寄生虫症

猫のトリコモナス症の症状や原因や治療方法とは?完治はするの?

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「動物病院でトリコモナス症って診断されたんだけどどういう病気?」

「トリコモナス症って完治するものなの?」

何て疑問はありませんか?

トリコモナス症はとても厄介な病気で再発することが多いです。

今回は猫のトリコモナス症について詳しく解説します。

トリコモナス症とは

トリコモナスは脊椎動物全般に寄生する「原虫」(げんちゅう:他の動物に寄生する性質を持ち、病原性を有している単細胞生物)の一種です。
猫の口から侵入し、腸内などに寄生することが原因で発症します。
腸内に感染する寄生虫なので、寄生されて発症すると下痢や血便などの消化器症状を引き起こします。
トリコモナス症は命に関わる危険は低い病気ですが、人にも感染する可能性があります。
また、子猫に感染すると下痢や血便などの症状を引き起こし、種類によっては投薬治療をしても完治せず、キャリア(保菌状態)になってしまうこともあります。

トリコモナス症の原因

トリコモナスにはたくさんの種類があり、人では膣トリコモナスが感染する性感染症が有名ですが、猫に感染する種類は、腸トリコモナスです。
その中でも一番よくみられるのは「Tritrichomonas foetus(トリコモナス・フィータス)」です。
トリコモナスには、耐久型(シスト型)は無く、栄養型のみ存在します。
そのため、感染は栄養型虫体を摂取することで成立します。
栄養型は、洋梨型をしていて、虫体の大きさは10~20μmです。
鞭毛や波動膜を使い、体全体を小刻みに震わせながら前進性の運動をします。
薬剤にかなり強い抵抗力をもっているため100%駆除できる薬がなく、寄生されると非常に厄介な寄生虫です。

トリコモナス症の感染経路

トリコモナスに感染する主な原因は経口感染です。
トリコモナスは感染している猫の便に混ざって体外に出てきます。
トリコモナスが含まれている便がついた猫の足や肛門周りをなめてしまったり、食糞をすることなどが感染原因になってしまいます。
トリコモナスは感染力が強いため、猫がたくさん集まって生活しているペットショップや多頭飼い、ペットホテルでは感染が広がる確率が高くなってしまいます。
そのため、これらの猫がたくさん集まって生活している空間では感染を広げないために、特に検査や治療に気を使わなければいけません。

トリコモナス症の発症

トリコモナス症が発症して症状が出るのは、ほとんどが免疫力の弱い生後6ヶ月から1歳未満の子猫だけです。
1歳以上の大人の猫になると免疫力が強くなり、自分の免疫力でトリコモナスを抑え込むことができるため、寄生されていても症状の出ない状態(キャリア)になることがほとんどです。
もし、1歳未満の子猫にトリコモナスが感染して下痢や嘔吐や脱水症状などの症状を引き起こしたとしても、1歳を超えると治療の有無に関係なく、症状が出にくくなります。

トリコモナス症の症状

腸に寄生する寄生虫ですので、下痢、粘膜便、血便などがおこり、便の臭いがきつくなります。
ひどい下痢がみられることがあるため、体内の水分が奪われることによって脱水症状を発症したり、肛門の腫れや赤みが見られます。
何度も下痢をしたり、大腸に炎症が見られるため、便をいきんでもでない「しぶり」もみられます。
あまりに「しぶり」がひどいと、肛門の奥にある赤い直腸が肛門から飛び出してしまう「直腸脱」が起こります。
直腸脱が起きてしまったら、自力で戻すことは難しいため、人の力が必要になります。
放っておくと直腸の粘膜が乾燥して壊死してしまいますので早急な対応が必要です。

トリコモナスが人に感染した場合

トリコモナスは人獣共通感染症の一つなので、猫に感染する感染経路と同じ経路で人にも感染することがあります。
猫に寄生するトリコモナスは腸トリコモナスといい、人の腸に感染することで、下痢や腸炎などの症状を引き起こすことがありますが、ほとんどの場合は人だと症状が出ないので、ただ腸に寄生されているだけという状態になります。

トリコモナス症の検査方法

トリコモナスは検出されにくい寄生虫で、感染していたからといって検査で必ず見つかるというわけではありません。
トリコモナスを疑って何度も検査しているうちに見つかることもあります。

検便

下痢をしている便を直接顕微鏡で観察してトリコモナスを見つけます。
検便でのトリコモナスの検出率は10〜20%と言われており、複数回試したとしてもなかなか発見されない場合が多いです。

PCR検査

遺伝子検査です。
トリコモナスの検出率は80〜90%と言われていますが、検査費用がかなり高額で、100%検出できるわけではないので初めからこの検査をすることはまれです。
これらの検査方法でトリコモナスが検出されなかった場合、症状が疑わしい場合はトリコモナスの治療を試験的に試すこともあります。

トリコモナス症の治療方法

投薬治療

・メトロダニゾール
・フェンベンダゾール
・ロニダゾール
・チニダゾール
投薬治療ではこれらの駆虫薬を投与して猫の体内に潜むトリコモナスを駆除していきます。
どの薬も確実に駆除できるという薬ではないので治療にかなりの期間がかかってしまうことがあります。
4つの中で最もトリコモナスに効果を発揮するのは、チニダゾールかロニダゾールだと言われていますが、当然個体差がありますので、一概にはどの駆虫薬がいいとは言えません。
症状の改善がみられなかったり再発を繰り返すようなら、試験的に違う駆虫薬を試してみることもあります。
また、投薬治療では、比較的副作用が弱く値段が安いことからメトロダニゾールを最初に使用することが多いです。
投薬治療で使用する駆虫薬は、使用する量や期間によっては神経症状などの強い副作用を引き起こすことがありますので注意が必要です。

対症療法

トリコモナスの治療では、猫にあらわれた症状をそれぞれ対処していく対症療法も主な治療法になります。
腸内細菌のバランスが崩れているようなら、プロバイオティクスという薬を使用してバランスを調整したり、下痢による脱水症状がひどい場合は点滴による輸液をしたりします。
駆虫薬の副作用を考えると時間はかかりますが、対症療法で治療していきながら、自分の免疫力によって排除されるのを待つのも一つです。
猫の症状や健康状態やトリコモナスの種類を考慮して獣医師と話し合いましょう。

トリコモナス症の治療期間

投薬治療をした場合は、完全に駆除するために3週間以上もの間、薬を服用しなければいけません。
症状に関しては、早ければ1週間ほどで治まることもあります。
症状が治まったとしても、猫の腸内にトリコモナスが残っている「キャリア」の場合は増殖を続けるので、他の猫に感染させたり、免疫力が落ちた時に症状が出てしまう可能性があります。
獣医師の指示通りしっかり薬を飲み切り、症状がなくても定期的に検査を受けて、寄生虫がいないかどうかを確認することが大切です。

トリコモナス症は完治するのか?

トリコモナスは投薬治療を行っても完全に駆除するのが難しいとされています。
少しでも残っていると、また増殖してしまいます。
種類や増殖状況によっては完治まで1年以上かかったり、駆除できずキャリアになる場合もあります。
対症療法で治療した場合は最低でも数ヶ月、長ければ2年以上かかることもあります。
治療していない場合でも2〜3年以内には治るとも言われています。
猫のトリコモナス症は命に関わる危険が高くない病気なので、駆虫薬の副作用を考えると時間はかかりますが、対症療法で治療した方が良いと考える獣医師もいます。
猫の状態を考慮して治療方法を選択するようにしましょう。

トリコモナス症の予防方法

トリコモナスは感染した猫の便に潜んでいるので、排便をしたらすぐにトイレを掃除して猫の生活環境を清潔に保つように心がけます。
トリコモナスにはシストという固い殻はありません。
そのため、外界で長く生存することは難しいとされています。
また、消毒系の薬剤にも弱いので一般的な消毒方法を行えば大丈夫です。
掃除をした飼い主の手に付着して別の場所に移動することもあるので、掃除の後の手洗いを徹底することも大切です。
また、多頭飼いをしている家ではトイレや食器を、感染している猫と別にしたり、隔離することも他の猫に感染させないためには有効です。
また、不規則なご飯や栄養の足りないご飯は猫の免疫力を下げる原因にもなるので、規則正しく、栄養のあるご飯をあげるようにしましょう。

トリコモナス症の人への感染

猫のトリコモナスは人間にうつります。
ただし、これは腸トリコモナスのことで、膣トリコモナスとは別の物です。
そのため、猫からトリコモナスをうつされたとしても、そのトリコモナスが生息するのはあくまでも腸内で、腸内に生息しているトリコモナスが、膣に感染することはまずありません。
つまり、同じトリコモナスでも猫からうつされる可能性があるのは腸トリコモナス症であって、膣トリコモナス症ではありません。

さいごに

猫のトリコモナス症は治療が非常に厄介で、何度も再発したり、いろいろな薬を試してみたりしなければならず何度も病院に通院しなければいけない場合もあります。
しっかりとトリコモナスの習性を理解していないと、獣医師との信頼関係が損なわれる可能性があります。
また、薬だけに頼るのではなく自己免疫力をあげることで症状を発症させないようにしたり、最終的には駆虫できることもありますので、免疫力があがる工夫をしてあげてください。





愛猫のために知ってほしいこと


「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」

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