脳・脊髄・神経の病気

猫のてんかんとは?原因や症状、治療薬、対処についても解説【動画あり】

投稿日:2017年8月14日 更新日:

 

「猫がてんかんと診断されたけど、てんかんってどんな病気なの?」

「猫がてんかんで薬を飲んでいるけど、ずっと飲ませ続けて大丈夫なの?」

「てんかんが起きたときの対処の仕方が複雑でよくわからない・・・」

このように猫のてんかんでお悩みではありませんか?

実は猫も人間同様、様々な病気が原因でてんかん発作を引き起こされることがあります。

今回は、てんかんとは何か?てんかん発作とは何か?など分かりにくい言葉の解説から、その原因や症状、治療薬などについて動画をまじえて詳しく解説したいと思います。

猫のてんかんってどんな病気?

てんかんという病名を聞いたことはあるけど、詳しく知らないという方も多いと思いますので、てんかんの原因、症状などから解説していきたいと思います。

てんかんの原因

てんかんとは、「脳に異常な電気的な興奮が起こることによって繰り返し発作が起こる病気」です。
その発症原因により特発性てんかんと症候性てんかんに分けられます。

特発性てんかん

MRI検査などの検査をしても異常がみつからず原因不明とされるてんかんで、この病気の猫は生まれた時からてんかんになりやすい素因を持っているのではないかと考えられています。

症候性てんかん

脳に何らかの障害が起きたり、脳の一部に傷がついたことで起こるてんかんです。
具体的な原因として、外傷や脳腫瘍、脳炎などが挙げられますが、これらの病気の詳細については後述したいと思います。

てんかんの症状(てんかん発作)の種類

てんかん発作にはいくつか種類があり、猫によってどのような発作が見られるかが異なります。
脳の一部だけ異常な電気的興奮が起こる発作を焦点発作(もしくは部分発作)、脳全体に電気的興奮が起こる発作を全般発作と言います。

焦点発作(部分発作)

意識はハッキリとしているけれど、体の一部(手や足など)だけけいれんしている場合はこの発作の可能性があります。

全般発作(動画あり)

意識がなく全身がけいれんしている発作です。
全般発作の中にも、強直性けいれんと間代性けいれんの2つのタイプがあり、前者は体をぐーっと仰け反らすようにつっぱる発作、後者はいわゆる典型的なけいれんで手足をガタガタと曲げ伸ばしする発作です。

言葉で説明されてもなかなかピンとこないと思いますので、実際の動画をご覧頂きましょう。

※注意:動画にはけいれん発作の猫ちゃんが出てきますので、気分が落ち込みやすい方は閲覧をご遠慮下さい。

1歳の雄猫ちゃんで、てんかんと診断を受けているそうです。
間代性けいれんの典型的な例です。
発作のあとすこしボーッとしているようですが、発作の後にはこのような余韻がしばらく続きます。

てんかんの治療

特発性てんかんの場合、発作の頻度が多い場合は抗てんかん薬を継続的に投与することで発作をコントロールしていきます。
抗てんかん薬を開始後は、発作の回数などに応じて薬の量を調整したり、血液検査などで副作用がみられていないか、定期的にモニターする必要があります。
症候性てんかんの治療方法は、原因となる病気によっても異なりますので、詳細は後述したいと思います。

てんかんの診断方法

けいれん発作はてんかん以外にも様々な病気が原因で見られます。
まずはてんかん以外の病気がないか、全身的な検査(血液検査、レントゲン検査、超音波検査等)を行います。
そこで異常が見られず、いよいよ脳の中の病気(てんかん)が疑わしい場合、MRI検査や脳脊髄液検査で診断していきます。
なぜこんな手順を踏んでいくのかというと、MRI検査と脳脊髄液検査は全身麻酔が必要で、かつ普通の動物病院では実施できない高額な検査(約10万弱)になるためです。

混乱しやすい用語“けいれん”“てんかん”“てんかん発作”

ここまでにでてきた、ややこしい用語をまとめて解説しておきたいと思います。
インターネット記事を読んでいると間違った用語を使ったままの解説が沢山ありますので、混乱しないようにしましょうね。

“けいれん”とは、自分の意志とは関係なく筋肉が勝手に強く動いてしまう状態のことを言います。
“てんかん”とは、突然意識を失ったり、けいれん発作を起こしたりする脳の慢性的な病気のことで、繰り返し見られる発作が特徴の病気です。
そしててんかんによって起こるけいれんなどの異常な行動を“てんかん発作”と言います。
つまり言い換えると、てんかん=脳の病気の名前、てんかん発作=てんかんによって見られる異常な行動になります。
ここで注意していただきたいのが、けいれん発作=てんかん発作ではないということです。
てんかん発作の一つの様式としてけいれんも含まれますが、てんかん以外の病気でもけいれんは起こります。

以下、けいれんのねこちゃんの動画です。

※気分が落ち込みやすい方は閲覧をご遠慮下さい。

茶トラの子猫ちゃんがけいれん発作を起こしています。
この猫ちゃんは、てんかんが原因ではなく、“門脈シャント(門脈体循環シャント)”と呼ばれる病気で起きているけいれん発作です。
門脈シャントとは、血管の異常で血液中のアンモニアの数値が高く“肝性脳症”と呼ばれるけいれんなどの症状を表します。
この動画と先ほどお見せした動画、どちらもけんれんであり、見た目ではてんかんなのか門脈シャントなのかは獣医師でも分かりません。
ですので、けいれんが繰り返し起きていたら、すぐにMRI検査と進めずにまず麻酔の必要のない全身的な検査が必要になるというわけです。

猫の肝性脳症(門脈シャント)の原因や症状、治療法とは?余命はどのくらい?

猫に症候性てんかんを引き起こす病気とは?

前述したとおり、MRI検査や脳脊髄液検査で脳内に異常がみつかった場合は、特発性てんかんではなく症候性てんかんとなります。
どんな病気が症候性てんかんの原因になるのか、解説していきましょう。

外傷

交通事故や落下が原因で脳に障害が起きることによって、てんかん発作が誘発されることがあります。
受傷直後に発作が見られなくても、しばらく経ってから発作を引き起こすようになることもあります。

脳腫瘍

脳腫瘍は、原発性脳腫瘍、転移性脳腫瘍に分類されます。

原発性脳腫瘍

最も発生頻度の高い腫瘍は「髄膜腫」と言われるものです。
髄膜腫の症状としては、てんかん発作の他、旋回運動と呼ばれるクルクル回る異常行動や、元気食欲の低下、異常な歩き方やふらつき(歩様異常)、痴呆症状、攻撃性が強くなったなどの性格の変化、嘔吐などが見られることがあります。
髄膜腫は比較的手術で摘出しやすい腫瘍で、なおかつ薬では改善は見込めないため、外科手術による摘出が推奨されています。

転移性脳腫瘍

あらゆる腫瘍が脳に転移する可能性がありますが、猫では鼻腔内に腫瘍ができることが非常に多く、鼻は脳薄い骨で区切られているだけなので簡単に腫瘍が脳内へ広がっていきます。
鼻腔内腫瘍の主症状は、鼻血や鼻水、顔の変形などですが、脳内へ広がるとてんかん発作や意識障害、ふらつきといった症状が出ます。
また発生頻度としては鼻腔内ほど多くはありませんが、耳道内の腫瘍も脳内に広がりやすい病気です。
転移した腫瘍の場合根治は望めず、症状を緩和させるような治療を行います。

猫の脳腫瘍の原因や症状や治療法とは?症状の進行については?

脳炎(猫伝染性腹膜炎(FIP))

猫伝染性腹膜炎とは、コロナウイルスの感染によって全身の血管に炎症を引き起こす病気です。
この病気は腹膜炎を起こすだけでなく脳や脊髄に肉芽腫と呼ばれるしこりを作ることがあり、てんかん発作やふらつきといった神経症状の他、発熱や元気食欲の低下などの症状を引き起こし、純血種の比較的若い猫(1〜3歳)に多く発症するとされています。
症状を和らげるために、炎症を抑えるためのステロイド剤や、抗ウイルス効果を期待してインターフェロンの投与を行いますが、残念ながら有効な治療法はありません。

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髄膜脳炎(中内耳炎からの波及)

耳の奥にある中耳や内耳に細菌感染が起きる病気と、中耳炎や内耳炎になります。
耳は脳と非常に近い位置にあるため、中耳炎や内耳炎から炎症が広がって髄膜脳炎を引き起こすことがあります。
この病気の症状は、頭を左右どちらかに傾けたり(斜頚)、一方向にクルクル回り続ける旋回運動などが見られることがあります。
また、発熱や食欲不振、耳を触ると痛がる、耳だれが見られるといった症状も伴うことが一般的です。
治療としては、抗生物質の全身投与を行います。

猫のてんかんに関してよくある疑問

てんかんと診断された猫の飼い主の方の多くが抱かれる疑問をピックアップして解説していきたいと思います。

てんかんの薬に副作用はあるの?

猫の抗てんかん薬にはいくつか種類があり、薬によって多少見られやすい副作用は異なってきます。
猫でよく使われる抗てんかん薬であるフェノバルビタール(商品名 フェノバール)やジアゼパム(商品名 ホリゾン)は、食欲増進(過食)や肝機能障害、眠気やふらつきなどの症状が見られることがあります。
なお、眠気やふらつきはこれらの薬剤に限定したものではなく、抗てんかん薬自体に脳全体の働きを抑える作用があるため、どの抗てんかん薬でも飲み始めや薬の量を増量した後に副作用として表れることがあります。
抗てんかん薬に限らず副作用の心配がゼロである薬はありませんし、特に抗てんかん薬は継続的に内服することが基本であるため、当然飼い主の方はその副作用について心配になると思います。
そのような場合は遠慮なくかかりつけの獣医師に、処方されている薬はなんという薬剤なのか、どんな副作用が出やすいのか、しっかりと説明を受けることが大切です。

てんかんと診断されたけど、薬を飲ませなくてもいい?

てんかん発作の頻度が年に数回と少ない場合は、抗てんかん薬の適用にならないこともあります。
ただし、月に1回以上発作が見られたり、1回の発作時間が5分近くと長い場合、1日に複数回発作が起こるのであれば、抗てんかん薬による治療が必要と判断されます。
注意して頂きたいのは、飼い主の方の自己判断で勝手に内服薬の量を減らしたり休薬したりすると、突然大きな発作が起こることがあるということです。
抗てんかん薬を飲みはじめたら必ず獣医師と相談しながら薬を調整するようにしましょう。

てんかんの治療費はいくらくらい?

平成27年に日本獣医師会が調査した「診療料金実態調査」には、残念ながら内服の処方料については記載されていませんので、ここでは筆者の私見を書かせていただくとします。
もし詳細の金額を把握しておきたい方は、治療を受ける動物病院にご相談いただくようにして下さいね。

抗てんかん薬で一番処方頻度の高いフェノバルビタールやジアゼパムに関して言えば、そこまで高い値段の薬ではありませんので、ひと月に数千円程度で済むことが多いのではないかと思います。
ただし、フェノバルビタール以外にも近年新しい抗てんかん薬が発売されており、どれもフェノバルビタールよりも概して高額になります。
このような新薬を処方されていたり、何種類か組み合わせて内服しないと上手く発作がコントロールできないケースもありますので、その場合ですと月に1万円弱程度かかることもあると思います。

てんかんは治るの?

抗てんかん薬を飲んでいて、てんかん発作が抑えられている場合は「てんかんが治った」とは言わず、「発作が上手くコントロールできている」「てんかんの治療が上手くいっている」と判断されます。
もし内服薬によって2年以上てんかん発作が見られない場合、薬の減量し休薬できることが稀にありますが、このような場合でも休薬後に発作が再発しないかどうかをよく観察する必要があります。
なお、一般的には症候性てんかんは抗てんかん薬によって発作が上手くコントロールできないことも珍しくなく、生涯に渡って内服が必要です。

てんかん発作が起きやすい時間や前兆ってあるの?

どのタイミングで発作が起こるかは、猫によって異なりますし、予測できないこともあります。
何回か発作が起きて初めて、「ペットホテルに預けると発作が起きやすいな」、「近所で大きな工事の音がすると発作が起きやすいな」といったパターンがわかることもありますので、傾向を探るためにはできるだけ細かに記録をつけていくといいでしょう。
また発作の直前には前兆として、異常な声で鳴いたり、突然吐いたり失禁することがあります。
これも猫によっても、またその日の発作によっても異なりますので、合わせて記録を残しておきましょう。

猫が突然バタンと倒れることがある。これっててんかん?

典型的なてんかん発作であれば、発作の前に前兆があったり、発作後には意識の回復までに数分かそれ以上かかります(後発作という)。
突然後ろにのけぞったり、前に突っ伏したりして意識が飛んだりするけれど、その後はすぐに普通の状態に戻っているならば、それはてんかん発作ではなく“失神”の可能性があります。
失神の原因の多くは不整脈で、心電図をとって診断します。
話を聞いているだけでは獣医師でも意外と“てんかん発作”と“失神”を混同してしまうことがあるので、「見たことのない異常な行動だな」と思われたら、できるだけ動画撮影して動物病院を受診しましょう。

てんかんの寿命ってどのくらいなの?

寿命については非常にお答えしづらい質問です。
というのも、てんかんが起きている原因や抗てんかん薬でどのくらい発作がコントロールにもよっても大きく異なりますし、てんかん治療中に他の病気を発症することもあるからです。
抗てんかん薬によって発作が上手くコントロールできている特発性てんかんであれば、てんかん自体ではなく他の病気が死因になることがほとんどでしょう。
一方、脳炎や脳腫瘍のような症候性てんかんは、他の病気ではなくその病気自体が死因となることが多く、特に猫伝染性腹膜炎と診断されている場合は、数ヵ月程度で命を落としてしまうこともあります。

必見!てんかんが起きたときの対処法について

突然猫に発作が起きたら、多くの飼い主の方はとてもビックリしますし、このまま死んでしまうのではないかと心配になることでしょう。
てんかんの猫に発作が起きた場合、飼い主の方はどんな対処をしたらいいのかについて解説します。

まずは冷静になること

発作の最中の猫は苦しんでいるように見えるため、名前を呼びかけながらゆすったり抱えたりする飼い主の方もいらっしゃるかも知れませんが、実はいくら頑張って外から刺激を与えても、起きてしまった発作を止めることはできません。
そして飼い主の方にできるのは発作を止めることではなく、難しいことを言うようですが、一旦冷静になり今どんな発作が起きているのか、発作がどのくら続いているのかを見極めることが大切だということを知っておきましょう。

猫の周りをチェック

発作が起きた時に猫がどんな場所にいるかを確認しましょう。
広い障害物のないリビングであれば問題ありませんが、棚の上など落下の危険があるところにいたり、近くに火の元など危険なものがないかをチェックしましょう。
もし危険なものがある場合はどかしたり、場合によっては猫を安全な場所に移動しましょう。
この時、発作中の猫は意識がありませんので、うっかり顔を触ったりすると噛まれて大けがをすることもありますのでくれぐれも注意して下さい。

発作の様子を確認する

てんかん発作を起こす猫ではてんかん発作自体の前に普段と様子の違う“前兆”が見られることがありますし、また発作後もしばらくふらついたり、部屋の中をぐるぐる徘徊したり、よだれがしばらく止まらなかったりすることが一般的です。
てんかん発作は、いつも似たようなパターンであることもあれば、時折いつもと違う発作であることもあります。

・発作の日時

・前兆があったかなかったか

・発作時の様子とその時間

・発作後の様子と回復までにかかった時間

などをカレンダーや手帳にメモしておくことが大切です。
これらの情報は、発作の間隔が以前より狭くなってきた、1回の発作時間が前より長くなってきたなどの変化に気付くために非常に重要ですので、必ず記録しておくようにしましょう。
また、いつもと違う発作だったり、これがてんかん発作なのかどうか悩ましい異常な行動があった場合は、動画撮影しておくと実際の状態を見ていない獣医師にも伝わりやすいですよ。

重積発作、群発発作が見られたらすぐに動物病院へ!

“重積発作”というのは、発作自体の時間が5〜10分以上続く長い発作のことを言い、“群発発作”とは1日に複数回以上起きる発作のことを言います。
特に重積発作を放っておくと脳障害を引き起こすことがあり、発作が落ち着いた後も後遺症が見られたり、場合によっては亡くなってしまうこともあります。
発作時間が短くても群発発作が見られているということは、脳の状態がいつでも発作を引き起こしやすくなっているということで、次の発作が重積発作になる可能性があります。
重積発作だろうと飼い主の方が判断したならば、夜間であろうと迷わずすぐに動物病院を受診しましょう。

備えあれば憂いなし!日頃の準備が大切

当然のことながら、普段より気軽に相談できるかかりつけの先生を決めておき、猫に発作が起きた場合どうしたらいいのかをあらかじめ相談しておくといいでしょう。
状況によっては自宅でも使用できる緊急薬として、坐薬を処方されることもありますので、どんな場合に坐薬を使ったらいいのかを確認し、薬袋にメモして保管しておくとよいでしょう。
また発作に困っているけど、かかりつけの動物病院が休みというケースもあると思います。
休診日や夜間に対応してくれる動物病院はどこかを事前にチェックしておくことと、受診時には現在「なんという種類の薬」を「どのくらいの量飲んでいる」のかを説明できるようにしておきましょう。

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「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」

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