消化器の症状

猫の毛玉ケア対策。吐く、吐けない、吐かないなどケース別に徹底解説

投稿日:2016年10月27日 更新日:

 

「留守中に毛玉を吐かれて、うっかり踏んでしまった・・・毛玉ってなんとかならないの?」
「毛玉を吐いた姿をみたことがないけど、毛玉ってどのくらいの頻度で吐くの?」
毛づくろいしている猫の姿を見ているとなんとも癒されますが、その反面このような毛玉にまつわる悩みを持つ飼い主の方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな猫の毛玉について、原因や対処法など詳しく解説したいと思います。

目次

猫の毛玉症って何?症状や原因、治療は?

猫の毛玉症とは、毛づくろいの際に飲み込んだ被毛が胃や腸にとどまっている状態を言います。

猫の胃や腸に毛玉ができる原因

猫を飼っている方はご存じだと思いますが、猫って口が疲れないのかと思うほど体全体を丁寧に毛づくろい(グルーミング)をしていますよね。
実は猫は起きている時間の1/4〜1/3は毛づくろいをしていて、抜け毛の約2/3を飲み込んでいると言われています。
そしてこの毛づくろいに重要な役割をしているのが、猫特有の舌です。
猫の舌には糸状乳頭というザラザラした突起がついて、この突起のついた舌を使って毛づくろいをして体についた汚れや毛の絡まりをほぐしたり、食べ物を上手く口に運んだりします。
このザラザラ舌と長時間の毛づくろいによって毎日大量の毛を飲み込んでしまうため、消化管に溜まって毛玉(ヘアボールとも呼ぶ)が形成されてしまいます。

毛玉ができるとどうなる?

そもそも毛玉ができるとどうなるのでしょうか。

毛玉ができた時に見られる症状

猫が毛づくろいをした際に飲み込んだ毛が胃の中で毛玉になると、猫は胃腸で詰まらないように便や嘔吐によって体の外に排泄しようとします。
自然に便に毛玉が排泄されることが多い猫はなんの症状も示しませんが、胃の中に大きな毛玉を作りやすい猫(特に長毛種)では、定期的な毛玉の吐き戻しが見られます。

毛玉の吐き方は?

毛玉に限らず猫が吐く時は、必ず吐き出す前にお腹を数回凹ませて胃を押し上げるようして、「ケコッケコッ」と独特の音を立てます。
そして喉を伸ばして口を大きくあけて吐き出します。
1回の動作で毛玉を吐き出せない場合、数回程度立て続けにこの動作をして毛の塊を出します。

毛玉ってどんなもの?

吐き出した毛玉は「玉」といってもまん丸ではなく、食道を通過するので便に似た長細い形をしています。
毛玉の色は猫の被毛の色で、毛玉には餌が少し混じっていることもあります。

毛玉を吐く頻度は?

毛玉を吐く頻度は猫によって様々です。
全く吐かない猫から月に何回か吐く猫もいますが、吐く頻度は長毛猫の方が多い傾向にあります。
また、室内猫は室外にでる猫に比べて毛づくろいにかける時間が多くなるため、毛玉が発生しやすくなります。

毛玉は吐かないといけないもの?

毛玉を吐く・吐かないは、毛づくろいの時間や毛の長さ、食べている餌(繊維の量)などに左右されるため、個人差があります。
元気や食欲もあり、毎日正常な排便があれば、毛玉を吐かないからといって無理に吐かせる必要はありませんし、毛玉が腸につまることは極めて稀です。
できれば飼っている猫が健康な時に、「この猫はこのくらいの頻度で毛玉を吐く」とか「この餌にすると便に毛玉が出ている」といったことを記憶しておくのがよいでしょう。

毛玉の吐く頻度が多くなるのはどんな時?

それでは毛玉を吐く頻度が多くなる原因は何でしょうか。

皮膚病がある

皮膚病があって痒みがでると猫が毛づくろいする頻度が増えるため、毛玉がたまりやすくなります。
特に痒みが強く出る病気として、ヒゼンダニやノミの寄生、粟粒性皮膚炎などのアレルギー性皮膚炎、皮膚糸状菌症などがあげられます。

猫がカビに感染?!皮膚糸状菌症の症状や原因、治療法、シャンプーについて解説

換毛する季節

室内飼いの猫では季節変動が少なく、年間を通して換毛が起こりますが、毛玉の発生は換毛期と深く関係していることが知られています。
換毛には日照時間や気温の変化などが影響し、室外に出る猫では4~10月の間に生え替わりのため毛が抜けやすくなります。
この時期は毛玉が発生しやすくなるので注意しましょう。

ブラッシング不足

飼い主の方がこまめにブラッシングをすると、猫が飲み込んでしまう毛が減るため毛玉が発生しにくくなります。
また換毛期に関わらず長毛の猫ではブラッシングをしないと、毛が絡みやすくなるため、定期的なブラッシングを心がけましょう。

ストレス

ナーバスな猫は、大好きな飼い主の方の留守などによるストレスや不安で、過剰に毛を舐めすぎてしまうことがあります(舐性脱毛)。
猫の舌はザラザラしているため、執拗に舐めるとしっかりと生えている毛も刈り取って飲み込んでしまい、胃腸で毛玉ができやすくなります。

毛玉の吐き気と病的な吐き気の見分け方は?

猫は人間に比較すると吐くことが非常に多い動物なので、多少の吐き気が出ても「またいつもの毛玉かな?」といって様子を見てしまいがちですが、嘔吐には治療しなければ止まらない病的なものもあります。
では生理的な吐き気と病的な吐き気をどのように見分けたらよいのでしょうか?

健康な猫でも吐きやすいのは何故?

元々肉食動物である猫は臼歯を持たないため、咀嚼しながら時間をかけて食べるということが出来ません。
獲物を捕まえたら飲み込めるくらいの大きさに噛み切り、あとは他の敵に取られまいと丸呑みしてしまいます。
このような丸呑みを続けると獲物の骨や皮などの不要物が胃に溜まるようになってしまうため、猫は「自分で消化しきれないものが胃に溜まる」と反射的に吐き出すような体になっていると考えられています。

猫の生理的な嘔吐とは?

吐き戻しの多い猫によく見られる、治療の必要のない生理的な吐き気の具体例を挙げていきます。

毛玉がたまっているとき

毛玉による嘔吐の場合は、毛玉が排泄されるまで数回程度立て続けに吐くこともありますが、吐物に必ず毛玉が含まれます。
毛玉を吐いた後に餌をあげると普通に食べ、それ以降吐き続けることはありません。

猫草など消化しにくいものを食べた時

前述のように猫は吐き戻しが得意な動物なので、猫草など消化しにくいものが胃の中に多量に入ると簡単に吐き戻してしまいます。
猫草を吐いたあとも普通に餌を食べ、吐き続けなければ問題ありません。

餌を一気食いしたり水をガブ飲みしたとき

餌を一気食いしたり食後に水を多量に飲むと、フードがふやけて胃の許容量を超え、吐き戻してしまうことがあります。
このケースでは吐物は粒が残ったままのドライフードや水であることが多く、食べたばかりなのにすぐに胃の中が空っぽになってしまうので、猫は吐いた直後より「お腹すいた!」と再度催促するでしょう。

猫の病的な嘔吐とは?

猫の病的な嘔吐の原因には、胃や腸の病気だけでなく、膵臓、腎臓、肝臓など様々な臓器が障害されることによっても見られ、動物病院を受診して治療を受ける必要があります。
それでは病的な嘔吐と考えられる症状の具体例を挙げてみましょう。

普段毛玉を吐かない猫が、少量の毛の混じった液体を何度も吐いた

吐物の中に少量の毛が含まれているというだけでは、毛玉による生理的な嘔吐とは言えません。
また「普段毛玉を吐かない猫」というのがポイントで、いつもと違う吐き気であれば病的な嘔吐の可能性があります。
吐いた後に食欲があるかどうかもチェックしましょう。

食後何時間も経ってから消化されていないドライフードを吐いた

生理的な嘔吐は、餌以外の未消化物を吐くか、食事直後の嘔吐です。
時間が経ってからの嘔吐は、胃や腸の運動が低下していると考えられ、生理的な嘔吐ではない可能性が高いです。

何度も吐こうとしているが何も出ない、よだれを垂らしている

生理的な嘔吐であれば、吐物に未消化物か餌が出てきますので、吐く物がないのに吐こうとしている、よだれが垂れているということは、相当酷い悪心があると考えられます。

吐いた後から元気がない、食欲がない

元気食欲がないというのは、生理的な嘔吐では見られない症状です。
体のどこかに異常が起きていると考えましょう。

下痢や軟便があったが、嘔吐もでてきた

嘔吐だけでなく下痢や軟便が見られるということは、生理的な嘔吐ではなく胃腸に何らかの病気が潜んでいると考えましょう。

獣医師が教える猫の下痢の原因と対処法まとめ。飼い主必見です

黄色っぽい液体や白い泡を何回か吐いている

おそらく白い泡は胃液、黄色っぽい液は胆汁の混ざった胃液と考えられます。
生理的な嘔吐であれば、吐物に未消化物か餌が出てきますので、胃液だけを吐いているというのは病的な嘔吐と考えましょう。

どんな毛玉対策がある?

毛玉が胃の中で大きくなると猫は吐いて出そうとするわけですが、毛玉の発生を防ぐためには、また吐く回数を減らすためにはどうしたらよいのでしょうか?

ブラッシングをする

前述の通り長毛の猫の場合、ブラッシングを行わないと胃の中で毛玉ができやすくなります。
ブラッシングによりできるだけ抜け毛を取り除き、猫が飲み込んでしまう量を減らすことは有効な毛玉対策です。

毛玉ケア用のフードを試す

食餌中の食物繊維が増えると、胃腸の動きが促進され毛が便に排泄されやすくなり、吐きもどしの回数を減らすことが解っています。
具体的には、サイエンスダイエットから製造されている「ヘアボールコントロールシリーズ(アダルト・ライト・シニア)」やロイヤルカナンの「ヘアボール ケア」などがあります。
フードに「ヘアボールコントロール」、「ヘアボールケア」や「毛玉ケア」と記載されているものを選ぶと良いでしょう。

ラキサトーン(フジタ製薬)

ラキサトーン(主成分:流動パラフィン、ワセリン)は便の排泄を促す効果があることから、毛球症や便秘症のためのサプリメントとして販売されおり、Amazonなどの通信販売でも購入することが可能です。
無味無臭なので、食事に混ぜて食べさせることもできます。
あくまでサプリメントですので、劇的な効果が見られるわけではありませんが、毛玉の吐き戻しにお困りの方は試してみてもよいでしょう。

猫草の効果の程は??

猫関連商品を販売しているコーナーには必ずと言っていいほど売られている猫草。
おそらく「猫の毛玉除去や便秘解消には猫草を食べさせた方がよい」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
猫草は燕麦(えんばく)というイネ科の植物なのですが、実は毛玉予防や便秘症の治療に「猫草が有効であった」という明確なデータはありません。
元々肉食の猫がなぜこの草を好んで食べるのかという理由も詳しくはわかっていませんが、一説には猫には毛玉ができやすくそれを吐いたり便の中に排泄しやすくするために、本能的に繊維質を摂取しているのではないかと考えられています。
猫草は安心して食べ続けられる植物ですが、好んで食べる猫もいれば全く興味を示さない猫もいたり、猫草を食べて吐き出す猫もいればそのまま便に排泄する猫もいるため、得られる効果には個人差があります。
もし猫草を与えてみて猫が喜んで食べてくれて、毛玉がうまく便に排泄されるようになればその猫には猫草があっているので継続していくとよいでしょう。
反対に食べないからと言って無理に食べさせる必要もありませんし、食べることによって以前より吐き気だけが多くなるようであれば、中止しましょう。
なお、便秘症の猫では猫草を多量に食べると固い便をより一層固くさせることがありますので、注意して下さい。

さいごに

猫の毛玉症についてご理解いただけたでしょうか?
もし今は嘔吐の症状はなくても、この記事を読んで頂いたことで「こういう嘔吐の症状の場合は、毛玉が原因と思い込まずに早めに動物病院に行った方が良いのだな」と頭の片隅に入れてもらえたらと思います。
また、毛玉の吐き戻しで悩んでいる方は、ぜひこの記事を読んで今後の毛玉対策の参考にしてみて下さいね。

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猫が毎日の様に吐くけど原因は何?病気のサイン?





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