「猫が血尿したので動物病院に行ったら、結石と言われた」
「猫の結石がよくならないので、療法食をすすめられた」
このような経験をされたことのある猫の飼い主の方はとても多いのではないかと思います。
体の中に無機塩が凝固してしまう病気を“結石症”といい、結石症の中には尿路結石症、胆石症、唾石症などが含まれます。
猫は泌尿器のトラブルが非常に多い動物のため、猫における結石症というと一般的には“尿路結石症”のことを指しています。
そこで今回は、尿路結石症をピックアップして、原因や症状、治療法、手術費用など詳しく解説したいと思います。
目次
猫の結石症(尿路結石症)とはどんな病気?
まずは猫の尿路には結石がなぜできてしまうのか、どんな症状がでるのか、どんな治療を行うのかなど、解説していきましょう。
結石の原因とできやすい臓器
尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱に貯められ、尿道を通って排泄されます。
このルートを“尿路”といい、この間にできる結石を総称して“尿路結石”といいます。
猫は元々水分の摂取量が少ない動物である上に、室内飼いや肥満で運動不足であるとさらに飲水量が減ります。
その結果、尿が濃くなってしまい結石症を引き起こします。
尿路結石は、結石の存在する位置によって腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれています。
結石の種類
猫の代表的な尿路結石は、①ストルバイト結石と②シュウ酸カルシウムの2つになります。
①ストルバイト結石(リン酸マグネシウムアンモニウム)
ストルバイト結石(リン酸マグネシウムアンモニウム)は、7歳以下の若齢の猫(特に去勢された雄猫)の発症リスクが高く、主に“猫下部尿路疾患”と言われる膀胱から尿道にかけておこる病気を引き起こします。
この結石は、フード中のマグネシウムやリンが過剰に含まれていたり、尿のpHがアルカリ化されたりすると、尿中に結晶や結石が作られやすくなります。
②シュウ酸カルシウム結石
シュウ酸カルシウム結石は、飲水量が減ったり、フード中のカルシウムが過剰に含まれていたりすると作られやすいと言われています。
発症に尿のpHは関係ないこと、7歳以上の高齢猫になると発生頻度が高くなること、腎結石や尿管結石に多くみられる結石であること、ここがストルバイト結石と異なる点です。
結石症の症状
同じ結石でもどこに発生している結石なのかで見られる症状は異なります。
腎結石
よほど大きな結石でない限り、概して無症状です。
別件で撮影したレントゲン検査や超音波検査で指摘されることはよくあります。
尿管結石
尿管結石の症状は、痛みと元気や食欲の低下です。
人間では「尿管結石はとてつもない痛みを伴う」と言われていますが、猫は痛みの表現が乏しいため、飼い主の方が気づかず見過ごされることも多い病気です。
膀胱結石
膀胱結石を発症すると、尿に血が混ざることがあるためピンク〜赤い尿をする(血尿)、排尿を我慢できないためトイレ以外の場所で排尿してしまう、何度もトイレに行く(頻尿)、排尿後の砂やペットシーツがキラキラしている(結晶尿)、といった症状が見られます。
特にシュウ酸カルシウム結石の形は「金平糖状にトゲトゲ」していて膀胱の粘膜を傷つけやすいため症状も強いことが多いです。
尿道結石
尿道結石は、尿道が細くなっている雄猫がほとんどで、雌猫の発症は極めて稀です。
尿道結石が存在すると排尿困難となるため、何度もトイレに行くのに尿が出ないかポタポタとしか尿がでない、お尻が赤い尿で汚れている、吐き気がでる、元気や食欲がない、などの症状が出ます。
この状態を長時間(約2日)放置すると、急性腎不全に陥り命が危険にさらされるため、疑わしい症状が出た場合はできるだけ早く動物病院を受診する必要があります。
結石症の治療法と手術費用の目安について
結石症の治療法と、平成27年に日本獣医師会が調査した「診療料金実態調査」を基に手術費用の目安を解説していきましょう。
腎結石
治療法
腎結石と診断されても小さいものであればそのまま経過観察を行います。
仮に非常に大きい結石で腎臓の機能を妨げていると判断されれば、手術での摘出を検討しますが、適応となるケースは少ないです。
猫の腎結石のほとんどがシュウ酸カルシウム結石であるため、一度出来てしまうと自然に溶けることはなく、結石のさらなる増大を予防するために療法食へ変更することが望ましいです。
手術費用
手術のみの費用は平均すると5万円弱となっていますが、5〜10万程度と回答している動物病院も15%います。
腎結石摘出手術は非常に実施頻度が少ない手術ですので、一般の動物病院では対応できず大学病院等の二次病院へ紹介されることも多いため、総額は高額(数十万以上)になる可能性が高いでしょう。
尿管結石
治療法
尿管結石の場合、どの程度尿管が閉塞しているか、閉塞している結石のサイズや個数によって選択する治療法が異なります。
尿管が完全に閉塞している場合は、腎臓が尿で膨れてしまい腎臓が機能しなくなる(水腎症を発症する)ため、基本的には外科手術で結石を摘出する必要があります。
ただし、閉塞している結石が小さすぎたり(1mm程度)、結石が尿管内を移動していたり、数が多くて全ての摘出が困難である場合は、“腎瘻(じんろう)”といって一時的にカテーテルを腎臓に入れて自然に膀胱へ流れていくのを待つことがあります。
また、尿管の閉塞が軽度(水腎の程度が軽度)である場合は、腎瘻もせずに自然に膀胱へ流れていくかどうか経過観察を行うことがあります。
手術費用
手術のみの費用は平均すると4.5万円ですが、5〜10万程度と回答している動物病院も13%います。
猫の尿管は非常に細くかつ脆い臓器のため、手術用ルーペや顕微鏡下で行う高度なテクニックを要する手術です。
また、診断や結石の位置確認にCT検査を行うこともあるため、一般の動物病院では対応できず大学病院等の二次病院へ紹介されることがほとんどでしょう。
腎結石同様、猫の手術費用の中でもトップクラスの高額の手術になります。
膀胱結石
治療法
ストルバイト結石であれば療法食への変更で、ある程度の溶解が期待できますがサイズが大きくなってしまうと溶解しきれない、もしくは溶解に時間がかかり症状が長引くことがあるため、外科手術による摘出を検討します。
一方、シュウ酸カルシウム結石であった場合、前述の通り餌の変更は予防的な効果しかないですので、外科手術による摘出を行います。
手術費用
手術のみ費用は平均して3.6万円です。
実施頻度の高い手術ですので、一般動物病院で十分対応可能です。
最低でも10万程度はかかるものと思っていいでしょう。
尿道結石
治療法
尿道結石が確認されたら、まず水圧などで尿道内の結石を膀胱へ戻すことを試みます。
どうしても尿道から移動しない場合は会陰尿道造瘻術(えいんにょうどうぞうろうじゅつ)といって、尿道の一部を切除する手術を行います。
手術費用
手術のみの費用は平均して約4.5万円ですが、5〜10万円程度と回答した病院が25%もあります。
腎結石や尿管結石に比べ手術自体の難易度は低くなりますが、実施を行っていない動物病院もあります。
比較的安い金額設定の動物病院でも総額で10万前後、大学病院など二次診療施設では30万以上と高額になると考えられます。
⇒猫の尿道結石の原因や症状や治療法は?手術や費用についても解説
さいごに
最近は猫の尿路結石に配慮したキャットフードが普及してきていること、療法食の嗜好性が高くなったことなどから、膀胱結石や尿道結石の手術件数は昔に比べ減ってきています。
一方、療法食を食べていても尿路結石の発症をうまくコントロールできない猫もいます。
このような猫は体質的な要素も大きいと考えられるので、定期的な健診を行っていくことが大切になります。
関連記事になります。合わせてご覧ください。
「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」
という飼い主さんはとても多いです。
動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。
動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。
経済的な問題で愛猫の寿命を縮めないためにも愛猫が元気なうちにペット保険に加入することが大事になります。
でも「ペット保険っていうけど、どういう保険があるの?」という疑問も出てくるかと思います。
ペット保険の加入に迷った場合には、ペット保険の一括資料請求がおすすめです。
複数のペット保険の資料を比較することで「あなたと愛猫にとって一番ベストの保険が分かる」というメリットもあります。
利用は無料です。詳しくはこちらをご覧ください。
>>>ペット保険の一括資料請求を試しに見てみる(無料)<<<