「猫に顔を近づけると、なんか臭う」
「猫の食器や、猫がくわえていたおもちゃが臭い」
「猫が毛づくろいした後、体が臭い」
これらはすべて、猫の臭いよだれのせいかもしれません。
猫がぺろぺろと舐めている様子はとてもかわいいらしいのですが、よだれのにおいが気になってしまうのはちょっと残念ですし、心配ですよね。
今回は猫のよだれが臭くなる原因や対策について解説します。
目次
猫のよだれとは?
唾液を口から垂らすことをよだれと言い、医学用語では流涎(りゅうぜん)と呼びます。
人間は食べ物を口の中でよく噛んで、唾液である程度まで消化しますが、猫の唾液には消化機能はありません。
食べ物をほぼ丸飲みする猫にとって、唾液は食べ物をスムーズに飲み込むための水としての役目を担っていることから、猫は比較的多くの唾液を分泌すると考えられています。
猫の唾液には殺菌効果や消臭効果があり、元々は強いにおいはありませんが、何らかの原因により臭くなることがあります。
猫のよだれが臭い原因とは?
それでは、猫のよだれが臭い原因にはどんなものがあるのでしょうか?
与えているキャットフードのにおい
缶、レトルトパウチなどのウェットフードは、ドライフードに比べて水分量が多いため、においもより感じやすくなります。
特に、「生臭い」や「魚臭い」などと感じる人が多いでしょう。
この場合、キャットフード自体のにおいなので、猫の健康に問題はありません。
ウェットフードは歯の間に付着しやすいため、食事後に水を飲ませたり、口の中に残っている食べかすを取り除いてあげることで、軽減する可能性があります。
猫の好みに合うようであれば、食べかすが付着しにくいドライフードに変更してもいいでしょう。
歯磨き効果が得られたり、歯垢が付きにくく配慮されたキャットフードも販売されていますので、上手に使い分けてくださいね。
歯垢や歯石からの歯周病
キャットフードの食べかすに雑菌が繁殖した歯垢は、よだれが臭くなる一般的な原因です。
猫の口の中を確認して、歯肉が腫れて赤くなっている、歯に歯垢や歯石が付いているようであれば、歯周の病気によってよだれが臭くなっている可能性があります。
歯肉が炎症で赤くただれてしまう病気を歯肉炎と言い、猫では歯肉炎と合わせて、舌や頬などの粘膜にも炎症が見られることがあります(歯肉口内炎)。
軽度の歯肉炎・口内炎であれば無症状であることも多いですが、病状が進行するとよだれが多く手が汚れてしまう、口臭が強くなる、手で口の中を気にする、食べたいのに食べられない、フードを食べづらそうに食べているなどの症状が出ます。
⇒猫の歯肉炎の症状や原因、治療薬とは?おすすめのサプリメントある?
歯垢、歯石のケア
歯周病になる前に、歯垢、歯石が付かないように口の中のケアをしてあげましょう。
一番良い方法は歯ブラシで歯と歯茎の間まで磨くことですが、難しい場合はガーゼを使って行います。
それも難しい場合は歯磨きジェルを指先に塗り、歯と歯肉の間に塗るだけでも効果はあります。
ただし、やわらかい歯垢とは違い、歯垢が数日間放置されて固まってしまった歯石は、自宅での歯磨きで簡単に取り除くことはできません。
歯石の付着がひどいようであれば動物病院を受診して相談してみましょう。
その際、炎症が激しい場合は、抗生物質やステロイド剤などで歯肉の腫れを抑える治療をします。
また、歯周病がひどい場合は全身麻酔をかけて原因となる歯を抜くこともあります。
⇒猫の歯石除去を動物病院でしてもらうと費用はいくらかかる?保険は使えるの?
感染症からの歯周病
猫で歯肉炎を起こす原因には、前述の歯周病や免疫異常の他、様々なウイルス疾患(猫カリシウイルス、猫免疫不全ウイルス、猫白血病ウイルスなど)が関連していると考えられています。
猫カゼの原因となる猫カリシウイルス性の口内炎になると、くしゃみや発熱、咳などがみられ、どろっとした臭いよだれが出ることもあります。
これらのウイルスは、すでに感染している猫を触った飼い主から持ち込まれることもあります。
ワクチン接種が有効なウイルス感染症もあるので、子猫のうちから健康診断もかねて動物病院を受診する習慣をつけておくといいでしょう。
⇒猫の歯周病まとめ。治療法や費用は?薬や抜歯や原因や症状についても解説
⇒猫のカリシウイルス感染症とは?症状や治療方法とは?潜伏期間は?
口腔内腫瘍
歯茎や舌に悪性腫瘍がつくられると、よだれが臭くなるだけではなく、よだれが多くなる、よだれに血が混じるといった異常がみられます。
また、痛みを伴うため、ご飯や水を飲み込みづらい、食欲がない、痩せてきたなどの症状が見られ、重篤な状態となることもあります。
口腔内腫瘍の多くは高齢の猫で見られ、腫瘍の種類としては扁平上皮癌、線維肉腫などがあり、特に扁平上皮癌は猫の口の中に発生する腫瘍の中でも一番多く、口の中の腫瘍の60%以上を占めています。
悪性腫瘍は経過が早いことが多いため、口の中にしこりが見られたらすぐに動物病院を受診しましょう。
さいごに
猫は口の中の病気にかかりやすい動物です。
口の中に異常があると、痛みや違和感で食欲が落ち、全身の健康状態に影響を及ぼしてしまいます。
よだれなど身体から出るものはすべて、言葉を話せない猫からの大切なメッセージです。
猫の異常に早く気付いてあげるために、日ごろからよだれのにおいや量に注意して、口の中の様子を確認してあげてくださいね。
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