皮膚の症状

猫の皮膚がただれているけど原因は何?病気なの?

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「猫の皮膚がただれているけど何かの病気なの?」

「猫の皮膚が赤く腫れているけど原因は何?」

何て疑問はありませんか?

猫の皮膚が赤くただれる場合にはアレルギーであることが多いです。

今回は猫の皮膚がただれる原因と考えられる病気について解説します。

目次

皮膚がただれているとは?

「ただれている」というのは皮膚の状態を指す言葉ですが、厳密には医学用語ではありません。
ちょっとした皮膚の炎症から、表皮の一部がはがれ、水疱や膿疱が破れて、真っ赤な皮膚がむき出しにしている状態まで幅広く使われる単語で、人によってその捉え方に差があります。

「ただれ」の種類

病変が、皮膚層のどのあたりまで深いのか、どのような状態で分布しているのかで、ただれは3つの種類に分類されます。
皮膚の構造は、表面から順に 表皮 →真皮(しんぴ) →皮下組織 と呼ばれています。

表皮剥離

表皮の一部が損傷した状態です。
深さにより症状は異なり、一番表面の角質層だけの場合は軽い症状ですが、それより深い場合は浸出液(液体)が出たり、軽く出血が起こります。
表皮だけがはがれてできるので、治ればあとは残りません。

びらん

表皮剥離が、表皮内ぎりぎりでとどまった場合です。
水疱や膿疱が破れた後に形成され、ほとんどが真っ赤で漿液(しょうえき)という体液が出てじゅくじゅくしています。
この範囲では治癒後に痕跡は残さないことがほとんどです。

潰瘍

びらんよりも深く、真皮から皮下組織にまで達している場合です。
治癒過程で、たくさんの線維組織が産生されるため、あとを残しやすいです。
これらの点をふまえると、一般的に言われている皮膚のただれとは、潰瘍まではいたらず、表皮剥離やびらんのレベルをさす事が多いでしょう。

「ただれ」の原因は?

皮膚にただれをおこす原因は病気やケガまで沢山ありますが代表的なものを解説していきます。

舐性皮膚炎(しせいひふえん)

猫の舐性皮膚炎は何度も同じ場所を繰り返し舐め続けることで、皮膚が炎症を起こしてしまう病気です。
猫は自分の体を舐めることによって毛づくろいをし、清潔に保つ動物です。
もちろん、猫であっても皮膚が炎症を起こすほど舐め続けていれば痛みを感じ、通常であれば舐めることを止めますが、それ以前に炎症を起こすほど舐めなければならない原因がある場合が多いです。

舐性皮膚炎の原因

かゆみ

アレルギーやアトピー性皮膚炎、虫刺され、ケガなどにより皮膚に激しいかゆみを感じることが原因で舐める行為がやめられなくなってしまい舐性皮膚炎を発症してしまいます。

基礎疾患によるもの

何らかの病気が原因となって皮膚に感じた違和感を取り除くために同じ場所を舐め続けることで発症してしまいます。

脳の疾患によるもの

脳内に何らかの病気や衝撃があった場合に、行動の抑制が効かなくなり同じ場所を何度も舐めてしまい舐性皮膚炎を発症することがあります。
因果関係などは現在も研究中ですが、神経節や尾状核の異常が関係していると考えられています

ストレスによるもの

傷やかゆみがあるわけでもないのに舐め続けている、という場合はストレスが原因となっている場合が多いです。
運動不足や多頭飼育のストレス、生活環境の変化や寂しさや不安、退屈などさまざまなストレスが原因となります。

舐性皮膚炎の症状

同じところを継続的に舐め続けることにより脱毛が起こります。
特に口が届きやすい前足や後ろ足、太ももの裏などにおこりやすいです。
脱毛して露出した皮膚をさらに舐め続けることで、皮膚に炎症が起こり、出血や皮膚がボコボコしたようになったり、ただれが見られるようになります。
重傷の場合は、筋肉などまで到達してしまうこともあり、早期の治療が必要です。
むき出しになった皮膚は、菌が感染し化膿してしまう二次感染のリスクが高まります。

舐性皮膚炎の治療

基礎疾患の治療

アレルギーやアトピー、虫刺されやケガ、そのほか舐性皮膚炎を引き起こしている原因がわかっている場合は、優先して基礎疾患の治療を行います。
舐めてしまう原因を減らすことで症状は劇的に改善します

ステロイドや抗生剤の投与

炎症が激しい場合や皮膚組織のダメージが強い場合には塗り薬で治療を行っていきます。

ストレス軽減

猫が感じているストレスを軽減させることで舐める癖を改善していきます。

エリザベスカラーの装着や洋服を着せる

舐性皮膚炎の症状がひどい場合にはエリザベスカラーを使用して物理的に舐めることができない状況を作り、それ以上皮膚炎が悪化しないようにします。
エリザベスカラーの装着は舐める原因を取り除いているわけではないので、患部の改善にはつながりますが根本的な改善にはなりません。
またエリザベスカラー自体が猫のストレスになってしまうこともあります。

好酸球性肉芽腫症候群

猫に多い皮膚病で、何らかのアレルギーに関連して皮膚に痒みや炎症が生じ、発疹や脱毛、潰瘍などが見られる病気です。
白血球の一種の好酸球という細胞が多く見られる肉芽腫ができるため、好酸球性肉芽腫と言われます。
好酸球性肉芽腫症候群は、「無痛性潰瘍」「好酸球性プラーク」「好酸球性肉芽腫(線状肉芽腫)」の大きく3つに分類されそれぞれ症状が異なります。

好酸球性肉芽腫症候群の原因

この病気の原因はまだはっきりとは解明されていません。
しかし、アレルギー(ハウスダストやノミ、食物、蚊による虫刺されなど)やウイルス、寄生虫や細菌感染、遺伝、自己免疫系疾患などが関係していると考えられています。
何かに対するアレルギーによって好酸球が過剰反応してしまい、その好酸球が自分の体を傷つけてしまっている状態だと考えられます。

好酸球性肉芽腫症候群の症状

無痛性潰瘍

主に口唇(上唇)や上顎に赤い光沢のある潰瘍ができます。
また、口の中の粘膜や下唇にもできることがあります。
境界は明瞭で、病変部の周囲は少し盛り上がって、その中心部はややへこんで白っぽく壊死していることが多く、ときに出血することがあります。無痛性潰瘍の見た目は大変痛々しいのですが、通常、痛みやかゆみは見られません。

好酸球性プラーク

主に首や腹部、脇の下や内股に平坦に盛り上がった病変ができます。
皮膚の赤みと脱毛を伴い、激しい痒みがあります。
境界がはっきりしないびらん(ただれ)を生じることもあれば、境界のはっきりした大きな局面(皮膚の異常な盛り上がりで、表面は平らな病変)が多数できることもあります。
激しいかゆみを自分で舐め続けることにより、さらに皮膚症状が悪化して、さらにただれてしまいます。

好酸球性肉芽腫(線状肉芽腫)

主に太ももの後ろ側や前足の外側、横腹などに線状の病変ができるタイプ(線状肉芽腫)と口の中に大きな肉芽腫ができたりするタイプがあります。
線状肉芽腫はその名の通り、一直線の線状病変で、紅斑と脱毛、フケが見られますが、かゆみはほとんどありません。
生後半年から1歳齢頃に見られます。
口の中に好酸球性肉芽腫ができるものでは、食べ物や水が飲みにくいといった症状が見られることがあります。
赤みや脱毛が見られますが、痒みはほとんどありません。

好酸球性肉芽腫症候群の治療

原因物質が特定できる場合は、除去します。
アレルギー物質などの特定が難しい場合は、痒みに対する対症療法を行います。

ノミが原因の場合

ノミの駆除と予防を徹底すれば、症状が出なくなることもあります。
ひどい場合には、かゆみや炎症を抑える抗ヒスタミン薬やステロイド薬を投与することもあります。

食べ物によるアレルギーの場合

食事をアレルギー専用の処方食に変えて2~3ヶ月様子を見ます。
そして症状が出なければ、それ以前に食べていた食事の中の原料にアレルギー反応を起こしていた可能性が高いことになります。
症状が改善した場合は、その後もずっとアレルギー専用の処方食を継続していくようになります。

環境中の物質(ハウスダストや花粉など)によって引き起こされるアレルギー反応が原因の場合

考えられるアレルゲン物質との接触を極力避けることが有効な治療法になります。

対症療法

合成副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤の投与を行ったり、レーザー療法、外科手術などが用いられる場合があります。

天疱瘡(てんぽうそう)

猫の天疱瘡とは、本来であれば守るはずの生体を、免疫系統がなぜか異物とみなし、内部から破壊することで発症する皮膚病のことです。
攻撃対象となるのは、細胞と細胞を結び付けている「デスモソーム」(接着斑)と呼ばれる部位です。
結果として細胞間の接着が弱くなり、細胞同士の分離、水疱や膿疱の形成、潰瘍と痂疲(かさぶた)といった様々な皮膚症状を引き起こします。
デスモソームのどこを攻撃するかによって、「落葉性」、「紅斑性」、「尋常性」に分類されます。

天疱瘡の種類と症状

落葉性天疱瘡

「落葉性」(らくようせい)の攻撃対象は、表皮の角質化細胞に限局して存在している、デスモソーム中の「デスモグレイン1-Aデスモソームトランスメンブレン分子」です。
症状は鼻、目の周囲、唇、耳、肉球、爪の根元に多く現れ、紅斑から膿疱を形成し、破裂すると黄色~褐色のかさぶた(痂疲)に置き換わります。

紅斑性天疱瘡

「紅斑性」(こうはんせい)は、落葉性が頭部~顔面に現れたときの亜種です。
症状は顔や耳の後半に現れ、形成された膿疱が破れて痂疲、鱗屑、脱毛、びらんを生じます。

尋常性天疱瘡

「尋常性」(じんじょうせい)の攻撃対象となるのは、粘膜や皮膚上層の扁平上皮に存在している、デスモソームの「デスモグレイン3-A」という部位です。
口内粘膜、食道、肛門、腋の下、鼠径部(太ももの付け根)、爪などに発症し、皮膚のやや深いところにびらんと潰瘍を形成します。

天疱瘡の原因

遺伝が関わっていると考えられています。
デスモソーム中の「デスモグレイン」と呼ばれるタンパク質の一種を、免疫系が異物とみなすことまでは判明しましたが、詳細なメカニズムに関してはよくわかっていません。

天疱瘡の治療

紫外線を避ける

明確な理由はわからないものの、紫外線が発症の一因として考えられるため、極力太陽光を避けるような生活に切り替えます。

薬物療法

通常はグルココルチコイド、漢方薬、ビタミン、免疫抑制剤などのうちから数種類を合わせて投与されます。
生涯に渡る投薬が必要となるケースも少なくありません。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、じんましん、花粉症、薬物アレルギーなどのアレルギー反応のうち、抗体として働く免疫グロブリンE(IgE)がかかわる反応を起こしやすい体質のことを「アトピー」といいます。
そのアレルギー反応の中でも、猫のアレルギーの中で一番多く代表的なアレルギーが、かゆみを伴う皮膚である「アトピー性皮膚炎」です。
このアトピー性皮膚炎は、以前は呼吸をするときに吸い込んだ物質がアレルギーを引き起こすと考えられていましたが、近年になって、アレルギーの原因物質であるアレルゲンが皮膚から入って、その抗原が免疫グロブリンE(IgE)抗体という抗体と結合することによって炎症が引き起こされることがあることがわかってきています。

アトピー性皮膚炎の原因

遺伝的な要因が多いとされています。
原因となるアレルゲンは、ハウスダスト、ダニ、カビ、花粉、食べ物など、身近でいつでも存在するものです。
これらの物質に対してIgE抗体という免疫グロブリン抗体がつくられることで、皮膚にアレルギー性の炎症が引き起こります。

アトピー性皮膚炎の症状

顔、わきの下、背中、お腹などに強いかゆみなどの症状があらわれるために、非常にかゆがり、自分で自分を引っ掻いたり、舐めたり、中には毛が抜けてしまうこともあります。
また、皮膚が炎症をおこすことによって、毛が抜けたりもします。
慢性の症状になると、肥厚や黒ずみが起こることもあります。

アトピー性皮膚炎の予防

ハウスダストが原因の場合

日ごろからこまめに掃除をして、環境から、アトピー性皮膚炎の原因のひとつである塵、埃、ダニの死骸などのハウスダストをできるだけ取り除き、常に清潔な環境にしましょう。
また、こまめにシャンプーしてあげて、体からアレルギーの原因になるアレルゲンを洗い流し、清潔な体を保ってあげることもアトピー性皮膚炎の予防につながります。

食事が原因の場合

アレルギー専用のフードを継続して与えることで、アトピー性皮膚炎を予防できる場合があります。

皮膚の腫瘍

猫の皮膚に発生する腫瘍には、扁平上皮ガン、皮膚組織球腫、皮膚リンパ肉腫、肥満細胞腫、悪性黒色腫などがありますが、このような腫瘍の病変部に併発して皮膚炎が生じることもあります。

皮膚の腫瘍の症状

腫瘍の種類によって異なりますが、皮膚にびらん、潰瘍、かさぶた、しこりができることが多いです。

皮膚の腫瘍の治療

進行度や健康状態によって様々ですが、病変部の外科的な切除、抗がん剤療法を行います。

さいごに

猫の皮膚がただれてしまった時は見た目ですぐに気付くと思います。
しかし、その原因は様々で特定するまでは時間がかかる場合もあります。
放っておくと、なめたり引っ掻いたりすることでさらに状態が悪くなってしまいますので発見した段階ですぐに病院に連れていきましょう。





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