「避妊手術をうけてから、猫のお腹が膨らんできた気がする・・・」
「食欲が落ちているのに猫のお腹が膨らんできた。もしかして病気?」
猫の様子がこのように変化すると、飼い主の方は心配になりますよね。
今回は猫のお腹が膨らんできた場合、どんなことに気をつけて見ていたらいいのか、どんな原因が考えられるのかについて解説したいと思います。
目次
生理的なお腹の膨らみとは?
お腹が膨らんできても、必ずしも病気とは限りません。
まずは生理的にお腹が膨らんでくる原因とは何なのか、見ていきましょう。
肥満
飼っている猫が若くて元気食欲が旺盛なら、お腹の膨らみは脂肪が原因の可能性可能性があります。
つまり肥満です。
肥満の猫の体型の特徴としては、脂肪に覆われて肋骨や腰の骨が触れにくくなったり、猫が立った状態で真上から眺めて腰にくびれがほとんどなくなったりします。
なぜ猫が肥満になるのか、大きな原因を挙げてみましょう。
・フードを目分量で与えている
・室内飼いで運動不足
・避妊もしくは去勢手術を受けた
・猫の体重を量ったことがない
この中で該当する項目が多いのであれば、やはり肥満が疑わしくなります。
猫が肥満になると糖尿病や尿路疾患などの様々な病気を誘発したり、症状を悪化させたりする原因になりますので、太らせすぎには注意しましょう。
妊娠
飼っている猫が避妊手術をしてない若い雌猫で、未去勢の雄と同居している、もしくは外出する習慣があるのであれば、お腹の膨らみの原因として妊娠の可能性を考えなければいけません。
もし猫のお腹が膨らんでいて、なおかつ乳首や乳房が大きく発達しているのであれば、妊娠1ヵ月以上経過していると考えられます。
猫の妊娠期間は約2ヵ月なので、何頭産まれるのか、出産はいつ頃になりそうか、難産のときはどうすべきかなどを相談しに、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
病的にお腹が膨らんでいる場合
お腹の膨らみが肥満でも妊娠でもなさそうな場合、何らかの病気にかかっている可能性があります。
それでは具体的な病気について見ていきましょう。
猫伝染性腹膜炎(FIP)
猫伝染性腹膜炎とは、コロナウイルスの感染によって全身の血管に炎症を引き起こす非常に恐ろしい病気です。
純血種の比較的若い猫(1〜3歳)に多く発症するとされていますが、雑種にも稀に高齢の猫にも見られます。
この病気を発症すると、発熱や元気食欲の低下といった症状のほか、「ドライタイプ」という型では脳や脊髄に肉芽腫と呼ばれる病変を形成するためふらつきが見られたり、「ウェットタイプ」という型では胸水や腹水を貯留させ、呼吸困難になったりします。
症状の緩和を期待して、炎症を抑えるためのステロイド剤や、抗ウイルス効果を期待してインターフェロンの投与を行いますが、残念ながら有効な治療法はありません。
⇒猫伝染性腹膜炎ってどんな病気?症状や治療法、余命について解説
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症とは子宮に細菌が感染して膿が溜まる病気で、陰部から膿や血の混ざったオリモノが見られたり、発熱や元気食欲の低下、嘔吐などの症状を引き起こしたりします。
犬では一般的な病気ですが猫でも発生することがあり、避妊手術を受けていない免疫力の下がった老齢の猫に見られることが多いです。
この病気は陰部から膿が出る「開放性」タイプと子宮の中に膿がたまってしまう「閉塞性」タイプの2つがあり、「閉塞性」の場合は子宮が大きく腫れるため、お腹が膨れてきたと感じることがあります。
子宮蓄膿症を放っておくと「子宮破裂」といって子宮から膿が漏れ出しショック状態に陥る可能性があります。
治療法としては、抗生物質の投与などで一時的に症状が緩和することもありますが再発する可能性が高いため、根治を望むなら子宮卵巣摘出術を行う必要があります。
⇒猫の子宮蓄膿症とは?原因、症状、治療方法、手術費用など詳しく解説
巨大結腸症
巨大結腸症とは、大腸の一部である結腸の動きが弱くなることで慢性的な便秘を引き起し、便の停滞によって結腸が巨大化してしまう病気です。
発症の原因は「後天性」と「特発性」の2つに分類され、前者は事故や腫瘍などで骨盤が狭くなってしまったケース、後者ははっきりとして原因がみつからないケースです。
この病気になると停滞している便は石のように固く太いため、宿便によってお腹が膨らんできたり、トイレで力んでも少量しか便が出ない、浣腸をしないと便が出ない、便秘の期間が長くなると嘔吐や食欲不振の症状が出ます。
特発性であった場合は、中齢以降でこのような便秘の症状が表れ出します。
初期治療としては、便を柔らかくさせる療法食への変更してみたり、緩下剤や消化管の運動を促進させる薬の投与を行います。
それでも排便のコントロールが上手く行かない場合は、定期的な浣腸や用手排便といった対症療法の他、外科手術で巨大化した結腸の摘出を検討します。
⇒猫の巨大結腸症の症状や原因や治療法は?手術費用はどのくらいかかる?
腹腔内腫瘍
お腹の中に悪性腫瘍ができると、腫瘍が大きくなることで血管を圧迫したり、腹膜に転移して炎症を起こしたりして(癌性腹膜炎という)、腹水が溜まることがあります。
腫瘍の発生の多くは高齢の猫に見られますが、猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)や猫白血病ウイルスなどに感染している猫では若齢であっても発生することがあります。
腹腔内に腫瘍ができた場合、どんな種類の腫瘍か、どの臓器に発生しているのかによっても症状は様々ですが、一般的には元気や食欲の低下、やせてきた(筋肉が衰えてきた)などの症状は共通してみられます。
お腹の膨らみに気付いた時のチェックリスト
「猫のお腹が膨れてきた」と気付いた時に、飼い主の方はどんな点に気をつけて猫を観察したらよいのでしょうか?
チェックリストの中に該当する項目が多い場合は、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
元気食欲はあるか
基本的なことですが、非常に重要なポイントです。
病的なお腹の膨らみを起こす原因の病気では、ほとんどの場合で食欲が低下します。
猫の食欲の低下のサインは、「最近一気食いをしなくなった」「ごはんを完食しなくなった」「今まで食べていたごはんが嫌いなのか、毎回種類を変えて食べさせている」など、ちょっとした変化であることがあります。
避妊手術、去勢手術を受けたか
猫の肥満の大きな原因の一つが、避妊去勢手術です。
逆に、避妊手術を受けていない若い雌猫で他の猫と接触する機会のある猫なのであれば、妊娠の可能性がありますし、中高齢の猫であれば子宮蓄膿症の可能性もあります。
⇒獣医師が猫の避妊手術を徹底解説。時期はいつするの?費用は?
⇒獣医師が猫の去勢手術を徹底解説。時期はいつするの?費用は?
骨格は触れるか
背骨や肋骨、腰骨などの骨を触ってみましょう。
病的な原因でお腹が膨らんでくる場合、筋肉量が低下しているのに気付きづらく、骨を触ってみると「実はやせていた」ということがあります。
逆に肥満であれば、脂肪が邪魔をして骨格が触れにくくなります。
便は毎日出ているか
排便は健康のバロメータで、基本的に猫は毎日排便します。
排便回数が少ない場合、食欲が低下して便量が減っているか、便秘である可能性があります。
なお、前者であった場合、少し前から便の大きさが小さくなっていることが多いです。
熱はないか
お腹の膨らみと同時に発熱していると、猫伝染性腹膜炎や子宮蓄膿症、腹腔内腫瘍の可能性があります。
猫の体温測定は少しハードルが高いかもしれませんが、ご自宅で熱が測れると病気の早期発見につながります。
人間でも具合が悪いなと思ったら、熱がないかチェックしますよね?
短時間で測定できる人間用の体温計か、動物用の体温計を用意しておくと安心ですよ。
さいごに
猫の「お腹の膨らみ」は一つの病気のサインであることがおわかりいただけたでしょうか?
動物は自分で具合の悪さを訴えることができませんので、日頃から注意深く様子を確認することが病気の早期発見につながりますよ。
「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」
という飼い主さんはとても多いです。
動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。
動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。
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