猫の皮膚にしこり。お腹や背中や脇にできる原因は何?病気のサイン?
「猫の脇にしこりがあるけど、もしかして癌かしら?」
「猫の背中に固いしこりがあって、どんどん大きくなってきた・・・」
こんな悩みはありませんか?
猫の皮膚にしこりができていたら飼い主の方は「悪いものじゃないか」、「どんな病気になってしまったのか」と不安になりますよね。
そこで今回は、猫の皮膚腫瘍にはどんな病気があるのか、猫のお腹や背中、脇にはどんなしこりができやすいかなど、詳しく解説したいと思います。
目次
猫の皮膚腫瘍について知っておきたいポイント
まずは猫の皮膚腫瘍に関して、飼い主の方に是非おさえていただきたいポイントについて解説したいと思います。
猫にも皮膚に癌ができることがあるの?
猫も人間同様、10歳以上の高齢になってくるとどうしても腫瘍の発生頻度が高くなります。
猫の腫瘍の発生頻度で一番多いのが、リンパ腫や白血病といった造血器の腫瘍ですが、その次に多いのが皮膚の腫瘍と言われています。
猫の皮膚腫瘍で発生頻度が多い場所は頭部や背中です。
特にこの部位には悪性腫瘍の発生が多く見られますので注意して下さい。
猫の室内飼育が一般化してきて猫の寿命も延びており、腫瘍の猫を診察する機会も増加してきています。
気になるしこりができていたら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
⇒猫の悪性リンパ腫の症状とは?ステージ別の余命、生存率はどのくらい?
⇒悪性リンパ腫の猫にステロイドや抗がん剤治療の効果は?費用はどのくらいかかる?
お腹・背中・脇など、しこりの位置でどんな腫瘍か分かる?
お腹・背中・脇にしこりが見られた場合、どんな病気が考えられるのか例を挙げて解説したいと思います。
が、その前に重要なことをお伝えしますと、残念ながら発生している場所だけで腫瘍かどうかや、腫瘍の種類を診断することはできません。
「この腫瘍は耳や首にできやすい」という大きな傾向があっても、「この猫の場合は手足にできた」ということもあります。
また、腫瘍ではなく膿がたまった“膿瘍(のうよう)”であったということもあります。
確定的な診断のためには後述する検査を受けなくてはいけない、ということを踏まえて以下の解説を読んで下さいね。
お腹にできやすいしこり
お腹の皮膚の上から簡単に触ることのできるしこりとして考えられるものは、乳腺やリンパ節の腫れです。
乳腺が腫れるのは妊娠出産などのホルモンが関連するケースや乳腺腫瘍、リンパ節が腫れるのはリンパ節炎やリンパ腫と呼ばれる腫瘍になります。
お腹は比較的皮膚腫瘍の発生頻度が少ない場所ですが、背中にできる皮膚腫瘍と同じものがお腹にできてしまうことも稀にあります。
⇒猫の乳腺腫瘍(乳がん)の症状や治療法は?手術費用は?余命はどのくらい?
背中にできやすいしこり
前述の通り背中は皮膚腫瘍ができやすい場所で、なおかつ悪性腫瘍も多く発生するところです。
具体的には、扁平上皮癌・肥満細胞腫・軟部組織肉腫(線維肉腫や注射部位肉腫など)・基底細胞腫もしくは基底細胞癌が挙げられます。
脇にできやすいしこり
脇にしこりがあるのなら、お腹と同様に乳腺やリンパ節の腫れの可能性があります。
猫の乳腺癌はリンパ節に転移することがあり、脇の下のリンパ節が腫れることもあります。
脇も比較的皮膚腫瘍の発生頻度が少ない場所ですが、背中にできる皮膚腫瘍と同じものが脇に発生することも稀にあります。
しこりはどんな検査で診断するの?
しこりの位置や数、見た目だけで腫瘍かどうかや、どんな腫瘍なのかを診断することはできません。
また腫瘍であった場合でもどんなタイプの腫瘍なのかを予め診断しておくことは、次の治療方法を決定する上で重要になります。
細胞診(針吸引検査)
細胞診とは、細い針をしこりに刺してしこりの中の細胞を採取する検査で、しこりが明らかに悪い腫瘍なのか、それとも膿や良性の腫瘍が疑われるのかなどを判断します。
メリットとしては、手技的には簡単な検査で、多少出血しても圧迫して止血できるので安全な検査であるということです。
もし膿瘍であれば細胞診で診断が可能で、手術をしなくても抗生物質の投与だけで治る可能性があります。
この検査に伴う苦痛についてですが、多少の皮膚を刺される痛みはありますが、暴れる程の痛みではありません。
デメリットとしては、採取する細胞の量が少ない上に細胞の配列などが判断できないため、似たようなタイプの腫瘍(例:扁平上皮癌と基底細胞癌は同じ上皮系腫瘍)の鑑別は病理組織検査を行わないといけないというところです。
また、豆腐のような柔らかい腫瘍は針で細胞を採取しやすいですが、こんにゃくのように固い腫瘍は細胞が取れず細胞診検査ができないことがあります。
病理組織検査
取り切ったしこりをそのまま検査しますので、細胞診で判断が難しかったものを診断することができます。
また外科手術後にちゃんと取り切れたのかを確認するためにも、必須の検査です。
猫の皮膚に出来る腫瘍の特徴や治療法
それでは猫の皮膚にできる腫瘍で、発生頻度の高い腫瘍のうち4つをピックアップして解説します。
扁平上皮癌
扁平上皮癌とは、表皮にある角化細胞が腫瘍化した病気のことで、猫の皮膚の悪性腫瘍で一番多いと言われています。
猫の皮膚にできる扁平上皮癌は、太陽光線を浴び続けていることが発症原因と言われており、色素の薄い猫や毛の白い猫で多く、特に毛の薄い頭部での発生頻度が高い腫瘍です。
扁平上皮癌の初期は、皮膚の赤みや脱毛といった皮膚炎のような症状が出ます。
腫瘍が進行してくると、皮膚の一部が潰瘍化して出血してかさぶたができる、かさぶたが剥がれてまた出血する、といった症状が特徴的です。
治療のためには外科手術による摘出を行います。
軟部組織肉腫(線維肉腫や注射部位肉腫など)
軟部組織肉腫というは一つの悪性腫瘍のグループで、線維肉腫・注射部位肉腫・血管周皮腫・神経鞘腫・脂肪肉腫などの腫瘍が含まれます。
これらは共通した特徴を持っているため、軟部組織肉腫と総称され治療が行われますが、猫では特に線維肉腫や注射部位肉腫の発生が多いです。
注射部位肉腫はかつて“ワクチン接種部位肉腫”とも呼ばれていましたが、ワクチン以外にも様々な注射溶液の成分に反応して発生する悪性腫瘍で、注射をする機会の多い背部を中心に発生します。
軟部組織肉腫は他の臓器への転移することは比較的少ないですが、皮膚だけに留まらず周りの組織にまで根を張るように深く侵入しています。
触った感触としては硬く、周囲の組織と密着しているためしこりの境がはっきりしていないこともあります。
治療方法は外科手術による摘出です。
軟部組織肉腫の再発を防ぐためには、とにかく腫瘍の周りを大きく切り取ること、1回の手術で完全に取り切ることが重要です。
基底細胞腫/癌
基底細胞腫とは皮膚の表皮の一番基底部にある細胞の良性腫瘍のことで、同じ細胞由来でも悪性度が高いと基底細胞癌と診断されます。
どちらも頭部から背部にかけて発生することが多いです。
基底細胞腫は、良性悪性を合わせた猫の皮膚腫瘍全体の中では、最も多く見られる病気で、メラニン色素沈着によって黒〜青色のしこりを作ることがあり、見た目から悪性黒色腫(メラノーマ)と間違われることがあります。
また、基底細胞癌は悪性腫瘍ですが扁平上皮癌や軟部組織肉腫に比べると低悪性度と言われています。
治療方法は外科手術による摘出です。
肥満細胞腫
肥満細胞腫とは“肥満細胞”とよばれる細胞が腫瘍化した病気です。
肥満細胞はアレルギー反応などの生体防御反応に重要な役割をしており、細胞の中に沢山の化学物質を含む顆粒を持っていて見た目が膨れた形をしていることがその名前の由来です。
猫の肥満細胞腫には「内臓型」と「皮膚型」の2つの型があり、後者は猫の皮膚腫瘍の中でも多く見られる病気です。
頭部や足、尾の背中側にできることが多いという報告があります。
しこりは毛が抜けていることが多く、1つだけでなく多発することもあります。
猫の皮膚型の肥満細胞腫は良性であることが多いため、手術で取り除いてしまえばほとんどのケースで根治することが可能ですが、内臓型が全身に転移して皮膚にもしこりを作っているケースでは予後不良と言われています。
⇒猫の肥満細胞腫の原因や症状や治療法は?良性や悪性とは?余命はどのくらい?
さいごに
猫の皮膚腫瘍は決して珍しい病気ではなく、特に頭や背中には悪性腫瘍の発生頻度が高いです。
手術でキレイに取り切るためには、やはり早期発見が重要です。
高齢の猫にしこりがあると気付いたら、早めに動物病院を受診するようにしましょうね。
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「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
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