猫の耳掃除をしていらっしゃる飼い主さんはどれくらいいらっしゃるでしょうか?
爪切りや歯磨きはされていても、耳掃除はしていないという飼い主さんが多いのではないでしょうか?
外猫などは生涯耳掃除なんてしたことがないのだから、室内外の猫は尚更必要ない!とおもっていませんか?
逆に、「うちは毎日耳掃除してるわ!」という飼い主さんも注意が必要です。
猫に耳掃除は必要なのでしょうか?
今まで耳掃除をしたことがない方にも、毎日のようにしている方にも知ってほしい、正しい耳掃除の方法や、ポイントまで徹底解説していきたいと思います!
目次
耳掃除の前に耳の構造や耳垢(じこう)について知っておこう!
猫の耳の構造
猫の耳は、一番外側のぴこんと出ている耳の部分を耳介(じかい)と呼びます。
耳の穴は耳道(じどう)といわれ、L字型の構造をしていて、この耳道の奥に鼓膜があるという形状になっています。
耳道には皮脂腺と耳垢線と呼ばれる腺があり、これらの腺から出される分泌物が耳の奥に入ろうとする細菌やほこりなどを手前でキャッチしています。
耳垢の正体
耳道から分泌される分泌物が固まったものが耳垢、いわゆる「みみあか」です。
分泌する量には個体差があり、耳の健康状態によっても差が出てきます。
季節の温度、湿度によっても量が変化します。
温度が上がる春から夏、または湿度の高い梅雨時も分泌物が増えます。
分泌物が多ければ耳垢が多くなり、多すぎると耳道をつまらせることもあります。
また、鼓膜の中心から新しく出来た皮膚が、新陳代謝のために入口へと移動して剥がれ落ちたものも耳垢です。
カサカサした耳垢の正体はこの古い皮膚です。
外から肉眼で確認できるのは耳道の入り口のほんの一部分で、L字型になった先は通常ではまず見えません。
猫の耳垢は自然に新陳代謝によって外に排出される仕組みになっていますので、健康な耳であれば、汚れは入り口付近にしかたまりません。
スコティッシュフォールドやマンチカンなど垂れ耳の猫や、耳の反り返ったアメリカンカールなどは耳の通気性が悪いので耳垢が溜まりやすい猫種です。
猫に耳掃除って必要なの?
猫の耳は、健康な猫であれば、基本的にそれほど汚れることはありません。
元々猫の耳は汚れを自然に外に排出することができる仕組みになっています。
うっすらと耳垢が見える程度であれば正常の範疇です。
汚れていない猫の耳は、掃除する必要はありません。
ただし、耳が耳垢などでひどく汚れている時や、異常がある時、皮膚のバリア機能が元々弱い猫や、子猫の頃に耳の中に感染を起こしたことがあるなどは、耳掃除が頻回に必要な場合もあります。
耳の異常に早く気付くためにも、定期的に耳の状態をチェックしてあげることが重要です。
毎日の耳掃除は実は危険?
予防の為にと定期的に掃除されている飼い主さんもいますが、実は必要ありません。
必要以上にお手入れしようとすると、逆に汚れを奥に押し込んでしまったり、繊細な耳を傷つけてしまう恐れがあるので、無理に耳掃除をする必要はありません。
猫の耳掃除の頻度は?
先ほど述べたように、耳掃除自体は決められた間隔でする必要はありません。
汚れていなければ数か月掃除しなくても良いのです。
週に1度は、汚れの状態をチェックする、ということで良いでしょう。
耳のお手入れの目安は?
では、耳掃除をするタイミングはどのような時なのでしょうか?
猫の耳の状態は個体差が大きいので、お手入れの必要の有無、その頻度はそれぞれです。
見える範囲の耳の穴の入口部分に耳垢がたまっていたら、耳掃除のタイミングです。
それ以外の、病気の可能性がある場合は、実際の耳の状態を確認する必要がありますので、自己判断で耳掃除をせず、そのままの状態で病院に連れていきましょう。
耳掃除をするまでに準備しておくこと
耳に触ることに慣れてもらう
いきなり耳掃除をすると、耳を触られ慣れていない猫はびっくりしてしまうかもしれません。
猫が耳を触られるのを嫌がったりする場合は、まず頭を撫でてあげて、耳を触ることを繰り返し、耳に触ることに慣れてもらいます。
その後に、耳をめくったり、中を見せてもらえるよう、時間をかけて慣らしてください。
猫は撫でられるだけでも喜びますが、そのあとにご褒美でおやつをあげたりするとなお、良いでしょう。
耳の状態をチェックする
耳垢の有無、色はどうか?
耳垢がたまっている、目に見えて大きい汚れがある、広い範囲で黒いものがあるなど、汚れがひどくなっているかどうかを確認します。
正常な耳垢は、茶色っぽい色で少しべたついたワックス状です。
「ベタベタしている」「パサパサしている」耳垢や、色が緑、黒などの色がついている場合には、病気の可能性もあります。
耳垢が粘ついていて固まりになっていたり、膿のようなドロドロの状態であったり、血が出たりしていても、病気や寄生虫などが疑われます。
その場合は、動物病院で早めに見てもらう必要があります。
どんな匂いがするか?
正常な耳垢は、臭いはほとんどなく、無臭に近いと言っても良いでしょう。
腐ったような臭いや、酸っぱい臭いがした場合には、耳に何か問題があると考えられます。
他にも、生臭いにおいや鼻にツンとくる臭い、普段と違う臭いがする場合には、病気にかかっていないか確認してみましょう。
傷はないか?
耳垢がひどい場合、赤い発疹やかさぶたなどが耳の中に見られることがあります。
傷の理由としては、猫同士の喧嘩、病気で痒みがあるために引っ掻いたなどが考えられます。
耳掃除のしすぎによって傷が出来てしまい、外耳炎の原因になることもあります。
猫が後ろ足で頻繁に掻くようであれば、さらに悪化させるおそれがあります。
耳の病気にはどんなものがあるの?どんな風になるの?
外耳炎
耳の中が炎症を起こして赤く腫れたり、黒や黄緑色の耳垢が大量に出て、臭いが臭いことが特徴です。
耳をしきりに掻いたり、頭を振ったり気にしたりします。
外耳炎の原因には、アレルギーや外傷、細菌感染(黄色っぽい耳垢)、真菌感染(茶色っぽい耳垢)、ミミヒゼンダニの寄生による耳疥癬(みみかいせん:ポロポロした黒い耳垢)、腫瘍などがあります。
⇒猫の外耳炎の原因や症状や治療方法は?自然治癒はする?薬は何使うの?
虫や植物の種子などの異物混入
耳を掻いたり、頭をブルブルと振ったりします。
中耳炎、内耳炎
とくに耳垢が見えているわけではないのに、しきりに頭を左右に振るなどの耳を気にするしぐさをするときは、鼓膜より奥に問題がある場合があります。
放っておくと、「斜頚(しゃけい:顔が傾く)」を起こすことがあるのでしっかり治療が必要です。
何度も言いますが、病気の可能性がある場合は、かならず掃除前に動物病院につれていきましょう。
猫の耳掃除の心得
猫の耳は皮膚が薄く繊細なだけでなく、触られるのを嫌がる猫も多いです。
出来るだけ猫が苦痛に感じないような耳掃除をしてあげましょう。
猫の耳は皮膚が薄く、奥の方もデリケートで体内つながっているため、強い力でこすったり、奥まで掃除したりしてはいけません。
掃除をしすぎることでかえって耳に傷がつくなど、耳に余計なトラブルが増えてしまうおそれもあります。
実際の耳掃除は、猫の耳の様子をしっかり観察しながら、やりすぎないように心がけましょう。
耳掃除の方法
準備するもの
・コットン、耳そうじシートなど
・ぬるま湯(冷たい水だと猫がびっくりしてしまうので)猫用イヤークリーナー、オリーブオイル、ベビーオイルなど
猫の耳掃除の仕方~基本編~
1コットンに、ぬるま湯か猫用のイヤークリーナー、オリーブオイルやベビーオイルを含ませます。
濡らした後、固めに絞ります。
2人差し指にコットンを巻き付けます
3穴が見えるくらい猫の耳をめくり、耳の中に指を入れクルクルと優しく数回まわします。4まだ耳アカが残っている場合は、三角に折ったコットンにオイルを含ませ、角で耳アカをすくい取るように掃除してください。
5片耳が終わったら違う方の耳も同じ方法で掃除してください。
6水やイヤークリーナーの液が入り込んで、耳の中が濡れることがないようにしましょう。
基本編の実際の方法動画
耳掃除の止め時
猫の耳の内側を見て、汚れを確認します。
目に見える範囲を綺麗に出来れば十分です。
汚れがなかなか取れない場合や、奥がとても汚れているという時には、動物病院で診てもらうべきだと考えましょう。
おすすめの道具
☆コットンラボ オーガニックコットンパフ
農薬や化学肥料を使用せず、健康な畑から、手間ひまかけて育て上げた綿花を漂白処理をせずに使用した、オーガニックコットンです。
☆スーパーキャット (Super Cat) らくらく耳そうじシート プレミアム 30枚入り
元々使いやすいようにシートが湿っています。
取り出して指に巻き付けて使うだけです。
消臭・抗菌作用のある天然由来成分グレープフルーツ種子抽出エキス配合。
特殊シートの溝が汚れをかき取ります。
安心のノンアルコール・ノンパラベンです。
猫の耳掃除の手順~イヤークリーナー編~
耳の中に直接イヤークリーナーを流し込み、耳の付け根をマッサージするようにもみほぐす方法もあります。
そうすることで、耳の中の垢や脂が浮き上がるのを待ち、脱脂綿で水分を吸収しながら汚れを取り除くので、通常の耳掃除よりも奥の汚れが取れます。
クリーナーは猫の耳の構造上奥までは入らないようになっているので大丈夫なのですが、液体が入りっぱなしになってしまうと、外耳炎や中耳に障害がおき、「斜頸」という症状が出てしまうこともありますのでしっかりと液体を取り除くことが大切です。
イヤークリーナーを直接耳の中に注入して使用する際には、一度獣医さんに確認して、猫にとって必要かどうかを判断してもらったほうが良いでしょう。
また、イヤークリーナーは耳の中に液体が残ってしまっても問題がない動物専用の製品を使用しましょう。
実際の掃除方法
1耳の先を軽く引っ張って広げ、クリーナーを2.3滴入れます。
2耳をひっぱったまま、耳の付け根を人さし指と親指でマッサージするようにもみます。
耳を引っ張るのは液体が耳から流れ出てしまわないようにするためです。
3コットンで液体を吸い取る
濡れていないコットンを耳の中に入れて、水分を吸い取ります。
拭きすぎると、耳を傷つけてしまうため余分な水分のみ吸い取るようにしましょう。
猫が耳に液体が入ったことで頭をパタパタ振ることがあります。
汚れとともに奥に入った液も外に出てくるので、周りは汚れますが、液体がしっかり排出されますので、むしろ頭を振ってくれた方が良いです。
イヤークリーナー編の実際の方法動画
おすすめ商品
☆ウィッシュ グルーミングプロ ノンアルコールイヤークリーナー
アルコールと着色料を使用していない、皮膚にやさしい低刺激な商品です。
☆ビルバック エピオティック ペプチド
高い洗浄力で耳垢(みみあか)を除去します。
低刺激性(中性・アルコールフリー)で、「天然成分(ボルド葉抽出エキス、セイヨウナツユキソウ抽出エキス)」がマイクロバイオーム(皮膚常在微生物叢)のバランスを整えます。
猫の耳掃除のポイント
刺激のある液体を使わない
猫の耳はデリケートであることと、医薬品などを吸収しやすい部位であることから、むやみに薬を使用して耳掃除をすることは危険です。
特に、ティートゥリーというアロマを使用したことにより、猫が中毒を起こしたことが知られています。
猫用のイヤークリーナーには、耳垢や古い皮脂が取れやすくなる成分が含まれているので、優しく撫でる程度でも汚れは落とすことができます。
安全のためにも、必ず猫用のものを使用するようにしましょう。
猫がリラックスしている時に行う
猫がリラックスして落ち着いている状態の時にすると良いでしょう。
声をかけながら、驚かせないようにして、時間をかけずにするのがコツです。
猫が動く場合には、抱っこするなどして少し抑えておく必要もありますが、あまり嫌がる場合には無理やりしないことです。
耳の外側、見える範囲だけを掃除する
あまり耳の奥までを掃除する必要はありません。
外側にある皮脂や汚れを取り除ければ、耳掃除は出来ています。
耳の奥から汚れがひどかったり、耳垢が詰まっていたりするような場合には、飼い主さんが自己判断で耳掃除をするのではなく、動物病院で診てもらいましょう。
綿棒や直接指を使わない
綿棒や指でこすったりして耳垢を取ることは、絶対にしないようにしましょう。
猫の耳掃除には綿棒を使ってしまいがちですが、猫の耳掃除をするにはあまりおすすめできません。
耳掃除をしているのに、耳垢をさらに奥まで押し込んでしまうことになりますし、繊細な猫の耳の皮膚には、刺激が強すぎて、外耳炎の原因になります。
また、猫が暴れた時に綿棒を使っていると、耳を傷つけるおそれもあります。
ゴシゴシ擦らない、掃除しすぎない
耳の皮はとってもデリケートで、かえって傷が付いてしまいます。
やさしく、ソフトに行ってください。
自分では耳掃除ができない場合
嫌がり方がひどい、耳の中に液体を入れられるのを嫌うなど、耳掃除をさせてくれないなどの猫の場合は、動物病院でも耳掃除をしてもらえます。
トリミングサロンでシャンプーをする場合は、サービスで行ってもらえることも多いですので、一度確認してみてください。
動物病院では1000円位でやってくれるところが多いです。
ただし、汚れがあまりにもひどいときや病気が見つかったときは耳掃除や治療代として1000円~1万円程度かかることもあります。
耳掃除について多い質問
コットンをどこまで入れて良いの?
コットンは無理してあまり奥まで入れずに、見える範囲を綺麗にしてあげてください。
タオルやガーゼで耳掃除してもいいの?
タオルで猫の耳の中を擦ると摩擦が強く、炎症を起こしてしまう可能性があります。
柔らかいコットンで耳掃除をしてください。
また、指を直接耳に入れたり、消毒用のアルコールを使っての掃除も摩擦や刺激で猫の耳を傷つけてしまいますのでやめましょう。
もし汚れていたら毎日掃除してもいいの?
毎日の耳掃除は猫の耳の負担となってしまいますので、多くても週一くらいにしたいところですが、もし病気で大量に耳垢が出ているようであれば毎日掃除してあげる必要もあります。
その場合も自己判断はせず、獣医師の指示の下、掃除をしてあげるようにしましょう。
さいごに
猫の耳掃除は必要な場合にだけ、人間がやってあげましょう。
嫌がっているのに必要だからと無理に耳掃除をすると、猫にストレスを与えてしまいます。
病気や怪我などの耳のトラブルや、ひどい汚れが無ければ、耳掃除は頻繁にしなくても良いものです。
まず、汚れを普段からチェックすることを習慣にしてください。
日々のチェックが病気やトラブルの早期発見に役立ちます。
子猫の時から習慣にしていれば慣れるのも早いです。
普段のコミュニケーションや、スキンシップの延長として耳掃除が出来ると、猫も飼い主さんも楽です。
「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」
という飼い主さんはとても多いです。
動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。
動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。
経済的な問題で愛猫の寿命を縮めないためにも愛猫が元気なうちにペット保険に加入することが大事になります。
でも「ペット保険っていうけど、どういう保険があるの?」という疑問も出てくるかと思います。
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