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猫のお腹にしこりがある!原因は何?病気なの?

投稿日:2017年3月31日 更新日:

 

「猫のお腹をなでていたら、しこりが指に触れた!」

「どうして猫のお腹にしこりができるの?どんな病気なの?」

このようなことでお悩みではありませんか?

猫のお腹のしこりを見つけたら、何か悪いものではないかと心配になりますよね。
そこで今回は、猫のお腹のしこりの原因と考えられる病気について詳しく解説していきます。

しこりとは?

猫の体にしこりを見つけると「腫瘍ではないか?」と心配になる方も多いと思いますが、そもそも「しこり」とは何なのでしょうか?
一般に、皮膚の上から触ったときに感じる何らかの塊のことを総称して「しこり」と呼び、全てが「腫瘍」であるとは限りません。

腫瘍とは?

正常な細胞は規則的に増殖を繰り返しますが、加齢やなんらかの刺激によって遺伝子の働きが悪くなると、細胞は異常に増殖して「腫瘍」を作ります。
基本的に、増殖のスピードが速く、他の部位に転移するものを「悪性腫瘍(ガン)」、増殖のスピードが遅く、他には移らないものを「良性腫瘍」といいます。
腫瘍の種類によって発生部位や発生しやすい年齢は異なりますが、若齢期よりも中~高齢期での発生が多くなります。

猫のお腹のしこりの正体は?

猫のお腹の中にある内臓は腹筋や腹膜に覆われているので、軽く触っただけでは、しこりの有無はなかなかわからないことが多いでしょう。
飼い主が猫のお腹を見る、または触ることですぐにわかるしこりは、乳腺の腫れである可能性が高いと考えられます。
猫の乳腺は左右の乳頭に沿うように脇~後肢の付け根までありますが、妊娠出産など雌性ホルモンが影響する乳腺過形成や乳腺炎、乳腺腫瘍である場合に腫れやしこりがみられることがあります。

乳腺腫瘍とは

猫の乳腺腫瘍は、胸部から下腹部に網目のように広がる乳腺(乳汁を分泌する腺)の腫瘍で、猫の腫瘍では皮膚、リンパ系腫瘍に次いで3番目に多い腫瘍です。
猫では約90%の乳腺腫瘍が悪性の乳腺腺ガンであると言われています。

乳腺腫瘍の原因

乳腺腫瘍の原因ははっきりと解明されていませんが、避妊手術していない猫の乳腺腫瘍の発生が多いこと、性ホルモン剤(プロゲステロン製剤)を投与している猫での発生が多いことから、雌性ホルモンが影響していると考えられています。

猫の乳腺腫瘍の症状

猫は左右に4~5対、10個前後の乳房がありますが、乳腺腫瘍は特に尾側2対での発生率が高く、皮膚の下に硬く結節状のしこりが一つまたは複数個が数珠状に連なってできる場合があります。
初期には米粒大のしこりで痛みもないため気付きにくく、しこりが大きくなると乳頭から黄褐色または血の様な色の分泌物が出ることがあります。
しこりがあっても無症状のこともありますが、乳房やお腹をしきりに舐めたり、腫瘍が潰瘍状になることもあります。
悪性の乳腺腫瘍ではリンパ節、肺への転移率が高いため、リンパ節の腫れや呼吸に影響が出て、次第に元気・食欲が低下して衰弱していきます。

猫の乳腺腫瘍の診断

乳腺にしこりがあれば乳腺腫瘍を疑い、針を刺し組織を採取する組織生検(バイオプシー)を行うことがありますが、これだけでは悪性か良性かを確定診断することはできません。
そのため外科的切除した組織の病理検査を行って、悪性または良性の診断をします。
また、レントゲン検査やCT検査によって肺などへの転移がないかを確認します。

猫の乳腺腫瘍の治療

乳腺はリンパ管でつながっているので、腫瘍がある部位だけでなく、片側の乳腺1列または両側の乳腺すべてを切除する外科手術が第一選択されます。
悪性の乳腺腫瘍である場合には、術後の抗がん剤治療による延命効果や転移の予防が期待できます。
また、乳腺腺ガンは痛みを伴うことがあるため、鎮痛剤を使用することもあります。

猫の乳腺腫瘍の予後

良性の場合には、完全に切除することができれば再発することもなく完治することができます。
乳腺腺ガンは早期に完全に切除すれば再発率も下がりますが、進行していて肺やリンパ節に転移している場合には、手術をしても予後は悪く数か月しか生きられないこともあります。

猫の乳腺腫瘍の予防

猫の乳腺腫瘍を予防するためには、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。

早期の避妊手術

早期の避妊手術(卵巣子宮摘出術)をすることで、乳腺腫瘍の発生率が低くなることがわかっています。
避妊手術を生後6ヶ月以内に行った場合91%、生後7ヶ月~12ヶ月に行った場合86%、生後13ヶ月~24ヶ月で行った場合11%の予防効果があり、24ヶ月以降では予防効果はなしというデータがありますが、避妊手術をすれば必ず乳腺腫瘍にならないというわけではなく、あくまでも発生率を減らすことができる予防です。
避妊手術によって、子宮蓄膿症など他の病気を予防することもできますので、出産を望まないようであれば早めに検討するといいでしょう。

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毎日のスキンシップ

早期発見、早期治療が非常に重要となりますので、毎日のお手入れやスキンシップの際に猫の全身を触って、しこりや腫れなどいつもと違った様子がないかどうかチェックしましょう。
異常を発見したら、様子を見るのではなくすぐに動物病院を受診し、検査を受けてください。

猫のお腹のしこりについて、よくある質問

では、飼い主さんが猫のお腹にしこりを見つけた時によくある疑問について、いくつかお答えします。

しこりを触ると痛がるか、痛がらないかでガンかどうかわかる?

しこりを触っただけでは、それが腫瘍であるのか、悪性あるいは良性かを判断することはできません。
初期の乳腺腫瘍は痛みがないため、気付かずに進行してしまうことも多くあります。
痛がる、痛がらないで判断するのではなく、お腹にしこりを見つけたらすぐに動物病院を受診し、適切な検査を受けましょう。

乳腺腫瘍はメスだけの病気?オスではかからない?

乳腺腫瘍は雌性ホルモンの影響が原因であると考えられるため、メスでの発生が圧倒的に多いのですが、ごくまれにオスでも発生することがあります。
オス猫だから絶対にないと決めつけず、早めに異変に気付けるようにしましょう。

しこりが大きいか、小さいかで予後は違うの?

腫瘍の大きさが2㎝以上である場合、手術をしても予後が悪いとの報告があります。
また、腫瘍が大きいと完全に切除するために、広範囲の皮膚を一緒に切除しなくてはならず、時には一度ではなく複数回に分けた外科手術が必要となり、体への負担も大きくなります。
腫瘍が大きくなり皮膚がはじける(自壊)をしてしまうと、出血や細菌感染による炎症で痛みも増し、QOL(生活の質)が低下することから元気・食欲がなくなることもあります。
なるべく腫瘍が小さいうちに発見することが重要です。

猫のお腹にある軟らかいしこりは脂肪?ガン?

繰り返しになりますが、硬い・軟らかいといった感触だけで、しこりの正体を判断することはできません。
しかし、猫のおへそのあたりにプニプニと軟らかい膨らみがある場合には、臍(さい)ヘルニアの可能性も考えられます。

臍(さい)ヘルニア

臍ヘルニアはいわゆる「出べそ」のことで、妊娠中に母猫の胎盤と胎子を繋ぐ臍帯(さいたい)が通っていた穴が生後もふさがらずに残ってしまい、その穴からお腹の中の脂肪や腸など内臓の一部が飛び出てきている状態で、飛び出しているものが脂肪であればプニプニと軟らかいと感じるでしょう。
成長と共に自然と穴が閉じることが多いため経過観察することも多いのですが、穴が閉じずに大きく膨らんでいる場合は、修復をするための手術を行います。
また、腸が飛び出てしまって腸閉塞を起こしている場合には、緊急の手術が必要となりますので注意が必要です。

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さいごに

猫のお腹のしこりについて、特に注意が必要な乳腺腫瘍を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
猫の乳腺腫瘍は悪性であることが多く、様子を見ている間にも腫瘍が成長し、転移してしまい予後が変わってきます。
手術が必要な病気となると「もう高齢だし…」と動物病院に行くことすらためらってしまうかもしれませんが、早期発見・早期治療によって再発を防いだり、QOLを上げられることもありますので、異変を見つけたら一刻も早く動物病院を受診して愛猫にあった治療方針を相談してください。

関連記事になります。合わせてご覧ください。

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