「猫の皮膚にかさぶたができている。ケガしたのかな?」
「猫のかさぶたがなかなか治らない…何かの病気のサインかな?」
かさぶたは、私たちも子どもの頃からよく見慣れていると思いますが、転んだりケガをした様子はなさそうなのに、猫の皮膚にかさぶたがあると、どんな病気なのだろうと不安になりますよね。
そこで今回は、猫の皮膚にできた“かさぶた”について解説します。
目次
かさぶたとは?
かさぶたは医学用語では「痂皮(かひ)」と呼ばれ、皮膚が損傷した時に、その表面から分泌される創傷治癒のための成分が含まれる滲出液が乾燥して固まったものです。
皮膚が損傷すると、出血量を少なくするために血管が収縮すると同時に、血液が凝集し始め、血小板が損傷部位に集まって血栓となり、傷口をふさぎます。
痂皮には、傷口の止血や保護、細菌や異物などの侵入を防ぐ役割があります。
赤いかさぶた、黒いかさぶた
赤色、茶色のかさぶたである痂皮とは違い、黒色のかさぶたができることもあります。
黒いかさぶたは「黒色痂皮」または「黒色壊死」と呼ばれ、表皮だけでなく皮膚組織の深いところまで損傷し、壊死を起こしたものです。
皮膚ガンや悪化した皮膚炎などにより皮膚の深部まで損傷すると、黒色痂皮がみられることがあります。
「黒色痂皮」の場合には、自然に溶けることはないため化膿しやすく、外科的な除去が必要となることがありますが、家庭で無理にはがすことはせずに動物病院で処置してもらいましょう。
かさぶたができる病気
猫が皮膚に傷を負うとかさぶたはできますが、皮膚の病気にかかった場合にも炎症を起こしたり、患部をひっかいたりすることで皮膚が損傷し、かさぶたができます。
では、猫の皮膚にかさぶたがある時には、どのような皮膚病が考えられるのでしょうか。
細菌性皮膚炎
皮膚に細菌が侵入して起こる皮膚炎で、引っ搔いてできた傷などから感染したり、他の皮膚炎に続いて、二次的に起こることがあります。
皮膚が赤く腫れ、水ぶくれ、膿疱(のうほう)、かさぶた、びらん、潰瘍などがみられ、ひどい時には発熱や元気がなくなることもあります。
治療としては、消毒剤の入ったシャンプーでの薬浴や、抗生物質の内服が行われます。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌または白癬菌(はくせんきん)と呼ばれるカビの一種が、猫の皮膚や爪に感染して炎症を起こす病気です。
皮膚が赤く円形に腫れ、その表面に水ぶくれやフケがみられるようになり、円形に脱毛することもあります。
治療としては、抗真菌剤の内服と、抗真菌薬を含むシャンプーによる薬浴も行われます。
また、この病気は人へも感染しますので、猫に接触した後には洗浄し、皮膚に円形の腫れなどがみられた場合には皮膚科を受診してください。
⇒猫がカビに感染?!皮膚糸状菌症の症状や原因、治療法、シャンプーについて解説
寄生虫によるもの
疥癬(かいせん)
皮膚に寄生するセンコウヒゼンダニによる皮膚炎で、非常に強いかゆみがあり、猫は激しく体をひっかきます。
また、皮膚が赤く腫れ、かさぶたやフケ、脱毛、潰瘍などがみられます。
自然環境または他の猫から感染することがあり、人にも感染します。
治療にはダニ駆除剤が用いられますが、皮膚炎がひどい場合には抗生物質の投与なども行います。
⇒猫の疥癬とは?原因や症状、治療方法は?どんな薬やシャンプーが有効?
ツメダニ症
体長0.5㎜ほどの小さなツメダニが寄生することによる病気で、主に頭部や背中に多量のフケ、かさぶた、湿疹、脱毛などがみられます。
猫ではそれほどかゆみは強くないようですが、人に感染すると強いかゆみや痛みを感じることがあります。
ノミ刺咬性皮膚炎
ノミに刺される物理的な刺激による皮膚炎で、特に耳の周囲、首、背中、尾の付け根にみられ、かゆみを感じて掻きむしってしまい、かさぶたがみられることがあります。
ノミとり櫛で毛をすいてノミやノミの糞を発見した際には、ノミの駆除剤を使用し駆虫します。
アレルギーによるもの
食物アレルギー
食物中のたんぱく質に対してアレルギー反応を示す病気で、かゆみを伴う皮膚炎が目や口の周り、耳、背中、お腹、四肢にあらわれます。
原因となる食物として、牛肉、鶏卵、小麦、トウモロコシ、大豆、魚肉などがありますが、その他の食物に対してもアレルギーを起こすことがあります。
治療としては、原因となる食物を特定し、与えないことが最善となります。
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミに刺されたときに皮膚に分泌される物質に対するアレルギーで、かゆみを伴う皮膚炎がノミに刺されやすい耳の周囲や首、背中、尾の付け根にあらわれます。
また、粟粒のような小さい発疹やかさぶたがぷつぷつとできる粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん)は、ほとんどがノミアレルギーが原因と考えられています。
治療としては、ノミの駆除を行います。
日光性皮膚炎
日光性皮膚炎は、白い毛色の猫が紫外線を含む日光に当たり続けると発症するといわれ、進行すると扁平上皮癌となることもあります。
頭部の特に耳、目、口の周りの脱毛、赤い斑点がみられ、進行すると皮膚がただれて黒いかさぶたができたり、潰瘍となったりします。
全身が白い猫だけでなく、部分的に色素が薄い毛色の猫では注意が必要ですが、かと言って日向ぼっこを全くさせないのも猫にとってはストレスになりますし、不健康です。
日向ぼっこスペースの窓に紫外線をカットしてくれるフィルターなどを貼るなどして予防してあげるといいでしょう。
扁平上皮癌
扁平上皮癌は猫の皮膚がんの一つで、顔面部や肛門周囲、特に耳に発生しやすい悪性腫瘍です。
前述の日光性皮膚炎が進行し、扁平上皮癌になることもあります。
症状として、皮膚にかさぶた、潰瘍、しこりがみられ、徐々に拡大します。
猫が気にしてかきむしり、出血、壊死することもありますので、かさぶたや潰瘍がなかなか治らないといった症状があるときには、動物病院を受診しましょう。
治療としては、症状が出ている皮膚を外科的に切除する手術や放射線療法を検討します。
かさぶたの対処法
猫のかさぶたを見つけた時、なにか自宅でできる対処法はないかと思われるかもしれませんが、かさぶたは様々な皮膚病のサインとして表れるため、小さな傷のようなもの以外では自然に治ることは難しいものです。
かさぶたがなかなか治らない、猫が体を掻きむしっているなどの症状がみられた場合には動物病院を受診するようにしてください。
かさぶたははがしてもいい?
かさぶたを見ると、ついついはがしたくなってしまう気持ちはとてもよくわかりますが、無理にはがすことは絶対にやめてください。
最近の創傷治癒の考えでは、かさぶたを除去して乾燥させずに自然治癒を促す湿潤療法が最適であると言われていますが、自宅でかさぶたをはがしてしまった後に、適切な処置ができなければ、そこから細菌感染してしまいますし、猫が引っ搔いたり、舐めてしまえば傷口を広げることになってしまいます。
必ず動物病院で適切な処置をしてもらいましょう。
家にある人用の薬を塗ってもいい?
人間の薬や、自己判断で間違った薬を塗ってしまうのは皮膚病を悪化させるばかりか、原因がわかりにくくなり診断や治療が遅れてしまいます。
特にステロイドが含まれている薬などは、なかなか治らないかさぶたや皮膚炎の原因となることもありますし、猫が塗り薬を気にして舐めてしまい、傷口を悪化させることもあります。
決して自己判断せずに、動物病院を受診して適切な薬を処方してもらいましょう。
さいごに
猫の皮膚にできたかさぶたは、様々な皮膚病のサインです。
皮膚病の確定診断には時間がかかることも多く、原因が特定できるまでの間、かゆみや痛みなどの負担を猫にかけてしまうことになります。
皮膚の異変を早く発見するためにも、猫との適度なスキンシップをしてあげてくださいね。
関連記事になります。合わせてご覧ください。
⇒猫の皮膚にできもの!原因と考えられる病気3選
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