「猫をブラッシングをしていたら、ごっそり毛が抜けた!」
「猫にハゲがあるのを見つけてしまった。原因は何だろう?」
つやつやとした毛やふわふわの毛も、猫の魅力の一つですよね。
そんな猫の毛がハゲてしまったら、どうしたらいいのか慌ててしまうかもしれません。
そこで今回は、猫の体のあちこちで毛が抜ける原因について解説します。
猫の脱毛
通常、猫には年に2回の春と秋に被毛が生え変わる換毛期(かんもうき)があり、この時期に毛が抜けるのは気温の変化など環境に適応するための生理現象で、病気ではありません。
換毛の時期は日照時間が関係しているため、室内飼育の猫では時期があいまいになることも多いようです。
換毛期では全身の毛がまんべんなく抜けるため、通常は毛のない部分(ハゲ)を作ることはありませんが、なんらかの異常があると大量に毛が抜けたり、毛が切れたりしてハゲてしまうことがあります。
猫の脱毛についてのチェックポイント
猫の脱毛が気になった時、生理的な換毛期なのか、病気なのかを判断するために下記のことをチェックしてみましょう。
どこが抜けているか?
疥癬は顔~頭部の脱毛がみられ、アレルギー性皮膚炎の場合には目や口の周りから脱毛が始まることがよくあります。
どんなふうに脱毛しているか?
左右対称に抜けている場合には、ホルモン異常の病気が考えられます。
円形の脱毛がみられる場合には、真菌(カビ)の感染が疑われます。
体を舐めているか?
猫が同じ部分をずっと舐めているのは、その部分に何らかの異常があるサインです。
ザラザラした猫の舌で舐めて続けると、被毛が切れたように短くなり、次第に皮膚も傷つき炎症を起こすこともあります。
かゆがっているか?
アレルギーや外部寄生虫が原因の場合には、かゆみが認められますが、ホルモン異常や真菌症などの病気ではほとんどかゆみはありません。
他の症状はあるか?
脱毛は皮膚病だけの症状ではなく、内臓の病気の症状の一つとしてあらわれる場合がよくあります。
脱毛以外にも多飲多尿や頻尿など他の症状がないかどうかを合わせて確認しましょう。
猫の脱毛を引き起こす病気
では、どのような病気が猫の脱毛を引き起こすのでしょうか。
アレルギー
食物アレルギー
食物中のたんぱく質に対してアレルギー反応を示す病気で、主な原因食物として牛肉、鶏卵、小麦、トウモロコシ、大豆、魚肉などがあります。
症状は様々ですが、かゆみを伴う皮膚炎が口や目の周囲、耳、背中、お腹、四肢にみられ、猫が舐めたり、掻き続けて脱毛してしまうこともあります。
アレルギー試験によって確定診断をし、原因となる食材を与えないということが第一の治療となります。
ノミアレルギー性皮膚炎
猫がノミに刺された時に、皮内に分泌される物質に対するアレルギー反応を示す病気で、かゆみを伴う皮膚炎がノミに刺されやすい耳の周囲や首、背中、腰部にみられ、猫が舐めたり引っ搔くことでその部位が脱毛することがあります。
外部寄生虫
疥癬(かいせん)
ショウセンコウヒゼンダニが皮膚に寄生して皮膚炎を引き起こす病気で、非常に強いかゆみがあるのが特徴です。
特に顔や耳の皮膚が赤く腫れ、フケ、脱毛、びらん、潰瘍などがみられ、強いかゆみのために猫は皮膚が出血するほどまで引っ搔き、脱毛します。
⇒猫の疥癬とは?原因や症状、治療方法は?どんな薬やシャンプーが有効?
耳ダニ症(耳疥癬)
ミミヒゼンダニが耳道に寄生し、外耳炎を引き起こす病気で、黒色の乾いた耳垢が特徴的です。
猫はかゆみで頭をしきりに振ったり、耳を掻きむしったり、耳をこすりつけたりすることで耳周辺の脱毛がみられ、放置すると慢性外耳炎になってしまいます。
⇒猫の外耳炎の原因や症状や治療方法は?自然治癒はする?薬は何使うの?
ノミ刺咬性皮膚炎
ノミに刺されることによる物理的な刺激による皮膚炎で、耳の周囲、首、背中、尾の付け根のかゆみから猫が掻きむしって、脱毛することがあります。
感染症
皮膚糸状菌症(白癬)
真菌(カビ)の一種である糸状菌に感染して起こる病気です。
頭部など体のあちこちの皮膚に感染し、赤く円形に腫れて表面に水ぶくれやフケがみられるようになり、円形に脱毛します。
脱毛した皮膚の周囲はカサブタで覆われ、色素沈着して茶色い斑点のように見えることもあります。
爪に感染した場合には、爪が変色したり、抜け落ちたりしてしまいます。
⇒猫がカビに感染?!皮膚糸状菌症の症状や原因、治療法、シャンプーについて解説
ホルモン異常
対称性脱毛症
後ろ足のあたりからお腹の方にかけて左右対称に被毛が薄くなっていく病気で、進行すると腰や背中、脇腹、尾の下、内ももの脱毛がみられます。
通常、かゆみや痛みはないようですが、放置すると脱毛部分が硬くなり、かゆみを生じることもあります。
被毛の根元の毛包が委縮するために起こるとされていますが、詳しい原因はわかっていません。
去勢または避妊手術を受けた猫、ホルモン剤を長期間投与されている猫での発症が多いことから、性ホルモンのバランスとの関連性があると考えられています。
甲状腺機能亢進症
甲状腺から分泌されるホルモンであるサイロキシンが持続的かつ過剰に分泌されることで、全身に異常がみられる病気で、特に8歳以上の高齢猫で多くみられます。
食欲旺盛にもかかわらず体重減少して痩せていたり、脱毛、多飲多尿、下痢、嘔吐、活動亢進などの全身症状がみられます。
⇒猫の甲状腺機能亢進症の症状や原因や治療法は?寿命や末期症状も解説
副腎機能皮質亢進症
腎臓の上にある副腎という臓器から分泌される副腎皮質ホルモンが、過剰に分泌されることによる全身状態の異常で、猫ではまれな病気ですが、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド剤)を長期間投薬している猫で起こることがあります。
皮膚症状としては皮膚が薄く弾力がなくなり、背中やお腹の左右対称の脱毛または全身の脱毛がみられます。
また、多飲多尿、異常な食欲の増加、お腹が膨れるなどの全身症状がみられます。
ストレス
心因性脱毛
環境の変化、十分に世話がされていない、多頭飼育などがストレスとなり、皮膚自体には問題がないにもかかわらず、猫は体をしきりに舐めるようになります。
特に猫が舐めやすい部位である前足やお腹、背中、尾など一か所を繰り返し舐め続けて、その部分の毛が徐々にはげてしまい、次第に皮膚炎を起こし、びらん潰瘍化することもあります。
その他
好酸球性肉芽腫性症候群
口唇の粘膜が潰瘍化する他、首や胸、お腹、足など体のあちこちに皮膚に赤く硬いしこりができ、かゆみと脱毛が生じる病気です。
原因ははっきりとわかっていませんが、ウイルスや細菌、アレルギー、遺伝的要因などが疑われています。
⇒猫の好酸球性肉芽腫症候群ってどんな病気?症状、原因、治療法について解説
日光性皮膚炎
発症の詳しい原因はわかっていませんが、日光に含まれる強い紫外線に当たることで引き起こされる病気で、特に被毛が白い猫または色素の薄い毛色の猫で多くみられます。
特に耳、目、口の周りなどの頭部で毛が抜け、赤い斑点が出るなどの症状がみられ、扁平上皮癌の発症との関連性もあると言われています。
スタッドテイル
猫の尾の付け根にある尾腺と呼ばれる皮脂を分泌する腺があり、皮脂の分泌が過剰になって細菌感染を起こすことで、尾の付け根に皮膚炎が起こる病気で、原因はまだはっきりとしていません。
尾の付け根が黄色から黒色に変色し、猫はしきりに尾を舐めようとし、脱毛します。
脱毛の部位と考えられる原因
前述のとおり、全身の様々な場所に脱毛を引き起こす病気が多いため、脱毛している部位だけでその原因となる病気を断定することは非常に難しいものです。
あくまで参考になりますが、各部位でみられる脱毛の原因として疑われる病気をまとめてみました。
頭部の脱毛
・食物アレルギー
・皮膚糸状菌症
・日光性皮膚炎
耳の脱毛
・食物アレルギー
・ノミアレルギー性皮膚炎
・疥癬
・耳ダニ症
・外耳炎
・日光性皮膚炎
首の脱毛
・ノミアレルギー性皮膚炎
・疥癬
お腹の脱毛
・皮膚糸状菌症
・対称性脱毛症
・甲状腺機能亢進症
・副腎機能皮質亢進症
・膀胱炎
背中~腰の脱毛
・ノミアレルギー性皮膚炎
・ノミ刺咬性皮膚炎
・対称性脱毛症
・甲状腺機能亢進症
・副腎機能皮質亢進症
尾の付け根
・スタッドテイル
全身の各所にあらわれる脱毛
・食物アレルギー
・皮膚糸状菌症
・対称性脱毛症
・甲状腺機能亢進症
・副腎機能皮質亢進症
・心因性脱毛
・好酸球性肉芽腫性症候群
さいごに
猫の脱毛(ハゲ)には、いろいろな原因が考えられることがお分かりいただけましたでしょうか。
「ハゲている=皮膚の病気」と考える飼い主さんがよくいらっしゃいますが、皮膚にあらわれる症状は体の様々な異常から波及して起きていることが多いものです。
特に皮膚以外の症状がみられる場合には急を要するケースもありますので、いち早く対処してあげるためにも早めの受診を心がけてください。
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