脳・脊髄・神経の病気

猫の脳腫瘍の原因や症状や治療法とは?症状の進行については?

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「人間と同じように、猫も脳腫瘍になるの?」

「最近、猫の様子がおかしいのは、脳に異常があるのかもしれない…」

「猫に脳腫瘍が見つかったら、どんな治療をするの?」

このように、猫の脳腫瘍について不安や疑問はありませんか?
最近、猫も脳腫瘍と診断されることが増えてきました。
そこで今回は、猫の脳腫瘍の原因や症状の他、どのような治療法があるのかを詳しく解説します。

猫の脳腫瘍とは?

脳腫瘍とは、頭の骨(頭蓋骨)の内側にできる腫瘍のことです。
これまで、猫の脳腫瘍についてはあまりわかっていませんでしたが、近年MRIなどの画像診断が動物にも一般化してきたことや、獣医学の進歩によって人間と同じように猫や犬にも脳腫瘍がみられることが明らかになってきました。
脳腫瘍は多くの場合、高齢の猫で多くみられますが、腫瘍の種類によっては若い猫を含め、あらゆる年齢で発生します。

猫の脳腫瘍の原因

猫の脳腫瘍は遺伝子の変異が原因であると考えられていますが、詳細なメカニズムについてははっきりとわかっていません。
ストレスや栄養バランスなども関連しているのではないかと考えられています。

猫の脳腫瘍の種類

脳の腫瘍は、脳から発生した「原発性脳腫瘍」と、身体の他の場所にできたガンが転移した「転移性脳腫瘍」があります。

原発性脳腫瘍

原発性脳腫瘍は、脳自体に腫瘍が生じるものです。
原発性脳腫瘍には、「髄膜腫(ずいまくしゅ)」、「グリオーマ」、「脈絡叢乳頭腫(みゃくらくそうにゅうとうしゅ)」、「上衣腫(じょういしゅ)」、「下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)」などがあります。

転移性腫瘍

転移性脳腫瘍は、身体の様々な部位にできた腫瘍が転移するものです。
鼻腔内腫瘍や頭蓋骨腫瘍など隣接する組織から発生して脳に障害を起こす場合と肺ガンや血管肉腫など遠くから転移する場合があります。

猫で多いのは?

猫で最も多くみられる脳腫瘍は、髄膜腫と言われています。
特に、高齢の猫に発生することが多い腫瘍で、脳の周囲を覆う「髄膜」という膜が腫瘍化し、脳を表面から圧迫します。

脳腫瘍の症状

脳は部位によってそれぞれの役割があるため、脳腫瘍が発生した場所によって、様々な症状がみられます。
ただし、猫の脳腫瘍の初期症状は「元気や食欲がない」、「なんとなく様子がおかしい」など曖昧なものが多く、初期の段階から特異的な症状を示すことはないため、早期に異常を見つけるのは難しいとされています。

行動の異常

攻撃的になる

元々穏やかな性格の猫でも、攻撃性が増すことがあります。

見当識障害(けんとうしきしょうがい)

見当識障害とは、空間を把握する能力の変化、周囲の環境がわからなくなる、これまでの経験・習慣の混乱などがみられる状態です。
具体的には、慣れている室内や場所で迷子になる、よく知っている人を認識できない、障害物を避けられない、慣れているものにも異常な反応を示すなどの行動がみられます。

物陰に隠れる

人や他の動物から身を隠すように、物陰や暗いところに入ることがあります。

壁をずっと見ている

壁や何もない場所をじっと見つめていることがあります。

排泄の失敗

トイレ以外の場所で排泄をしてしまうことがあります。

食事の異常

食欲がなくなったり、反対に異常な食欲を示すこともあります。
食べ物を飲み込みづらそうにしたり、舌をうまく使って水を飲めないこともあります。

歩行の異常

ぐるぐると同じ場所を回る旋回運動や、四肢の麻痺、足を引きずるなどの歩行異常がみられることがあります。

目の異常

下垂体腫瘍など、視神経に近い部位に腫瘍が生じると視力障害などがみられることがあります。

てんかんによる痙攣(けいれん)

脳腫瘍は「てんかん」の原因となります。
てんかんとは脳の神経に異常な興奮が起こり、身体の制御が効かなくなる状態のことで、無秩序な神経の興奮と伝達による「てんかん発作」を起こすことがあります。
てんかん発作を生じると、痙攣や四肢の硬直の他、口から泡をふいたり、失禁したりします。
発作が治まれば、何事もなかったように行動することがほとんどです。
発作が30分以上続く場合や、いったん治まったと思っても一日に3回以上繰り返すような場合には「てんかん重積」と呼ばれる危険な状態に陥ります。

猫のてんかんとは?原因や症状、治療薬、対処についても解説【動画あり】

てんかん発作が起きたら、どうしたらいいの?

猫が突然てんかん発作を起こして痙攣しはじめた時には、どうしていいのかわからずに慌ててしまうかと思います。
しかし飼い主さんがパニックになると、猫にもそれがうつって不安になってしまいますので、まずは飼い主さん自身が落ち着いて行動することが大切です。
第一に、痙攣でどこに体が動くかわからないので、猫がケガをしないように周囲のものを移動させましょう。
次に、猫の体を毛布や大き目のタオルなどでくるんで、やさしく声をかけて安心させてあげましょう。
しかし、体に触れたことが刺激となることもありますので、触れた直後に激しく痙攣するような場合にはおとなしく見守りましょう。
通常、数十秒から数分ほどで発作は治まりますが、10分以上痙攣が続くような場合にはすぐに動物病院を受診しましょう。

猫の脳腫瘍の診断

脳腫瘍の診断は症状および経過から推測され、神経学的検査によって脳腫瘍が疑われると、最終的にはMRIやCT検査などの画像診断によって確定診断されます。
しかし、画像診断だけで脳腫瘍と断定したり、脳腫瘍の種類を特定することは難しいケースが多く、残念ながら亡くなってしまった後の解剖検査で脳腫瘍が初めて発見されるということも少なくありません。

猫の脳腫瘍の治療

治療は腫瘍の場所や猫の健康状態などに応じて、放射線治療や化学療法、外科手術による切除が行われます。
状況によっては、これらの治療法を組み合わせて行う場合もあります。

緩和療法

脳腫瘍の手術などは行わず、症状の緩和を目的とした治療です。
基本的には在宅治療で、内服薬を飼い主さんに投与してもらいます。
痙攣がみられる場合には、抗痙攣剤の投与を行い、腫瘍に関連する炎症に対してステロイド剤の投与を行う場合もあります。

放射線治療

放射線治療は、特殊な装置を使って放射線を患部に照射する治療です。
放射線には細胞分裂の盛んな細胞にダメージを与えるという特徴があり、細胞分裂が盛んなガン細胞に照射することで腫瘍にダメージを与えます。
外科手術ができない部位にできた脳腫瘍に有効で、数週間にわたって複数回、体外から放射線を脳腫瘍に照射して、ガン細胞の増殖を抑制します。

外科治療

脳にできた腫瘍を外科的に切除する治療で、脳腫瘍の場所や種類、大きさなどによって手術可能かどうか判断されます。
猫で最も発症の多い髄膜腫の場合、外科手術での切除が一般的です。
一度に大きく腫瘍を取り除くことが可能ですが、大量出血、脳浮腫、脳ヘルニアなどの手術の合併症などのリスクも伴います。

化学療法

脳腫瘍の治療として抗ガン剤による化学療法は、一般的にはあまり行われませんが、状態によっては他の治療方法と組み合わせて行うことがあります。
化学療法によって腫瘍が完全になくなることはまれですが、ガン細胞の分裂や増殖を抑制することで症状が緩和されるなど、生活の質(QOL)の維持にはある程度効果があります。
しかし、骨髄抑制によって免疫力が低下したり、脱毛するなど副作用もあるため、慎重な投与が必要です。

猫の脳腫瘍の進行と余命

猫の脳腫瘍については、まだ詳しい進行度やメカニズムが研究されていないのが現状です。

末期にはどうなるの?

一般的に、脳腫瘍の症状は腫瘍の増大とともに徐々に進行し、末期には頭蓋骨内圧が亢進して意識障害を起こし、残念ながら死に至ります。

回復するの?余命は?

脳腫瘍が初期に発見され、適切な治療により効果が出れば回復する可能性はあります。
余命については、脳腫瘍の程度や種類、猫の健康状態によるためはっきりとは言えませんが、無事に外科手術を乗り越えて退院した場合には、長期的に生きることも十分可能です。
ただし、腫瘍のできた部位の脳になんらかのダメージがあった場合、その部位に関連する行動ができなくなるなど、後遺症として日常生活に多少の不自由が残ることもあります。

さいごに

猫の高齢化と診断精度の向上に伴って、今後は猫の脳腫瘍と診断される例がさらに多くなるかもしれません。
人間では、頭の違和感や手足のしびれ、話し方など体調の少しの変化に、本人も周囲も気が付きやすく、脳や神経の異常を比較的早期に発見できることができます。
しかし猫の場合、なんらかの違和感を感じても言葉で伝えることができず、はっきりとした症状がみられるまで進行してから、ようやく動物病院を受診するというケースが多くなります。
猫の脳腫瘍は初期の兆候がわかりづらいため、日頃から注意深く猫の様子を見て、少しでも異変を感じたらすぐに受診することが早期発見のためにできる最も大切なことと言えます。





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