「猫の鼻がいつも濡れているのは、何が原因なの?」
「猫の鼻が乾いてるけど、病気なのかな?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
昔から「犬や猫の鼻が乾いていると病気である」とよく言われますが、実際にはどうなのでしょうか。
今回は、猫の鼻が濡れている時、乾いている時、その原因と病気の可能性について解説します。
目次
猫の鼻の役割
まずはじめに、猫の鼻にはどのような役割があるのでしょうか。
一般的に「猫の鼻」と呼ばれる部分は、猫の鼻の先端部分で「鼻鏡(びきょう)」といいます。
猫の鼻には人間と同じように、鼻腔(びくう)と呼ばれる空洞があり、鼻腔は鼻中隔(びちゅうかく)という壁で仕切られ、左右に分かれています。
さらに、左右の鼻腔には鼻甲介(びこうかい)と呼ばれる突起があり、表面をひだ状構造の粘膜組織が覆っています。
このような複雑な構造によって、鼻粘膜の表面積が大きくなり、鋭い嗅覚や空気中のゴミなどの異物を吸着したり、温度や湿度の調節をしたりするのに役立っています。
嗅覚器官
鼻は空気中の様々なにおいを感知して、識別する嗅覚器官としての役割があります
嗅覚が優れていると言えば犬を思い浮かべるかもしれませんが、猫も優れた嗅覚を持っています。
食べ物を味よりもにおいで判断したり、視覚よりもにおいで他の動物や人、なわばりを判断しています。
猫の嗅覚は生まれた時から発達していて、まだ目が開かない子猫でもにおいで母猫や食べ物を探すことができます。
においを感じる仕組みとは?
におい物質の分子が鼻腔の中に入り、嗅上皮(きゅうじょうひ)の嗅細胞(きゅうさいぼう)に達すると、におい分子は細胞粘膜の粘液に溶けて嗅毛(きゅうもう)に感知されます。
その後、においの情報は電気信号に変換されて、嗅細胞から嗅神経(きゅうしんけい)を通り、嗅球(きゅうきゅう)を経て、脳の大脳皮質の嗅覚野と大脳辺縁系へ送られることで、猫はにおいを感じています。
呼吸器官
猫は通常、口呼吸はせずに鼻呼吸で、吸い込んだ空気を適切な温度や湿度に調節し、空気中のウイルスなどの侵入を防いでいます。
温度計
猫は鼻を物に当てることで、温度を測ることができます。
感度もわりとよく、0.5℃ほどの違いも区別することができ、食べ物の温度を確かめる時も舌ではなく、鼻をつけることで判断しています。
健康な猫の鼻
猫が鼻をピタッとくっつけてきて、その冷たさに驚くことはありませんか?
健康な猫の鼻は、ひんやりと冷たく、濡れた状態です。
猫の鼻が濡れているのは鼻の“嗅覚器官”としての役割に大切なことで、鼻腔内の嗅腺から分泌される粘液が鼻の表面を覆っているためです。
粘液があることで、におい物質の分子が吸着しやすく、嗅覚をより敏感にしています。
また、適度な湿度を保つことで、空気中のウイルスや細菌、ほこりなどが体内に侵入、増殖するのを防ぐといった面でも大切です。
猫の鼻が濡れている時
前述のとおり、猫の鼻が濡れているのは嗅覚を保つために正常な状態です。
しかし、猫の鼻の周りの毛まで濡れているような“濡れて過ぎている”場合には、鼻の病気の可能性もあります。
鼻の濡れ具合以外にも、猫の健康状態を確認してみて下さい。
食欲不振や元気がない、咳やくしゃみ、鼻水などはみられませんか?
鼻汁(鼻水)かも?
鼻は外の空気に直接さらされているため、空気中のウイルスや細菌、薬品、煙などの刺激を受けやすく、鼻腔内の粘膜が刺激されて炎症を起こす「鼻炎」になりやすい部位です。
鼻炎になると、鼻汁(鼻水)が出るために、鼻がいつも以上に濡れていると感じることがあります。
鼻炎の初期には、さらさらとした漿液性の鼻汁が出ますが、次第にとろっとした粘液性の鼻汁、黄色っぽい膿性の鼻汁へと変化していきます。
猫は鼻に付着したものを即座に舐め取ってしまう習性があるため、猫の鼻から鼻汁が垂れているのを飼い主の方が見つけるのは難しいかもしれません。
猫が何度も鼻を舐めていたり、鼻を前肢でこすったり、気にしているような仕草がみられる場合には、鼻汁が出ている可能性があります。
猫風邪
猫に鼻炎を引き起こす原因として多いのが、猫伝染性鼻気管炎ウイルス(FVR)やカリシウイルスなどのウイルス感染症です。
鼻水や咳、くしゃみなど人の風邪の症状に似ているために「猫風邪」と呼ばれています。
特に免疫力の弱い子猫でよくみられ、時には命を落としてしまうこともあります。
治療にはウイルスに対する特効薬がないため、抗ウイルス剤(インターフェロン)によるウイルス抑制や、症状を緩和する対症療法となります。
治療後も鼻炎が慢性化してしまうことがあり、成長してからも鼻汁が出て、ズビズビと呼吸している猫もいます。
飼育環境を衛生的に保つこと、ワクチン接種による予防が効果的です。
⇒猫の風邪の原因や症状や治し方を解説。自然治癒はする?うつるの?
⇒猫のカリシウイルス感染症とは?症状や治療方法とは?潜伏期間は?
猫の鼻が乾いている時
では、猫の鼻が乾いている時には、どのようなことが考えられるのでしょうか。
寝ている時、寝起き
健康な猫でも、寝ている時や眠い時、寝起きには、それほど嗅覚を使わなくなるために嗅腺の粘液分泌の活動は低下します。
このため、猫の鼻が乾いていることがありますが、一時的なものなので特に問題はありません。
猫の活動が再び活発になれば、すぐに元に戻るでしょう。
脱水や発熱している場合
猫の体に水分が足りていない時や、空気が乾燥する冬季など乾燥した環境に長くいた時などには、脱水状態となり鼻や口の中の粘膜が乾きやすくなります。
また、猫が発熱している場合にも、体内で多くの水分が使われて脱水していることがよくありますので、猫の体や耳を触って普段よりも熱くないかどうか確認してみましょう。
体調に問題なく猫が水を飲むようであれば、積極的に水を飲ませてあげたり、水分の多いウェットフードを与えたりして、水分を補ってあげましょう。
加齢によるもの
加齢によって、粘液の分泌活動が低下してしまうことがあり、高齢の猫では鼻が乾いていることがよくあります。
鼻以外の全身状態に異常がなければ、様子を見てもいいでしょう。
ただし、高齢の猫では慢性腎不全などの持病によって脱水していることもあるため、積極的な水分補給を心がけてください。
⇒獣医師解説。猫の慢性腎不全の原因や症状や治療とは?回復はするの?
食欲がないのは、鼻が乾いているから?
猫の鼻が乾いている場合や、鼻炎などで濡れすぎている場合には、嗅覚が落ちてしまうため、食べ物をにおいで判断できずに食欲が落ちてしまうことがあります。
特に老齢の猫では視力も同時に落ちていることが多く、食べ物が目の前にあっても気付かないといったこともあります。
キャットフードのにおいを強くするために、ウェットフードであれば電子レンジで人肌程度に温める、ドライフードであればお湯でふやかすなどの工夫をしてみてください。
ちなみに、鼻についたものを舐め取ろうとする猫の習性を利用して、鼻の頭にちょこんとウェットフードを付けてあげると、食べてくれることもありますよ。
さいごに
猫の鼻が濡れている理由や、鼻が乾いている時に考えられる原因についてお分りいただけましたでしょうか。
鼻の乾き具合は、猫の健康状態のバロメーターになりますが、よく言われているように「猫の鼻が乾いているから、病気である」というわけではありません。
いつもよりも愛猫の鼻が濡れている、または乾いているということも、健康状態を診る上では重要な判断ポイントとなりますので、普段から猫の鼻の湿り気具合を確認してみてくださいね。
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