「猫の肥大型心筋症ってどんな病気なのか知りたい!」
「動物病院で飼い猫が肥大型心筋症と診断されたけど、どんな治療法があるの?」
このような疑問はありませんか?
肥大型心筋症は猫の心臓病の中で、最も発生頻度が高い病気ということが分かっています。
ある日突然症状を出して動物病院を受診すると肥大型心筋症ということが診断されるケースもあれば、特に心臓病の症状もなく何か他の病気の治療の際に偶然肥大型心筋症と指摘されるということもあります。
今回は猫を飼っていらっしゃる方皆様にぜひ知っていただきたい「猫の肥大型心筋症」という病気について詳しく解説していきたいと思います。
猫の肥大型心筋症ってどんな病気?
猫の肥大型心筋症とはどんな病気なのか、その原因、症状、診断方法、治療方法について解説していきたいと思います。
肥大型心筋症は猫で最も多い心臓病
肥大型心筋症とは、心臓の中でも左心室(ときに右心室)の筋肉が異常に大きくなってしまい、左心室が十分に広がることができなくなる病気です。
心筋症にはいくつかの分類がありますが、猫では肥大型心筋症の発生が最も高く、かつ心臓病全体の中でも最も発症率の高い病気として知られています。
また全く症状の無い猫においても、約15%が肥大型心筋症と診断されたという調査結果もあり、猫では注意しなくてはならない病気の一つと言えます。
原因は?
肥大型心筋症の発症原因は明らかではありませんが、メインクーンやラグドールでは遺伝的な要素が関係していると言われており、このケースでは診断時の年齢は2歳前後と若齢であると言われています。
またアメリカンショートヘアやノルウェージャンフォレストキャットも好発する純血種と知られていますが、雑種猫でも多く見られます。
症状は?
肥大型心筋症になるとどのような症状が引き起こされるのでしょうか?
運動不耐性
血液の循環が悪くなるため、激しい運動を嫌うようになります。
肺水腫や胸水
肥大型心筋症になると左心室が狭くなり肺から送られてく血液が流れ込みにくくなります。
その結果、左心房や肺静脈に血液が滞り、肺の中に水が溜まってしまう“肺水腫”や胸腔内に水が溜まってしまう“胸水”という病態が引き起こされます。
肺水腫も胸水にも共通して見られる症状は、呼吸困難になります。
参照:猫の肺に水がたまる肺水腫とは?原因や症状や治療法について解説
動脈血栓塞栓症
左心房に血液がうっ滞すると、そこに血の塊(血栓)ができやすくなります。
作られた血栓が血流にのって、末梢の動脈につまってしまい、動脈血栓塞栓症という病態に陥ります。
動脈血栓塞栓症の症状としては、足に行く血流が遮断され、足の麻痺や末梢性のチアノーゼが引き起こされるため、肉球の色が青紫色に変化します。
また非常に強い痛みを伴うため激しく鳴いたり、呼吸が速くなったり、体を触るのを嫌ったりします。
診断方法は?
心臓の超音波検査(心エコー)
診断方法の要は、“心臓の超音波検査(心エコー)”になります。
左心室の壁の厚みを測定し心筋の肥大の程度を判断したり、左心房が異常に大きくなっていないかを確認します。
X線検査(レントゲン検査)
心臓自体の大きさを評価するためというよりは、肺水腫や胸水を見逃さないために必須である検査になります。
微量な胸水はX線検査よりもむしろ超音波検査の方が検出しやすいですが、肺水腫は超音波検査では分かりません。
心電図検査
肥大型心筋症を診断する目的というよりは、肥大型心筋症によって不整脈が見られていないかを確認する検査です。
治療方法は?
猫の肥大型心筋症の治療法ですが、猫それぞれの状態によってどの薬を使用するかが変わってきます。
特に、心不全の症状が見られないケース(無症候性肥大型心筋症)、胸水や肺水腫などの心不全の症状が見られているケース、大動脈血栓塞栓症を併発したケースでは治療薬の選択が異なります。
ただ残念ながら、現時点ではこの病気に対する明確な治療ガイドラインはありません。
無症状の場合
血管拡張剤であるACE阻害薬をベースに、頻脈が見られるケースではアテノロールなどのβ遮断薬を使用します。
無症状でも左心房が大きく、今後血栓塞栓症を起こす危険があると判断された場合は、抗血栓薬を使用することがあります。
心不全の症状がある場合
すでに肺水腫や胸水などの症状が表れて呼吸困難である場合は、利尿剤を積極的に使用します。
その他、血管拡張剤であるACE阻害薬をベースに、心臓の状態に応じてジルチアゼム、ピモベンダンなどの内服薬を追加します。
大動脈血栓塞栓症を発症した場合
かなり緊急性の高い状態で、一刻も早く血栓を溶解させないと命に関わる病態です。
人間の脳梗塞の治療に用いられる血栓溶解剤、抗血栓薬、心臓の状態に応じて心臓病薬を投与し、循環の回復を期待します。
猫の肥大型心筋症に関してよくある疑問
飼い猫が肥大型心筋症と診断された場合に、多くの飼い主の方が抱かれる疑問をピックアップして解説したいと思います。
寿命(余命)はどのくらい?
肥大型心筋症の猫の余命に大きく関わるのが、「左心房が大きいかどうか」という点と言われており、左心房が大きくなった猫では生存期間の平均が7.5ヵ月であったのに対し、そうでない猫では10年以上生存することができたという報告があります。
また左心房の大きさ以外にも、遺伝性のものかどうか、心不全の症状があるかどうか、高血圧を伴っている場合かどうかによっても余命は変わるというデータがあります。
つまり、肥大型心筋症といっても猫の心臓の状態によって大きく余命が変わるということに注意する必要があります。
治療にガイドライン(治療指針)はあるの?
前述した通り、残念ながら肥大型心筋症の治療指針は明確に定まっていないため、治療する獣医師によって治療薬のバリエーションが異なります。
また、同じ肥大型心筋症でも猫によって心臓の状態にはバラツキがあるため、その猫の病状に応じた投薬が必要になります。
猫の心臓病は診断に苦慮することも少なくないため、かかりつけの獣医師の判断によっては循環器専門に診察を行っている動物病院へ紹介するということもあります。
ピモベンダンという薬は肥大型心筋症に有効なの?
肥大型心筋症の猫におけるピモベンダンの使用についてはまだ十分な研究がされておらず、「この場合にはピモベンダンを使用した方がいい」という明確なガイドラインはありません。
ただ、心不全を発症した肥大型心筋症の猫にピモベンダンを使用した場合、生存期間が延びたという研究結果が報告されています。
医療は日進月歩なので、今後の研究結果次第ではもっと使用頻度が増えてくるかも知れない薬剤のひとつでしょう。
肥大型心筋症の場合、どんな食事(フード)をあげればいいの?
肺水腫や胸水を起こしている猫であれば、塩分の過剰摂取は控えたほうがいいとされていますので、猫が喜んでくれそうな人間用の食事で高塩分のもの(かつおぶし、にぼし等)は避けましょう。
また通常のキャットフードでも尿路結石予防の療法食には飲水量増加を目的に塩分濃度を増やしている製品があるため、注意が必要です。
さいごに
猫の肥大型心筋症は心音を聴診しても雑音すらしないことも珍しくなく、ワクチンなどで動物病院を受診していたとしても、心エコー検査を行わないと気づけない病気です。
もし肥大型心筋症の好発猫種であるアメリカンショートヘアー、ノルウェージャンフォレストキャットを飼っていらっしゃる方は、一度健康診断目的でこのような検査を受けてみてはいかがでしょうか?
「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」
という飼い主さんはとても多いです。
動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。
動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。
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