全身の症状

猫が震える原因は何?病気?恐怖?それとも寒いからなの?

投稿日:2018年3月4日 更新日:

急に猫がブルブルと震えていたら「あれ?寒いのかな?」と思いますよね。

しかし、猫は寒さで震えるという事はほとんどないのです。

猫が震える時は何らかの病気の可能性が隠されていることがあります。
猫は体調不良であっても具体が悪い様子をなかなか見せません。
ちょっとした震えが、体調不良のサインである可能性もあります。
サインが現れるということは、隠しきれないほど病状が深刻なのかも知れません。

猫が震えた時、私たち飼い主はどのような対応をすれば良いのでしょうか?

解説していきたと思います。

猫が震える原因は?

猫の震えの原因には、生理的な震え、病的な震え、精神的な震えの3種類に分類できます。
震えると一口に言っても、体の一部が小刻みに震えたり、全身が大きく震えたり、意識を失ったりと、震えの種類もさまざまです。

猫の生理的な震え

猫の生理的な震え、つまり病気ではない震えの原因です。

老化

加齢に伴い痩せていくことで筋力が低下すると、ちょっとした動きも筋肉の過剰な負荷となり、筋肉が震えます。
具体的には、少し歩いたり、立ったりするだけで肢が震えたり、呼吸するだけで体が震えたりします。
筋力の低下によって体温調節が苦手な高齢猫の場合、低体温症を起こしている可能性もありますので、本当に生理的なものか、しっかり様子を観察しましょう。
ただし、猫は犬ほど老化による震えは多くありません。

子猫

子猫は体温調節機能が未熟なので、成猫では問題とならない温度でも、低体温になって震えることがあります。

寝ている時

寝ている時に、目や耳、口元、肢、お腹などがピクピクと震えることがあります。
いわゆる眠りが浅い状態で、レム睡眠が考えられます。
これは夢を見ている状態で、目を覚ませば、震えも止まります。

猫の病的な震え

痛み

猫の震えで一番多いのがこのパターンです。
関節痛、骨折、外傷、口内炎、歯肉炎、内臓疾患(心筋症、尿路結石、腹痛など)など、痛みの原因は沢山あります。
他の症状としては、触られるのを嫌がる、うずくまって動かない、人目につかない所に隠れて出てこない、食欲がない、うなる、患部を気にして舐めるなどの症状も見せます。
猫は少しの痛みくらいでは隠そうとするので、痛みによって震えている場合は、相当な痛みがあると考えたほうが良いでしょう。

熱中症

熱中症は、温度と湿度が高い環境に長時間いることで、体温が急激に高くなり、正常な体温を保てなくなることで発症します。
猫は汗腺が人間にくらべると少なく、発汗によって体温を調節することができません。そのため体温が急激に上昇すると、下げることが難しくなります。
特に初夏〜秋口にかけて、締め切った室内で発症することが多く、注意が必要です。
軽度だと肢が部分的に震えたり(熱痙攣)、口を開いてハアハアと苦しそうな呼吸見せ、よだれが口から流れ出します。
目や口腔粘膜が充血し、吐き気、嘔吐や下痢をしたり、一時的にふらついて倒れてしまうこともあります。
さらに進行した場合、虚脱や失神、筋肉が震える、意識の混濁等の症状が現れ、呼びかけにあまり反応しなくなります。
完全に意識を失ったり、全身性の痙攣発作を起こしたりすることもあります。
末期には、吐血や下血(血便)、血尿といった出血症状や、酸素をうまく取り込めないために、チアノーゼが認められたり、最悪の場合はショック症状を起こし、命に関わることもあります。
体温が41度を超えると後遺症が残ってしまうため、一刻も早い治療が求められます。

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感染症による発熱

体に入ってきた病原体を自身の免疫機構で排除するために、通常よりも高い温度が必要です。
このため、感染症になると、熱を産出するために全身が震えます。
感染症の原因には、ウイルス性の猫風邪や猫伝染性腹膜炎などがあります。

衰弱による低体温

何らかの原因によって衰弱すると、低体温になり、熱を産出するために全身が震えます。
猫の正常な体温は37~38度ですが、35度以下になると低体温と判断します。
肛門から体温計を入れて検温するのがもっとも正確です。
猫は寒くて震えるということはほとんどありません。
震えるほど体温が低下しているというのは、寒さ以外の原因で体温が低下している可能性が高いため注意が必要です。
衰弱する原因は、感染症や内臓疾患などさまざまです。

てんかん

猫は犬にくらべて原因不明の「特発性てんかん」が少ない動物ではありますが、脳が損傷した時に起こる「症候性てんかん」を起こすことはあります。
原因となる病気は、脳炎や脳腫瘍のほか、肝不全による肝性脳症や、腎不全、猫伝染性腹膜炎などのウイルス感染症等が挙げられます。
てんかん発作の症状は、意識がなくなって倒れ、全身を強直させて痙攣を起こすほどの重度なものから、顔面など、体の一部分だけがピクピクと痙攣する軽度のものまで様々です。
口からよだれや泡を吹いたり、失禁することもあります。
通常、発作は数秒から数分間続き、5分以内には終了します。
痙攣発作を何度も繰り返す場合(重積発作)もあります。
重積発作は脳に深刻な障害を与え、ときに命に関わることもあるため、発作が30分以上続く場合には緊急処置が必要です。

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代謝性疾患

①尿毒症(腎不全の末期)

尿毒症は、腎不全などの進行によって腎臓の機能が低下し、本来なら尿として体の外に排泄されるはずの老廃物が排泄されないことにより生じます。
放置すると毒素が体内に蓄積して、やがて全身の臓器に障害をもたらします。
尿毒症になると、食欲低下、嘔吐、下痢、口臭、体重減少等が認められるようになります。
さらに症状がひどくなると、痙攣や昏睡などの神経症状を起こし、命に関わることもあります。

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②急性腎不全

急性腎不全は、急激に腎臓の働きが低下する病気です。
食欲の低下、元気がなくなる、尿の量が明らかに減る、あるいはまったく出ない、頻繁に嘔吐する、などといった症状が見られます。
病状は急激に悪化することが多く、治療が遅れると脱水を起こし、アンモニアのような口臭がし、嘔吐がさらに酷くなります。
痙攣や体温の低下、昏睡といった重度の症状が現れ、命に関わる場合もあります。
急性腎不全の原因は腎臓疾患だけでなく、猫下部尿路疾患や心不全など様々です。

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③肝リピドーシス

肝リピドーシスは、脂質代謝異常により肝臓に過度の脂肪がたまった状態です。
脂質の代謝異常は糖尿病などのホルモン異常や膵炎、栄養バランスの取れていない食事や急激なダイエットなど、様々な原因が引き金となって起こります。
また、引っ越しやホテル、入院など、生活環境の急激な変化がストレスとなって食欲不振に陥ったりすると発症することもあります。
肝リピドーシスになると元気がなくなり、食欲が減退してほとんど何も食べなくなり、眠っていることが多くなります。
さらに下痢や便秘、嘔吐といった胃腸障害、体重減少や脱水といった症状が見られ、黄疸が現れてくることもあります。
症状が進むと、意識障害や痙攣などの神経症状が引き起こされることがあります。

④猫伝染性腹膜炎(FIP)

猫伝染性腹膜炎は、ネココロナウイルスの一種である「猫伝染性腹膜炎ウイルス」の感染が原因で発症します。
他の感染症にかかっている猫、ストレスの大きい猫、子猫や老猫など、免疫力の弱い猫が発症しやすい傾向にあります。
感染しても発症しないケースもあれば、後に何らかのきっかけで発症するケースもあります。
猫伝染性腹膜炎を発症すると、発熱、食欲の低下、嘔吐や下痢が見られ、次第に体重が減少します。
ウエットタイプ(滲出型)とドライタイプ(非滲出型)という2つの型に分かれ、多くの猫に見られるのはウエットタイプです。
前述の症状のほかに、腹膜炎や胸膜炎を発症し、腹水や胸水が貯待って腹まわりが膨らんだり、呼吸困難を起こす等の症状が見られます。
ドライタイプでは、ウエットタイプと同様に発熱や食欲不振等が見られるほか、中枢神経系(脳・脊髄)に炎症が起こり、麻痺や痙攣、行動異常などの神経症状が現れます。
目にも症状が現れることがあり、ぶどう膜炎や脈絡網膜炎などを起こし、失明する場合もあります。
腎臓や肝臓に障害が現れ、腎不全の症状や黄疸などの症状が認められます。
どちらのタイプも症状が重い場合には数日から数ヵ月の間に亡くなります。

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⑤低血糖

猫の低血糖症は、血液中の糖分(グルコース)が少なくなることで細胞への栄養補給が不完全になった状態を言います。
糖尿病にかかっている猫は血糖値が上昇しすぎているため、インスリンや投薬によって血糖値を下げる治療を行います。
その際に,血糖値が下がりすぎてしまうと低血糖症を引き起こす可能性があります。
元気がない、食欲不振、ぐったりしている、立てない、ふらつく、震える、などの症状が現れます。
症状が進むと痙攣、昏睡、失明といった重度の症状が現れます。
かなりの重度になると回復する見込みが難しい程に脳が損傷したりする危険性もあり、最悪亡くなってしまうこともあります。

⑥低カルシウム血症

血液中のカルシウム濃度が下がり、意識喪失、嘔吐、食欲不振、痙攣などを起こします。
中毒や、出産などが原因で起こる事があります。
応急処置として、グルコン酸カルシウムや塩化カルシウムなどの静脈注射で症状を和らげ、食事療法によって改善を目指します。
震えの様子は、脳疾患と同様です。
震えがおさまった後も、元気消失や食欲不振などの症状を伴うことが多いです。

中毒

人用のサプリメントや医薬品類の不適切な投与、腐りかけの食べ物の細菌やキャットフードに生えたカビの摂取、薬品類(殺鼠剤、害虫駆除剤、人体薬、不凍液、ニコチンなど)や重金属中毒、観葉植物などの誤飲・誤食など様々なことが中毒の原因となります。
ぶどうやキシリトール入りのガムといった、身近な食べ物にも注意が必要です。
症状は、原因となる物質や食べ物によって異なります。
よだれを流す、瞳孔が縮まる、震える、運動失調、痙攣発作、高体温といった神経症状を示すものもあれば、嘔吐や下痢、あるいは口腔内のただれといった消化器症状が強く出るもの、出血傾向や可視粘膜の蒼白化、頻脈といった貧血症状を起こすものもあり、原因物質によってさまざまです。
中毒の原因によっては、腎不全や肝不全に進行することがあります。

猫の精神的な震え

猫の精神的な震えの具体的な原因は、恐怖やストレスです。
猫の恐怖やストレスの要因は、大きな音、地震、他の動物の存在、におい、刺激不足などさまざまです。
最も頻回に起こるのは、動物病院に連れていてく時かもしれません。
猫は怖くて、強い不安状態になると、体が震えることがあります。
震え以外に、うずくまる、目を見開いて、瞳孔も大きくなる、耳とひげが後ろ向きに倒れる、唸り声や鳴き声を出す、這うように歩くなどの症状も見られます。
あくまでも一過性の震えであるので、特に心配することはありません。
お風呂に入れたときにブルブルと震えるのも、よっぽど真冬に水をかけたとかでなければ、寒いからではなく、強いストレスを感じているからのことが多いです。

猫が痙攣した時の自宅での対処法は?

動物病院に連絡

痙攣発作を起こした場合は、命に関わることがあります。
かかりつけの獣医師と連絡が取れる場合にはかかりつけ獣医師に、連絡が取れない場合は夜間救急動物病院などに連絡し対処法を聞くようにしましょう。

てんかん発作の場合

泡を吹いているようなてんかん発作の場合は、一刻も早く病院へ連れて行きましょう。
飼い主さんが咬まれたり引っ掻かれたりしないように注意しながら、猫をそっとタオルや毛布で包み、キャリーに入れて連れて行きます。

温める

猫が低体温で震えている時は、まずは猫の体温を上げるために毛布などで猫の体を包み、保温します。
その上で猫の状態を確認し、下痢、嘔吐の有無、黄疸の確認(猫の白目や口の内の色を見ます)をします。
体温を上げても体調が悪い様子が続くようであれば、すぐに獣医師の診断を受けましょう。

精神的な震えの場合

猫が落ち着けるように暗く狭い安心できるような場所を用意してあげたり、飼い主が抱っこするなど、猫を安心させてあげてください。

猫が震えている時に飼い主が見ておくべきポイント

震えについて

震えたり、痙攣を起こしたときに見ておくべきポイントは以下の通りです。
症状がどれくらい続くのか、何度も繰り返しているのか、「持続時間」と「頻度」が極めて重要です。時に時間は、体感時間ではなく、しっかりと時計を見て正確な時間を測るようにしましょう。

・震える部位
・震える頻度
・震えの継続時間(発作的に震える場合)
・震えるタイミングや傾向(食後、運動の後、大きな音がした時など)
・震えている際の意識の有無(声掛けに対する反応の有無で判断)

ただし、症状が重篤な時はチェックしている場合ではありませんのですぐに病院へ連れていきましょう。

他の症状について

・ふらつきはありますか?
・食欲や飲水は通常通りできていましたか?
・排便排尿は通常通りできていましたか?
・黄疸(白目の黄色さ)はありますか?
・嘔吐はありませんか?吐物がある場合、その内容物は何ですか?
・他にも普段と変わった事はありますか?元気や顔つきはいつも通りですか?他に、何らかの症状や異常はありませんか?

治療方法

低体温

猫が低体温症になっている場合、病院での治療はもちろんのこと、飼い主による応急処置も大切になってきます。
いきなりではなく徐々に猫の体温が上がるよう、タオルや毛布で包んだり、そばに湯たんぽを置いたりしてください。
病院では輸液などによって猫の体を温めると同時に、低体温症の原因となっている病気やケガがあれば、その治療も行っていきます。

てんかん

投薬による治療が一般的です。
フェノバルビタールやジアゼパムといった抗てんかん薬のうち、体に合ったものを継続して使用していきます。
急に投薬を中断すると、発作がより深刻化する危険性があるため、飼い主による勝手な断薬は避けたほうが賢明です。

熱中症

まずは応急処置を施すことが肝心です。
猫に水を飲ませたり、猫の体に水をかけ、扇風機やうちわなどで風を送って体温を下げてください。
体温を下げすぎないように、氷水などの使用をしてはいけません。
病院では点滴のほか、投薬によってショック症状を抑え、容態の安定を目指していきます。

基礎疾患

基礎疾患が見つかった場合は、その病気の治療や、症状を緩和させるために対症療法を行います。

中毒

一刻も早く毒物を排出させるため、点滴治療を行います。
毒物を摂取してからの時間や摂取した原因物質によっては、吐かせたり、胃洗浄を行ったりする場合もあります。
脱水などの症状が出ているときは、その治療も平行して施していきます。

さいごに

「猫が震える」といってもその震えに対する認識は人それぞれで、小刻みに震えているものから、震えではなく完全に痙攣の場合もあります。
猫が震える原因は多様です。
生理的もしくは精神的な震えであれば、命にかかわるリスクはありませんが、病的な震えは、命にかかわる緊急事態の場合もあります。
震えの原因を飼い主が見た目だけで判断するのは非常に難しいですので、夢を見ている時の震え以外については、まずは病的なものを疑って、動物病院に行くようにしましょう。
もしも、診断の結果が病気でなかったとしたら、「無駄だった」ではなく「良かった」と考えてください。
病気でないことがわかったら、次に生理的もしくは精神的震えの可能性を考え、その原因を排除してあげれば良いのです。
「意識のない発作的な震えがある」「発作的な震えが5分以上続く」「震え以外の症状がある」などの場合は急を要する可能性がありますので、夜間であってもすぐに動物病院に行きましょう。
猫が震えていると感じた時は、どうしても慌ててしまいますが、まずは、落ち着いて動画を撮ってみてください。
口で説明するよりも確実に症状を獣医師に伝えることができ、診断の重要な材料になります。





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