「猫が1日近くおしっこをしていないけど大丈夫?」
「猫が何度もトイレに行っているけど、もしかして頻尿?」
猫の排尿の回数がいつもと違うと、飼い主の方は心配になりますよね。
もしその排尿が異常だとすると、どのタイミングで動物病院を受診するべきか悩まれると思います。
そこで今回は猫の排尿回数にスポットを当てて詳しく解説していきます。
目次
健康な猫の排尿回数の平均は?
十分に水分をとっている健康な猫は、1日に少なくとも1回、平均的には2〜3回程度排尿します。
排尿回数は膀胱の容積によっても多少の個人差がありますので、できれば飼っている猫が健康な時に「この猫は大体1日2回は排尿する」といったことを記憶しておくのがよいでしょう。
また1日位尿の回数がいつもより少ないときがあっても、元気食欲があって翌日以降にいつも通り排尿していれば問題ありません。
猫の排尿回数の異常とは?
どのくらい排尿回数が増えたり減ったりすると異常なのでしょうか?
尿の回数が多くなる(頻尿)
排尿回数が多いことを医学用語で「頻尿」と言います。
具体的に1日何回以上なら頻尿という決まりはありませんが、猫の正常の排尿回数は多くて4回ですので、5回以上の排尿は頻尿の目安となります。
また4回以下でも、通常1日2回以下しか排尿しない猫が4回排尿したら頻尿になっている可能性があります。
なお、頻尿と混乱しやすい間違いとして「多尿」がありますが、多尿は1日の排尿量が多いことになります。
尿の回数が少なくなる(稀尿)
排尿の回数が減少してしまうことを医学用語で「稀尿(きにょう)」と言います。
排尿が1日1回以下は稀尿の目安になります。
稀尿は以下の2つに分けられます。
排尿困難
尿は作られるけれど、何らかの異常で排尿が出来にくいことを排尿困難と言います。
排尿困難になると、稀尿になったり1回あたりの尿量が少なくなったりします。
乏尿や無尿
腎臓で作られる尿量が基準値よりも少なくなることを乏尿といい、ほとんど尿が作られなくなることを無尿といいます。
乏尿や無尿になると、トイレに行って排尿姿勢をとることが極端に少なくなります。
頻尿を起こす病気にはどんなものがある?
頻尿を引き起こしているということは、膀胱に何らかの異常が起きていると考えられます。
膀胱結石
猫の尿路結石には、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウムの主に2つの種類に分かれ、若い猫ではストルバイト結石、高齢猫ではシュウ酸カルシウム結石の発生が多く見られます。
膀胱結石が出来ると、頻尿の他にも血尿や、排尿を我慢できないためトイレ以外の場所で排尿してしまう、トイレに行っても少ししか尿が出ない、などの症状の他、排尿後の砂やペットシーツがキラキラしている(結晶尿)ことに気付くこともあります。
ストルバイト結石であれば療法食への変更で、ある程度の溶解が期待できますがサイズが大きくなってしまうと溶解しきれない、もしくは溶解に時間がかかり症状が長引くことがあるため、外科手術による摘出を検討します。
一方、シュウ酸カルシウム結石であった場合、餌の変更は予防的な効果しかないですので、外科手術による摘出を行います。
膀胱炎
膀胱炎が原因での頻尿です。
細菌性膀胱炎
細菌感染により膀胱に炎症が起こる病気を細菌性膀胱炎と言います。
健康な猫は濃い尿をすることで細菌が繁殖しにくい環境を保っていますが、高齢になると免疫力が弱かったり尿が薄くなったりするため細菌性膀胱炎になるリスクが高くなります。
細菌性膀胱炎になると、頻尿や血尿など膀胱結石に似た症状が出ます。
治療には抗生剤の投与が必要です。
特発性膀胱炎
特発性膀胱炎とは、尿路結石や細菌感染などのハッキリとした原因わからない膀胱炎のことで、環境の変化やストレスが影響しているのではないかと考えられています。
頻尿や血尿の原因として非常に多く発生し、自然に治ることもありますが何度も繰り返すことも多い病気です。
症状としては、細菌性膀胱炎とほとんど同じであるため、鑑別のために尿検査を行います。
治療法としては抗炎症剤の内服や、猫のストレスの原因となりそうなことを少なくすることが大切になります。
膀胱の腫瘍
猫では膀胱の腫瘍の発生頻度は少ないですが、移行上皮癌という癌が発生することがあります。
膀胱に腫瘍が出来ると、膀胱の容積が小さくなったり膀胱が上手く広がらなくなることから、頻尿を引き起こすことがあります。
頻尿以外にも血尿や元気食欲の低下、痩せてきたなどの症状が見られることがあります。
治療としては、腫瘍の種類や発生している場所、進行度によって選択肢は異なりますが、外科手術や抗癌剤の投与を検討します。
猫が排尿困難を起こす病気にはどんなものがある?
猫が排尿困難を起こす原因として一番多いのが尿道閉塞(尿閉)です。
尿道閉塞(尿閉)
雄猫は尿道の先端が非常に細くなっているため、尿道閉塞(尿閉)を起こし排尿困難になることがあります。
尿道閉塞になると、以下のような症状が見られます。
・何度もトイレに行くのに尿が出ない
・トイレに行っていきんでもポタポタとしか尿がでない
・ペニスの周辺が赤い尿で汚れている
・血尿をしていた猫が嘔吐するようになった、元気や食欲がない
・しきりにペニスを舐めている
・排尿するときに痛そうに鳴いている
尿道閉塞を放っておくと急性腎不全になってしまう危険性が高いですので、とにかく早く動物病院を受診しましょう。
猫が乏尿・無尿を起こす病気にはどんなものがある?
猫が乏尿・無尿になってしまう原因として、水分摂取不足や発熱、腎不全や両側の尿管閉塞が挙げられます。
水分摂取不足、発熱
摂取する水分が少なくなると血液量が減るため、尿の回数や尿量が少なくなります(生理的乏尿)。
また、発熱時は体の中の水分が蒸発しやすくなるため血液量が減り、同様に稀尿となります。
もし猫が環境の変化などのストレスで水を十分に飲めていない可能性があるのであれば、しっかり水分を補給してあげましょう。
また発熱していたり熱中症の可能性が考えられるようであれば、早目に動物病院を受診して下さい。
腎不全
腎が機能しなくなることを腎不全といい、腎不全は慢性腎不全と急性腎不全に分類されます。
慢性腎不全は高齢の犬によく見られ、症状の経過は比較的長く、尿が薄く水を飲む量が多い(多飲多尿)、時々吐く、食欲が落ちてきたなどの症状が出て、末期になると乏尿や無尿の状態になります。
また急性腎不全は、薬物中毒や感染症などによって腎臓が突然障害され機能しなくなるため、乏尿や無尿状態に陥ったり、非常に強い嘔吐が見られたり、元気食欲がなくグッタリするなどの症状が出ます。
特に急性腎不全は命に関わることが多い非常に恐ろしい病気です。
⇒獣医師解説。猫の慢性腎不全の原因や症状や治療とは?回復はするの?
⇒獣医師解説。猫の急性腎不全の原因や症状や治療とは?回復はするの?
尿管閉塞(両側)
腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱に貯められますが、尿管が結石などでつまってしまうと、腎臓が自ら作った尿でふくれあがり、「水腎症」という状態になります。
これを気づかずに進行させてしまうと腎不全になり、膀胱に尿が流れていかず尿が貯まってこないため乏尿や無尿になります。
ただ腎臓も尿管も2本ずつあるため、両方が同時に障害されなければ、乏尿や無尿になることはなく、片方だけの障害であれば明らかな症状がないことも多いです。
肝心の残された1本の尿管すらも詰まってしまった場合は、上記の通り腎不全の状態になるため、すぐに手術で摘出する必要があります。
さいごに
猫の尿の回数は健康のバロメーターです。
極端に多い少ないという場合は、何らかの病気のサインと思って下さい。
特に急性腎不全や尿道閉塞は緊急性の高い病気になりますので、当てはまる症状があったらすぐに動物病院を受診しましょう。
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