皮膚の症状

猫が体を痒がる!かゆい原因は何?病気?対策や治療方法も解説します

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「猫がずっと頭を掻いている。もしかして皮膚病?」

「猫がお腹を舐め続けて毛が抜けている!何が原因なの?」

このような症状でお困りではありませんか?

猫が体を痒がっていたら、原因は何なのか?何の病気なのか?どのタイミングで動物病院に連れて行くべきか?など、悩まれる飼い主の方も多いでしょう。

そこで今回は「猫に痒みを引き起こす皮膚病」をピックアップして、原因や症状、診断方法、治療方法について詳しく解説したいと思います。

猫の“痒み”は病気のサイン!

「痒み」とは、思わず掻きたくなるような不快な感覚のことをいいます。
人間なら、体に痒みがあるということや、どこがどのくらい痒いのかを事細かに言葉で伝えることができますが、猫の場合はそれができません。
では我々飼い主は、猫のどのような行動から「猫が痒がっている」と推測したらよいのか、また猫が痒がってしまう原因にはどんな病気があるのかについて解説していきましょう。

猫が痒い時には起こす行動とは?

猫が痒みを訴えている時の行動には2つあります。
1つは「体を執拗になめている行動(舐性行動:しせいこうどう)」で、そしてもう1つは「後ろ足で掻きむしっている行動(掻破行動:そうはこうどう)」です。
これら2つの行動にさらに「皮膚に異常」が見られれば、痒みは皮膚病が原因と考えられます。
なお、皮膚病の際に見られる皮膚の異常の例としては、皮膚が赤い、皮膚が腫れている、フケが出ている、脱毛している等が挙げられます。
このような症状が見られているのであれば、迷わず動物病院を受診するようにしましょう。

猫に痒みを起こす皮膚病にはどんなものがある?

猫の痒みの原因には、①細菌や真菌、寄生虫などの感染症によるもの、②アレルギーによるもの、③肥満細胞腫といった腫瘍によるものがあります。
それぞれの病気についての詳しい解説は後述しますが、まずはどんな病気があるのか具体的に挙げてみたいと思います。

細菌感染による皮膚病

細菌が皮膚に感染しておこる病気の代表的なものに“膿皮症(のうひしょう)”や“膿瘍(のうよう)”が挙げられます。
膿皮症の中でも皮膚表面に起こるものを浅在性膿皮症といい、かゆみ以外にも皮膚の赤みやフケ、脱毛といった症状が出ます。
膿皮症は犬では非常に一般的な皮膚病ですが、猫での発症は少ないとされています。
一方、膿瘍はケンカによる咬み傷やすり傷から皮膚の下に細菌が感染して膿(うみ)がたまった病気で、室外で飼育されている猫(特に雄)ではよく見られます。
症状としてはプニプニとした柔らかい皮膚の腫れや赤み、触ると痛がったり、発症から時間が経つと皮膚に穴があいて膿が漏れ出ていることがあります。

真菌感染による皮膚病

真菌とはいわゆるカビのことで、代表的な病気に“皮膚糸状菌症”があります。
子猫に多くみられる病気ですが、人間にも感染してしまう病気であるため、できるだけ早くに診断し治療を開始したい病気です。

寄生虫感染による皮膚病

寄生虫による皮膚病の代表的なものに“疥癬(かいせん)”があります。
疥癬とは、“猫小穿孔ヒゼンダニ(ネコショウセンコウヒゼンダニ)”というダニが寄生することによって起こる皮膚病を言います。
この病気も皮膚糸状菌症と同様に人間に痒みを引き起こすことがある病気ですので、感染猫の扱いには注意が必要です。

アレルギーによる皮膚病(アレルギー性皮膚炎)

猫のアレルギー性皮膚炎はアレルギーを引き起こしている原因(アレルゲン)によって、“食物アレルギー”“ノミアレルギー性皮膚炎”“非ノミ非食物性アレルギー性皮膚炎”の3つに分類されています。
アレルギー性皮膚炎はアレルゲンが異なっても症状が似ているため、見た目からはアレルゲンを推測することができない上、皮膚糸状菌症などの感染症とも症状が似ていることがあり、注意深く診断しなければならない病気です。

皮膚病と間違えやすい腫瘍

猫の皮膚にできる悪性腫瘍に“肥満細胞腫”という病気があります。
肥満細胞はアレルギー反応などの生体防御反応に重要な役割をしており、細胞の中に沢山の化学物質を含む顆粒を持っています。
この顆粒が細胞の外に出ると、皮膚に赤みが出たり痒がったりし、他の皮膚炎に似た症状を表します。

猫の皮膚糸状菌症ってどんな病気?

猫の皮膚糸状菌症の原因、症状、診断方法、治療方法について解説していきたいと思います。

皮膚糸状菌症の原因

皮膚糸状菌といわれる真菌(カビ)の感染が原因でおこる皮膚炎です。
特に屋外で拾った子猫に見られることが多いです。
皮膚糸状菌は接触感染で広がるため、感染している猫から人や同居動物にも感染する可能性があります。

皮膚糸状菌症の症状

顔や耳、四肢に皮膚炎が起こりやすいですが、重症例では全身に病変が及ぶこともあります。
典型的な皮膚の異常としては、円形に近い形の脱毛(リングワーム)ができ、その周りにフケやかさぶたが見られます。
痒みの程度は様々ですが、比較的軽度であることが多いです。

皮膚糸状菌症の診断方法

ウッド灯というライトで毛を観察して青緑色に光るかどうかを見てみます。
この時光った毛を抜いて顕微鏡でみると菌体が確認できます。
もし光る毛がない場合でも、全身の毛をブラシでとかして集め培養を行い、生えたカビを確認することで皮膚糸状菌症と診断することができます。

皮膚糸状菌症の治療方法

皮膚糸状菌症は病変が広範囲であることが多く、治療の基本は抗真菌剤の内服になりますが、菌体が体から完全に消失するまでには数ヵ月以上かかることが多いです。
ここでうっかり治療を中断してしまうと、人間に感染してしまったり、再発を招くことがありますので注意しなくてはいけません。
抗真菌薬の入ったシャンプー(マラセブシャンプーなど)は感染している被毛を除去することができるため、シャンプー療法も合わせて行うと良いでしょう。
また皮膚糸状菌は環境中に長期間生存することができるため、一旦治療に成功しても、ご自宅にバラまかれたカビをそのままにしてしまうと、何度でも感染をくり返ししてしまう可能性があります。
できるだけご自宅を念入りに掃除し、治療が終わるまでは感染している猫を隔離することが望ましいです。

猫がカビに感染?!皮膚糸状菌症の症状や原因、治療法、シャンプーについて解説

猫の疥癬(かいせん)ってどんな病気?

猫の疥癬の原因、症状、診断方法、治療方法について解説していきたいと思います。

疥癬の原因

疥癬とは、“猫小穿孔ヒゼンダニ(ネコショウセンコウヒゼンダニ)”というダニが寄生することによって起こる皮膚病です。

疥癬の症状

疥癬の皮膚の異常は、顔面に表れやすいです。
症状としては、感染初期は赤いぶつぶつとした発疹(粟粒性皮膚炎)や脱毛、フケ、わずかな痒みが見られる程度ですが、重症化すると脱毛が進み皮膚の角質層が厚くなっていき、象のように皮膚が分厚く見えます。
この状態になると、まぶたの皮膚まで腫れ、目がしっかりと開ききらないようになります。
また疥癬は激しいかゆみを引き起こすことが多く、掻きむしって皮膚から血がでたり、常に顔を掻いているため手足が汚れていることがあります。

疥癬の診断方法

皮膚の角質層を掻き取って顕微鏡で観察し、ダニを見つけて確定診断となります。
軽症例ではダニの検出率が悪いため、アレルギー性皮膚炎と間違いやすく、疥癬と診断されるまでに時間を要すことがあります。

疥癬の治療方法

セラメクチン(商品名 レボリューション)もしくはイベルメクチン(商品名 アイボメック)が疥癬の治療に有効です。
根治が可能な病気ですが、1回の治療で完全にダニを駆除することはできないため、2週間間隔で2〜3回程度治療を行わなければいけません。
もしダニの寄生によってフケが多い場合はシャンプーで洗い流して清潔にしてあげることが好ましいですが、ヒゼンダニは人間にもうつることがあるため、シャンプー時には感染予防に使い捨てゴム手袋やエプロンの装備をしましょう。
また、環境中に落ちているダニはあまり長くは生きられませんが、駆除しておけば再感染のリスクが減ります。
猫がよく寝ている寝床を廃棄する、廃棄できないものは可能な限り洗濯する、こまめに掃除機をかける、バルサンなどの殺虫剤を使用することで環境中のダニを減らすことができます。

猫の疥癬とは?原因や症状、治療方法は?どんな薬やシャンプーが有効?

猫のアレルギー性皮膚炎ってどんな病気?

猫のアレルギー性皮膚炎の原因、症状、診断方法、治療方法について解説したいと思います。

アレルギー性皮膚炎の原因

猫のアレルギー性皮膚炎はアレルギーを引き起こしている原因(アレルゲン)によって、①食物アレルギー、②ノミアレルギー性皮膚炎、③非ノミ非食物性アレルギー性皮膚炎の3つに分類されています。
ただし、アレルゲンは必ずしも一つとは限らず、この3つの皮膚炎が重複して起こることもあります。

アレルギー性皮膚炎の症状

後ろ足で過剰に引っ掻くことによる顔面や首の脱毛やひっかき傷、皮膚の赤みが共通して見られますが、猫のアレルギー性皮膚炎のパターンは実に様々です。
時に特徴的な皮膚炎のパターンから、“粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん)”や“好酸球性肉芽腫症候群”と呼ばれる症状を出すこともあります。

粟粒性皮膚炎

猫に粟粒(あわつぶ)のような細かく赤い発疹を作る病気を粟粒性皮膚炎と言います。
ノミアレルギーによる粟粒性皮膚炎の場合は背中を中心に、蚊の刺咬症(しこうしょう)の場合、顔面や耳に発疹が表れるのが典型的な症状です。
また、食物アレルギーでは頭、腰、お腹、太ももの辺りに粟粒性皮膚炎ができやすいです。
一方、アレルギー性皮膚炎ではありませんが、皮膚糸状菌でもこのようなパターンの皮膚炎を作る場合があり、その場合は顔面や四肢に表れることが多いとされています。

好酸球性肉芽腫症候群

好酸球性肉芽腫症候群とは①無痛性潰瘍、②好酸球性局面、③好酸球性肉芽腫の3つの症状を特徴とした病気の総称で、食物アレルギーの猫でしばしばみられる症状で、3つの全てのパターンに共通して猫が患部を非常に気にして舐めています。
①無痛性潰瘍は上唇の外側にできる潰瘍病変ですが、明らかな痛みが見られません。
②好酸球性局面は、お腹から内ももの辺りにかけて病変が見られることが多いです。
初期には脱毛を伴う小さな湿疹がみられますが、徐々に拡大して円形状かつ盛り上がった赤い皮疹ができます。
③好酸球性肉芽腫は線状肉芽腫とも言い、白〜ピンク色の線状に盛り上がった病変を作り、脇や内もも、尻尾に起こりやすいです。
なお、好酸球性肉芽腫症候群はアレルギー以外にも精神的な要因から起こる過度のグルーミング(心因性脱毛)が引き金となって見られることもあります。

猫の好酸球性肉芽腫症候群ってどんな病気?症状、原因、治療法について解説

アレルギー性皮膚炎の診断方法

同じアレルゲンであっても発疹の出方が異なったり、時に感染症による皮膚炎にも症状が似ているため、診断には注意深い手順を踏む必要があります。
まずアレルギー性皮膚炎が疑わしい場合の問診は非常に大切です。
猫が室外にでるかどうか、いつから発症したか、発症時期より少し前に食事を変更したかどうか、また下痢や軟便などの症状が表れていないかなど細かくチェックします。
次に一般的な皮膚検査を行い、ノミやハジラミ、疥癬などの寄生虫による皮膚炎ではないか、また皮膚糸状菌が認められないかを確認します。
もし食物アレルギーが疑わしい場合は、除去食試験といって専用の療法食(もしくは手作り食)を与えて改善が見られるかを確認します。

アレルギー性皮膚炎の治療方法

ノミアレルギー性皮膚炎の場合は、ノミ駆除剤(フロントラインやレボリューションなど)を使用します。
また除去食試験によって食物アレルギーと診断された場合は、継続して療法食を与えていただきます。
そして非ノミ非食物性アレルギー性皮膚炎であった場合は、対症療法としてステロイド剤の投与を行って痒みや皮膚の炎症を抑えていきます。

猫の肥満細胞腫ってどんな病気?

猫の肥満細胞腫の原因、症状、診断方法、治療方法について解説したいと思います。

肥満細胞腫の原因

肥満細胞腫とは“肥満細胞”とよばれる免疫細胞が腫瘍化した病気です。
肥満細胞とはアレルギー反応などの生体防御反応に重要な役割をしており、細胞の中に沢山の化学物質を含む顆粒を持っていて見た目が膨れた形をしていることがその名の由来になります。

肥満細胞腫の症状

猫の肥満細胞腫には“内臓型”と“皮膚型”の2つのタイプがあり、後者は猫の皮膚腫瘍の中でも多く見られる病気で、耳介以外にも目の周りや首など頭頚部にできることが多く、中には痒みを伴うこともあります。
皮膚型の肥満細胞腫の見た目は様々で、ドーム状に膨らんでいたり、時には赤く皮膚炎のようになっていたりしますし、しこりは1つだけでなく多発することもあります。

肥満細胞腫の診断方法

針吸引検査を呼ばれる方法で、しこりの一部に針を刺し細胞を採取することで診断します(細胞診)。

肥満細胞腫の治療方法

猫の皮膚型の肥満細胞腫は良性であることが多いので、基本的には外科手術で取り除いてしまえばほとんどのケースで根治することが可能ですが、多発していたり、内臓など全身に転移してしまっているケースでは予後不良と言われています。

猫の肥満細胞腫の原因や症状や治療法は?良性や悪性とは?余命はどのくらい?

猫の心因性脱毛ってどんな病気?

心因性脱毛とは、過剰に皮膚や毛を舐める行動や掻き壊すことによって引き起こされる自虐性の皮膚病で、時にアレルギー性皮膚炎との鑑別が難しい病気です。
猫の心因性脱毛の原因、症状、診断方法、治療方法について解説したいと思います。

心因性脱毛の原因

環境の変化(例えば引っ越しやペットホテルへ預けられたこと、新しい家族が加わったことなど)や飼い主の感心を引くためなどの精神的な要因が関連していると考えられていますが、明らかな原因がわからない場合も多くあります。

心因性脱毛の症状

体の1箇所もしくは数カ所をしつこく舐めるため、お腹や背中、後ろ足などに左右対称の脱毛が見られることが多いです。
脱毛といっても毛が抜け落ちたのではなく、猫のザラザラした舌で過度にグルーミングしたことによって毛が刈り取られている(断裂している)のが特徴です。
また、長い間グルーミングをすることによって皮膚が障害されて赤くなり、好酸球性局面と呼ばれる症状を引き起こしたりすることがあります。

心因性脱毛の診断方法

抜毛検査によって断裂している毛があるかを確認します。
また、症状からはアレルギー性皮膚炎や皮膚糸状菌症などその他の皮膚炎と似ているケースも珍しくなく、糸状菌の培養検査などいくつかの検査を組み合わせて最終的に診断します。

心因性脱毛の治療方法

飼い主の気を引いて退屈してグルーミングを始めるようなら、音で舐める行動を制止しておもちゃなどで遊んで気を紛らわせる、十分甘えさせてあげるなどの対応をとります。
猫のストレスとなる明らかな原因が不明である場合や、ストレス源を除去することができない場合は、薬物療法として抗不安薬を用いることがあります。
また、抗不安効果のあるサプリメント(ミルクをトリプシンで分解したカゼイン)を試験的に使用してみることもあります。
なお、舐めている猫をしかって制止することは逆効果とされており、この病気の発端である猫の舐める行動を修正するのに長期に渡るケアが必要で、かつ即効性のある治療法はありません。

さいごに

猫の皮膚病は見た目だけでは診断できないということがお分かりいただけたでしょうか?
また、心因性脱毛のような病気はアレルギー性皮膚炎と鑑別が難しく、診断や治療に苦慮することがあります。
もし、猫の皮膚病がなかなか治らないなどでお困りであれば、専門の獣医師のセカンドオピニオンを受けることをおすすめします。





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