腎不全とは、何からの原因によって腎臓の機能が低下した状態のことを言います。
腎不全の中でも慢性腎不全は、高齢猫ではとても多く見られる病気です。
「慢性腎不全の飼い猫がいつものエサを食べなくなってしまった」
「療法食をあげてみたけれど食べてくれなかった」
このようなお悩みを抱えていらっしゃる飼い主様もきっと多いことでしょう。今回は慢性腎不全の猫が食欲不振になってしまった場合の対処法について詳しく解説したいと思います。
目次
猫の慢性腎不全ってどんな病気なの?
腎不全は何らかの原因によって腎臓の機能が低下した状態で、短時間で腎臓の機能が低下してしまうものを“急性腎不全”、長い時間をかけて腎臓機能が低下してしまうものを“慢性腎不全”と言います。
15歳以上の高齢猫の約30%は慢性腎不全を患っていると言われています。
猫の慢性腎不全とはどんな病気なのか、解説したいと思います。
原因
慢性腎不全は非常に多くの猫で見られる病気ですが、なぜ発症してしまったのかはっきりとした原因が分からないことがほとんどと言われています。
しかし中には原因がはっきりとしている慢性腎不全もあります。
一つは、急性腎不全の後遺症として慢性腎不全を発症した場合です。
急性腎不全は、薬物中毒や感染症、結石による尿路閉塞で引き起こされる病気で、適切な治療をしても亡くなったり、完全には腎臓の機能が回復せず慢性腎不全になることがあります。
もう一つは、ペルシャネコやアメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールドなどに見られる“多発性嚢胞腎”と呼ばれる遺伝性の腎臓病です。
この病気は腎臓に液体がたまった袋が無数にできることによって正常な腎臓の構造が破壊されていってしまう病気で、中齢(平均して7歳程度)の猫で慢性腎不全の症状が強く表れるようになります。
参照:獣医師解説。猫の慢性腎不全の原因や症状や治療とは?回復はするの?
症状
腎臓では体に不要な老廃物を排泄したり、必要な水分を再吸収したりする機能があるのですが、慢性腎不全になると腎臓が正常に機能しなくなってしまうため、老廃物が体にたまり水分を多く排泄してしまうようになります。
そのため、“多飲多尿”と呼ばれる「よく水をのみ、薄いおしっこをたくさん出す」という症状が表れるようになったり、元気や食欲が低下し徐々に体重が減少します。
また吐く回数が増えたり、毛づやが悪い、口臭がひどい、便秘もしくは便が固いなどの症状も見られることがあります。
⇒猫が多飲多尿に!原因は?病気のサイン?おしっこや飲水量の目安は?
⇒猫の尿量が多い!少ない!原因は何?病気のサイン?平均や正常値も解説
⇒猫の慢性腎不全の初期症状とは?悪化させないためにはどうしたらいい?
診断方法
血液検査
血液検査の中でも、BUN(尿素窒素)やCRE(クレアチニン)といった項目が上昇していたり、カリウムやリンといったミネラルの値が上昇している場合は、腎臓の機能低下を意味します。
また貧血がないかも重要です。
⇒猫が腎不全に?クレアチニンとBUNの数値は何を表してるの?
尿検査
尿比重といって尿の濃さを測定したり、タンパク質が排泄されていないかをチェックします。
慢性腎不全になると尿が薄くなったり、体に必要なタンパク質が尿中に検出されてしまうことがあります。
レントゲン検査や超音波検査
慢性腎不全は正常な腎臓に比べて小さくなっていることが多いです。
レントゲン検査よりも超音波検査の方が腎臓の大きさを評価しやすいですし、多発性嚢胞腎は超音波検査ですぐ分かる病気です。
治療法
残念ながら一度障害をうけた腎臓は残念ながら回復することができません。
ただ、治らないからといってそのままにしていてはもっと早く腎不全が進行していってしまうため、診断後はできるだけ早めに適切な対処をする必要があります。
具体的な治療法は慢性腎不全の進行度合いによっても異なりますが、食事療法はできるだけ早期に始めたい対処法です。
腎臓用の療法食は、タンパク質やリン、塩分などを制限しているため、腎臓に負担が少なくなります。
食事療法の他にも、活性炭などの吸着剤、ACE阻害剤という降圧剤、脱水改善のための輸液(点滴)といった対症療法を必要に応じておこなっていくことで、体の不調を和らげることができます。
日常生活での注意点
飼い猫が慢性腎不全と診断された場合の注意点について見ていきましょう。
十分な飲水を
脱水に陥ると腎不全をさらに悪化させてしまいますので、いつでも新鮮な水を飲めるように、ご自宅に複数の水飲み場を用意するようにしましょう。
また若い猫では特に尿路結石の発症リスクを高め、尿路閉塞から急性腎不全を引き起こすことがあります。
もともと水分をとる量が少ない猫は、ウェットフードを利用してもいいでしょう。
トイレを清潔に
猫はきれい好きなので、少しでもトイレが汚れていると排尿を我慢する猫もいます。
排尿回数が少ないと膀胱結石、尿道結石の発症リスクが高くなります。
トイレは複数設置し(目安は猫の飼育数プラス1個)、汚れたらこまめに掃除してあげるとよいでしょう。
環境の変化に注意
健康な時に比べ、急激な環境の変化で体調を崩すことがありますので、できるだけ生活環境を変えないようにしましょう。
猫を多頭飼育している場合は、病気の猫が寝やすい位置にお気に入りの寝床を確保するということも大切です。
慢性腎不全の猫が食事を食べない場合の対処法とは?
慢性腎不全も末期になると、猫の食欲が落ちてくることがよくあります。
このような時は、動物病院で血液検査を受け適切な治療を受けることが必要になってくるわけですが、「治療しても食欲がイマイチ」、「少しでも長く自宅で看てあげたい」という飼い主の方に向けて、ご自宅でも行える対処法をご紹介したいと思います。
療法食のメーカーを変えてみる
「元気もそこそこあって食事を催促するけど食べない」場合であれば、いつもの食事への“飽き”が原因であることもあります。
グルメな猫に対応すべく、ペットフードメーカーもいろいろな種類の腎臓用療法食を販売していますので、いろいろなメーカーのものをローテーションで与えるというのも一つの方法です。
Amazonなどの通販で購入することもできますし、少しだけ試してみたい方は動物病院でサンプルを貰ったり、バラ売りで購入することもできるので相談してみましょう。
ロイヤルカナン
ドライフードだけで3種類(腎臓サポート、腎臓サポートスペシャル、腎臓サポートセレクション)、パウチタイプのウェットフードで2種類(腎臓サポートパウチ、腎臓サポートフィッシュテイスト)があります。
ヒルズコルゲート
ドライフードは1種類(k/d)のみですが、缶詰タイプのウェットフードで4種類(チキン、ツナ、チキン&野菜入りシチュー、ツナ&野菜入りシチュー)もあります。
エランコジャパン
ドライフード2種類(チキンテイスト、フィッシュテイスト)があります。
食事を温める
ウェットフードをあげているなら、電子レンジで少し温めてあげるとニオイが強くなるので、食欲を刺激することができます。
療法食にこだわらない
慢性腎不全も末期になると食欲が著しく低下します。
食事をとらない時間が長くなると体力も落ちますし、猫は絶食の期間が長いと「肝リピドーシス」と言われる肝臓病になることがあります。
療法食を嫌がってしまう場合は一般食でもいいので嗜好性の高いフードに切り替えましょう。
また食べる量が非常に少なくなってしまった場合は、少量でも栄養価が高い缶詰フード(ロイヤルカナン社の退院サポート缶、ヒルズコルゲート社のa/d缶)を与えてみるのもいいでしょう。
さいごに
慢性腎不全は経過の長い病気で、症状が全くない時期もあれば、末期になれば積極的な治療が必要になってきます。
定期的に動物病院で検査を行い、その時々で対処法を見直すことも大切になりますよ。
「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」
という飼い主さんはとても多いです。
動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。
動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。
経済的な問題で愛猫の寿命を縮めないためにも愛猫が元気なうちにペット保険に加入することが大事になります。
でも「ペット保険っていうけど、どういう保険があるの?」という疑問も出てくるかと思います。
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