「猫が物にぶつかるようになったけど、目が見えていない?」
「猫と視線が合わないけど、もしかしたら失明した?」
猫の目が見えていないと感じたら、飼い主の方はとても心配になりますよね。
ただ、猫が本当に見えていないのか気のせいなのか、自分ではなかなか判断に困ると思います。
今回は猫の失明の原因となる病気と、目が見えているかいないかのチェック方法について解説したいと思います。
猫の失明について
まずは「失明」とはどのような状況なのか、失明したかどうかをチェックするポイントについて解説します。
失明とは?
医学的には、それまで見えていた目の視力が完全に失われ、明るい暗いも分からなくなった状態を「失明」と言います。
突然失明するとどんな症状がでる?
突然両目ともに完全に失明してしまった(急性の失明)場合、
・呼びかけても声のする方向は見るが視線が合わない
・高いところに登れなくなる
・ボールやねこじゃらしなどの遊びに反応しない
・餌場や水飲み場がわからない
・物(机やイスの脚など)によくぶつかる
・ソファなどの高い位置に置くと自分では降りられなくなる
といった症状が見られます。
ゆっくり進行した失明の場合には、触覚・嗅覚などが視覚の代償として働いたり環境に慣れてしまうため、急性の失明の症状の一部しか確認できないこともあります。
また、片目のみの失明の場合は、もう片方の目の視力に頼ることができるため、このような症状は見られずほとんどの飼い主の方は片目の失明に気付いていません。
目が見ているかいないかのチェックポイント
猫は自分の目が見えているかどうかを訴えることは出来ませんので、威嚇反射・眩目反射・対光反射をチェックすることで、視覚の有無を客観的に評価します。
もし以下のチェック方法を試してみて、目が見えていないようだと感じられたら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
威嚇反射
威嚇反射とは、威嚇するような動作に対して反射的にまばたきをする反応のことです。
猫の顔を真っ正面に向け、片目ずつ手やペンなどで目をつつくような動作をして、瞬きがあれば見えていると判断します。
このチェックポイントには以下のコツが必要です。
触覚で瞬きをさせないこと
目の上の長いヒゲに触れてしまったり、手を近づけるときに風を起こして目に当ててしまうと「触覚で瞬き」をしてしまいます。
チェックしていない目に見えないようにする
片目ずつチェックしないと意味がありませんので、右目をチェックするときは左目では確認できないように斜め横から威嚇するようにします。
猫をリラックスさせてチェックする
極度の緊張状態になると、目をガッツリ開いてしまい、威嚇反射がうまく引き出せないことがあります。
眩目(げんもく)反射
眩目反射とは、非常に明るい光を眼に直接当てたときに「まぶしい!」とまばたきを起こさせる反射のことです。
非常に簡便な検査ですが、ペンライトがないと出来ないのが欠点です。
このチェックポイントには以下の注意点があります。
長い時間ライトを当てないこと
見えていれば光りを当てた瞬間に目を閉じますが、長い時間強いライトを当てると網膜にダメージを与えてしまいます。
チェックしていない目に光りを当てないようにする
こちらも片目ずつの検査になりますので、ペンライトではなく電気スタンドのような広範囲を照らすような器具では代用はできません。
対光反射
対光反射とは、光を目に直接当てたときに瞳孔が収縮する反射のことです。
両目ともに正常であれば、光を当てていない目の瞳孔も一緒に収縮します。
このチェックポイントには以下の注意点があります。
少し暗い部屋でチェックする
真っ昼間の明るい部屋では、そもそも猫の瞳孔は収縮しています。
少し部屋を暗くして、瞳孔が開きやすい状態にしないとチェックすることができません。
光量を調節するペンライトが必要
弱めの光りでも暗い部屋で目を照らせば対光反射は起こりますが、逆に強い光では、眩目反射が誘発され目を開けていることができません。
光量を調節できるペンライトがないと評価できないのが最大の欠点でしょう。
その他にもこんな症状に注意!
視覚の有無も重要ですが、合わせて以下のような症状見られていないかチェックしましょう。
・左右の瞳孔の大きさが同じか
・目やにが多い
・目を気にしてこする
・まぶしそうに目をショボショボしている
・目を開けられずに閉じたまま
・起きていても目頭から白い膜が出ている
・目の色がおかしい(白い、赤い、黒い)
・鼻水や鼻血がでている
猫が失明する病気とは?
では具体的にどんな病気になると猫の目は失明してしまうのでしょうか?
網膜剥離
目の奥には「網膜」と呼ばれる膜が眼球の壁に張り付いており、カメラでいうフィルムの役割をしています。
この網膜が眼球の壁から剥がれてしまうことを「網膜剥離」と言い、猫で網膜剥離の原因として一番多いのが高血圧によるものです。
猫は高齢になると腎不全や甲状腺機能亢進症といった病気にかかりやすく、これらの病気は時折高血圧を引き起こします。
⇒猫の甲状腺機能亢進症の症状や原因や治療法は?寿命や末期症状も解説
網膜が完全に剥離すると目は失明しますが、剥離は突然起こることもあればゆっくりと進行することもあり、症状の程度は様々です。
中には剥離した時に出血を起こしてしまい、目の中に血液が溜まって目が赤く見えることがあります。
そして完全に網膜剥離を起こした目は瞳孔が広がりっぱなし(散瞳)になり、飼い主の方は「明るいところでも目の黒目が大きくなっている」ということに気付くようになります。
緑内障
緑内障とは、眼球の内圧(眼圧)が高くなることによって網膜や視神経が障害され、視覚に影響を受ける病気です。
眼自体の構造が悪く緑内障になってしまう「原発性」と、眼の中に別の病気があってそれが影響して後から緑内障が引き起こされる「続発性」とに分かれます。
猫では原発性緑内障は稀で、続発性緑内障の発生が多いとされています。
続発性緑内障を引き起こす眼の病気には、眼の中に炎症を起こす病気である「ぶどう膜炎」、眼の中に起こりやすい腫瘍「悪性黒色腫(メラノーマ)」、水晶体と呼ばれる部位が脱臼しておこる「水晶体脱臼」などが挙げられます。
眼圧が著しく高い状態が2日以上続くと失明してしまうため、視力温存のためには早く病院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
症状としては、眼圧の上昇によって目に強い痛みがでるため、目をショボショボさせたりします。
また常に散瞳していたり、白目が赤くなったり、目の表面(角膜)が白く濁ったりすることもあります。
メラノーマが原因である場合は、瞳孔(虹彩:こうさい)に茶〜黒い斑点が見えることがあります。
⇒猫の緑内障の症状や原因や治療法は?手術費用はどのくらいかかる?
白内障
白内障とは瞳の中にある水晶体と呼ばれる組織が白く濁る病気で、高齢犬では一般的に見られる病気ですが猫での発生は比較的まれで、糖尿病の犬では白内障は必発しますが猫ではまず起こりません。
白内障の原因としては遺伝的なもの、ぶどう膜炎などの他の目の病気から続発して起こるものがあります。
初期は無症状ですが、進行してくると目が白くなっていることに気づきます。
白内障だけでは完全な失明には至らないこともあり(明暗はわかるものの物陰がはっきりしなくなる程度)、そこから網膜剥離などを合併してくると失明してしまいます。
⇒猫の白内障の症状や原因や治療方法は?手術費用はどのくらい?
さいごに
猫は片方の目が完全に失明していても、もう一方の目が無事であれば特に問題なく日常生活を送ることができます。
そのため、猫がよく物にぶつかるようになったなど、明らかな異変に気付いたときにはすでに両目とも失明している可能性があります。
高齢の猫を飼っている方は、定期的に血液検査をして腎臓の数値をチェックしたり、慢性腎不全と診断されているなら血圧を測定してもらうようにしましょう。
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