます。
また、肝機能の低下により意識がもうろうとしたり、よだれを流したりする「肝性脳症」を示すことがあり、非常に危険な状態です。

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治療

原因となる疾患の治療と同時に、高タンパク質で高栄養の食事療法が最も有効であるため、食欲不振が続く場合には鼻や胃などにチューブを入れて強制給餌が行われます。

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肝炎

肝炎は、肝細胞が炎症を起こし変性したり壊死したりする病気で、進行すると肝細胞が硬くなり肝臓が働かなくなる「肝硬変」の状態に陥ります。
ALT、ASTの上昇がみられるケースが多い病気です。

原因

ウイルスや細菌、寄生虫の感染、薬物や毒物など様々な原因によって引き起こされます。
ウイルスでは猫伝染性腹膜炎ウイルスや猫白血病ウイルス、細菌では大腸菌、寄生虫では回虫やトキソプラズマなどの感染によって肝炎が生じます。

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また、人用風邪薬に含まれるアセトアミノフェンや殺鼠剤、車のラジエーターに含まれる不凍液(エチレングリコール)などの薬物などが原因となることもあります。

症状

元気や食欲の低下、脱水、下痢、嘔吐、発熱などがみられます。
悪化すると、黄疸や腹水がみられることもあります。

治療

原因に合わせた治療するとともに、脱水の改善や下痢の治療などの対症療法を行います。
重症度によっては数日から1週間ほど輸液をしながら、強肝剤などを投与します。
肝硬変にまで進行すると肝臓の再生は難しくなり、長期間の治療が必要となりますし、予後もよくありません。

胆管炎、胆管肝炎

猫で最も多い肝胆道系の慢性炎症で化膿性と非化膿性に分類され、炎症が肝細胞にまで波及したものを胆管肝炎と呼びます。
ALT、ALPの上昇がみられるケースが多い病気です。

原因

化膿性胆管炎は、腸内の細菌が肝内の胆管に感染することが原因と考えられています。
非化膿性胆管炎はリンパ球性胆管炎とも呼ばれ、慢性的な免疫異常、自己免疫疾患の関与が疑われています。

症状

初期では無症状であることも多く、進行すると食欲低下や嘔吐、下痢などの消化器症状、黄疸がみられるようになります。

治療

化膿性胆管炎の場合には抗生剤、非化膿性胆管炎の場合には炎症を抑えるステロイド剤が第一選択として使われます。

肝外胆管閉塞

肝臓と腸を結ぶ肝外胆管が閉塞してしまった状態で、ALT、ALP、GGTの上昇がみられるケースが多く、血清ビリルビン濃度も著増もみられます。

原因

胆管、膵臓、十二指腸の炎症や腫瘍、外傷による胆管の外側からの閉塞と、胆石や濃縮した胆汁などによる胆管の内側の閉塞があります。

症状

原因によって症状は様々で、黄疸、食欲不振や消化器症状が多くみられます。

治療

抗炎症薬の投与など原因疾患の治療をしても閉塞が解除されない時には、外科的に胆管内腔を広げたり、胆管のバイパス手術をすることもあります。

腫瘍

一般的にALT、AST、ALP、GGTの上昇がみられるケースが多い病気ですが、確定診断には肝生検(バイオプシー)による細胞診が必要です。

原因

猫では、肝胆道系が原発となる腫瘍はまれで、リンパ腫や骨髄疾患など他の部位の腫瘍からの転移が一般的です。

症状

食欲不振、体重減少、よく眠る、腹水または肝臓の腫れによってお腹が膨れるなどの症状がみられます。
腫瘍が胆管にある場合には、胆汁うっ滞の症状もみられます。

治療

肝胆道系が原発となる腫瘍で転移がみられない場合には、腫瘍部分を切除する外科手術を行います。
リンパ腫などの転移である場合には、抗がん剤など原発の腫瘍の状態に合わせた治療を行います。

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さいごに

“肝臓の数値”の意味についてお分りいただけたでしょうか。
今回はアルファベットの用語が多く、少し混乱してしまったかもしれませんね。
健康診断で血液検査はしたことがあるものの、特に問題なかったから…と検査結果の用紙をどこかに放置していませんか?
検査結果は愛猫の貴重な情報となりますので、転院の際や万が一の時に獣医師にすぐに渡せるように大切に保管しておいてくださいね。

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