泌尿器の症状

猫の尿毒症の症状や原因、治療法とは?末期症状や余命も解説

投稿日:2018年5月23日 更新日:

 

猫の尿毒症とは、どんな病気かご存じでしょうか?

高齢猫には慢性腎不全という病気が非常に多いのですが、その中でも末期になると、尿毒症と呼ばれる状態に陥ります。

「猫が尿毒症と診断されたけど、どんな治療法があるの?」

「尿毒症の猫が痙攣(けいれん)しているけど、これは末期症状?」

このような疑問をお持ちの飼い主の方もたくさんいらっしゃるかと思います。
そこで今回は「猫の尿毒症」をピックアップして、多くの飼い主の方が抱かれる疑問にお答えしたいと思います。

尿毒症はなぜ起こるの?

前述の通り、尿毒症とは腎不全の末期症状のことを言います。
腎不全とは何らかの原因によって腎臓の機能が低下した状態のことです。
短時間で腎臓の機能が低下してしまうものを“急性腎不全”、長い時間をかけて低下してしまうものを“慢性腎不全”と言います。
急性腎不全は、重度の脱水や出血、心不全、中毒(薬物では非ステロイド性鎮痛剤、植物ではユリが多い)、感染症の他、尿管結石や尿道結石などによって引き起こされる腎不全です。
慢性腎不全は高齢の猫に日常的に見られる病気ですが、遺伝的な要因が関係している多発性嚢胞腎以外は、なぜ発症してしまったのかはっきりとした原因が分からないことがほとんどと言われています。
なお、猫の慢性腎不全はCRE(クレアチニン)という数値によって4つのステージと、血圧と尿中のタンパク質の量によって更に細かいサブステージに分類されるのですが、この中で尿毒症は“ステージ4”に含まれます。

獣医師解説。猫の慢性腎不全の原因や症状や治療とは?回復はするの?

猫の慢性腎不全の末期症状とは?余命はどのくらいなの?

尿毒症になるとどんな症状が出る?

発生した原因に関わらず尿毒症になると、元気食欲不振や嘔吐、むくみ、意識の低下、痙攣(けいれん)といった症状が出てくるようになります。
また“乏尿(ぼうにょう)”や“無尿(むにょう)”という、尿が作られない状態になることがあり、そうなってしまうと排尿という行為が見られなくなります。

尿毒症になるとどんな項目で異常な数値が見られる?

尿毒症になると、血液検査でいわゆる腎パネルと呼ばれる、BUN(ビーユーエヌ、尿素窒素)やクレアチニンという項目で異常に高い数値が見られます。
それら以外にもカリウムやリンなどのミネラルが異常に高くなっていることもあります。
なお、尿毒症の診断には血液検査だけでなく、その原因を探るために全身的な検査(レントゲン検査や超音波検査、血圧測定、尿検査など)を合わせて行うことが多いです。
レントゲン検査や超音波検査では腎臓の大きさや構造、結石がないかなどを確認しますし、尿検査では正常では見られないはずのタンパク質が確認されないかどうかを調べます。
また腎臓の障害の程度によっては高血圧を引き起こしますので、それが見られないかなどをチェックし、治療法が決められます。

尿毒症になった場合の治療法は?

尿毒症の治療法は、腎不全が急性なのか慢性なのかによって異なりますし、急性腎不全であればその発生原因によっても変わっていきます。

まずは急性腎不全の治療からご説明しましょう。
出血が原因の場合は点滴や輸血を行い、尿道結石や尿管結石が原因であれば結石を移動させるか摘出する必要があります。
もし薬物や植物による中毒であれば、点滴や透析といった治療を行います。
いずれの原因にしても急性腎不全は命に関わる危険な病気であり、治療を行ったとしても腎臓機能が戻らなくなってしまい亡くなってしまうこともあります。
また命が助かったとしても、その後慢性腎不全へ移行する可能性もあるため、長期的に治療が必要なケースも珍しくありません。

次に慢性腎不全の治療法ですが、一度失った腎臓の機能は元に戻らないため、残念ながら尿毒症まで進行してしまった腎不全の場合、検査結果や症状に応じた対症療法が主体となります。
具体的には、脱水や体のミネラルのバランスを整えるように点滴を行ったり、吐き気が強い場合は制吐剤や消化管の運動を助ける薬を投与したりします。
また食欲不振が強く食事を十分に採れない場合は、高カロリーの食事を強制的に与えることもあります。
慢性腎不全による尿毒症に対して、飼い主の方がより積極的な治療を望まれる場合は透析や腎移植を行うこともありますが、残念ながら実施できる動物病院は限られています。

尿毒症から回復することはある?余命はどのくらい?

尿毒症と診断された猫の飼い主様の多くは「あとどのくらい生きられるのだろう?」と疑問に思われるかと思いますが、余命を推測するのはなかなか難しいものです。
尿毒症の原因は何なのか?
発症してからどのくらい経つのか?
どのくらい腎機能が残されているのか?
飼い主の方がどんな治療を希望するか?
これらの要素によって余命は大きく左右されます。
それを示すデータを一つご紹介しましょう。

これは日本ではなく海外の猫での研究ですが、猫の慢性腎不全の余命について調べた報告です。

・ステージ2:生存期間の平均が約3年(最長が約8年)
・ステージ3:生存期間の平均が約2年(最長が約6年)
・ステージ4:生存期間の平均が約3ヵ月(最長が約5年)

ご覧いただいてお分かりかと思いますが、各ステージにおいて生存期間に大きくバラツキがあります。
尿毒症はステージ4に該当しますが、他のステージに比べ極端に生存期間が短い反面、年単位で頑張っている猫もいるということが分かります。
「尿毒症だから、ステージ4だからもうダメなんだ」と思い込まず、しばらく治療を続けてみるのも一つの選択ではないかと思います。

猫の腎不全のステージとは?ステージ別の余命や生存率はどのくらいなの?

尿毒症の最期に痙攣(けいれん)が起こることがあるのはなぜ?

なぜこのような症状がでるのかというと、尿毒症とはその名の通り、体の中に有害な老廃物(つまり毒)が蓄積してしまう病気です。
その毒性物質が脳を刺激したり、脳の正常な活動を阻害することを“尿毒性脳症”といい、症状のひとつとして痙攣が引き起こされます。
尿毒症性脳症は痙攣以外にも、意識レベルの低下(呼びかけに反応しない、触っても反応がないなど)、チックのような症状が認められることもあります。
もし積極的に腎不全の治療を行っているにもかかわらずこのような症状が見られているとすれば、残念ながら非常に状況は深刻であると考えられます。

どのような状況になったら治療を諦めるべき?

頑張っていろいろな手を尽くしても、残念ながら思うような治療効果が得られないということはあります。
どのタイミングで治療を打ち切るかというのは我々獣医師としても非常に悩ましい問題です。
あくまで筆者の個人的な考えですが、あらゆる方法を試してみたけれど猫の症状も検査数値も改善が見られないのであれば、治療を中止して大好きな自宅でのんびり過ごさせてあげる、というのも一つの選択ではないかと思います。
また、もしそのような状態になっても、飼い主の方がなかなか治療をやめる決断が出来ないのであれば「手を尽くしてやりきった」と感じるまで治療を続けられてもよいと思います。
どちらを選択しても、愛猫のために悩み抜いて出した決断であればそれが正解なのではないかと考えています。

獣医師解説。猫の慢性腎不全の最期の延命治療や看取り方について

さいごに

腎不全を治療する中で、「通院後に猫が部屋の隅に引きこもってしまう、疲れ切ってずっと寝てしまう」などの通院ストレスを心配される飼い主の方も多いと思います。
そのような場合は、自宅での点滴に切り替えるなど、できるだけ通院回数を減らしてあげる工夫をしてみるといいでしょう。
動物病院によっては点滴の手技を飼い主の方にレクチャーしてくれたり、在宅治療をサポートしてくれますので、一度相談してみてはいかがでしょうか?





愛猫のために知ってほしいこと


「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」

「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」

という飼い主さんはとても多いです。

動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。

動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。

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