トイレのお掃除をしている時に、光の加減で尿がキラキラしているのを見たことがありませんか?
この正体はいったい何なのでしょうか?
病院に連れて行った方がいいのでしょうか?
どんな病気の可能性があるのか詳しく、解説いたします。
尿がキラキラしているとは?
尿がキラキラしていると言われても、どのような感じかよくわからないかもしれません。
発見するためのポイントは、猫のトイレ掃除をするときは明るい場所で行うということです。
システムトイレの場合はペットシーツを光で照らしましょう。
猫砂の場合は、猫砂の固まりを光で照らすだけで、見えることもあります。
ペットシーツの場合はより分かりやすいです。
指で触ってみると、実際にザラザラした感触がわかります。
キラキラ、ザラザラ尿の原因は?
キラキラしたものの正体は結晶成分の場合が多いです。
結晶とは、結石になる前の小さな粒子です。
基本的には肉眼で見えないことがほとんどですが、量や大きさによってはキラキラとした物質として見えることがあります。
結晶の種類にはストルバイトやシュウ酸カルシウムなどいくつか種類があります。
これらの結晶が凝集し、肉眼でも見られるサイズまで大きくなったものを結石と呼びます。
レントゲン検査やエコー検査では結石になってはじめて発見することができます。
結石は尿道に詰まり、尿が出なくなる「尿閉(にょうへい)」という命にかかわる緊急事態をおこす恐れがあります。
また、尿がキラキラしていないから尿石症ではないというわけではありません。
尿路結石があっても結晶成分が少ない場合は、尿に排泄されない場合もありますし、排泄されていたとしても目に見えないほど小さいことがほとんどです。
この場合は他の症状で尿石症に気付く必要があります。
自宅でできる応急処置
結晶尿や尿路結石は、放っておくと完全に尿が出なくなり、命にかかわる場合もありますので、放置せず、必ず動物病院を受診してください。
病院に連れていくまでの自宅でできる応急処置をご紹介します。
水分をたくさん飲ませる
結晶は尿が濃いと作られやすいといわれています。
濃い尿は結石も作られやすいので、尿を薄めるためにたくさん水分を飲ませましょう。
1日の理想的な水分量は体重×50mlです。
なかなか、自分では飲めない量なので、フードを水でふやかしたり、スポイトのようなもので口から入れたりと、サポートする必要があります。
注意したいこと
下部尿路疾患を抱える猫は非常に多いので、ホームセンターでもケア用フードは購入できます。
しかし、診察を受けないで自己判断でやみくもにこれらのフードに変更するのはやめてください。
良かれと思ってあげていたフードが逆効果になる場合があります。
診察時、適切な種類のフードを指示してもらってから購入するようにしてください。
診察までの準備
キラキラした尿がついたペットシートや猫砂を持参してください。
もし、尿を採取できるのであれば、5ml程度スポイトなどを使って採取して持っていくと、検査もスムーズに行うことが出来ます。
システムトイレの場合はペットシーツを抜き、トレーにたまった尿を採取すれば簡単です。
ただし、尿の採取から検査まで時間が経つと、尿の中に結晶が形成されることがあるので注意が必要です。
排尿してから2時間以内のものが理想的です。
尿を持参しても、その尿にはたくさんのゴミや細菌が混入していますので、正確な診断はできません。
本来は膀胱から直接尿を採取して検査を行います。
しかし、頻尿などで膀胱に尿が溜まっていない場合は、診断の目安にできる場合がありますので、持参したほうが良いでしょう。
獣医師の判断に任せましょう。
尿石症とは
尿石症とは
猫の病気には、尿道が閉塞してしまい、排尿が困難になってしまう疾患が数多く存在しており、泌尿器系の病気を総称して「猫下部尿路疾患(FLUTD)」と呼んでいます。
「尿石症」は猫下部尿路疾患の中でも最もポピュラーな病気です。
1〜2歳の若い猫から高齢猫まで、まんべんなく発症します。
腎臓から尿管、膀胱、尿道にとても小さな結晶(尿石)ができて、排尿が正常にできなくなったり、腎臓病や慢性的な膀胱炎を引き起こしてしまうことがあります。
雌雄ともにみられますが、雄で問題になることの方が多いです。
雄猫の尿道は細く、S字に曲がっているためメスよりも結石が詰まりやすいためです。
尿結石が尿道に詰まってしまい、尿が出にくくなってしまったり、完全に出なくなる「尿閉」を起こすと、尿毒症になる恐れがあり、命にかかわります。
症状
・トイレに行ってもすぐに出てきてうろうろと落ち着かない
・トイレに行くのに尿が少ししか出ていない、または全く出ていない
・血尿
・排尿時に痛みによって鳴く
・トイレ以外の場所で粗相をする
・トイレにうずくまる
などの症状があります。
原因
フードの種類
与えるフードによって、尿のpHが上げ下げされてしまうことが主な原因です。
水の種類
良かれと思って硬水や外国産のミネラルウォーターを使用している場合、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル分の過剰摂取になることがあります。
飲水量
猫はもともと水をあまり飲まない動物です。
そのため、トイレの回数が少なく、古い濃い尿が膀胱内にたまりやすい状態となっています。
このような尿は非常に尿石が出来やすい環境です。
細菌感染
細菌に感染すると、体内から細菌を追いだそうと発熱などで応戦し、上皮細胞が炎症産物として発生します。
それらが集まり、結晶になれば尿石症になってしまうのです。
また、細菌が産生する成分は尿のpHを上げてしまうため、尿石症になりやすくなります。
ストレス
トイレが汚いことや多頭飼いでトイレの数が足りていないなどが原因で排尿を我慢してしまい、膀胱炎になることから尿路結石に進行してしまうといったケースもあります。
結石の種類
ストルバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)
猫の尿路結石で最も多いのがこのストルバイトです。
キャットフード以外のおやつを与えすぎた場合などになりやすく、カルシウムやマグネシウムなどストルバイトに必要な栄養素を過剰に摂ることで発症します。
尿のpHが高い(アルカリ性)ときに形成されやすくなります。
ストルバイトは一般的に食事療法で溶かすことが来ます。
シュウ酸カルシウム
猫の尿路結石で2番目に多い結石です。
シュウ酸カルシウムは一度形成されると食事療法でも溶かすことができない厄介な結石です。
シュウ酸カルシウム結石はストルバイトを減少させる効果があるキャットフードが増えたことにより、尿が酸性に傾きやすくなってしまう現象から、ここ数年で急激に増えてきました。
尿酸塩
猫の尿路結成の5%前後を占める、比較的稀な結石です。
痛風の原因になる尿酸(プリン体)と同じ成分です。
その他
シスチン、キサンチン、シリカ、リン酸カルシウム(ブルシャイト)、ピロリン酸塩、血液結石などがありますが、ほとんど見かけないほどまれな結晶です。
検査
尿検査
採取した尿を顕微鏡で観察し、尿中の結晶をみつけます。
結晶の形や尿のpHからどの種類の結晶か推測することができます。
画像検査(レントゲン検査、超音波検査)
結石が形成されている場合、この検査でみつかります。
画像検査では結石の種類までは特定できません。
尿培養検査
尿路結石のリスク因子の1つに細菌感染があります。
そのため尿検査と同時に培養検査を行うこともあります。
培養検査とは文字通り細菌を培養し、どんな細菌がいるのか、またどの抗生物質が効果があるのかを調べることができます。
治療
食事療法
低マグネシウム、低リン、尿pH調整、そして利尿を促すような工夫がされている「下部尿路疾患」用の療法食をたべさせます。
療法食で治療中は、他のフード、おやつ、牛乳などを与えないように注意しましょう。
必ず獣医師の指示に従ってください。
ストルバイトの場合、食事療法により平均4〜6週間で溶けると報告されていますが、それ以上かかる猫もいます。
ストルバイト結石と診断されたに関わらず、結石のサイズが小さくならない場合は混合型(他の成分が混ざっている)結石の可能性があります。
混合型かシュウ酸カルシウムの場合は結石が形成されると基本的には食事療法では溶けません。
結石自体は手術で除去する必要がありますが、今以上に結石を作らないような体質にする必要がありますので、手術前から適切な療法食に切り替えます。
ホームセンターなどで売られているキャットフードを見ると、大半のフードに「尿路結石ケア」「FLUTDケア」などの記載がみられますが、療法食ではない場合があるので注意が必要です。
ラベルを確認して「総合栄養食」と書いてあればそれは療法食ではありません。
あくまで尿路結石に配慮した総合栄養食であり、療法食と同様の効果は期待できませんので気を付けましょう。
膀胱炎に対する治療
①痛み止め
排尿時の痛みがあると、猫がトイレに行きたがらなくなり、膀胱内に尿が貯留している時間が長くなります。
すると、ますます尿路結石の形成を助けてしまいますので痛みを取り除くために投与します。
多くの痛み止めは抗炎症効果も兼ね備えています。
②抗生物質
もし尿路結石と細菌感染が併発している場合は、細菌が尿のpHを変化させ、結石が形成されやすい環境を作り出しますので抗生物質による治療が必要になります。
抗生物質の投与は数週間必要です。
抗生物質を長期間使いたくない、もう治ったからと自己判断で途中で投薬をやめてしまうと、耐性菌ができる原因になるので、自己判断で休薬せず、必ず獣医師の指示に従ってください。
外科的治療
結石が尿管につまって、カテーテルで除去できない場合や、溶けないタイプの結石または再発を繰り返し、生活の質を著しく下げている場合は外科手術の適応なります。
①尿路結石摘出術
膀胱を切開し、結石を取り除きます。
②会陰尿道造瘻術(えいんにょうどうぞうろうじゅつ)
雄猫の尿道の結石が一番詰まりやすい細い部分を切除し、再度結石ができても尿道に詰まることを防ぐ手術です。
ペニスも同時に切除します。
予後
一般的に尿路結石の予後は良好ですが、排尿ができなくなり尿毒症に陥ると命を落とすこともあります。
再発率が高い病気ですので、治療後も定期的なチェックと、食事療法を継続しましょう。
予防方法
尿路結石のリスク因子として、肥満と運動不足があります。
ダイエットも兼ねて運動を定期的にさせてあげましょう。
具体的には家の中で高低差を作ったり、おもちゃで遊ぶなどです。
また、トイレが汚いと尿を我慢してしまうので、常に清潔にしておきましょう。
もっとも大切なことは1年を通して飲水量を保つことです。
暑い夏は猫も比較的水を飲みますが、冬には一気に飲む量が減少するため、尿結石を起こしやすくなりますので、意識して水分を取らせるようにしましょう。
また、一度でも結晶や結石が発見された猫の場合は、一時的に療法食に変えて手術をしても、体質的に再発の可能性が高いため継続して食事管理をした方が良いでしょう。
さいごに
尿がキラキラしていたり、ザラザラしているという異常は、普段猫砂などをトイレに使っている場合には、気づきにくいかもしれません。
システムトイレなどの普及により、ペットシーツにした尿の跡に砂のようなキラキラしたものがある場合や、尿を失敗してしまった時などに発見することが多いと思います。
固まる猫砂の場合、血尿などの色の異常にも気付きにくいので、システムトイレで排尿排便を管理する方がメリットがあるでしょう。
ほとんどのシステムトイレは1週間ペットシートを替えないでも大丈夫なようになっていますが、反面、いつ異常な尿をしたのかがわかりにくいというデメリットもあります。
ペットシートを毎日交換する必要はありませんが、異常な尿が出ていないかはシートを毎日確認してあげるようにしてください。
尿石症は、ほうっておくと重症化してしまい、尿閉を起こせば命にかかわることもあります。
猫は他の動物よりも痛みに強いので、症状を訴えず、じっと静かに隠れてしまうことがほとんどです。
異常にいち早く気付くことができるように、普段から気にかけてあげることが必要です。
尿のキラキラは病気の大事なサインです。
見逃さずに早期発見、早期治療につなげることで、体や精神的負担を最小限に抑えてあげる事ができます。
「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」
という飼い主さんはとても多いです。
動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。
動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。
経済的な問題で愛猫の寿命を縮めないためにも愛猫が元気なうちにペット保険に加入することが大事になります。
でも「ペット保険っていうけど、どういう保険があるの?」という疑問も出てくるかと思います。
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