「猫の耳から臭い液体がでている!もしかして耳だれ?」
「猫の耳だれがなかなか治らない。どんな病気が原因なの?」
このような症状でお困りではありませんか?
犬に比べると発生頻度は少なくなりますが、猫にも耳だれが見られることがあります。
今回は猫の耳だれにスポットを当てて、耳だれの種類や症状、どんな病気が原因なのかやについて詳しく解説したいと思います。
猫の耳だれについて
耳だれとは、耳の穴から出てくる液状の分泌物のことで、医学的には“耳漏(じろう)”と言います。
まずは、耳だれの種類や原因、耳だれに気付いた場合のチェックポイントについて解説していきましょう。
耳だれの種類について
耳だれにはその性状によっていくつかのタイプがあります。
具体的には血が混ざったような赤い液体である“血性”、黄色〜緑色っぽくドロッとした液体なら“膿性”、サラサラとした水っぽい液体なら“漿液性”などがあります。
このような性状の違いは耳だれの原因となっている病気によって違いからくるものになります。
耳だれの原因とは?
耳だれが見られる場合、外耳道もしくは中耳の病気の可能性があります。
例えば、膿性の耳だれであれば、細菌性外耳炎もしくは中耳炎の可能性があります。
また、血性の耳だれであれば、外耳炎や中耳炎などの強い炎症の他に、腫瘤(しこり)をつくるような病気が考えられます。
つまり、耳だれ=病気のサインと考えられますので、このような症状が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。
猫に耳だれが見られた時のチェックポイント
先ほど述べた通り、耳だれは多くの場合外耳道や中耳に何らかの病気が潜んでいます。
猫に耳だれが見られたら、動物病院に連れて行く前に飼い主の方はどのようなことに気をつけて猫の状態を観察すればよいのでしょうか?
いつから耳だれがあるのか?
耳だれが最近突然起きたものなのか、何週間も前からあってどんどん悪化してきたのかをチェックしましょう
耳だれの色や臭いは?
耳だれの性状は原因を特定する重要な情報です。
また蒸れたような臭いがするなら細菌感染を疑います。
猫の行動の変化は?
外耳炎などで耳の中に痒みや違和感が出ると、耳をよく掻く、頭をよく振る、よく掻いている皮膚が脱毛や出血している、といった症状が見られるようになります。
元気食欲があるかないか?
人間もそうですが中耳炎の場合、発熱を伴うことがあり、元気食欲がなくなることがあります。
常に首を傾げていることはないか?
医学的には“斜頚”と言い耳の奥や脳の異常で見られる症状で、“前庭症状”のうちの一つで、中耳や内耳といった耳の奥の病気の他に、脳の病気でも見られることがあります。
その他の前庭症状としては、“旋回運動”といって同じ場所をぐるぐると回るったり、“眼振”といって目玉が左右もしくは上下に揺れるような異常な行動が見られます。
⇒猫の眼が揺れている!ひょっとして眼振かも?考えられる病気とは?
外耳炎による耳だれ
猫の耳だれの原因でも発生頻度が多いものは外耳炎です。
外耳炎はその原因によって、細菌性外耳炎、マラセチア性外耳炎、耳ダニ症に分類されます。
なお、猫の外耳炎の原因で一番多いのは耳ダニ症なのですが、耳ダニ症は多量の耳垢が見られますが、実はあまり耳だれの症状を引き起こしませんのでここでは割愛させていただきますね。
⇒猫の外耳炎の原因や症状や治療方法は?自然治癒はする?薬は何使うの?
細菌性外耳炎
原因
皮膚に存在する細菌が異常に増殖することによって起こされる外耳炎を“細菌性外耳炎”といいます。
症状
黄色〜黄緑色のどろっとした耳だれがでることが多く、腐ったような臭いを伴うこともあります。
また耳をよく掻く、頭をよく振るといった症状も見られます。
猫では細菌性外耳炎が単独で起こるよりも、耳ダニ症や鼻咽頭ポリープなど他の耳道の病気から二次的に引き起こされることが多いとされています。
診断方法
耳からの分泌液を顕微鏡で観察し、細菌の存在を確認します。
見た目ではどんな細菌かの判断は困難であることが多いため、細菌培養検査や薬剤感受性試験(どんな抗生物質が有効か判断する検査)を行います。
治療法
耳を洗浄することで耳道を清潔にしたあと、抗菌薬の入った点耳薬や内服薬の投与を行います。
マラセチア性外耳炎
マラセチア性外耳炎の原因や症状、治療法について解説します。
原因
皮膚表面に常在している“マラセチア”と呼ばれる真菌(いわゆるカビ)が異常に増えてしまうことによる外耳炎をマラセチア性外耳炎と言います。
症状
茶色~茶褐色でベタベタした耳だれが見られることがあり、猫に耳をよく掻く、頭をよく振るといった症状を引き起こします。
診断方法
耳からの分泌液を顕微鏡で観察し、特徴的な形態をしているマラセチアの存在を確認します。
治療法
耳洗浄に加え、抗真菌薬の入った点耳薬を投与します。
中耳炎や内耳炎による耳だれ
猫も人間同様、中耳炎や内耳炎を引き起こすことがあります。
細菌性中耳炎・内耳炎
原因
細菌感染によって中耳や内耳に炎症が起きる病気を細菌性中耳炎・内耳炎といい、外耳炎や鼻炎から続発的に引き起こされることが多いとされています。
症状
耳だれは必ずしも見られる症状ではありませんが、外耳炎を併発している場合は確認されることがあります。
一般的には中耳炎や内耳炎になると前庭の機能が低下し、旋回運動などの前庭症状を表します。
また、発熱や食欲不振、耳を触ると痛がる、といった症状も合わせて見られることがあります。
放っておくと脳の方まで炎症が広がって髄膜炎を起こしてしまうことがあり、見逃してはいけない病気です。
診断方法
中耳炎・内耳炎は脳の病気と症状と似ていることが多いため、診断にはMRI検査が必要なケースがあります。
治療法
抗生物質の全身投与を行います。
耳道内のしこりによる耳だれ
耳道内にしこりができると、そこから出血を起こしたり、二次的な細菌感染が起こるため耳だれを引き起こすことがあります。
鼻咽頭ポリープ
鼻咽頭ポリープとは、猫の耳の奥(中耳や耳管)から発生した炎症によるしこりで、外耳道や鼻、のどの奥にまでそのしこりが大きくなることがあります。
原因
この病気は若齢の猫での発生が多く、高齢猫の発生は稀であることから、先天的な要素が強いと考えられています。
症状
ポリープが外耳道に広がっている場合は、耳だれが見られたり、耳を掻く、頭を振るなどの外耳炎と似た症状が出ます。
診断方法
オトスコープによる外耳道の観察に加え、しこりの位置を確認するためMRI検査やCT検査が必要なことがあります。
治療法
症状を改善させるためには、外科的なポリープの切除が必要です。
耳垢腺癌
外耳道には“耳垢腺”とよばれる分泌腺が存在し、それが腫瘍化したものが耳垢腺癌です。
原因
高齢猫での発生がほとんどですが、原因は不明です。
症状
耳垢腺癌ができると、血性の耳だれが見られたり、外耳炎とほぼ同じ症状が出ますが、一般的な外耳炎の治療で改善することがありません。
進行すると脳まで広がってしまい、てんかん発作などの神経症状が表れることがあります。
診断方法
しこりの一部を採取し、病理組織検査を行います。
また外科手術が可能かどうか判断するためにはMRI検査やCT検査が必要です。
治療法
癌が他の臓器へ転移したりや脳まで広がっていなければ、全耳道切除術という外科手術を行います。
さいごに
診断方法でたびたび記載していましたが、中耳や内耳の病気や耳道内のしこりの多くは、診断にMRI検査やCT検査などの精密検査が必要になってきます。
これらの検査は日帰りで行われることが多いですが、全身麻酔が必要であるということと、検査代だけで10万以上かかることも珍しくない高額な検査になります。
このような検査を提案された場合、全体でどのくらいの金額がかかるのか、事前に把握しておくことをおすすめ致します。
「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」
という飼い主さんはとても多いです。
動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。
動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。
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