「猫の歯が抜けて歯茎から出血している!」
「歯がグラグラしているけど、様子見ても大丈夫?」
このような経験や疑問はありませんか?
猫の歯が抜けてしまったら、どんな病気になってしまったのかと心配になるかと思います。
そこで今回は、猫の歯が抜けてしまう病気の例や、一見すると抜けてしまったように見える病気があることなど、詳しく解説していきます。
目次
猫の歯が抜ける原因について
歯は、歯肉(いわゆる歯茎)や歯槽骨、歯根膜でしっかりと固定されているため、この3つのどこかが何らかの原因で障害されると歯が抜けてしまうことがあります。
猫の歯が抜ける原因を分類すると、治療の必要がない「生理的な原因」と治療が必要な「病的な原因」の2つになります。
生理的な原因には乳歯から永久歯への生え替わりがあり、病的な原因には外傷による歯の脱臼や歯周病、歯茎の腫瘍があります。
また一見すると歯が抜けたように見えてしまう病気、歯の吸収病巣(歯頚部吸収病巣)も猫ではよく見られる歯の病気になります。
猫の歯も生え替わる!
猫にも乳歯と永久歯があり、永久歯は乳歯が生えた後から歯茎の中で作られます。
だいたい生後3カ月頃から生え変わり始め、7~8カ月頃には完全に生え変わります。
ですので、この時期に猫の歯が抜けていて、歯茎から多少の出血が見られているのは正常であると考えます。
もしご心配な場合は、抜けた歯を持って動物病院を受診するとよいでしょう。
また、1歳になっても乳歯が残っている場合は自然に抜けることはなく、「乳歯遺残」という状態と考えられます。
犬では乳歯遺残は非常に多く珍しいことではありませんが、猫では稀です。
今後の歯並びに影響したり歯石が付きやすくなるため、できるだけ早めに抜いてあげる必要がありますが、全身麻酔が必要なので、避妊手術や去勢手術と合わせて行うとよいでしょう。
成猫の歯が抜ける病気とは?
成猫で歯が自然に抜けてしまう場合は、治療しなければならない病気になっていると考えます。
それでは猫で歯が抜け落ちてしまう原因にどんな病気かあるか、見ていきましょう。
歯周病
細菌感染によって歯茎などの歯周組織に炎症が起こってしまう病気を、歯周病と言います。
歯周病が悪化して歯を支えている歯槽骨まで炎症が広がった状態を「歯槽膿漏」と言い、歯が抜けてしまう原因となります。
原因は?
歯周病は、歯についた歯石の中で細菌が繁殖し毒素を出すことで引き起されます。
ほとんどの猫は毎日歯磨きをされていないため、歯周病の発症は非常に多く、また猫白血病や猫エイズになっている猫は免疫力が弱いため、発症のリスクが高くなります。
どんな症状?
歯石が付いている周囲の歯肉が赤くなっていたり腫れていたりする場合は、歯周病になっている可能性があります。
軽度の歯周病であれば飼い主の方が気付くような症状がないことも多いですが、歯周病が進行し歯槽膿漏になると、口が臭い、よだれが多い、口を触ると嫌がる、ご飯を食べづらそうにしている、などの症状が出ます。
その状態で固いものやおもちゃを噛んだりすると、歯がグラグラしたり抜け落ちたりします。
また犬歯(いわゆる牙)が歯槽膿漏になると、上顎の骨が溶かされ鼻の中まで炎症が広がってしまうため、鼻づまりや鼻血、くしゃみといった症状が出るようになります。
⇒猫の歯周病まとめ。治療法や費用は?薬や抜歯や原因や症状についても解説
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診断方法、治療法は?
どのくらい歯周病が進行しているかを確実に診断するためには、歯科用レントゲン検査やCT検査が必要になります。
抗生剤の内服で一時的に症状が軽減することがありますが、根本的な治療には全身麻酔下で歯石除去をして、必要に応じて抜歯をする必要があります。
⇒猫の歯石除去を動物病院でしてもらうと費用はいくらかかる?保険は使えるの?
歯肉の腫瘍(扁平上皮癌)
高齢猫では歯肉に腫瘍ができることがあり、腫瘍によって歯が支えられなくなると、歯がグラグラしたり抜けたりします。
歯肉の腫瘍の種類
猫に見られる歯肉の腫瘍で一番発生頻度が高いのが扁平上皮癌、次に線維肉腫になります。
とくに扁平上皮癌が歯肉に発生すると、歯がグラグラする症状がよく見られます。
扁平上皮癌の特徴は?
この病気の厄介な点は、初期には明らかな腫れやしこりが見られず、出血や潰瘍しか見られないため歯周病と間違われやすいというところです。
「猫の食欲がなく歯茎が赤いから、多分歯周病だろう」と思っていたが、歯が抜けた途端どんどん腫れが進んできたという経過があった場合、この病気の可能性が高くなります。
どんな症状?
歯肉に腫瘍がつくられると、ドライフードを食べたがらない、食欲がない、口臭が強い、よだれが多かったり血が混じるといった口の症状の他に、鼻血がでる、くしゃみが増えた、顔が腫れているなどの症状が見られます。
診断方法、治療法は?
腫瘍の診断には、生検といってしこりの一部を採取し、細胞や組織を検査する必要があります。
発生した場所や進行度によって治療の選択肢は異なりますが、外科手術、補助的に放射線治療や抗癌剤の投与を検討します。
歯が抜けたように見える病気!吸収病巣とは?
猫の歯と歯の間隔が広くなってしまい、飼い主の方が「いつの間にか歯が抜けていた」と感じられた場合、実は原因として一番多いのが「歯の吸収病巣」という病気になります。
この病気には別名が多く、「歯頚部吸収病巣」と言ったり、「破歯細胞性(はしさいぼうせい)吸収病巣」や「ネックリージョン」とも呼びます。
一体どんな病気なのでしょうか?
特徴は?
進行度合いによって、この病気になった歯の様子は異なります。
始めは、歯と歯茎の境目(歯頚部)に穴が空いてしまうため、我々人間の虫歯のような見た目になり、歯の神経がむきだしになるため痛みをともなうと言われています。
また外からの見た目では分かりませんが、歯茎の中では歯の根っこ(歯根)が顎の骨(歯槽骨)と一体化していきます。
さらに進行していき歯肉より上の部分の歯(歯冠)が全て吸収されると、痛みも感じなくなっていきます。
そして歯冠がないところは歯肉で覆われてしまうため、一見すると歯がなくなって見えるようになります。
ここまで進行すると、歯が歯周病などの原因で抜けたのか吸収されたのかは、レントゲン検査をしないと判断がつきません。
この吸収病巣という病気は、犬には見られませんが非常に多くの成猫に見られる病気で、高齢になるにつれ発生は増加します。
どんな症状?
猫は痛みを表現するのが苦手な動物なので、吸収病巣だけでは飼い主の方に気付かれるような症状が出ることは少なく、そこに細菌感染などが起きて強い炎症が起こると、歯肉が腫れたり、痛がって片側の歯で噛むといった症状が出ることがあります。
原因は?
見た目は虫歯とよく似ているのですが、虫歯は細菌がつくる酸によって歯に穴があく病気であるのに対して、この吸収病巣では細菌は関係せず、破歯細胞とよばれる細胞によって歯が壊れていく病気です。
なぜ破歯細胞が歯にこのようなダメージを与えてしまうのか、原因はよくわかっていません。
治療法や予防法は?
残念ながら現時点では有効な治療法や予防法は分かっていません。
一部吸収された歯に痛みが強い場合は、抜歯を行うなどの対症療法がとられます。
さいごに
「猫の歯が抜けているのは年のせいだろう」、「猫の歯が欠けているのは虫歯かな」と考えられる飼い主の方も多いかと思いますが、その原因の多くが吸収病巣という病気になります。
吸収病巣は予防策も有効な治療法もありませんが、歯周病は歯磨きを行うことで予防できます。
また歯磨きは腫瘍などの口の中の異常に早く気付く、とても大切な習慣ですから、できれば子猫のうちから慣らしておくと良いでしょう。
「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」
という飼い主さんはとても多いです。
動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。
動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。
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