これまで、猫と触れ合って、自分の皮膚が痒くなったり、赤みや発疹ができたりしたことはありませんか?
もしかしたら、知らないうちに猫の皮膚病に感染していたのかもしれません。
猫の皮膚病すべてが人間に感染するわけではありませんが、人に感染する皮膚病もあります。
代表的なものに、ノミやマダニ、疥癬(かいせん)、皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)などがあります。
猫を飼う以上絶対に知っておいた方がいい感染症として今回は疥癬と皮膚糸状菌について解説していきたいと思います。
目次
疥癬症(かいせんしょう)
疥癬症の原因
ネコショウセンコウヒゼンダニによる感染症です。
ヒゼンダニは、目に見えないほど小さなダニで、猫の体表に寄生し、表皮を食べて生活します。
メスダニは皮膚の中にトンネルを掘り、そこに産卵します。
卵は、3~10日でかえり、成ダニに成長します。
ヒゼンダニは宿主(しゅくしゅ:寄生される生物のこと)を離れると1~2日しか生きられませんが、伝染力はとても強く、簡単に感染します。
人間にも疥癬症はありますが、それは人間特有のヒゼンダニの寄生によるものです。
猫に寄生するヒゼンダニは、人間に寄生するヒゼンダニとは違います。
ただし、猫のヒゼンダニが人間に一時的に感染することがあります。
しかし、寄生することはありません。
ヒゼンダニは、本来寄生する動物以外に寄生しても繁殖を行うことができません。
つまり、猫に寄生するヒゼンダニは猫の体でしか繁殖はできないため、人間の体に一時的に寄生しても増えることなく死んでしまいます。
感染する動物
ネコショウセンコウヒゼンダニは、基本的には、猫を主な宿主としますが、まれに人に寄生することがあります。
猫同士の感染経路
感染している動物から落ちたヒゼンダニがいる場所に、散歩などで別の動物が通ることによって感染したり、感染動物との接触で感染します。
また、感染動物のケージや首輪、リード、ブラシなどからも感染します。
猫から人への感染経路
感染した動物を抱いたりして直接接触した時に、人に感染します。
人と人の間でも親密な共同生活者の間で、肌から肌へ直接感染します。
寝具などを介して間接的にも感染します。
猫の疥癬症の症状
ネコショウセンコウヒゼンダニは猫の顔面や耳介に多数寄生します。
症状も頭部から発症することが多く、皮膚が分厚く肥厚して、フケと脱毛を伴い、痂皮(かさぶた)の形成、皺壁(ひだ状になった皮膚)の形成などの非常に特徴的な皮膚炎を起こすために、見た目で疥癬を疑う場合が多いです。
皮膚の内部に寄生して皮下にトンネルを掘って生活するために強烈な痒みを発します。
病変部を掻くことによって皮膚を傷つけ、細菌による二次感染が生じやすくなります。
疥癬症を放置しておくと、病変が全身におよび、痒みからくるストレスや栄養状態が悪くなるため、幼若や高齢の動物は症状が重くなります。
人の疥癬症の症状
ヒゼンダニは全身に寄生し、特に胸部、腹部、背部、指間、陰茎などに病変を形成します。
小さな赤い点々がプツプツとできてかなり強い痒みを伴います。
病態が進行すると、角質の増殖が起こり、病変部が白色を呈します。
疥癬は激しい痒みが特徴で、時に不眠になることがあるほどです。
痒みは痛みにも匹敵する辛さだと言いますよね。
猫から感染するヒゼンダニは、人間の皮膚の上では3週間以上は生きることができないため、症状は一時的なもので、その後の再感染がなければ症状は治まります。
また、皮膚を掻くことによって外傷が生じ、細菌などの二次感染をうけ、症状が悪化することがあります。
皮膚の弱い方や敏感な方、子供やご高齢の方などは症状がひどくなることもあります。
人間の疥癬はヒゼンダニの検出によって診断されますが、実際、ヒゼンダニを検査によって発見するのは難しいようです。
ですから、まずは痒みの状態と飼い猫が疥癬に感染していたと医師に伝えることが重要です。人の場合、塗り薬か飲み薬での治療になるようです。
疥癬症の治療
猫は注射薬で治療します。
二次感染の予防の為に、抗生物質を内服する場合もあります。
また、皮膚炎を起こしている場所の毛を刈りや消毒をしたり、薬用シャンプーを行ったります。
疥癬症の発生状況
動物のヒゼンダニは人への感受性が必ずしも高いとはいえませんが、場合によってはダニが定着し、次世代を生産することがあります。
特に免疫機能が低下している場合には、本症を発症しやすくなります。
疥癬症の予防
基本的に猫からの一時的な感染は接触感染によるものがほとんどです。
疥癬に感染している動物と接触しないようにしましょう。
感染している場合は早期に治療を行い、治癒するまで感染動物を隔離しましょう。
感染動物に触れたら、速やかに手洗いを行いましょう。
床や寝具など、猫のいる場所は消毒した方が確実ですが、基本的に猫の体から落ちたヒゼンダニは長くは生きられません。
そのため、そこまで神経質になる必要はないですが、衣類などはヒゼンダニの住処になりますので消毒した方が安心です。
タオルやクッションなどの布類は50℃以上のお湯で10分加熱すればヒゼンダニは死にます。
また床などは、殺虫効果のある薬剤(ピレステロイド系)が有効です。
可能であれば、猫も定期的にブラッシングやシャンプーをしましょう。
一番重要なことは、猫の疥癬を一刻も早く治療すること、そして再感染を防ぐことです。
⇒猫の疥癬とは?原因や症状、治療方法は?どんな薬やシャンプーが有効?
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症の原因
皮膚糸状菌症は真菌類(カビの仲間)による感染症で、マイクロスポルム属、トリコフィトン属が主な原因菌です。
感染する動物種
動物では主に、イヌ・ネコが感染し、その他ウサギ、フェレット、モルモット、ハムスター などにも感染します。
感染経路
感染した動物との接触により人に感染します。
皮膚糸状菌症は人から人にも感染します。
とくに免疫力が弱い子どもに感染しやすい病気といわれ、最近では、ウサギやモルモットなどからの感染も問題になっています。
猫の皮膚糸状菌症の症状
猫の顔や足に、境界明瞭な円形の脱毛部が同心円状に拡大する、別名「リングワーム」とも呼ばれる特徴的な皮膚症状が発現します。
病変は体の各所にみられ、いったん病変ができると急速に広がります。
フケ、脱毛、発疹、痒み、びらん(皮膚のただれ)および出血がみられ、重篤になると化膿します。
通常は、子猫、高齢や他の全身性の病気によって免疫力が低下した猫に多く感染します。
皮膚糸状菌症の治療
抗真菌薬の外用や内服で治療します。
感染したとしても、抗真菌薬で100%完治するので安心して大丈夫です。
また、症状が全身性の場合は、毛を刈り、薬用シャンプーで洗います。
人の皮膚糸状菌症の症状
人に感染すると顔や腕などに、痒みを伴った1cmくらいの赤く丸い発疹が現れますが、猫よりも、人に感染した方が強い症状になるといわれています。
症状から、頭部白癬(しらくも)、体部白癬(ゼニタムシ)、ケルスス禿瘡などに分類されます。
頭部白癬
幼・小児に多く、毛髪に覆われる部分に円形の脱毛斑が現れます。
脱毛斑はぬか様のフケで覆われています。
発赤や浮腫などはみられず、痒みがあります。
体部白癬
体幹部、四肢、顔面などに、周辺が盛り上がった境界が明白な環状の皮疹として現れ、痒みを伴います。
ケルスス禿瘡
幼・小児に多く見られ、毛髪に覆われた部分に小さな膿疱が多数出現し、発赤や腫脹がみられ、圧痛を伴います。
病変部の毛髪は抜け落ち、膿疱から膿を出すため、やがて患部全体がかさぶたで覆われます。
皮膚糸状菌症の予防
感染している動物には接触しないようにしましょう。
感染している動物は早期に治療を行い、治癒するまで他の同居動物と隔離しましょう。
動物に触れたらすぐに手洗いをしましょう。
猫は定期的にブラッシングやシャンプーをしましょう。
毛やフケなどから感染することもあるので、室内や飼育環境(サークル、クレートなど)の清掃や消毒を定期的に行いましょう。
皮膚糸状菌は湿った環境を好むので、十分に換気をして、室内の温度や湿度に注意しましょう。
⇒猫がカビに感染?!皮膚糸状菌症の症状や原因、治療法、シャンプーについて解説
さいごに
猫から人に移る皮膚病は、猫の皮膚の異変に早期に気付き、治療をすることができれば、人に感染する前の段階で完治しますので、日頃からケアをしっかりしてあげましょう。
また、人間も栄養状態が悪かったり、他の疾患にかかっていると、免疫力が低下し、感染リスクが高まることがありますので、自分自身の健康への配慮も重要です。
猫から移る病気があると聞くと、それだけで猫を飼うのが怖くなってしまうかもしれません。
しかし、普通に猫と生活していて、簡単に感染するものではありませんので、そこまで神経質にならなくてもいいでしょう。
ただ、野良猫に接触するときや、飼い猫でも外出を頻繁にする場合は、猫自体が感染の確率が高くなりますので注意しましょう。
そして、猫と自分自身の健康を守るためにも、触ったら石鹸で手を洗う、濃厚接触を避けることを習慣にしてくださいね。
一番多いのは、野良猫を保護した時にすでに感染していて、人にうつるケースです。
保護した時点で耳周辺や顔の皮膚がガワガサしていたり、脱毛が見られる場合はもちろん、症状がない場合も全身状態を病院で検査してもらってから家に向かい入れることをお勧めします。
また、いざ自分に症状が出てから慌てなくていいように、猫から移る皮膚病があるという事は覚えておくといいでしょう。
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