呼吸器の症状

猫が口呼吸をしている!原因は何?病気のサイン?【動画有】

投稿日:2016年12月30日 更新日:

猫

「夏の暑い日に猫が突然口をあけて犬のような呼吸をしている!」

「猫が口を開けてよだれを出している!」

このような猫を見てビックリした経験はありませんか?

猫が口を開けっ放しにしている姿はなかなか見ることがないので、初めてみた方は、一体何が起きたのかととても心配になると思います。
今回は猫の口呼吸の原因にはどんなものがあるのか、解説したいと思います。

猫の呼吸について

まずは猫の正常な呼吸についてと、口呼吸とはどんなものなのかについて解説します。

猫の正常な呼吸とは?

・鼻から呼吸

正常な猫は鼻から呼吸します。
呼吸状態が落ち着いている場合、基本的に臭いを嗅ぐとき以外、猫の鼻は動くことがありません。

・呼吸数

猫の安静時の呼吸回数は「1分間に20〜30回」とされています。
呼吸回数が多い場合を「頻呼吸」と言います。

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・吸気時間と呼気時間

「スーハー」と呼吸している時の、「スー(吸気)」と「ハー(呼気)」の時間も重要です。
正常な猫は「スー」と「ハー」の時間が1:1になっており、呼吸困難になると吸気時間が延長するなどの異常が見られます。

口呼吸とは?

口を開けて呼吸をしていることを一般的には「口呼吸」と言いますが、医学的には「開口呼吸」と言います。
猫の開口呼吸の原因は、生理的なものと病的なものに分かれ、後者の場合に見られる開口呼吸は、呼吸困難の症状の一つとなります。

猫の生理的な口呼吸とは?【動画あり】

猫

呼吸困難を起こすような病気が原因ではなく、生理的な反応として猫が口呼吸することがあります。

生理的な口呼吸の原因とは?

・激しい運動後や暑い夏の日

猫は全身が毛で覆われており、人間のように発汗によってクールダウンすることができません。
そのため猫の体温が高くなると、犬と同様にハッハッとする呼吸(パンティング)によって放熱を行うことがあります。

・激しい疼痛(手術後、落下や骨折など)

手術後や落下、骨折などによる激しい疼痛でも頻呼吸や開口呼吸、鼻翼を動かすような呼吸になることがあります。

・興奮や不安

動物病院などの知らないところに連れて来られたことによる興奮や不安感でも、頻呼吸、開口呼吸といった呼吸の乱れが見られることがあります。

生理的な口呼吸の例

このスコティッシュフォールドの猫ちゃんは、猫じゃらしで遊んだ後からこのような口呼吸が見られたということです。
動画からは頻呼吸と開口呼吸が見られていますが、すぐに治まっていることから呼吸困難ではなく一時的なパンティングと考えられます。

猫の病的な口呼吸とは?【動画あり】

生理的な口呼吸の場合は一時的なものですが、病的な原因で起こる口呼吸は呼吸困難の一つです。

呼吸困難は命にも関わる大変な症状ですので、実際の動画を見てぜひ覚えていただきたいと思います。

この茶トラの可愛い猫ちゃんは、呼吸困難の典型的な症状を表しており、呼吸回数が多く吸気時間が長くなっていて、胸を大きく膨らませています。
また動画の最後の方をみると口呼吸をしているのが分かります。

猫が呼吸困難で息苦しそう。原因は何?病気?【動画有り】

それでは、どんな病気になるとこのような症状が見られるのでしょうか?

発熱や熱中症

生理的な原因でも述べたように、猫が高体温になると犬と同様にハッハッとする呼吸(パンティング)によって放熱を行うことがあります。
この場合は呼吸の異常だけでなく、元気や食欲がない、ぐったりしているなどの全身症状も出ると思いますので、当てはまる場合はすぐに動物病院を受診しましょう。

鼻の病気(鼻づまり)

両方の鼻がつまってしまうと上手く鼻呼吸が出来ずに、口呼吸になることがあります。
この場合、鼻づまりの症状(涙目、鼻水、くしゃみやいびき)に加え、元気食欲の低下も合わせて見られることがあります。
猫に鼻づまりを引き起こす原因として、鼻炎・副鼻腔炎、鼻腔内腫瘍、鼻咽頭ポリープが挙げられます。

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・鼻炎・副鼻腔炎

猫に多く見られる鼻炎は、カリシウイルスやヘルペスウイルス(ウイルス性鼻気管炎)などによるウイルス感染症による急性鼻炎です。
このタイプの鼻炎はいわゆる猫風邪で、対症療法を行えば通常1〜2週間程度で治癒します。
また猫では時折慢性の副鼻腔炎になることがあり、数週間以上持続する黄色っぽいドロッとした鼻汁が見られます。
この病気は人でいう蓄膿症と同じ状態で、根治的な治療法はなく、症状悪化時に抗生剤の投与などの対症療法を行うことでコントロールしていきます。

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・鼻腔内腫瘍

慢性的な鼻づまりや鼻血が見られている猫に、鼻の中に腫瘍が発生していることがあります。
猫の鼻の中に発生するではリンパ腫や扁平上皮癌といった腫瘍が多いです。
鼻の中に腫瘍ができると、鼻づまりの症状の他、鼻や頬が腫れたり目が飛び出してくるなどの顔面の変形が見られることがあります。

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・鼻咽頭ポリープ

鼻咽頭ポリープとは、耳の中や鼻、ノドの奥に炎症によるしこりができる病気で、若齢の猫での発生が多く、高齢猫の発生は稀です。
ポリープによって鼻づまりの症状を引き起こす他に、耳の中に液体や血液が溜まったり、耳垢が多い、耳を掻く、頭を振るなどの症状が見られることがあります。

肺の病気

猫

・肺炎

肺に炎症が起こる病気を肺炎と言います。
猫では、細菌や真菌(カビ)、ウイルスなどが感染することによって引き起こされる感染性肺炎の他に、飲み込んだ食事が食道ではなく気管に流れてしまう誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)を発症することがあります。

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・肺腫瘍

高齢猫では時折肺に腫瘍ができることがあり、肺腫瘍になると元気や食欲の低下や咳、胸水による呼吸困難などの症状が出ます。
肺腫瘍には、他の臓器にできた腫瘍が転移した「転移性肺腫瘍」と肺から発生した「原発性肺腫瘍」があります。

気管や気管支の病気

・猫の喘息

喘息とは、細菌やウイルスなどの感染症以外で起こる気管支の炎症のことです。
ホコリやタバコの煙などの有害刺激や、アレルギー反応が炎症の引き金になると考えられています。
猫の喘息の症状としては、咳の他、呼吸困難、喘鳴(ぜいめい)と呼ばれる気道が閉塞してヒューヒューと音がなる症状などが見られます。
治療はステロイド剤の内服もしくは吸入を行い、この投薬で症状が改善されることが喘息の特徴です。

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心臓の病気

・肥大型心筋症

猫では中高齢になると、肥大型心筋症という心臓病を発症することがあり、アメリカンショートヘアー、メインクーン、ラグドールなどでは遺伝的な要素が関連していると言われています。
肥大型心筋症になると心臓の収縮力が弱まりうまく血液が循環しなくなるため、胸水や肺水腫といった病態を引き起こし、呼吸困難に陥ることがあります。

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胸水が貯まる病気

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・猫伝染性腹膜炎

猫伝染性腹膜炎とはコロナウイルスが原因で起こる病気で、純血種の比較的若い猫(1〜3歳)に多く発症します。
この病気を発症すると、全身の血管に炎症を引き起こすため発熱や元気食欲の低下といった症状のほか、胸水や腹水が貯留するため呼吸困難になったり(ウェットタイプ)、脳や脊髄に肉芽腫と呼ばれる病変を形成するためふらついたり(ドライタイプ)します。

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横隔膜の病気

・横隔膜ヘルニア

横隔膜ヘルニアとは、外傷や先天的な異常で横隔膜が破れ、本来お腹の中にある胃や腸が胸腔内に逸脱してしまう病気です。
肝臓や腸管などの大きな臓器が肺を直接圧迫することで呼吸困難になります。

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猫の口呼吸についてよくある疑問

猫

猫が口呼吸をした時に、多くの飼い主の方が抱かれる疑問をピックアップして解説します。

どのタイミングで動物病院を受診したらよい?

生理的な口呼吸でも激しい疼痛が原因である場合や、病的な口呼吸が疑われるのであれば、命に関わる病気が潜んでいる可能性があります。
迷わず、すぐに動物病院を受診しましょう。

運動後の口呼吸の直し方は?

高体温が原因の口呼吸であれば、部屋の空気を入れ換えたり、エアコンをいれて涼しくしてあげるといいでしょう。
生理的な原因の場合、安静を保っていれば呼吸が正常化するのに何時間もかかることはありません。
もししばらく様子を見ても呼吸の荒さが持続するなら熱中症の可能性がありますので、すぐに動物病院を受診しましょう。

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口呼吸しながらよだれが出るのはなぜ?

もし大量のよだれがあるのであれば、悪心を引き起こす熱中症の可能性がありますし、大量ではなくても長い時間口呼吸をしていると、どうしても唾液は垂れます。
いずれにしても唾液が垂れていることが気になる程の口呼吸は病的ですので、早く動物病院を受診するようにしましょう。

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さいごに

何時間も口呼吸が持続しているのなら、何か重大な病気が潜んでいると考えましょう。
特に急性の呼吸困難は重症であることが多いので、自宅で様子を見すぎることがないように注意して下さいね。

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