口腔の症状

猫の歯茎が腫れている。出血している。原因は何?病気のサイン?

投稿日:2016年12月2日 更新日:

猫

猫の歯茎が腫れていると気付くのはどんな時でしょうか?
歯磨きの時や、あくびをして口を大きく開けている時、口臭がひどくなったり、よだれが増えたことから口の中を見てみたら腫れていたことに気付くということもあるかもしれませんね。
腫れているといっても、いろいろな見た目があります。
ぽこっとイボのように腫れていることもあれば、全体的に赤く腫れあがったり、逆に赤くただれて潰瘍化しへこんで見えることもあります。
どのような病気が考えられるのでしょうか?

歯周病

歯周病とは歯茎に炎症が起きて赤く腫れる「歯肉炎」と歯を支える歯根膜や歯槽骨にまで炎症が波及し、破壊される「歯周炎」の総称です。
歯垢や歯石に潜む細菌が原因でおこります。
歯肉炎の場合は歯の周囲が赤く腫れ、歯周炎がひどくなると歯茎から出血したり、よだれが出るようになります。
どのような猫にでも起こりますが、腎臓病や糖尿病などの慢性疾患、あるいは猫白血病ウイルス(FeLV)感染症や猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)などの感染症によって免疫力が低下していると、悪化しやすい傾向があります。
治療法は「歯肉炎」であれば消毒や抗生物質、消炎剤の投与で改善が見られます。
「歯周炎」にまで進行している場合は、全身麻酔をしたうえで歯垢・歯石を取り除き、歯周ポケットにたまった汚れや炎症を起こした組織などを取り除きます。
歯のぐらつきがひどい場合には抜歯手術を行うことも有用です。
猫は基本的に食事を丸呑みしますので、歯が1本もなくても食べるには困りません。

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口内炎

猫

猫の口内炎は人のようにポツッと白くできるものと違い、赤く腫れあがったり、潰瘍を起こすのが一般的です。
猫の場合、細菌が原因でおこる歯周病から口内炎をおこすことが多いですが、猫の風邪の原因となるウイルスも口内炎を引き起こします。
歯周炎と同様免疫力が低下する環境の場合発症しやすくなります。
人の口内炎のようにビタミンの不足や栄養の偏りで起こるわけではありません。
口臭がひどくなる、歯肉が赤くなる、血が混じったよだれが出るようになり、口の周りや前肢が汚れます。
かなりの痛みから食事や水がとりにくくなります。
重症の場合はのどや舌、口の粘膜まで赤く腫れ、ただれてしまいます。
口内炎自体は、抗生物質やステロイド、免疫を増強するインターフェロンを投与して治療します。
基礎疾患がある場合はその治療も同時に行います。

リンパプラズマ細胞性口内炎

口内炎の中でも、特殊な口内炎です。
歯や歯肉には問題はなく、口角の部分に限局的に重度の潰瘍をおこす原因不明の病気です。
歯肉に充血、浮腫み、出血をともなう歯肉炎が起き、口腔粘膜まで拡大することもあります。
潰瘍ができ、舌や口腔の奥まで及ぶこともあります。
痛みがひどく、狂ったように両手で顔をこすって口の中の痛みを取ろうとします。
原因がわかっていないので対症療法を行うことになります。
治療としては、歯石の除去、抗生剤、ステロイドなどが行われていますが、一時的に良くすることは出来ても完治は困難な事が多く、奥歯を全部抜く「全臼歯抜歯」や全部の歯を抜く「全顎抜歯」を行うこともあります。

口腔内腫瘍(がん)

猫

口の内にできたガンの総称です。
口の中にがんが発生し、そのがんが赤くただれて潰瘍をおこしたり、壊死したりします。
猫に多い口の中にできるがんは扁平上皮癌、線維肉腫、悪性黒色腫があげられます。

扁平上皮癌

猫の口腔がんの60~70%をしめ、舌と歯肉に好発します。舌の裏側にある部位にできやすいとされています。
数週間という短期間でただれや潰瘍を引き起こすのが特徴です。
飼い主の吸うたばこの煙を直接または間接的に吸うことも原因となることがあります。
潰瘍や腫瘍からの出血により血の混じった粘度のあるよだれがでます。
腫瘍が大きくなりすぎると物理的に口を閉じることができなくなり、食事や水を摂取できなくなります。
さらに、腫瘍が鼻やのどなど、空気の通り道をふさぐようになると、息をすることも難しくなっていきます。
腫瘍が壊死すると腐ったにおいを発するようになります。
歯肉よりも舌にできたガンの方が転移しやすく、リンパ節や肺に転移します。

猫の扁平上皮癌の症状や治療法は?末期症状や余命とは?

線維肉腫

口腔がんの10~20%をしめ、主に歯茎にできるぽこっとしたしこりのような腫瘍で、すさまじい速度で大きくなるのが特徴です。
腫瘍が大きくなると、骨のように固くなり、激痛が生じます。
転移は多くないものの、骨への浸潤性が強く骨の中にもぐんぐん浸潤していきます。
皮膚を突き破って外側に出てきたり、腫瘍が固くなるため、口を動かすことができず、物理的にも食事をとることができなくなっていきます。
腫瘍自体を噛んでしまい出血や感染を起こすこともあります。
治療は外科手術で、腫瘍があごにまで達していた場合、顎の骨の摘出まで行わなくてはいけません。
猫が手術に耐えられないようであれば、抗がん剤治療や、放射線治療を行います。
しかし完治はほぼ不可能です。

悪性黒色腫

「メラノーマ」とも呼ばれ、口の粘膜や舌に発生します。
黒色の斑点状の病変が表れ、急速に進行し、潰瘍や壊死を引き起こすこともあります。
皮膚のメラノーマに比べて口腔内のメラノーマのほうが悪性である確率が高く、リンパ節への転移が多く見られます。
腫瘍が小さい場合であれば、外科手術で切除します。
腫瘍が顎の骨まで達している場合には、顎の骨ごと切除手術がおこなわれます。
進行していたり、切除が難しい場所にある場合には、抗がん剤治療が行われますが、完治は難しく、余命は長くありません。

さいごに

猫の歯茎に問題がある時、痛みや物理的な問題で食事や水を取りにくくなることが多くあります。
進行してしまうと全身状態も悪くなり、麻酔をかけた検査や治療ができなくなるなど、治療に制限が出てしまうこともあります。
症状がひどくなる前であれば、対処ができる場合もありますので、異常に早く気付くことが大切です。
しかし、口の中の異常はなかなか気付きにくいものですよね。
日頃から口のケアを兼ねてチェックしたり、動物病院で健康診断を習慣にしておきましょう。

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