「飼っている猫が腎不全と言われたけど、もう一匹も腎不全にならないためにはどうしたらいいの?」
「猫が腎不全になってしまった原因が知りたい!」
このような疑問はありませんか?
腎不全とは、何からの原因によって腎臓の機能が低下した状態のことを言います。
腎不全には慢性腎不全と急性腎不全がありますが、中でも慢性腎不全は高齢猫では極めて一般的な病気です。
今回は猫を飼っていらっしゃる方皆様にぜひ知っていただきたい「猫の腎不全」という病気とその予防法について詳しく解説していきたいと思います。
目次
猫の腎不全ってどんな病気?
腎不全は何らかの原因によって腎臓の機能が低下した状態で、短時間で腎臓の機能が低下してしまうものを“急性腎不全”、長い時間をかけてゆっくりと腎臓機能が低下してしまうものを“慢性腎不全”と言います。
それぞれどんな病気か、見ていきましょう。
猫の急性腎不全について
猫の急性腎不全について、症状、原因、診断方法、治療法について解説します。
症状は?
急性腎不全になると腎臓で尿を作る働きが低下してしまうため、尿の量が著しく少なくなってしまう状態(無尿、乏尿)に陥ります。
また、急激に元気食欲が低下し、嘔吐や下痢、痙攣といった重篤な症状を出すことがあります。
原因は?
急性腎不全は原因によって腎前性腎不全、腎性腎不全、腎後性腎不全の3つに分かれます。
腎前性腎不全は、腎臓に十分は血液が流れないことによって起こる腎不全で、重度の脱水や出血、心不全などによって引き起こされます。
腎性腎不全は、中毒や感染症などによって腎臓が直接障害されることによっておこる腎不全です。
腎後性腎不全は、尿管結石や尿道結石などによって腎臓で作られた尿がちゃんと排泄できなくなってしまうことによって引き起こされる腎不全です。
⇒猫の尿道結石の原因や症状や治療法は?手術や費用についても解説
診断方法は?
診断には血液検査、レントゲン検査、超音波検査が不可欠です。
血液検査によって腎臓の数値(BUNやCRE)の上昇、カリウムやリンといったミネラルの上昇は腎臓機能の低下を示します。
レントゲン検査や超音波検査によって尿路結石や尿道結石が確認できることがあります。
治療法は?
急性腎不全の原因によって治療法は大きく変わりますが、積極的な治療法を行わないと、腎臓機能が戻らなくなってしまい亡くなってしまうこともありますし、回復後も慢性腎不全へ移行する可能性もある恐ろしい病気です。
腎前性腎不全の場合は、点滴や輸血、心臓の治療が必要になってきます。
腎性腎不全の場合は、点滴や腹膜透析などの対症療法が中心となります。
腎後性腎不全の場合は、尿道結石であればカテーテルを用いて結石を膀胱へ戻したりしますし、尿管結石であればほとんどのケースで結石を摘出する手術が必要です。
⇒獣医師解説。猫の急性腎不全の原因や症状や治療とは?回復はするの?
猫の慢性腎不全について
猫の急性腎不全について、症状、原因、診断方法、治療法について解説します。
症状は?
腎臓では体に不要な老廃物を排泄したり、必要な水分を再吸収したりする機能があるのですが、慢性腎不全になると腎臓が正常に機能しなくなってしまうため、老廃物が体にたまり、水分を多く排泄してしまうようになります。
そのため、“多飲多尿”と呼ばれる「よく水をのみ、薄いおしっこをたくさん出す」という症状が表れるようになったり、元気や食欲が低下し徐々に体重が減少します。
また毛づやが悪くなったり、口臭がひどくなく、便秘がちになったりすることも一般的な症状です。
⇒獣医師解説。猫の慢性腎不全の原因や症状や治療とは?回復はするの?
⇒猫の慢性腎不全の初期症状とは?悪化させないためにはどうしたらいい?
原因は?
猫の慢性腎不全は10歳以上の高齢の猫ではよく見られる病気ですが、なぜ発症してしまったのかはっきりとした原因が分からないことがほとんどです。
一方で原因がはっきりとしている慢性腎不全もあります。
例えば、前述の急性腎不全の後遺症として慢性腎不全を発症した場合、ペルシャネコやアメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールドなどに見られる多発性嚢胞腎と呼ばれる遺伝性の腎臓病などが挙げられます。
診断方法は?
診断には血液検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査が不可欠です。
血液検査によって腎臓の数値(BUNやCRE)の上昇、カリウムやリンといったミネラルの上昇は腎臓機能の低下を示します。
尿検査で尿の濃さやタンパク質が出ていないかを確認します。
またレントゲン検査や超音波検査によって腎臓の大きさを評価することができます。
治療法は?
残念ながら慢性腎不全は完治するという病気ではありません。
ただし、治らないからといってそのままにしていてはもっと早く腎不全が進行していってしまうため、診断後はできるだけ早めに適切な対処をする必要があります。
慢性腎不全の進行度合いによっても異なりますが、腎臓病用の食事療法はタンパク質やリン、塩分などを制限しているため、腎臓に負担が少なくなることが知られています。
また活性炭などの吸着剤、降圧剤、点滴といった対症療法を必要に応じておこなっていくことで生活の質(QOL:クオリティーオブライフ)を挙げていくことが出来ます。
猫の腎不全を予防するにはどうしたらいいの?
猫の腎不全を防ぐために、我々飼い主はどんなことに気をつけたらいいのでしょうか?
日常生活での注意点について解説していきましょう。
十分な飲水をとれるようにしよう
脱水は腎不全のさらなる悪化を引き起こしますし、若い猫では特に尿路結石の発症リスクを高めることが知られています。
ご自宅には新鮮な水が飲める場所を複数用意するようにしましょう。
もともと水分をとる量が少ない猫は、ウェットフードを利用してもいいでしょう。
トイレを清潔にしよう
猫はきれい好きなので、少しでもトイレが汚れていると排尿を我慢する猫もいます。
排尿回数が少ないと膀胱結石、尿道結石の発症リスクが高くなります。
トイレは複数設置し(目安は猫の飼育数プラス1個)、汚れたらこまめに掃除してあげるとよいでしょう。
上質なフードを選びましょう
フードに含まれるミネラルのバランスは結石の形成に大きな原因となりますので、結石予防のためにはフードの選択は非常に重要です。
結石を指摘された猫を飼っているなら「猫下部尿路疾患に配慮」や「ストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石に配慮」したという表記のあるフードを選ぶといいでしょう。
もしすでに腎不全と診断されているなら、腎臓用の療法食に切り替えるようにしましょう。
具体的には、ロイヤルカナン 社の腎臓サポート、ヒルズ 猫用 k/d 腎臓ケア ドライといった商品になります。
グルメな猫が飽きがこないようにいろいろなメーカーのものをローテーションで与えるというのも一つの方法ですよ。
中毒物質には注意!
基本的に猫は植物に対して中毒を起こしやすい動物で、家庭に置かれる一般的な観葉植物に対しても中毒を起こすことがあり、猫草が好きな猫ならば、誤って口にすることもあるため注意しなくてはいけません。
その中でも特に強毒なのは「ユリ」で、ユリの花、葉、根などほぼすべての箇所に中毒性があり、たった一口かじっただけでも急性腎不全を引き起こし、死に至ることが多いです。
また猫と人間とでは肝臓での薬物代謝が違うため、私達人間が日常的に使用している消炎鎮痛剤も猫にとっては有害な薬物になります。
猫がどこか痛がっているからといって人間の薬を与えてはいけません。
なお、猫用の動物医薬品として認可を受けている消炎鎮痛剤でさえ使い方に注意しないといけません。
飼い主の方の自己判断での使用はくれぐれも控えるようにしましょう。
さいごに
一度障害を受けると腎臓は再生することが難しい臓器です。
腎臓の数値が高いということは、すでに元々の腎臓の機能の3/4以上が失われているということになります。
慢性腎不全は無症状の内に進行する病気ですので、年に一度の定期検診は大切ですよ。
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