感染症

猫伝染性腹膜炎ってどんな病気?症状や治療法、余命について解説

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「猫のお腹が張ってきた。猫伝染性腹膜炎という病気が心配だけど、どんな病気なのか知りたい!」

「飼っている猫が伝染性腹膜炎と診断されたけど、効果的な治療法はないの?」

「若い猫なので長生きさせてあげたいけど、伝染性腹膜炎の猫の余命ってどのくらいなの?」

このような疑問やお悩みはありませんか?
猫伝染性腹膜炎は昔からある病気にも関わらず、動物医療が発達しても未だに効果的な治療法、予防法がない難治性の病気です。
また診断するのにも苦労することの多いやっかいな病気でもあります。
今回はそんな猫伝染性腹膜炎をピックアップして、原因や症状、診断方法など詳しく解説したいと思います。

猫伝染性腹膜炎(FIP)ってどんな病気?

まずは猫の伝染性腹膜炎(FIP)とはどのような病気なのか、原因や症状、診断方法、治療法について見ていきましょう。

原因は?

猫伝染性腹膜炎はコロナウイルスの感染が原因で起こる病気です。
猫のコロナウイルスには2つのタイプがあり、一つは腸炎を起こす腸管コロナウイルスで、もう一つは猫伝染性腹膜炎を起こすコロナウイルスです。
猫が腸管コロナウイルスに感染しても通常は無症状もしくは軽度の腸炎程度で済んでしまうことがほとんどなのですが、このウイルスが何らかの原因で突然変異を起こした結果、猫伝染性腹膜炎を発病してしまうことがあります。
なぜこのウイルスが猫の体内で突然変異を起こすのかについては、感染した猫のストレス状態や免疫の異常などが原因ではないかと考えられていますが、はっきりしたことが分かっていません。
なお、腸管コロナウイルスに感染している猫自体は非常に多いですが、腹膜炎を発症するのはまれと言われています。

症状は?

猫伝染性腹膜炎は、純血種の比較的若い猫(1〜3歳)で、多頭飼育されている猫に多く発症する傾向にありますが、まれに老齢の猫でも認められることがあります。
症状は便宜上“ウェットタイプ”と“ドライタイプ”2つのタイプに分類されていますが、両方の症状を併せ持った“混合タイプ”もあります。

ウェットタイプとは?

“ウェットタイプ”の症状は、全身の血管に炎症が起こるため発熱や元気食欲の低下といった不調の他、胸水や腹水を貯留させます。
病気が進行し、胸水や腹水が重度に溜まるようになると呼吸困難やお腹が異常な膨らみといった症状も見られます。

ドライタイプ

“ドライタイプ”の症状は、脳や脊髄に肉芽腫と呼ばれる病変を形成するため、ふらついたりぐるぐる回るなどの異常な行動や、意識が低下するといった神経の症状が出ます。
また、眼に炎症を引き起こす“ぶどう膜炎”とよばれる病気を引き起こすこともあります。
ぶどう膜炎になると「眼をショボショボさせている」、「眼の中が濁っている」などの症状が見られるようになります。

診断方法は?

古くからある病気にもかかわらず、猫伝染性腹膜炎の診断方法はまだはっきりとしたガイドラインがなく、典型例でない場合は診断に苦慮することがあります。
そのため現時点ではいくつかの検査を組み合わせること、そして猫の症状を見て総合的に判断しています。

全身スクリーニング検査

症状から猫伝染性腹膜炎が疑われた場合、その他の病気と鑑別するために全身的なスクリーニング検査を行う必要があります。
具体的には一般血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行っていきます。
特に一般血液検査で血液中の総蛋白(TP)が高く、レントゲン検査超音波検査で腹水、胸水が確認されるとこの病気の可能性が一層強まりますので以下の特殊検査に進んでいきます。

蛋白分画検査

血液中の総蛋白が高い状態を高蛋白血症と言います。
猫伝染性腹膜炎では比較的よく見られる異常で、この病気に特徴的な増え方が見られることがあります。
もし一般血液検査で高蛋白血症が認められたら、蛋白分画検査を行い、どの蛋白が増えているかを確認します。

猫コロナウイルス抗体価

血液中のコロナウイルスの抗体価を調べる検査です。
この場合は、腸炎を起こす腸管コロナウイルスと腹膜炎を起こすコロナウイルスの両方を測定しているため、腹膜炎の症状が見られていない健康な猫でも抗体価が高いことがあります。
そのため、この値が高いからといってすぐに猫伝染性腹膜炎と診断することはできません。
また逆に、幼若な猫や老齢の猫、猫伝染性腹膜炎の末期で衰弱しきっている猫は抗体を作る力が弱いため、猫伝染性腹膜炎を発症していたとしても抗体価が低くでることがあります。
このように抗体価がどのような値が出たとしても、解釈の仕方には注意が必要です。

猫コロナウイルス遺伝子検査

猫から採取された腹水や胸水、脳脊髄液、血液から腹膜炎を起こすコロナウイルスが検出されるかどうかを確認する検査で、この検査でウイルスが検出された場合は、猫伝染性腹膜炎と診断する強い根拠になります。
ただし陰性であったとしてもこの病気を否定することはできません。

MRI検査、脳脊髄液検査

神経症状が出ている場合は、脳腫瘍などその他の病気と鑑別するためにMRI検査や脳脊髄液検査を行うことがあります。

病理組織検査

猫伝染性腹膜炎は時に悪性腫瘍のように腸や腹膜などの臓器に“肉芽腫”とよばれる腫瘤(しこり)を作ることがあります。
典型的な猫伝染性腹膜炎は特徴的な腹水を認めますがそのような症状はなく、腫瘤だけしか見つからないケースもあります。
この場合、通常は悪性腫瘍の可能性が強く考えられるため手術を行います。
そして摘出したしこりの病理組織検査を行った結果、“腫瘍ではなく肉芽腫”といった診断結果が出てて初めて猫伝染性腹膜炎に侵されている可能性を疑うことができます。

治療法は?

現時点では残念ながら、猫伝染性腹膜炎を完治させることができる効果的な治療法はありません。
そのため症状を緩和させ、少しでも体を楽にさせてあげることが治療の目的になります。
治療薬としては炎症を抑えるためのステロイド剤が主体となり、補助的に血管炎を抑える薬を使用することもあります。
また、抗ウイルス効果を期待して猫インターフェロンの投与を行うこともありますが、今のところ効果的であった(生存期間が延びたなど)という研究結果はありません。

猫伝染性腹膜炎(FIP)についてよくある疑問

飼い猫が猫伝染性腹膜炎と診断された飼い主の方の多くが抱かれる疑問をピックアップして解説していきます。

猫伝染性腹膜炎が完治する可能性はある?

残念ながら猫伝染性腹膜炎は完治することなく、発病したら命を落としてしまう病気です。
もしこの病気が疑われて治療し、長きにわたって再発せずに元気に過ごしているという猫がいたとしたら、通常は「その猫は猫伝染性腹膜炎ではなく他の病気であった可能性があり、正しく診断ができていなかった」と考えています。

猫伝染性腹膜炎に初期症状ってある?

前述した通り、始めに飼い主の方が気付くような症状としては発熱や元気食欲不振、下痢といったものになります。
この病気は比較的進行の早い病気で、飼い主の方がこのような「何かおかしいな」と思われる症状が出始めたら、どんどん病状は悪化していきます。
癌などと違い「早めに気付いていれば助かったかも知れない」という病気ではなく、むしろ根治する可能性の秘めた癌よりもタチの悪い病気と言えるでしょう。

猫伝染性腹膜炎と診断された場合、余命はどのくらい?

2007年に発表された「猫伝染性腹膜炎と診断された猫の生存期間について調べた報告」では、「平均的には9日、最長で200日(7ヵ月弱)、37頭中3ヵ月以上生存した猫は1頭であった」という結果が出ています。
この結果からも、猫伝染性腹膜炎は非常に早く進行してしまう病気で、若い猫が短くして命を落としてしまう悲しい病気だということがわかります。

お腹がパンパンになっているけど、腹水は抜いた方がいいの?

腹水が貯まっているというと、「腹水は抜いた方がいいのでは?」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。
胸水の場合は、原因となる病気に関わらず抜く処置をしないと呼吸困難になって窒息してしまうため、できるだけ抜いてあげる必要があります。
ただ腹水の場合は、必ずしも抜き続けなければならないものではありません。
というのも、重度に貯まって呼吸が苦しくなっている場合は抜いた方が猫は楽になりますが、逆に抜きすぎると脱水や低アルブミン血症といった弊害が起こることがあります。
腹水を抜いてあげるべきか否かは状況次第ということになりますので、もし呼吸が苦しそうでなかなか横になれないような場合は、かかりつけの先生に相談してみるといいでしょう。

猫伝染性腹膜炎の治療にかかる費用はどのくらい?

日本獣医師会による“診療料金実態調査(平成27年)”では、残念ながら猫伝染性腹膜炎の検査費用や治療費用は調査対象外でしたので、以下に大まかな費用の目安をお答えしたいと思います。
詳細な金額を知りたい方はかかりつけの動物病院に相談してみて下さいね。
まず検査費用についてですが、全身スクリーニング検査だけで2〜4万前後はかかるとお考え頂いた方がいいでしょう。
遺伝子検査や蛋白分画検査、抗体価検査を行うと、さらに2万円程度はかかってくると思います。
また、もしドライタイプを疑うような症状があれば、MRI検査と脳脊髄液検査が必要になり、さらに10万円程度はかかる可能性があります。
治療費用については、ステロイド剤は比較的安価な薬剤なのでこれだけの処方であれば高額になることはありませんが、胸水や腹水を抜く処置や、点滴などを行うと1回あたり5000円程度の治療費用は発生するでしょう。
またインターフェロンの注射を行うとすれば、投与する量によってはさらに数千円〜5000円程度かかることが予想されます。

猫伝染性腹膜炎と診断されたけど、治療自体を諦めた方がいいの?

飼い猫がこの病気と診断された場合、「治らない病気ならもう治療せずに家でゆっくりと過ごさせてあげたい」と考える飼い主の方もいらっしゃれば、「治らない病気と説明されたけれど、奇跡を信じて最後まで頑張って治療を受けさせたい」という方もいらっしゃいます。
非常に難しい問題ですが、どちらの選択が正しいということはありません。
ただ飼い主様自身が、猫が亡くなった後に「あの時もっとこうすれば良かった」という後悔の念に駆られる可能性が高いのであれば、「できる限りの手を尽くした、やりきった」と感じるまで治療を続けられた方がいいと思います。

猫伝染性腹膜炎はどんな病気と症状が似ているの?

症状から猫伝染性腹膜炎が疑われても、実は異なる病気であったということは珍しくありません。
その代表的なものが悪性腫瘍で、腫瘍の種類によっては猫伝染性腹膜炎と同様に発熱や元気食欲不振、胸水腹水といった症状を引き起こします。
具体的な腫瘍の種類としては、膵臓や胆管などから発生した悪性腫瘍による癌性腹膜炎が挙げられます。
この病気は主に高齢の猫に見られますが、若い猫でも発病することがあります。

今は何の症状もないですが、コロナウイルスの抗体価が高いと言われてしまった場合どうしたらいいの?

最近は迷い猫を里親さんに譲渡する際に、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫エイズ(FIV)の検査と一緒にコロナウイルスの検査をする保護団体があり、このような疑問を抱いている方もいらっしゃるようです。
現在なんの症状もなくコロナウイルスの抗体価が低ければ、今後猫伝染性腹膜炎を発病するリスクの少ない猫であることは言えますが、前述した通り、コロナウイルスの抗体価が高いというだけでこの病気を発病するかどうかを予測することはできません。
ただ、このような結果が出てしまってはさぞご心配だと思うので、1〜2ヵ月後に再検査を実施してみることをおすすめします。
もし今後抗体価が下がってくるようであれば、発病の心配は少なくなってきます。

猫伝染性腹膜炎を予防するにはどうしたらいいの?

現時点では日本国内で猫伝染性腹膜炎を予防できる効果的なワクチンはまだ開発されていません。
現時点でこの病気を防ぐためにできることは、コロナウイルスに感染しないように「多頭飼育を避けること」、感染しても発病しないように「できるだけストレスのない環境で過ごさせること」とされています。
しかし、純血猫の多くはブリーダーで繁殖されているわけですから多頭飼育歴をゼロにすることは困難であるというのが実情です。

さいごに

猫伝染性腹膜炎は古くからある病気で長い年月をかけて研究されているにも関わらず、いまだに治療はおろか診断すらも難しいという恐ろしい病気です。
10数年前になりますが、筆者の飼っていた猫も色々手を尽くしましたがこの病に倒れた時のことは、今も忘れられません。
当時と現在で変わったことと言えば、コロナウイルスの遺伝子検査という検査方法が開発されたという点です。
この検査によって、猫伝染性腹膜炎の“疑い”から確定診断された猫もいますが、それでもまだまだ診断の精度は十分ではありません。
今後さらなる動物医療の進歩によって、新たな診断方法、治療法が開発されることを期待したいと思います。





愛猫のために知ってほしいこと


「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」

「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」

という飼い主さんはとても多いです。

動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。

動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。

経済的な問題で愛猫の寿命を縮めないためにも愛猫が元気なうちにペット保険に加入することが大事になります。

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