泌尿器の症状

猫の下部尿路疾患ってどんな病気?症状や治療、フード(餌)について解説

投稿日:2017年9月17日 更新日:

 

「猫の下部尿路疾患ってよく聞くけど、どんな病気なの?」

「下部尿路疾患になるとどんな症状が出るんだろう?治るのかな?」

「下部尿路疾患になったら、キャットフードも変えなきゃダメかな?」

このような疑問はありませんか?

猫では下部尿路疾患はよくみられるため、一度は耳にしたことがある方が覆うのではないでしょうか。

今回は、猫温下部尿路疾患について、症状や治療について解説します。

猫の下部尿路疾患とは?

猫を含む哺乳類の尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱に溜められ、尿道を通じて体の外に排泄されます。
この一連の流れに関わる尿路のうち腎臓から尿管までを「上部尿路」、膀胱から尿道までを「下部尿路」と言います。
猫の下部尿路疾患(FLUTD)とは、膀胱から尿道までの下部尿路に起こる病気の総称です。

猫の下部尿路疾患の原因

猫の下部尿路疾患は、膀胱や尿道にできた結石や尿道栓子、細菌感染などが原因で引き起こされますが、猫では原因不明の「特発性膀胱炎」、「尿路結石症(尿石症)」が多いと言われています。

特発性膀胱炎

猫で最も多い原因は特発性膀胱炎で、全体の半分を占めると言われています。
“特発性”とは原因不明であるという意味で、細菌感染や尿石が認められない膀胱炎のことです。
膀胱粘膜上皮のバリア機能の低下、ストレス、免疫性の要因が関与しているのではないかと言われています。

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尿路結石(尿石)

猫下部尿路疾患の約20%を占めるのが尿路結石です。
尿中のミネラル、脱落した細胞、細菌など核となり結晶を形成したものが、さらに結合して石のようになります。
結石の生成される部位によって、「膀胱結石」「尿道結石」「腎臓結石」「尿管結石」と呼ばれています。
尿路結石にはストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム、尿酸、尿酸アンモニウム、シスチンなどの種類がありますが、猫でよくみられるのは前者の2つです。

ストルバイト結石

比較的若い猫で多くみられ、「リン酸アンモニウムマグネシウム」とも呼ばれる尿中のリン酸塩、マグネシウム、アンモニウムが結晶化したものです。
マグネシウムの過剰摂取、尿のアルカリ化によって形成されやすくなります。

シュウ酸カルシウム結石

主に老齢の猫でみられ、尿の酸性化やマグネシウムの摂取不足により形成されやすくなります。

どんな猫が下部尿路疾患になりやすい?

それぞれの猫が生まれ持った体質によるものも大きいようですが、それ以外にどのような猫が下部尿路疾患にかかりやすいのでしょうか。

飲水量が少ない

元々、砂漠などの乾燥地帯に住む猫にとって水は大変貴重でこまめに飲むことができないため、あまり積極的に水分を摂らないという習性があります。
飲水量が少ないと、尿が濃縮されて尿結晶や尿石ができやすくなります。
なお、猫はできる限り体内で水を再利用しようとするため、腎臓で尿を濃縮して濃い尿を少量出す傾向にあり、余計に尿石症のリスクが高まります。

食事

マグネシウムなどのミネラル分の多い食べ物を与えていると、尿石ができやすくなります。
また、通常猫の尿は弱酸性ですが、食べ物の影響で尿がアルカリ性になるとストルバイト結晶が、酸性に傾くとシュウ酸カルシウム結晶ができやすくなります。

性別

メス猫でも起こりますが、オス猫は尿石ができることで重症化する可能性があります。
オスの尿道はメス猫に比べて長く、さらにスプレー行動がしやすいように先端が細くなっているために尿石が詰まりやすくなります。
特に去勢されたオス猫での発生が多いと言われています。

年齢

年齢を問わずリスクはありますが、7歳以下の若い猫ではストルバイト結石、7歳以上の猫ではシュウ酸カルシウム結石ができやすいと言われています。

肥満

肥満した猫では、尿道が細くなるためリスクが高くなると言われています。
また、あまり活動的でない猫が多いため、こまめに水を飲みに行かないのも原因と考えられます。

猫の下部尿路疾患の症状

尿が出にくくなることが主症状で、それに伴って下記の様な症状がみられます。

頻尿

頻繁にトイレに行くようになったり、トイレ以外の場所で排尿しようとします。
排尿姿勢をとるものの尿が少量しか出なかったり、全くでないことがあります。

キラキラした尿

尿中の結晶が乾燥してサラサラとしたものが残るようになったり、キラキラと光って見えることがあります。
また、オス猫のペニスに結晶がついていることもあります。

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血尿

膀胱や尿道が傷いて出血するため、尿に血液が混じったり、真っ赤な血尿が出ることがあります。

排尿時に鳴く

排尿時の痛みから辛そうになくことがあります。
また、お腹の辺りを触られるのを嫌がることもあります。

尿道閉塞

尿道に結石が詰まり、排尿がしづらくなったり、全くでなくなることがあります。
排尿できないまま放置すると、猫は急性腎不全になり食欲低下や嘔吐、体温低下などの尿毒症の症状があらわれ命に関わります。

猫の下部尿路疾患の治療

下部尿路疾患の治療は、どのような状況に陥っているかによって異なります。

尿路閉塞の治療

尿路閉塞の解除

尿道が尿石や尿道栓子で閉塞している場合には、すぐに排尿させるための緊急処置が必要となります。
麻酔薬または鎮静薬を投与した後、尿道口からカテーテルを挿入して閉塞を解除して尿道および膀胱の洗浄を行います。
尿道閉塞を繰り返していたり、症状が重い場合には、しばらくカテーテルを入れたまま排尿させたり、尿道を短くする手術を行うこともあります。

腎不全の治療

急性腎不全に陥っているようであれば補液などの治療を合わせて行います。
排尿障害が起きて2~3日経っている場合には、尿毒症を起こしているケースが多く危険な状態であるため入院治療を行うこともあるでしょう。

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尿結石の摘出

膀胱内に尿結石がある場合、結石の種類によっては外科手術によって摘出したり、食事療法や輸液療法などの内科的治療で結石を溶解させたりします。
ストルバイト結石は尿を酸性化することで溶解しますが、シュウ酸カルシウム結石は溶解しないため大きさによって摘出手術を行うか検討されます。

膀胱炎の治療

細菌感染による膀胱炎の場合には、抗生剤や止血剤の投与を行います。

特発性膀胱炎の治療

特発性膀胱炎は自然治癒することもありますが、再発を繰り返すことも多い病気です。
有効な治療法はまだ明らかになっていませんが、膀胱の炎症や痛みに対して投薬などの内科療法が行われることもあります。
また、ストレスも大きくかかわっていると考えられるため、飼育環境の見直しなどストレス対策をすることも大切です。

猫の尿路結石ができにくいフード(餌)って?

尿路結石の治療には食事療法が非常に重要で、各メーカーから下部尿路疾患に対する療法食も数多く販売されています。
商品によって与える期間に制限があるものもありますので、必ず猫の状態、尿石の種類に合わせたフードを獣医師に処方してもらいましょう。
また、市販のキャットフードでも下部尿路疾患に配慮したものが多数販売されていますので、予防のために検討してもいいでしょう。
では、猫の下部尿路疾患に配慮したフードにはどのような特徴があるのでしょうか。

ミネラル分の調整

マグネシウムやカルシウム、リンを制限されています。
ただし、「ミネラル分=毒」というわけでなく、骨格など全身の組織にとって必要な栄養素でもありますので、適量を与えなければなりません。
マグネシウムは100kcalあたり25mmg以下で予防効果があると言われています。

尿のpH調整

ストラバイト結石と確認された場合には、尿の酸化剤が添加されたフードを数か月間与えることで、結石を溶解させます。
アルカリ性だとストラバイト結石、酸性ではシュウ酸カルシウム結石ができやすくなるため、尿のpHを弱酸性の正常範囲になるように調整されたフードがおすすめです。

予防するためには?

猫の下部尿路疾患を予防するためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。

飲水量を増やす

水分を多くとることで、尿量が増えて尿も薄まります。
飲水量を増やすために、常に清潔な水を部屋のあちこちに用意しましょう。
なかなか水分を摂ってくれない猫では、70%以上の水分を含むウェットフードに変更することで、食事中から水分を摂取することができます。

トイレを清潔に

膀胱内に尿が溜まっている時間が長いと、結晶化するリスクも高まります。
きれい好きな猫はトイレが汚れていると、排尿を我慢してしまうことがありますので、常に清潔なトイレを提供できるように留守がちの方は複数のトイレを用意してあげましょう。

おやつはあげない

せっかく下部尿路疾患に配慮したフードを与えていても、ニボシやカツオブシなどのおやつに含まれるミネラル分が原因で尿石症になってしまうこともあります。
治療中の猫は特に注意して、獣医師に処方されたフードだけを与えましょう。

体重管理を

肥満にならないように、食事の量や運動量を管理してあげましょう。

さいごに

猫の下部尿路疾患は、尿道閉塞につながる救急疾患でもあります。
猫の尿が24時間以上出ていないことに気が付いたら、すぐに動物病院を受診してください。
再発することもよくある病気ですので、獣医師の指示に従いしっかりと食事管理などの予防を続けましょう。
結石になる前の段階で尿の異変に気づけば、猫の負担も少なくなります。
排尿の様子や尿の状態をこまめにチェックするとともに、定期的な尿検査で尿結晶ができていないかを確認してもらいましょう。





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