生殖器の病気

獣医師が猫の去勢後を徹底解説。どう変化するの?発情や性格は?

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「猫の去勢後には、性格や行動にどのような変化がみられるの?」

「去勢手術を受けた後の猫が気を付けた方がいいことってあるのかな?」

「退院後の猫が元気がないみたいで心配…大丈夫かな?」

このような疑問や不安はありませんか?

今回は、猫の去勢手術を受けた後の疑問や術後の変化について、ぜひ知っておきたいことを中心に詳しく解説していきたいと思います。

愛猫の去勢をしようか迷っている飼い主さんは是非チェックしてみてください。

去勢手術とは?

去勢手術とは、オス猫の生殖器である精巣を外科的に切除し、生殖能力を失わせる手術です。
望まない妊娠を避けることで殺処分される不幸な子猫を減らす、オスの生殖器特有の病気の予防などの目的で行われています。
また、生後8か月ほどで訪れる性成熟を過ぎたころからみられるようになる、尿スプレー行動などの発情に関する行動を軽減させるという目的もあります。

術後の退院はいつ?

動物病院によって去勢手術前後の流れは異なりますが、多くの場合手術当日に入院し、当日または翌日に退院するというケースが多いでしょう。
通常、手術自体は難しいものではありませんが、全身麻酔をかけて行う手術のため、麻酔から醒めた後の様子や傷口からの出血がないかどうかをしっかり見てもらうためにも翌日退院が望ましいでしょう。

「停留睾丸」「陰睾(いんこう)」の場合も

母猫のお腹の中にいる間、子猫の精巣はまだおしりではなく腹腔内にあります。
生後3週間ほどで股の間を通って、徐々に肛門の下の陰嚢(いんのう)まで降りてきますが、生後1ヶ月以上経っても陰嚢に降りてこないことを「停留睾丸」や「陰睾」と言います。
そのままにすると将来、腫瘍化するリスクが高いため、去勢手術によって精巣を取り除くことが推奨されています。
精巣が鼠径部(内股)や腹腔内にとどまっている「鼠径陰睾(そけいいんこう)」や「腹腔内陰睾(ふくくうないいんこう)」の場合には、鼠径部あるいはお腹を切開して精巣を取り出す必要があります。
通常の去勢手術よりは手術時間が長くなる、傷口が増えるといった猫の負担が大きくなりますので、術後2~3日の入院が必要となるケースもあるでしょう。

術後のオス猫の変化

去勢手術後のオス猫には、どのような変化がみられるのか気になりますよね。
術後の「行動」「性格」「身体」、それぞれの変化について解説します。

術後の行動

じっとしている

去勢手術後は、肉体的にも精神的にもダメージを受けているので、1週間ほどは物陰でじっとしている時間が多いかと思います。
飼い主さんと急に離れて、慣れない動物病院で過ごした不安からか、飼い主さんの様子をじっとうかがったり、飼い主さんに近寄って、なるべく近くにいようとする猫もいます。
特に神経質な性格の猫では、より精神的ストレスが大きく影響し、食欲の低下、毛づくろい(グルーミング)の減少、無関心などの抑うつ状態になることもあります。
安心できる家でゆっくりと過ごし、時間が経てば元に戻ることが多いですが、術後数週間経っても様子がおかしい場合には、動物病院に相談してみましょう。

外に出たがらなくなる

室内飼育のオス猫は、繁殖期になると発情期のメス猫を求めて外に出たがるようになります。
これは本能的なもので、飼い主が油断した隙にスルッとすり抜けて出て行ってしまうこともあります。
外に出ることで、メス猫を追いかけているうちに遠くまで来て迷子になってしまったり、交通事故に遭ったり、他の猫のテリトリーに入ってケンカになる、病気をうつされるといったリスクが伴います。
去勢手術後は、このような外に出たいという本能的な衝動がなくなり、室内で穏やかに過ごすようになります。

尿のスプレー行動の軽減

スプレー行動とは、猫が尾をピンと立てて尿を壁に噴射する行動で、まるでスプレーのように見えることからそのように呼ばれています。
猫が自分の縄張りや自分の存在をアピールするスプレー行動(マーキング)は、春から秋の繁殖期には特に多くみられ、飼い主さんの間では猫の困った行動としても有名です。
去勢手術後は、このスプレー行動はほとんどなくなります。
ただし、術前にすでに習慣化しているような場合には癖として残ってしまうこともあります。

術後の発情は?

去勢手術を受けた後には、性ホルモンに支配されることがなくなるため、発情しなくなります。
そのため、大きな声で鳴く、他の猫への攻撃性などの発情行動もなくなりますが、発情行動を一度でも経験した猫では術後も名残としてみられることがあります。
特に、尿スプレー行動は1割程度の猫では術後もみられるともいわれています。

去勢直後の交尾で妊娠する?

去勢手術では、精管と血管を結紮して精巣(睾丸)を切り離します。
この時、どうしても精管の一部は体に残るため、精管内の精子が術後数日間、受精能力を持った状態となります。
つまり、去勢手術直後に交尾をした場合、残った精子によってメス猫が妊娠する可能性は否定できません。
もし同居している、あるいは近づく恐れのあるメス猫が避妊手術をしていないのであれば、最低でも1週間ほどは交尾をしないように気をつけましょう。

術後の性格は?

猫の性格は手術前後で大きく変わることはないとは思いますが、中には甘えるようになったり、おとなしくなったりするケースもあります。
全ての猫の性格が変化するというわけではありませんので、このようなケースもあるという可能性としてご理解ください。

甘えんぼうになる

猫の性格の変化でよく言われているのが、以前よりも人間に甘えるようになるということです。
去勢手術前は子孫繁栄のために猫に対する興味が強いのですが、術後は猫への興味が薄れ、人間に向くようになります。
飼い主さんはごはんをくれたり、お世話をしてくれる存在でもあるため、より飼い主さんを意識するようになり、甘えんぼうな猫になるようです。
スキンシップをとったり、話しかけたりとできる限り甘えさせてあげましょう。

おとなしくなる

家の中を飛び回ったり、走り回ったりするような元気で活発な猫が、去勢後におとなしくなることがあります。
もちろん手術直後は疲れやストレスからおとなしくなっていることが多いですが、術後数か月たってもゆったりのんびり過ごすようになる猫もいます。
おそらく、「子孫を残すために、お相手を探さなくては!」という焦燥感が薄れ、性衝動や刺激もなくなるために心も体も穏やかになっているのでしょう。
オスの性ホルモンの分泌量が減るため、去勢後はメス化するのではないかと聞かれることがよくありますが、どちらかというと中性化するようです。

術後の身体は?

精巣、陰茎

去勢手術によって精巣を取り除くため、当然ですが肛門の下にあった二つのふくらみはなくなります。
また、去勢手術後は陰茎(ペニス)がやや小さくなり、陰茎のトゲがなくなります。

顔つき

「去勢手術で顔が変わるの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は去勢していないオス猫の顔は頬が横に広く膨らんでいるように見える、ひげの根元部分の皮膚が盛り上がっている、鼻筋が広い、目の割合が小さいといった特徴があります。
性成熟とともに性ホルモンの影響によって、このような顔つきに変化していくのですが、去勢手術後に元の顔に戻るということはなく、手術前後で顔つきに変化はありません。

尿のにおい

猫の尿のにおいは独特で、鼻にツンとくるような刺激的なにおいですが、去勢をしていない猫の尿は特にそのにおいが強く刺激的です。
未去勢猫の尿スプレー行動で壁や布団についた尿のにおいは。なかなか取れずに苦労されている方も多いかと思います。
この尿臭の原因物質は「フェリニン」と呼ばれる猫特有の物質で、硫黄を含むアミノ酸の一種です。
フェリニンはオスの性ホルモンの影響で強くなるため、去勢していない猫では分泌量が多く、マーキングのためのにおいのもとや、メス猫を引き付けるフェロモンになります。
去勢手術後は、オスの性ホルモンの影響を受けることがないため、尿のにおいは和らぐと言われています。

去勢手術後に注意が必要なこと

去勢を受けたオス猫が健康に過ごすために、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。

肥満になりやすいの?

去勢手術後のオス猫は、メス猫を求めてウロウロ歩き回ることや活発に動き回ることがなくなり、運動量が減少するため、術前よりも消費カロリーが減少します。
さらに、メス猫に向かっていた興味がなくなり、食べものへの興味が増して食欲も旺盛になります。
つまり、手術前と同じ量のフードを与えていると、太ってしまう傾向にあります。
肥満は、糖尿病などの病気のリスクを高める要因となるため、食事や運動に気を付けてきちんと体重管理をしてあげましょう。
なるべく運動させるために、猫が好きな上下運動ができるキャットタワーなどを用意したり、猫が興味を示して捕まえようとする猫じゃらしなどのおもちゃを活用しましょう。

下部尿路疾患になりやすいの?

はっきりとした理由はわかっていませんが、去勢した猫では下部尿路疾患のリスクが高くなると言われています。
猫の下部尿路疾患の中でも、オス猫で注意が必要なのは尿石症です。
オス猫の細く、長い尿道に尿石が詰まって排尿できなくなる「尿路閉塞(尿閉)」は命に関わる病気です。
去勢したことによって、より尿道が狭くなり、尿石が詰まりやすくなると考えられています。
食べ物に含まれるマグネシウムなどのミネラル成分の過剰摂取が原因となることもありますので、ミネラル分を制限した下部尿路疾患の予防に対応したフードへの変更することで予防効果があります。
重篤な状態になる前に、頻尿や血尿、陰茎を気にしているなどの症状がみられた場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

野良猫との接触は?

去勢手術をするとスプレー行動などの発情期に関連した行動が軽減しますが、手術前にすでに何度か経験している場合には癖として残ってしまうことがあります。
特に、未去勢の野良猫などが身近にいる場合には、刺激を受けてしまうことがあります。
体内に残った性ホルモンの影響がなくなる術後1ヶ月ほどは、できる限り野良猫に接触しないように気をつけましょう。

フード(餌)はどうしたらいい?

前述のとおり去勢手術をした後は太りやすいということもあり、術後はどのようなフードを与えたらいいのか悩んでいる方もよくいらっしゃいますが、退院後すぐに変更する必要はありません。
ただでさえストレスがかかっているところに、慣れないフードに変更することで体調を崩したり、下痢や嘔吐がみられる可能性があるためです。
術後は少し様子を見て、体重の増加が激しいようであれば低カロリーのフードへの変更を考えましょう。
生後6か月ほどで手術を受けた場合には子猫用フードを与えていることが多いかと思いますが、高カロリーに設計されている子猫用から成猫用に変更することで摂取カロリーは減りますので、様子を見ながら成猫用フードの変更を検討しましょう。
1歳以上の成猫になって肥満しているようであれば、食事量を減らすか、減量用のフードを試してみてもいいでしょう。
また、下部尿路疾患のリスクを考え、マグネシウムなどのミネラル成分を制限したフードを与えましょう。
フードを変更する場合には、全量を一度に替えるのではなく、元のフードに少しずつ新たなフードを混ぜていき、1週間から10日ほどかけて少しずつ慣らしながら切り替えるのが最適です。

退院後に不安になること

去勢手術が初めての入院経験だったという方が多いと思います。
無事に退院しておうちでほっと一安心…としたいところですが、退院してからの猫の様子がいつも以上に気になってしまうのではないでしょうか。
退院後にみられる猫の様子について解説します。

ずっと寝ている

自分の安心できる場所をとても大事にする猫にとって、見知らぬ場所で、見知らぬ人や動物に囲まれて過ごした時間はどんなに短くてもストレスがかかります。
入院中に緊張して、しっかりと睡眠をとれない猫も中にはいます。
飼い主さんに会えて、慣れた家に帰ってようやく安心して眠ることができているのでしょう。
退院後数日ほど寝ている時間が長くなる猫もいます。

嘔吐や下痢をしている

去勢手術は皮下にある精巣を取り除く手術で、お腹の中にある腸管などに触れているわけではありませんので、手術の手技に関連しているわけではありません。
手術や入院のストレスは嘔吐や下痢などの消化器症状を引き起こすことがあります。
また、手術前の絶食、入院中の食欲低下から空腹時間が長すぎて吐いてしまったり、久しぶりのごはんで下痢を起こしてしまうことも考えられます。
退院後は水からはじめ、ごはんは少量ずつに分けてあげましょう。
ただし、数日続いたり、何度も繰り返しての嘔吐や下痢がみられるようでしたら、動物病院へ相談しましょう。

食欲がない

帰宅後、ごはんをあげても食べないという心配事もよく聞きます。
前述のとおり、入院のストレスや緊張で睡眠不足となり、疲れ切っていることが考えられます。
数日経って元気になれば、食欲も戻ることがほとんどですが、ウェットフードなど食べやすく水分も摂れるものを与えるなど工夫してみてください。

傷口が腫れている

陰嚢部の皮膚を切開した傷口は、5mm~1cm程度と小さいため縫合しなくても術後1日ほどで傷口はまだ不安定ながら塞がることがほとんどです。
皮膚がしぼんだようになることがほとんどですが、微量な出血や漿液が陰嚢の皮下に溜まると腫れてしまうことがあります。
ただし、ポタポタと垂れるほどの出血がある場合には、念のため獣医師に相談しましょう。

傷口を舐めてしまう

猫のザラザラした舌で舐め続けることで、塞ぎかけの傷口が開いたり皮膚が傷ついて細菌感染してしまうこともがあります。
もし、皮膚の損傷や多量の出血がみられる場合には、念のため獣医師に相談しましょう。
傷口が肛門や尿道に近いため、排泄の邪魔にならないよう包帯やガーゼで保護することはできません。
そのため、物理的に舐められないように首にエリザベスカラーを装着するのが最適です。
はじめは猫が嫌がっていても、だんだんと慣れてしまうことが多いので、退院後に自己判断で外してしまうのはやめましょう。
エリザベスカラーを装着したままでは、ごはんが食べづらそうなときには、台の上に食器を置いて少し高くしてあげるといいでしょう。

さいごに

術前にいろいろ調べたり、悩んだりして猫の去勢手術を決断していても、手術が終わってみて初めて気づく疑問や不安もありますよね。
術後も何事もなかったように元気な猫もいますが、それでも疲れやストレスは多少なりとも感じています。
退院後はなるべくゆっくり休ませてあげられるように、静かで快適な環境作りをしてあげてくださいね。
術後の猫の異変に気が付いて、自宅で様子を見ていいのか判断に迷う時には、動物病院に相談するのが一番ですので、遠慮なく連絡してみましょう。

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愛猫のために知ってほしいこと


「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」

「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」

という飼い主さんはとても多いです。

動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。

動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。

経済的な問題で愛猫の寿命を縮めないためにも愛猫が元気なうちにペット保険に加入することが大事になります。

でも「ペット保険っていうけど、どういう保険があるの?」という疑問も出てくるかと思います。

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