口腔の病気

猫の歯周病まとめ。治療法や費用は?薬や抜歯や原因や症状についても解説

投稿日:2018年6月21日 更新日:

 

「猫の口が臭いけれど、もしかして歯周病?」

「猫が歯周病になってしまったら、動物病院ではどんな治療をするの?」

「猫が歯周病になったら抜歯しなければいけないって本当?」

このような疑問はありませんか?
猫には時折、口の中のトラブルに見舞われます。
特に歯周病や口内炎(歯肉口内炎とも言う)はよく見られる病気で、3歳以上の猫の8割が歯周病にかかっていると言われています。
今回は猫にみられる歯周病をピックアップして、原因や治療法、治療費用、猫の歯のケアの仕方などなど、とことん詳しく解説していきたいと思います。

猫の歯周病の原因や症状、診断方法とは?

まずは、猫の歯周病とはどんな病気なのか、歯周病の原因や症状、診断方法について解説していきましょう。

歯周病とはどんな病気?

歯周病とは、歯肉が炎症を起こした“歯肉炎”と、歯周組織が炎症を起こした“歯周炎”を総称した病気です。
歯周病が悪化して歯を支えている歯槽骨まで炎症が広がってしまうと、“歯槽膿漏(しそうのうろう)”と言い、歯周ポケットに膿みがたまるようになり、歯が抜けてしまう原因となります。
さらに病態が進行すると、歯槽骨がもろくなってしまい、ちょっとした衝撃で顎が骨折することがあります。
歯周病は人間同様に、歯周病を放置すると全身の臓器に影響して、肺炎など様々な病気の発症や進行のリスクとなるため、できるだけ早めに適切な治療を受ける必要があります。

歯周病の原因とは?

フードの食べかすや毛づくろいした毛、唾液の成分などから“歯垢”ができ、それが固まると“歯石”となります。
歯周病は、この歯に付着した歯石の中で細菌が繁殖し、毒素を出すことで引き起されます。
ほとんどの猫は毎日歯磨きをされていないこと、かつ、猫は人間に比べ歯石になるスピードが3倍早いため、歯周病にかかりやすいと言われています。
さらに、猫白血病や猫エイズになっている猫は元々免疫力が弱いため、発症のリスクがより高くなります。

歯周病の症状とは?

軽度の歯肉炎であれば無症状であることもありますが、病状が進行するといろいろな症状が見られるようになってきます。
猫の歯周病の症状をまとめてみましょう。

歯肉が赤い

初期の歯肉炎であれば、軽度の歯石の付着に伴い“歯肉の赤み”が見られます。
そして歯周炎へと進行してくると、歯肉の赤みが悪化し腫れも見られるようになります。

口臭がする

細菌が増え、口の中に炎症が起きているせいで口臭が強くなります。

よだれが増える

歯周病の悪化に伴い、歯肉口内炎を引き起こすことがあります。
だらだらと唾液が垂れていなくても、猫の口角が常に濡れているようなら、よだれが出ている状態と言えます。
常によだれが垂れている場合は、猫の手や足の毛がベトベトになって固まったりするようになります。

口の中を痛がる

猫は自分から「口が痛い」と訴えることはできないので、口の中が痛い時にみられる行動から察する必要があります。
具体的には、手で口の中を掻こうとしたり、口を頻繁にクチャクチャしたりする仕草が増えます。

フードが食べづらい

口の中が痛いため、食べたいのに食べられない、ドライフードを吐き出しながら食べづらそうに食べている、缶詰しか食べない、などの症状が見られることがあります。

毛づくろいをしない

口が痛くて毛づくろいができなくなると、毛玉が出来たり、毛が固まってバサバサになったりします。

猫の歯が伸びてきたようにみえる

猫の犬歯、いわゆるキバを支えている骨に炎症が起こると、まるで歯が伸びてきたのではないかというくらい目立って見えるようになります。

顔の皮膚や鼻から血、膿がでる

歯槽膿漏になると顎の骨まで炎症が進んでいき、顔が腫れるようになることがあります。
さらに腫れた一部の皮膚に穴が開き、そこから血や膿が出るようになります。
これを“外歯瘻(がいしろう)”と言います。
多くの飼い主の方は「この症状の原因が歯であること」に気付いていません。

歯周病の診断方法とは?

歯周病の診断にはまずは歯石がどのくらいついているのか、歯肉や歯がどのくらいダメージを受けているのかを眼で確認し、歯周病なのか他の病気の可能性はないのかなどをおおまかに判断します。
その後、人間同様にX線検査(レントゲン検査)を行っていきます。

歯科用X線検査

どのくらい歯周病が進行しているか、どの歯を治療しなければならないのかなどの詳細な診断のためには、歯を支える骨を評価できる歯科用X線検査(もしくはCT検査)を行う必要があります。
猫の場合、歯科用X線検査は全身麻酔をかけなければなりませんので、後述する歯科治療と同時平行して行っていきます。

麻酔前検査

歯周病になってしまい全身麻酔下での治療が必要となった場合、重要なのは「猫が全身麻酔をかけても大丈夫な状態なのか?」という点です。
事前に麻酔前検査として、血液検査、胸のX線検査を行い評価する必要があります。

猫の歯周病の治療法や治療費用について解説

我々人間は歯医者に行ってもおとなしく口を開けて治療を受けることができますが、猫はそうはいきませんので全身麻酔が必要になります。
そもそも猫は口が小さく見えづらいですし、症状が強く出ているケースでは口を痛がって触らせてくれないことが多いです。
では全身麻酔をかけて、動物病院ではどのように歯周病を治療するのでしょうか?
治療法や処置後のケア、治療費用について解説していきたいと思います。

歯周病の治療方法

まずは専用の器具をつかって歯に付着している歯石を除去します(スケーリング)。
口の中がある程度きれいになったら、X線検査を行いながら歯肉の状態や歯の状態を評価し、痛みの原因になっている歯を抜歯していきます。
温存できる歯は出来る限り残していくようにしますが、それでも抜歯は避けられないことも多いです。
重症例の場合、臼歯の大部分を抜歯しなければならない程病気が進行していることもあります。
最期に歯を抜いたところの歯肉を自然吸収される糸で縫合し、残った歯を研磨剤できれいに磨いて治療終了となります。
かかる時間としては、軽度の歯周病であれば、30〜1時間くらいの処置ですが、重度になれば2時間以上に及ぶこともあります。

猫の歯石除去を動物病院でしてもらうと費用はいくらかかる?保険は使えるの?

処置後のケア

抜いた歯の数が多ければ多いほど処置後は痛みを伴いますが、数日程度で回復していきます。
内服させるのも辛いと思いますが、頑張って処方された内服薬(抗生物質や鎮痛剤)を飲ませるようにしましょう。
抜歯後2週間程度はドライフードではなく、飲み込みやすいペースト状の缶詰を与えるようにします。
2週間くらい経過するとだいぶ猫の症状も落ち着いてくると思いますので、残された歯を磨くようにしましょう。

歯周病の治療費用の目安はどのくらい?

我々人間の場合は1回数千円程度で頻回の通院が必要になりますが、猫の場合は全身麻酔下の手術で、かつ1回の処置で一通りの治療を終えるようにしなければならない分、金額も高くなります。
(※注:ここでは平成27年に日本獣医師会が調査した「診療料金実態調査」を元に解説しますが、動物病院は自由診療のため、各病院によって診療料金の設定が異なります。
詳細な金額を把握しておきたい方は、治療を受ける動物病院にあらかじめ見積もりをいただくようにしましょう。)
まずは歯石除去の料金ですが、上記の調査によると「平均は9千円弱」となっていますが、最低でも1万円、重症なら2万円くらいするかもと考えておいた方がいいでしょう。
次に抜歯の料金ですが、「平均は3千5百円弱」となっていますが、病院によって料金設定にかなり幅があります。
抜歯料金は本数や抜歯の難易度に大きく左右されてしまいますが、重症であった場合は、抜歯だけでも数万円かかると心積もりしておいた方がよいでしょう。
その他にも、術前検査料金や麻酔料金、処置後の内服費用が別途かかります。
以上を踏まえて、スケーリングだけで済むような軽度の歯周病でも数〜5万円程度、重症であれば10〜15万円前後くらいかかると思って頂いたらいいでしょう。

猫の歯周病の予防ケアってどうやればいい?

歯周病の原因となる歯垢をとるためにはやはり毎日の歯磨きが必要です。
できるだけ子猫のうちから口を触るようにしておくことが好ましいですが、大人の猫も少しずつ慣れさせてみましょう。

猫の歯磨きってどうやるの?

いきなり歯を磨こうとしても猫は驚いてしまいますので、まずは頬や口周りを指で触ってみたり、唇をめくってみます。
上手に触らせてくれるようになったら、沢山ほめてあげたり、猫が喜ぶごほうび(おやつ等)を与えてみましょう。
慣れてきたら歯磨きにトライしますが、猫の口は小さいので犬のように人間の指を使って磨くことは困難ですので、綿棒や市販されている乳児用の歯ブラシを使用します。
歯ブラシや綿棒は必ず水か歯磨きペーストで濡らし、細かく左右に動かします。
最初は犬歯1本でも構いませんし、歯磨きが難しいようなら、歯磨きペーストを歯にチョンと塗るだけでもいいです。
「歯磨き=痛いこと、嫌なこと」と思わせないように、少しずつ進めていってください。
歯周病になりやすいのは臼歯(いわゆる奥歯)ですので、歯磨きになれてきたら徐々に色々な歯を磨いてみましょう。
ちなみに歯周病が進んだ状態では、歯磨きをしても口をさらに痛めることになりますので、まずは治療を優先しましょう。
そして治療が終わって症状が落ち着いた後から歯磨きを開始されることをおすすめします。

獣医師解説。猫の歯磨きのやり方は?歯磨き粉は必要?

歯磨き粉は使用した方がいい?

水で磨いてもいいですが、歯磨きペーストを使用した方が歯石は付きにくくなります。
当然のことながら、人間用の歯磨き粉にはメントールなど犬猫には不向きな添加物が含まれていますので、犬猫用に販売されているものを使用しましょう。
動物病院では、「オーラティーン デンタルジェル」や「CET 歯みがきペースト」を取り扱っているところが多いでしょう。
アマゾンなどの通販サイトでも購入できるようですが、実際の使用感を知りたい方は動物病院で相談してみて下さい。

猫の歯周病に関してよくある疑問にお答えします

飼い猫が歯周病と診断された飼い主の方の多くが抱かれる疑問をピックアップして解説していきます。

猫は虫歯にならないの?

猫には歯周病はよくある病気ですが、実は虫歯にはなりません。
その原因は、猫の口の中はアルカリ性であるため、酸性の環境を好む虫歯菌が繁殖しにくいからと言われています。
その一方で、猫にはまるで虫歯のように歯が欠けてしまう「歯の吸収病巣」という病気があります。
この病気には別名が多く、「歯頚部吸収病巣」と言ったり、「破歯細胞性(はしさいぼうせい)吸収病巣」や「ネックリージョン」とも呼びます。
この病気の特徴は、病気のなり始めに歯と歯茎の境目(歯頚部)に穴が空いて、まるで虫歯のような見た目になるという点です。
この時、歯の神経がむきだしになるため痛みをともなうと言われています。
また外からの見た目では分かりませんが、歯茎の中では歯の根っこ(歯根)が顎の骨(歯槽骨)と一体化していきます。
さらに進行していき歯肉より上の部分の歯(歯冠)が全て吸収されると、痛みも感じなくなっていきます。
そして歯冠がないところは歯肉で覆われてしまうため、一見すると歯がなくなって見えるようになります。
非常に多くの成猫に見られる病気で、高齢になるにつれ発生は増加します。

猫の歯は抜いてしまって大丈夫なの?

狩りをして生活している野生の猫であれば当然歯がなければ生きていけませんが、通常のキャットフードを食べている家猫であれば生活上の問題はありません。
むしろ抜歯によって歯を失うことよりも、歯周病でフードを食べられなくなることの方がデメリットは大きいでしょう。

歯周病は薬(抗生物質)の内服で治療することはできないの?

歯周病の猫に抗生物質を内服させると、症状が軽減することがありますが、あくまで一時的なものになります。
抗生物質は歯石の中までは行き届きませんので、歯周病を完治させることはできません。
また長い期間内服しつづけると“耐性菌”を作り出し、薬の効果がなくなってしまうことがあります。
やはり歯周病の根本的な治療は全身麻酔下での歯石除去や抜歯になります。
抗生物質を使うのは、麻酔下での歯周病の治療前の短い期間や重度の腎不全などの持病があって麻酔をかけられない状態などの場合に限定されることが多いでしょう。

歯周病予防に乳酸菌サプリメントって効果があるの?

最近、人間用には歯周病予防用に乳酸菌サプリメントがたくさん販売されていますので、猫にも同じような効能があるのではないか?と考えられる方も多いかと思います。
動物医療においては、乳酸菌のような「プロバイオティクスの有用性」については、まだまだ研究が始まったばかりですので、猫にも同様の効能が得られるかはハッキリとしていないというのが実情です。
サプリメントは大変簡便な手段ですが、歯周病予防には歯磨きが一番効果的ですので、まずは「歯磨きを習慣づけること」を優先しましょう。
その上でサプリメントを補助的に使用するというのも選択肢の一つではないかと思います。

猫が歯周病になってしまってフードを食べられない時どうしたらいい?

歯周病や歯肉口内炎になると、猫は口の中が痛くてフードを食べられないこともよくあります。
食事をとらない時間が長くなると体力も落ちますし、猫は絶食の期間が長いと「肝リピドーシス」と言われる肝臓病になることがありますので、できるだけ早くスケーリング、抜歯等の治療を受けることが大切です。
ここでは治療までの間、ご自宅でどんなケアができるかについてご説明しましょう。
ドライフードが固くて噛みにくそうにしているのであれば、ウェットフード(缶詰)に切り替えてみましょう。
またウェットフードは電子レンジで少し温めてあげるとニオイが強くなるので、食欲を刺激することができます。
また食べる量が非常に少なくなってしまった場合は、少量でも栄養価が高い缶詰フード(ロイヤルカナン社の退院サポート缶、ヒルズコルゲート社のa/d缶)を与えてみるのもいいでしょう。

さいごに

歯科治療には歯科用X線検査が必要と解説しましたが、残念ながら一部の動物病院にしか導入されていません。
CT検査や単純X線検査で代用されることも多いですが、どうしても診断精度は劣ってしまいます。
また、猫の抜歯は時に難易度が高く、高度な技術力を必要とします。
このような事情を背景に、最近は動物病院の中でも特に歯科治療に力を入れている専門病院が増えつつあります。
私達人間が口の中にトラブルが起きたら普通の病院ではなく歯医者に通っているように、犬猫も将来は“歯科専門動物病院”に通うのが当たり前になっているかも知れませんね。

関連記事になります。合わせてご覧ください。

猫の歯石除去は自分でできるの?取り方のコツとは?





愛猫のために知ってほしいこと


「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」

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