皮膚の症状

猫の背中にしこりがあるけど原因は何?考えられる病気は?

投稿日:2017年7月15日 更新日:

 

「猫の背中をなでていたら、しこりに気が付いた!どんな病気?」

「猫の背中にできたしこりは、腫瘍かな?原因は何だろう」

猫の背中の“しこり”に気が付いた時には、「腫瘍」や「ガン」ではないかと不安になるかと思いますが、その正体は腫瘍だけではなく、いろいろな可能性が考えられます。

もちろん、命にかかわる重篤な状態に陥る可能性のある腫瘍は、最も心配な原因です。

そこで今回は、猫の背中のしこりの正体について、腫瘍である場合とその他の原因である場合に分けて解説したいと思います。

背中のしこりが腫瘍である場合

猫の背中は皮膚の腫瘍ができやすい部位で、猫の皮膚腫瘍の半分以上が悪性と言われています。
主な猫の皮膚腫瘍には、基底細胞腫・基底細胞ガン、扁平上皮ガン、肥満細胞腫、軟部組織肉腫などがあります。

基底細胞腫・基底細胞ガン

表皮の基底部にある基底細胞から生じる腫瘍で、猫では最も一般的な皮膚腫瘍です。

原因

遺伝子変異が原因であると考えられていますが、詳しくは解明されていません。
中高齢の猫、シャム、ペルシャなどの品種がかかりやすいと言われています。

症状

基底細胞腫はほとんどが良性の腫瘍で、イボのような硬く、円形状、境界が明瞭なしこりが形成されます。
基底細胞腫を放置しておくと、まれに悪性の基底細胞ガンに移行するケースもあり、注意が必要です。

治療

外科的切除を行います。
基底細胞腫を完全に切除することができれば、転移や再発の可能性は少ないとされています。

扁平上皮癌

扁平上皮とは、皮膚や目、口や鼻、気管など体内の入り口にあたる部分の表面を覆っている細胞で、猫の扁平上皮癌は顔に発生することが多い腫瘍ですが、背中などの体幹部に発生する場合もあります。

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原因

紫外線の刺激やウイルス感染などの関連があると言われていますが、特に原因がわからない特発性の場合もあります。
白い毛の猫や白い毛の部分に発症しやすく、紫外線による何らかの障害や慢性炎症が原因として考えられています。

症状

口腔内、顔面部、耳、肛門の周囲に比較的多く発生します。
数か月にわたって皮膚にカサブタや潰瘍、しこりが認められ、徐々に大きくなっていきます。
腫瘍の近くのリンパ節や肺に転移することもあります。

治療

周辺組織に広がりやすいため、広範囲に外科的切除することが基本的な治療となります。
再発率が高いため、放射線治療や抗がん剤などの化学療法、放射線療法などの治療が必要になるケースもあります。

肥満細胞腫

肥満細胞とは?

肥満細胞とは免疫系の細胞の一種で、体にとって有害な物質(異物)が侵入してきた際に、ヒスタミンやヘパリンなどの炎症物質と呼ばれる物質を放出し、体内から異物を排除するアレルギー反応を引き起こします。
“肥満”細胞という名前から勘違いされがちですが、猫が肥満しているかは関係なく、どんな猫にも存在する重要な細胞です。

原因

肥満細胞がガン化したものですが、はっきりとした原因はよくわかっていません。
中高齢の猫での発生が多いとされていますが、シャム猫では若齢でも発症するといわれています。

症状

肥満細胞腫は「内臓型」と「皮膚型」に分けられ、内蔵型は悪性であることが多く、骨髄、脾臓、肝臓、リンパ節、肺、腸などに腫瘍ができ、下痢や嘔吐、食欲不振など全身症状が出ます。
皮膚型では、はじめは頭部や首のあたりに白~ピンク色で2~15mm程度の小さいしこりが一つまたは複数みられ、次第に背中など全身の皮膚に広がっていきます。
しこりの形は盛り上がっていたり、へこんでいたりと様々で、痒みがある場合もあります。

治療

皮膚にできたしこりは、できる限り外科的に切除し、病理検査によって悪性か良性かを診断します。
全てのしこりを切除すれば予後は良好ですが、多発性の場合にはステロイド薬などを投与することもあります。

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線維肉腫(注射部位肉腫、ワクチン関連性肉腫)

線維肉腫とは、コラーゲンを産生している線維芽細胞がガン化したもので、軟部組織肉腫の一種です。

原因

原因ははっきりとわかっていませんが、猫において左右の肩甲骨の間のようなワクチン接種を行う部位に発生が多いことから、ワクチン接種との関連性が確認されています。
以前はワクチンに含まれる「アジュバンド」という溶液に反応して引き起こされると言われていたために「ワクチン関連性肉腫」と呼ばれることもありましたが、最近ではワクチンだけでなく様々な注射薬によって生じることがわかり、「注射部位肉腫」と呼ばれています。

症状

背中や四肢、お腹、顔などあらゆる部位にしこりが生じます。
しこりの形状や大きさは様々で硬く、境界がはっきりとしていないことが多いとされています。
注射部位肉腫の場合には、ワクチン接種や注射をした後、数週間から数か月後に急速に注射した部位の皮下や筋組織などにしこりができます。

治療

外科的に切除します。
悪性腫瘍であるものの他の臓器に転移をすることは比較的少ないのですが、再発することも多く治療管理が難しい病気です。
皮下だけでなく筋組織にまで深く、広く根をはったように浸潤するため、しこりの周囲を深く、大きく切除することが再発を防ぐために望ましいとされています。

予防

発生のメカニズムが完全に解明されていないため、完全に予防することは難しいのですが、
注射部位が関連することを考慮すると、毎回異なる部位に注射をすることが予防になると考えられています。
肩甲骨の間は皮膚がよく伸びるため、猫にとって痛みが少なく注射ができるという点では適しているのですが、周囲に大きな筋肉がある部位であるため、肉腫ができた場合に大きく切除することを考慮して、尾の付け根や後肢などに接種するケースも増えています。

背中のしこりが腫瘍以外の場合

腫瘍ではない背中のしこりの原因には、膿瘍、血腫などがあります。

膿、膿瘍(のうよう)

膿瘍は傷口から細菌に感染して炎症が起こり、皮下に膿が溜まったもので、ドーム状に盛り上がっているようにみえます。
猫の皮膚は伸縮性に富み治癒力に優れているため皮膚の表面の傷は治癒していたり、猫が傷口を舐めて唾液や毛で傷口が塞がったりしていると、皮下で膿がどんどん溜まってしまうため、皮膚が盛り上がり、やがて破裂して血や膿が出てくるということもあります。
猫同士のケンカで相手の猫に咬まれたり、外出時に針金のようなものに引っ掛けたりして、負った傷が原因となることが少なくありません。
早期に発見し、傷口を清潔にしたり抗生物質投与などの治療ができれば数日で治ることもありますが、化膿がひどい場合には皮膚を切開して膿を出す治療が必要となり、壊死した皮膚を除去するなど、治癒までに長期間かかることもあります。

血腫

血腫とは、皮下に血が溜まる、いわゆる「血豆」の様なものです。
どこかに強くぶつけたり、血液の病気などが原因で出血した血液が皮下に溜まった状態で赤紫色の膨らみやこぶのようになることがあります。
軽度であれば、自然に吸収されることが多いですが、血液が大量に溜まっているような場合には、切開や針を刺して排出させます。

毛のかたまり

長毛の猫で多いのですが、十分にグルーミング(毛づくろい)ができていないと、毛が絡まってフエルト状となり、背中にしこりのようなものができてしまいます。
ブラシや櫛も通らないほど固まってしまっていることも多く、皮膚の一部を巻き込んでいることもあるため、毛のかたまりをハサミでばっさりと切るのは危険です。
今後のケアの仕方も含めて、動物病院に相談しましょう。

自宅でしこりの正体を判断できる?

猫にしこりを見つけたら、すぐに動物病院へ連れて行くのが最善です。
しかし、病院嫌いな猫のために、なるべく自宅で腫瘍かどうかを判断したいと思われる飼い主さんも多いようで、時々、下記のような質問をいただくことがあります。

猫が背中を痒がるかどうかで判断できる?

猫が背中を痒がり、舐めたり足で掻いているケースでは、単なる皮膚炎で腫瘍ではないと判断してしまう方がいらっしゃいます。
確かに痒みが主症状の皮膚病として、虫刺されやアレルギー性皮膚炎などの可能性ももちろんありますが、肥満細胞腫など腫瘍の場合にも痒みが出る場合もありますし、腫瘍の周囲が炎症を起こして痒みを引き起こしている可能性もあります。

獣医師解説。猫の皮膚炎とは?原因や症状や治療法を解説

痒みの有無だけでは、腫瘍かそうでないかといったしこりの原因を判断することはできません。

しこりの場所が、背中の片側もしくは両側かどうかで判断できる?

残念ながら、皮膚の腫瘍ができる部位は、特定の部位や片側、両側などの規則性がありません。
たとえば他の猫に咬まれた傷は、上の歯と下の歯が刺さった部位がそれぞれ膿瘍となる可能性もありますが、きれいに背中に左右対称にできることはまれでしょう。
前述の注射部位肉腫は、注射を打った部位の周囲にしこりができることが多いため、どこに注射したのかを記録しておくことは原因の特定に役立つかと思います。

さいごに

早めにしこりの存在に気が付くことで、転移前に治療が開始できたり、切除範囲も小さく済んだりと、猫への負担も軽くなります。
猫の背中にできるしこりは、比較的小さなものも多く、毛がふさふさした猫では発見が遅れがちです。
背中をなでる時には一方向だけでなく、毛を逆立てるように指でなでるとわかりやすいので、試してみてくださいね。

関連記事になります。合わせてご覧ください。

猫の皮膚にしこり。お腹や背中や脇にできる原因は何?病気のサイン?





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