呼吸器の症状

猫の呼吸数が多い!正常値はいくつ?原因は?病気のサイン?

投稿日:2017年1月25日 更新日:

 

「猫の呼吸がいつもと違う…」

「猫がいつもより多く呼吸をしている…」

「猫が何か息苦しそう…」

そういうことはありませんか?
それらの症状は呼吸困難に陥っているのかもしれません。
その場合には重大な病気になっている可能性もあります。
今回は猫の呼吸がいつもより多いという異常について解説したいと思います。

正常な猫の呼吸

健康な猫の場合成猫、子猫ともに1分間に20~30回くらい呼吸をします。
猫の呼吸数の測り方は、安静にしているときにお腹の上下の動きを数えたり、わかりにくい時は鼻先に手をかざしたり、ティッシュペーパーをかざして感じる息を測ることもできます。
ただし運動の直後や、浅い眠りの時には、呼吸がやや乱れることがありますので、安静時を狙って測定してみてください。

呼吸数が多いとは?

呼吸数が50回以上の場合は異常と判断されます。
呼吸数が増加しているという事は「呼吸が苦しい」「呼吸困難」の状態を意味しており、同時に以下のような症状が見られる事が多いです。
通常猫は鼻で呼吸をするので口を開けてハーハーと呼吸することは明らかに呼吸が苦しいサインです。

・鼻の穴を大きく広げて呼吸している(鼻翼呼吸:びよくこきゅう)

・胸よりお腹が膨らみ波打つように呼吸をする

・横になれない、眠れない

・香箱座り(猫が前足をすべてたたんで体の下へ折り込む座り方)から動かない

・首を上に伸ばして胸を張ったような姿勢を取る

・口を開けて呼吸(開口呼吸)をする

・舌を出している(よだれを伴うこともあります)

なぜ呼吸は多くなるの?

「呼吸」の目的は体に必要な酸素を取り込み、不要になった二酸化炭素を排出することです。
酸素は口や鼻から取り込まれ、気管・気管支を通って肺に届き、肺の表面を覆っている血管に取り込まれ全身に運ばれます。
しかし、何らかの原因で必要な酸素が体に送られなくなった場合、呼吸の回数を増やすことで酸素を多く取り込み、不足分の酸素を補おうとします。
猫の鼻は小さいので、呼吸回数の増加だけでは酸素を補えないとなると、口を開けて口からも酸素を取り込もうとするため開口呼吸を起こします。
口を開けて呼吸をしている場合には舌の色も見てみましょう。
舌の白や口の粘膜が青紫色や青白い場合は「チアノーゼ」と呼ばれる状態で、血液中の酸素が足りないことを示しています。

呼吸が多くなる原因

それでは呼吸が多くなる原因について解説します。

病気ではない場合

人間と同様に激しい運動をした後には数分の間、通常より多く、荒い呼吸をすることがあります。
活発に運動することで体の酸素消費量が増えるためにおこります。
数分で落ち着いてきますので様子を見てあげて大丈夫です。
また、外傷などの強い痛みを伴うときに、我慢している症状として呼吸回数が増えることがあります。
猫は痛みを感じている時に人間のように「痛い、痛い」と騒ぐよりもじっと動かなくなり耐えてしまいます。
なかなか気づきにくい症状ですが、抱き上げたりすると痛いために怒ったり、噛んだりすることもあります。
様子がおかしい場合はどこかに痛みがないか見てあげてください。
他には、多大なストレスがかかってしまった場合、例えば気の小さい猫が病院などに連れてこられた場合などに呼吸が多くなります。
人間が緊張したり怖い思いをすると呼吸数が増えるのと同じです。
以上の場合は急性におこり、慣れてくれば数分で落ち着いてきますので様子をみてあげて大丈夫です。

病気の場合

続いては呼吸が多いのが病気の場合になります。

異物

酸素の通り道である気管・気管支に異物がつまることで、呼吸を吸えなくなり、正常なガス交換ができなくなることで酸素不足を起こし、呼吸数の増加が起こります。

肺の病気

①肺炎

猫のウイルス性の風邪が重症化したり、寄生虫・真菌・細菌が感染するなどで肺に炎症が起きます。
吐いたものや食物を誤って気道内へ吸い込んだり(誤嚥:ごえん)、ほこりや刺激性のガス、薬品などの吸入、さらにアレルギーや肺腫瘍などによっても肺炎を発症することがあります。

②肺水腫

肺水腫とは病名ではなく、肺に水が溜まった状態のことをさします。
心臓性肺水腫と非心臓性肺水腫の2タイプありますが、多くが心臓性です。
心臓性肺水腫は心臓の働きが鈍くなることで肺の血管の圧力が上がり水分が肺胞内に染み出てしまうことでおこります。
非心臓性肺水腫は肺炎や熱射病、感電事故、有毒物質の吸引、低たんぱく血症や過剰な点滴などによりおこります。

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③肺癌

肺そのものから起こる原発性の癌よりも、乳腺腫瘍など他の部位にできた癌からの転移の方が多いです。

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気管支の病気

①気管支炎

猫風邪をおこすウイルスやマイコプラズマ、細菌、真菌の感染でおこります。
原因が複数重なっている場合も多くみられます。
また、ほこりや刺激性のガス、化学薬品を吸い込んだときの刺激が引き金になって気管支炎になることもあります。

②アレルギー

アレルギーの原因になる物質を吸い込むことでおこります。
壁紙等の化学物質や埃、かび、花粉、煙草の煙、スプレー、アロマオイルなどがあげられます。
アレルギーが原因となる気管支炎のことを「猫喘息」と呼びます。
息をスムーズにはけなくなり、ゼーゼーという呼吸音が特徴です。

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横隔膜ヘルニア

外傷や先天的な異常で横隔膜が破れ、本来お腹の中にある胃や腸が呼吸器を圧迫することで呼吸が妨げられ、呼吸回数が増えます。
手術で破れた横隔膜を整復する必要があります。

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胸腔の病気

「胸腔」とは肋骨・胸椎、胸骨、横隔膜に囲まれた胸の空間のことです。
この空間があるため胸腔内にある肺は縮んだり広がったりすることができます。
胸腔に何らかの物質が貯留すると肺が周りから物理的に圧迫されるため息を吸っても肺が膨らめなくなるために酸素が吸えず、酸素不足が起こり、結果として呼吸回数が増えます。

①胸水

a)猫伝染性腹膜炎(FIP)

ほとんどの猫が保有しているコロナウイルスという腸炎を起こすウイルスが、ストレスなどが原因で体内で突然変異を起こして発症する、致死性の高い猫の感染症です。
血管に炎症が起こり、胸水や腹水が溜まる「ウェットタイプ」と神経症状、目の異常などがおこる「ドライタイプ」があります。

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b)縦隔型リンパ腫

比較的若く、猫白血病ウイルスに感染している猫に多く発症する猫のリンパ腫の一型です。
胸腔内の胸腺やリンパ節に腫瘤が発生し、胸水が溜まります。
胸水を抜いたり、化学療法が有効ですが完治は難しく、安定した状態を保つことが治療の目的になります。

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②膿胸

重度の風邪や外傷、歯周病などから菌が肺や胸腔に侵入し膿が溜まります。

③気胸

激しい炎症、腫瘍、外傷や、肋骨が骨折し肺に穴が開き、漏れ出した空気が胸腔内にたまることでおこります。

心臓や血液などの障害

続いては心臓や血液の障害になります。

心臓の病気

先天的異常や心不全、心筋症などの原因により血液を正常に送り出せず、酸素を運べなくなります。
心臓病が進行すると酸素量の不足による呼吸困難と同時に、肺水腫を発症し呼吸困難をおこして呼吸回数が増えている場合もあります。

貧血

酸素を運搬している赤血球が減少し、酸素量が不足するため、呼吸回数を増やし不足を補います。

代謝の病気

続いては代謝の病気になります。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンの過剰な分泌により代謝が異常に亢進し、細胞の酸素消費量が増加するため、呼吸が多くなります。

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糖尿病性ケトアシドーシス

糖尿病末期になると体が酸性に傾きます。この状態を「糖尿病性ケトアシドーシス」と呼びます。
酸性を改善するために呼吸回数を増やし二酸化炭素をたくさん排出することでからだのPHをコントロールしようとします。

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熱中症

猫は体の表面から発汗し熱を下げることができないので、呼吸による換気で体温を下げようとし呼吸が多くなります。

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さいごに

「猫の呼吸が多い」という状態は呼吸困難による酸素不足を補うために起こっていることが多く、猫は何らかの原因で呼吸困難が起こっていると考えたほうがよいでしょう。
持続的に口を開けて呼吸をしている場合は、すでに手遅れなほどに症状が進行していることがほとんどです。
この状態になる前の段階で異常に気付くことが大切で、もし「呼吸が多いかな」と感じたらその時点で様子を見ずに病院を受診してください。
呼吸が多いことに早く気付くためには、日頃から猫の呼吸の回数を測ることを習慣にしてみてください。
呼吸が苦しい時は少しの移動でも負担になりますので、押さえつけたりせずストレスのない来院方法を選択してください。
呼吸困難は猶予のない状態ですが、キャリーケースに入っている猫の様子は外部からは判断できません。
長い待ち時間を耐えられない可能性がありますので、受付時に必ず「呼吸数が多い」「口を開けて呼吸している」などの症状をすみやかに伝えるのがいいでしょう

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