「猫にも貧血はあるの?」
「猫が貧血になったらどんな症状が出るの?」
こんな疑問はありませんか?
私達人間と同じように、猫も貧血を起こすことがあります。
貧血はいろいろな病気が原因で起こる異常で、決して珍しいことではありません。
貧血=顔色が悪いというイメージがあると思いますが、毛で覆われた猫が貧血になった場合、どのようなことに注意したらよいのでしょうか?
今回はそんな猫の貧血について解説していきます。
猫の貧血とは?
そもそも貧血とはどの様な病気でしょうか。
貧血ってどんな病気?
貧血は、赤血球やヘモグロビン(血色素)の量が正常よりも少なくなった状態を言います。
貧血の症状って?
出血などの原因で突然貧血が起こると体に酸素が行き渡らない状態になるため、粘膜蒼白、元気消失、虚脱、運動したがらない、呼吸が速いなどの酸欠の症状が出ます。
また後述の溶血性貧血では皮膚や粘膜、尿が異常に黄色くなる「黄疸」という症状も出ることがあります。
一方、徐々に貧血になった場合は、低酸素の状態に体が慣れてしまうため、もともと寝ている時間が長い猫や高齢猫は活動性も落ちているため、飼い主の方が上記の酸欠の症状に気付かないということがよくあります。
また貧血は「原因となる病気」が存在するために起こる病態ですから、「原因となる病気」の症状が明らかに表れると、より貧血の症状自体に気付きにくくなってしまいます。
このようにゆっくりと進行した貧血は、検査して始めて貧血であることに気付くということが少なくないため、注意が必要です。
貧血はなぜおこる?
貧血が起こる原因を大きく分けると、以下の3つになります。
赤血球が作られない
赤血球が骨髄で作られることを、医学的には「造血」と言います。
うまく造血ができない原因として、赤血球の元となる材料の不足、造血を促すホルモンの不足、骨髄の異常などがあります。
赤血球が破壊される
赤血球の破壊を「溶血」といい、溶血によっておこる貧血を「溶血性貧血」と呼びます。
出血している
大量に出血すると赤血球を喪失してしまうため、貧血を起こします。
消化管から出血すると便の色が炭のように黒くなるのが特徴的で、これを「メレナ」と言います。
貧血の原因となる病気や治療法は?
それでは猫に貧血を起こす病気を具体的に挙げていきましょう。
腫瘍や炎症などの慢性病
猫では非常に多くみられる貧血の原因です。
慢性的な病気があると鉄の代謝に異常をきたすため、造血が障害されたり、作られた赤血球自体の寿命が短くなるため貧血が進行します。
腫瘍の治療はどんな腫瘍なのかにもよりますが、外科手術や抗癌剤、放射線治療などを検討します。
細菌による炎症であれば、抗生剤の投与などを行います。
消化管の病気
炎症性腸疾患(IBD)やリンパ腫などの消化管に起こる病気では、消化管からビタミンB12や葉酸が吸収しづらくなり貧血が起こることがあります。
炎症性腸疾患の治療としてステロイド剤や抗生剤、整腸剤などの投与を行います。
⇒猫の悪性リンパ腫の症状とは?ステージ別の余命、生存率はどのくらい?
⇒悪性リンパ腫の猫にステロイドや抗がん剤治療の効果は?費用はどのくらいかかる?
鉄の不足
偏食や栄養不足、胃の切除後に鉄分が吸収されにくい場合に起こります。
この場合の貧血を「鉄欠乏性貧血」と呼び、鉄剤の補給が必要です。
腎臓の病気
腎臓では、エリスロポエチンという赤血球の産生を促すホルモンを作りますが、慢性腎不全などの病気になるとそのホルモンの分泌が減り貧血になります。
この貧血を「腎性貧血」と呼びます。
根本的な治療法はなく、対症療法として人用のエリスロポエチンを注射することがあります。
⇒獣医師解説。猫の慢性腎不全の原因や症状や治療とは?回復はするの?
骨髄の病気
赤血球の製造工場である骨髄の病気になると貧血を起こすことがあります。
猫白血病ウイルスに感染し発症すると、再生不良性貧血や赤芽球癆(せきがきゅうろう)などの骨髄の病気を起こすことがあります。
ウイルスが原因である場合対症療法が中心となり、残念ながら効果的な治療法はありません。
溶血を起こす病気
タマネギ中毒
ネギ属の植物に含まれる成分(アリルプロピルジスルフィド)によって赤血球が酸化され、破壊されてしまう病気です。
治療法としては輸血や抗酸化剤(ビタミンCやE)の投与を行います。
猫ヘモプラズマ感染症
以前はヘモバルトネラと呼ばれていた病気です。
ヘモプラズマはマイコプラズマという病原体が赤血球に感染することで、赤血球が破壊され貧血を起こす病気です。
病原体に効く抗生剤を投与して治療します。
外傷
交通事故などの外傷時に骨折や臓器の損傷によって出血することがあります。
出血の程度によっては輸血を検討します。
消化管潰瘍
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、消化管の腫瘍では消化管の粘膜から出血することで貧血になります。
メレナと呼ばれる、便が黒くなる症状が特徴的です。
ステロイド剤や非ステロイド性鎮痛剤には消化管粘膜を障害することがあり、メレナが見られた場合、投薬を中止し粘膜保護剤や制酸剤を投与します。
ノミダニによる吸血
室外で飼われている猫などでノミやダニが大量寄生した場合、吸血によって貧血になることがあります。
治療や予防にはフロントラインなどの駆虫薬が有効です。
貧血の治療費用の目安は?
平成27年に日本獣医師会が調査した「診療料金実態調査」を参考にご説明します。
入院費の目安は?
診療料金実態によると、1日あたりの入院費の平均的な金額は2600円前後です。
ここに点滴代や注射代、血液検査代がかかってきますので、総額2万程度かかるものと心積もりをしていた方がよいでしょう。
なお貧血を起こすような病気の場合、数週間程度の長期的な入院も必要であることは珍しくありません。
輸血料の目安は?
診療料金実態によると、1回あたりの輸血料の平均的な金額は1万円前後であることが分かります。
費用に関する不安はみんな同じ!
動物病院は自由診療のため、同じ病気でも治療費用は病院によっても様々です。
また、人間のように高額医療費制度などの減免処置はないため、動物医療は非常に高額です。
どのような病気で貧血しているのか診断がついたら、治療方針と一緒に今後の治療費用の見積もりを提示してもらうよう、かかりつけの動物病院へお願いするようにしましょう。
全く遠慮する必要はありません!
このような場合に備えてペット保険の加入も一考の価値があります。
貧血についてよくある疑問
最後に飼い主の方が疑問に思うことを3つまとめてみました。
貧血かどうかはどうやって判断する?
・粘膜の色を見てみる
他の猫に比べ、粘膜の色(舌や歯茎、まぶた)が白っぽい場合は貧血している可能性があります。
白っぽいかどうかの判断は感覚的であるため、なかなか判断に迷うことが多いものですが、同居猫がいれば比較して判断しやすくなります。
もし比較してみて、飼い主の方が気づかれるくらい明らかに白い場合は、重度の貧血になっている可能性があります。
・気になる症状はないかチェック
急性の貧血でない限り明らかな症状が出ないことが多いですが、貧血には原因となる病気が根本にあります。
貧血を見つけようとするより、最近食欲や元気がない、下痢や嘔吐がある、便が黒っぽい、痩せてきたなどの症状はないかを見逃さないことが大切です。
⇒獣医師が教える猫の下痢の原因と対処法まとめ。飼い主必見です
食事で貧血は予防できる?
栄養バランスの考えられたキャットフード(総合栄養食)を食べていていれば、食事が原因で貧血することはありません。
ただ嗜好性の高い缶詰やパウチのほとんどが総合栄養食ではなく一般食です。
よく食べるからといってそれだけを与えると鉄分不足になってしまうため、必ず総合栄養食と一緒に与えるようにしましょう。
サプリメントなどの改善方法は?
「ペットチニック」という鉄分やその他のビタミンが入ったサプリメントがAmazonなどのネット通販で購入することができます。
ただし、貧血は様々な病気で起こるため、原因となる病気を治療しないことには改善しません。
まずは動物病院で適切な治療を受けることが重要です。
また、もし動物病院で鉄剤を処方されているのなら、重複してしまうので不必要になりますので、飲み始める前に確認しておいた方が安心ですよ。
さいごに
慢性的な貧血は無症状で進行するため、飼い主の方が気付いた頃には末期的な状態であったということが珍しくありません。
早期発見のためにも10歳をすぎたら年に1回は健康診断を受けることをオススメします!
「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」
という飼い主さんはとても多いです。
動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。
動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。
経済的な問題で愛猫の寿命を縮めないためにも愛猫が元気なうちにペット保険に加入することが大事になります。
でも「ペット保険っていうけど、どういう保険があるの?」という疑問も出てくるかと思います。
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