寄生虫症

猫のフィラリア症の予防や検査って必要?予防薬の費用や時期も解説

投稿日:2018年1月1日 更新日:

 

フィラリア症とは「犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)症」のことで、寄生虫である犬糸状虫(フィラリア)が心臓や肺動脈に寄生して起こる病気で、犬ではとても有名な病気ですので知っている方も多いと思います。

この犬糸状虫(フィラリア)が猫にも寄生するという事をご存知ですか?

「猫でも予防が必要なのか?」

「室内飼いだから必要ないのかな?」

「もし寄生されたらどのような症状が出るのか?」

「治療法はあるのか?」

あなたはそのような疑問を持っているかもしれません。

犬では死に至る病気ですので猫の飼い主さんも非常に気になるところだと思います。

これを読めばそんな疑問も全部わかりますよ!

フィラリアの原因は何?

フィラリア症は、犬糸状虫(フィラリア)という体長12~13cmの細長い寄生虫の感染が原因で発症します。見た目はまさに素麺のようです。

参照:獣医師解説。猫のフィラリア症の原因や症状や治療方法とは?

フィラリアが猫に感染する経路は?(フィラリアのライフサイクル)

1. フィラリアに感染した犬の体内で、フィラリアの成虫が心臓や肺動脈に移行し、交尾を行い、幼虫(ミクロフィラリア)を血管内に産み落とします。

2. このミクロフィラリアは犬の体内では成長できず、血液中を回って蚊に吸われるのを待ちます。

3. 蚊がフィラリアに感染した犬を吸血すると、犬の血管内にいた幼虫(ミクロフィラリア)が蚊の体内に侵入します

4. ミクロフィラリアは蚊の体内で二度脱皮して成長し、10日~2週間程度で感染能力を持った感染幼虫となります。

5. この蚊が猫を刺すことでその傷からミクロフィラリアが侵入し感染します。

6. 猫の体内に侵入したミクロフィラリアは皮下組織や筋肉の中で2~3ヶ月かけて成長しながら心臓の右心室にたどり着き、最終的には心臓や肺動脈に寄生します。

未成熟のまま多くが死滅しますが、肺や血管に大きなダメージを与えます。
生き残った幼虫はそこでさらに成長を続け、3~4ヵ月後に成虫となります。

フィラリア症はどのような症状がでるの?

猫がフィラリアに寄生されてもほとんど症状が見られないこともあります。
「体内に侵入したフィラリアが肺動脈に達する時期」と「フィラリアの成虫が死滅する時期」とで症状が異なります。

フィラリアの肺動脈到達時期

(感染してから3~4ヵ月後):
2週間くらい続く軽い咳や呼吸困難など「HARD(Heartworm Associated Respiratory Disease=犬糸状虫随伴呼吸器疾患:いぬしじょうちゅうずいはんこきゅうきしょうこうぐん)」と呼ばれる慢性の呼吸器症状が現れるほか、吐いたり下痢したりすることもあります。
肺動脈に寄生するフィラリアの虫体やその分泌物によって血管や肺動脈に炎症が起こることで生じます。
慢性化してくると咳のほかに、食欲低下や嗜眠(眠っていることが多くなる)、体重の減少といった症状が現れる猫もいます。
フィラリアの成虫は、本来の寄生場所ではない中枢神経系などにも寄生し、神経症状を起こすこともあります。

フィラリアの死滅時期:

死滅したフィラリア虫体が多数肺動脈に詰まって血行不良をおこしたり、肺動脈で死滅したフィラリアの虫体を異物と認識し、排除しようとするときにアレルギー反応をおこす、いわゆるアナフィラキシーショックが起こり、突然の呼吸困難や虚脱により突然死に至る場合があります。
ここで重要なことはアナフィラキシー反応の症状はたった1匹のフィラリアに対しても発生する可能性があるということです。

フィラリア症の検査方法

猫のフィラリア検査は「抗原検査」、「抗体検査」、「ミクロフィラリア検査」などの血液検査、レントゲン検査、超音波検査の3つの検査があります。

血液検査

抗原検査

メス成虫の生殖管から血液中に分泌された「抗原」(異物の証となる成分)を検出するというものです。
7~8ヶ月齢以上のメス成虫が3匹以上寄生していると高い確率で検出できます。
しかしフィラリアの寄生数が少なかったり、5ヶ月齢未満のとき、および虫の性別がオスのときは検査に引っかからず「陰性」を示すことがあります。
この本当は陽性であるのに陰性を示してしまう状態のことを「偽陰性:ぎいんせい」と言います。
特に猫ではフィラリアの寄生数自体が少なくオスの寄生率が高いことから、この「偽陰性」が多いとされます。

抗体検査

フィラリアを体内から排除するために免疫システムによって形成された「抗体」と呼ばれる免疫グロブリン(タンパクの一種)を検出するという方法です。
抗原検査とは違い、虫がオスでもメスでも、また成虫でも幼虫でも検出できます。
抗体は次に同じ異物が体内に侵入したときに、すぐに異物を認識し体外に排泄するために体が作り出すもので、1度作られるとしばらくの間は体の中に残ります。
つまり、この「抗体」は虫がいなくなっても体内に残るため、「過去もしくは現在フィラリアがいたという証明にはなっても、今現在、体内にフィラリアがいる」ということまでは証明できないという難点があります。

ミクロフィラリア検査

血液中のミクロフィラリア(フィラリアの成虫が生んだ幼虫)を顕微鏡で直接見つける検査です。
しかし、猫の場合は成虫の寄生数が少なく、繁殖自体もほぼ行われないためミクロフィラリアが見つかる確率は非常にまれで、有効な検査方法とは言えません。

レントゲン検査

レントゲンでフィラリアそのものは見えませんが、肺や気管支の見え方、特に、肺動脈の太さで寄生を判断します。
心臓に寄生しているフィラリアはわかりません。

超音波(エコー)検査

エコーで心臓内を直接見ることで、心臓内に寄生しているフィラリアを見つけます。
犬での検出率は高く有用ですが、猫の場合は前述の通り寄生数が少ないためこの検査でみつけることは困難です。
さらに、エコー検査では心臓内のフィラリアしか発見できません。
猫の場合、肺や肺動脈にいるフィラリアが症状を起こして問題となることが一般的です。
このように色々な検査方法がいくつかありますが、診断自体が非常に難しいということがわかります。
つまり、猫のフィラリア症は診断よりも、寄生させないように予防することが重要であるといえます。

なぜ猫の場合フィラリアの寄生数が少ないの?

まず、成虫の生存期間が犬では5~6年であるのに対して猫は2~4年と短い事、成虫がメスオスどちらか一方だけ寄生するのでほぼ増殖できないことから犬のようにどんどん増殖することはできません。
しかし猫の心臓は犬のものよりはるかに小さいため、たとえ虫の数が少なくても重症化する傾向にあります。

フィラリア症の治療法は?

フィラリアの治療には、症状に対する治療とフィラリア成虫を駆虫する治療があります。

フィラリア自体の駆除を行う方法

成虫駆虫薬の投与

成虫駆虫薬の投与は、フィラリア寄生数や猫の状態によっては、一気に寄生虫が死滅すると診断虫を異物と認識し、アレルギー症状をおこす、アナフィラキシーショックなどの合併症が出る可能性があり、現在ではほとんど行われません。

外科的治療

外科的治療法は首の頚静脈から専用の器具を挿入し、フィラリア成虫を直接摘み取るというものです。
しかし、手術の難易度が高いため、どこの病院でもすぐにできる手術ではありません。

対症療法

フィラリア寄生による炎症や咳を抑えるため、ステロイド剤や気管支拡張剤の投与といった治療が中心に行われます。
症状が重い場合は入院治療が必要となります。
治療がうまくいきフィラリアの成虫が寿命を迎え死滅しても一度傷ついた肺や血管のダメージは残る場合が多く、投薬などの治療を続けなければならない場合もあります。
猫の場合、犬とは違ってフィラリア成虫が体内で子孫を残すことがほとんどありません。
ですから危険性のある成虫駆除は行わず、対症療法を行いながら、フィラリアが寿命を迎えて自ら死滅するのを待つことになります。
この時当然、再感染の予防も同時に行います。

フィラリアの予防方法

フィラリアの予防薬の投与

フィラリア症を予防するには、幼虫に駆除効果のあるフィラリア予防薬を、毎月、定期的に投与します。
フィラリアの予防薬で勘違いしがちなのが、薬を投薬するとフィラリアに寄生されないと思われている点です。
フィラリア予防は狂犬病ワクチンや混合ワクチンなど、自分の免疫システムに作用し、原因物質に対する攻撃屋である「抗体」を作り、元々病気に感染しないようにするタイプの予防方法とは異なります。
フィラリアはウイルスではなく寄生虫ですので、寄生自体を阻止することはできません。
しかし、フィラリアに感染して問題となるのは、フィラリアの幼虫であるミクロフィラリアが大きくなってしまうことですので、大きくなる前に駆虫してしまおう。
という予防方法なのです。
つまり、ワクチンのように事前にかからないように免疫を作ることが今のところはできないので、駆虫薬を定期的に投与し続ける必要があるのです。
では予防薬ではなく駆虫薬ではないのか?と思われるかもしれませんが、その通りなのです。
フィラリアの薬は「駆虫薬を投与することにより、ミクロフィラリア(フィラリアの幼虫)を殺滅し、フィラリア症になることを予防する」薬なのです。
「フィラリア症」を予防する薬ということから「フィラリアの予防薬」と呼ばれているため少し間違った認識を持たれてしまうのかもしれませんね。

フィラリア予防薬の投与期間

フィラリアの薬は「体内に入って1ヵ月後の幼虫を駆除」する薬です。
ですから、感染する可能性がある期間より1ヵ月遅れて薬を使う必要があります。
蚊の活動が始まる春~初夏から、蚊が見られなくなる時期の1ヵ月後までフィラリア予防薬の投与を続けます。
沖縄や九州の一部などは1年中蚊が見られる地域では、1年通して予防を行います。
また、ノミ・ダニ・お腹の虫の予防もかねている薬が多いため、1年を通して投与する方も増えています。

フィラリア予防薬の種類

首の後ろに薬を垂らす「スポットオン」タイプがあります。
以前はおいしく味付けされた飲み薬がありましたが、今は販売が終了し、スポットオンタイプが主流となっています。

① レボリューション

有効成分としてセラメクチンを含む予防薬で、フィラリアの予防以外にノミ、ミミヒゼンダニ、猫回虫の駆除が行える薬です。
レボリューションの持続効果は約1ヵ月で、マダニには効果はありませんので、どちらかというと室内で飼っている猫に向いている薬です。
投薬後2時間たてばお風呂に入れても大丈夫です。

② ブロードライン

レボリューションと同じようにノミ、ダニ、フィラリア症の感染を防ぐ効果のある猫専用のスポットオンタイプの薬です。
レボリューションは有効成分が1種類ですが、こちらはフィプロニル、(S)-メトプレン、プラジクアンテル、エプリノメクチンの4種類が入っています。
ブロードラインは耳ヒゼンダニや疥癬に効果はありませんが、有効成分(S)-メトプレンがマダニに効果がありますので、屋外にでる猫にはおすすめです。

③ アドボケート

こちらもレボリューションやブロードラインと同じようにスポットオンタイプの薬です。
有効成分としてイミダクロプリド、モキシデクチンの2種類が入っています。
駆除効果としてはレボリューションとほぼ同じで、マダニへの効果が確認されておらず、ノミ、ダニやお腹の寄生虫へ効果があります。
投薬後90分たてば多少濡れても再投与などは必要ありませんが、入浴は投薬してから4日後とされているので投薬の前にシャンプーなどを済ませる方がお勧めです。

フィラリア予防薬の費用(※目安)

スポットオンタイプでは大体1本1100~1400円程度です。
まとめて購入すると少し割安になる場合があります。
参考程度に掲載します。

レボリューションの費用

レボリューション

ブロードラインの費用

ブロードライン

アドボケートの費用

アドボケート

もちろん動物病院でも処方はしてもらえますが、通販サイトで購入するより費用は高くなることが多いです。

フィラリア予防薬の副作用

使用の際に、気になる点といえばやはり副作用ではないでしょうか?
猫のフィラリアの薬は一般的に安全性が非常に高く副作用が起こりにくい薬として知られています。
体重に対して過剰な量を使用すると、体調が悪化することもありますので、容量を守って猫に合ったものを使用するようにしてください。
体に付けるタイプの薬なので、体についた薬を舐めたりした際に下痢や嘔吐などの副作用がみられることがありますが、数日程度で治まる症状がほとんどです。
使用後は、薬剤が乾燥するまで目を離さないようにし、なめようとしても届かないように肩甲骨の中央やや上あたりに滴下するようにしましょう。
使用して猫の状態に変化が見られた場合は、自己判断で薬を中断したりせず、動物病院に行き、獣医師の指示を受けましょう。
費用を安く済ませるために、容量の多い薬を購入し、半分だけ垂らして、残りを保存しておいて使用するなどの使用方法は絶対にしてはいけません。

室内飼育

室内猫に比べて屋外にいる猫のほうが、蚊に刺される可能性が高くなり、それだけフィラリアに感染する危険性も高くなりますので、室内飼いの徹底も有効な予防法になります。
しかし、室内だからといって蚊に刺される可能性がないとは言い切れません。
室内飼いの場合でも予防薬を定期的に投与することが望ましいといえます。

蚊の駆除

蚊が活発に吸血する4月下旬~11月中旬にかけ、生活環境の中から蚊を駆除するよう努めます。
卵、幼虫、さなぎの状態にある蚊は、すべて水を必要としますので、家の周囲やベランダに水たまりを作らないことが予防になるでしょう。
また成虫の蚊に対しては殺虫剤で対処するようにします。
一般的にピレスロイド系の殺虫剤は安全だとされていますが、猫の体に直接吹きかけたり、エサのある場所での噴霧は控えます。

蚊よけ

最近では、動物にも安全なハーブやアロマ成分で虫を寄せ付けない虫よけスプレーや動物にも安全な蚊取り線香があります。
猫は精油の成分を分解する酵素を持っておらず、精油が体内に入って蓄積していくと最悪の場合は命にかかわります。
最近では自分で手作りをしたり、ペット用として売られているものでも精油が含まれているものがありますので使用しないよう注意してください。
また、ハーブ類を使用していても精油でない場合は、危険性はないとされています。

FLF レニーム

レニームはインド原産の天然ハーブ、ニームを配合したスプレーです。
ノミ・マダニ・蚊などを寄せ付けません。
天然成分ですので、直接動物の体にもスプレーし、舐めてしまっても安心です。
無香料なので、臭いの敏感な動物にも安心して使えます。

ペディペディ ハーブ

石油を原料とする化学合成成分や旧指定成分、農薬を一切含まず、経口毒性試験では砂糖に勝る安全性が得られた純粋な天然虫よけスプレーです。
ノミ、ダニ、蚊、羽虫を遠ざけるレモングラス、ユーカリ、ミントのハーブと精製水だけで、ペットが舐めてもお子様が抱きついても安心です。

ペットニーム バグオフスプレー

合成界面活性剤、合成保存料、合成香料、合成殺虫成分無添加の虫よけ・除菌スプレーです。
虫が嫌がる樹として有名なニームのオイルと天然抗菌成分(ムクロジ果実エキス・グレープフルーツ種子抽出物)を配合している商品です。
天然成分100%。ニームと天然抗菌成分が、虫や雑菌から守ります。
散歩のとき、また、ペットの身の回りのものにスプレーもできます。

菊の香り蚊取り線香

天然除虫菊粉末を主成分にした昔ながらの蚊取り線香です。
合成の殺虫成分は使用せず、天然原料使用の為刺激がすくなく目やのどに優しく作ってあります。猫のいる家庭でも安心です。

バウ BOW-WOW

動物用医薬部外品の蚊取り線香です。
無農薬の天然除虫菊100%で、合成殺虫成分を使用していないためペットはもちろん、小さな子供や赤ちゃんにも安全です。

さいごに

フィラリアが原因で亡くなった猫でも、生前・死後ともに診断自体が困難なことから死亡原因がフィラリアだと特定されることは非常にまれです。
そのため、多くが原因不明の突然死とされ、猫ではフィラリアの感染は少ないと思われがちです。
しかし、2010年の研究報告では猫の10頭に1頭が感染しているという全国的なデータも発表されています。
さらに、猫の突然死の1/3はフィラリア症によるものともいわれています。
わざわざ毎月高いお金をかけて予防しなくてもいいと考える方もいるかもしれません。
副作用の方が心配と思う方もいらっしゃるでしょう。
もちろん薬ですから副作用が絶対でないというわけではありません。
しかし、予防薬は比較的副作用の少ない薬として知られており、正しく使うことでフィラリア症を100%予防することができ、フィラリア症では絶対に死なないようにすることができるのですから、予防するメリットは十分にあるのではないでしょうか?
元気だった猫がある日突然死んでしまうなんて考えたくないですよね?
愛する猫を守れるのは自分だけです。
ぜひこの機会に家族である猫に何をしてあげられるのか考えて頂けたら嬉しいです。





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