消化器の症状

猫の便に白い虫の様なものがある。原因は何?病気なの?

投稿日:2017年2月23日 更新日:

 

猫の便に白い虫の様なものが付いているのを見つけたことはありませんか?

はたして本当に虫なのか、どこから湧いたのか、何らかの病気のサインではないかと不安になりますよね。
今回は、猫の便についた“白い虫”の正体とその原因について解説します。

正常な猫の便

猫は通常一日に1~2回排便し、食べているものにもよりますが、濃い茶~黒っぽい色で表面はつやがある便をします。
猫は基本的に水分をあまり摂らない動物なので、正常な便は比較的かためで、コロコロとしています。
もちろん猫の体質によって、便の色や硬さ、大きさは異なりますので、普段から健康な時の猫の便を確認しておきましょう。

猫の便に何かが付いている、混ざっている時

では、猫の便に白い虫の様なものや何か見慣れないものが付いている、または混ざっている時には、どういったことが考えられるでしょうか。

未消化の食べ物のカス、毛、誤飲した異物

肉食である猫は穀類や野菜の消化があまり得意ではないので、それらをたくさん食べた後は完全に消化されずに便に出てきたり、毛づくろいの際に飲み込んだ猫の毛が便に混ざって出てきたりすることがあります。
また、ビニールやプラスチック、紐などの異物を誤飲してしまった場合、消化されずに糞便中に出てくることもあります。
このようなものの中から、”白い虫”に見えるものがないかどうか、確認してみましょう。

内部寄生虫の感染

猫に付く寄生虫には、体の外部に付くノミ、ダニなどの外部寄生虫と体内に寄生する内部寄生虫があり、外で子猫を保護した時や、外猫との接触がある場合、内部寄生虫が体内にいる可能性があります。
内部寄生虫は条虫や回虫などの10㎝以上の大型のものから、肉眼では見えないコクシジウムなどの単細胞生物までさまざまな種類があり、主に小腸に寄生して、猫の体から栄養分を奪って生存しています。
消化管である小腸に寄生していると、下痢便や血便などの症状や、糞便に虫やその一部が混入することがあります。

便に白い虫の様なものが出る内部寄生虫とは?

便に白い虫の様なものが出た場合、まずは内部寄生虫の一種である条虫や回虫が寄生していることが疑われます。

条虫

条虫は、多数の片節からなる細長く平べったい紐のような寄生虫で、「サナダムシ」と呼ばれることもあります。
主に小腸に寄生し、片節と呼ばれる虫体の一部分を糞便と一緒に排泄しますが、それぞれの片節には卵が含まれていて、ちぎれた片節も動き回るために、これが”白い虫”に見えることがよくあるのです。
肛門周囲に付いたうごめく片節によって、猫はおしりをかゆがって、床にこすりつけることがあります。
寄生数が多くなると、栄養障害で痩せてきたり、成長不良がみられたりします。
日本の猫では10種類以上の条虫が確認されていますが、よくみられるのはウリザネ条虫、ネコ条虫、マンソン裂頭条虫です。

ウリザネ条虫

成虫になると長さ60㎝程度にまで達する条虫で、片節が乾燥すると米粒ほどの大きさになり、「猫の便や肛門周囲に白い虫が付いている」「猫の寝床やよくいる場所に米粒のようなものがたくさん落ちている」と飼い主さんが気付くことがあります。
この片節の中からばらまかれた条虫卵をノミの幼虫が食べると、その体内で条虫卵は幼虫となり、猫は毛づくろいの時などに、こうしたノミを食べてしまい感染します。

ネコ条虫

成虫になると長さ30~60㎝に達する条虫で、糞便中に含まれている条虫卵をネズミなどが食べると、体内で孵化し、こうして寄生虫に感染したネズミを猫が捕食することでネコ条虫に感染します。

マンソン裂頭条虫

成虫の長さが80㎝~2.5mにも達する長い条虫で、自然の多い環境で生活する猫によくみられます。
感染している猫の糞便中には条虫卵が含まれていて、卵が水に入ると孵化して幼虫になります。
この幼虫をミジンコが食べ、さらにそのミジンコをカエルなどの小動物が食べて、最終的に猫がその小動物を捕食するとマンソン裂頭条虫に感染します。

回虫

回虫は3~12㎝程度の白く細長いミミズの様な虫で、主に小腸に寄生して糞便中または嘔吐物に排泄されることがあります。
感染している猫の糞便中に排泄された虫卵は土の中で何年も生存して成熟卵となり、それを猫が毛づくろいや食餌の際に一緒に飲み込むことで感染します。
また、妊娠中の猫が感染すると、出産後に乳汁を介して子猫にも感染してしまいます。
成猫ではあまり症状は現れませんが、子猫が感染すると重篤化することが多く、発育不良、下痢や便秘、お腹が膨らむ、嘔吐、貧血、毛づやが悪くなるなどの症状が出ることがあります。

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回虫は人畜共通感染症

回虫は虫卵を口にすると人にも感染し、発熱、咳、食欲不振を起こしたり、幼虫が各所に迷入して肝障害や視力、視野の障害などを起こしたりすることがあります。
特に幼児での感染例が多いため、猫を飼育しているご家庭ではお気を付けください。

その他の内部寄生虫

条虫、回虫以外の内部寄生虫には、どのようなものがあるのでしょうか。

鉤虫(こうちゅう)

鈎虫は長さ1~2㎝の白い糸のような寄生虫で、感染している猫の糞便から排出された卵が野外の土の中で孵化し、猫の口や皮膚、乳汁から体内に侵入して小腸に寄生します。
その名の通り、鉤(かぎ)の様な牙で腸壁に食いついて血を吸うため、寄生虫の数が多いと貧血を起こしたり、粘血便を排泄します。

コクシジウム

原虫と呼ばれる単細胞の寄生虫で、小腸粘膜の細胞に入って増殖し、細胞を破壊してしまいます。
症状はあまり見られないことが多いですが、子猫では血便、消化不良、貧血などを起こして衰弱してしまうことがあります。

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トキソプラズマ

コクシジウムと同じく、原虫の一種で感染している動物の糞便から感染します。
感染しても通常は症状が出ませんが、子猫や体力、免疫力が低下した猫においては、発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などの症状がみられます。
ほとんどの哺乳類が感染する人畜共通感染症で、とくに妊婦が感染した場合は胎児に影響を及ぼす可能性があるため、トキソプラズマ抗体の有無を検査をすると安心です。

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内部寄生虫の感染予防と治療

では、内部寄生虫に感染しないためには、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。
また、感染した場合にはどのような治療が必要となるのでしょうか。

内部寄生虫の感染予防

内部寄生虫の感染を予防するためには、猫の排便後すぐに処理すること、猫の飼育環境を清潔に保つこととともに、定期的に糞便検査を行って寄生虫がいないかを確認することが重要です。
糞便検査は少なくとも小指の先ほどの便があればできますので、なるべく新鮮な便をラップなどにくるんで動物病院で検査してもらいましょう。
また、ウリザネ条虫のようにノミが感染に関係する寄生虫の予防には、ノミの駆除も非常に重要となります。
万が一ノミを発見した場合には、ノミの体内にいる条虫卵をばらまかないように、ノミ駆除剤を使用して、つぶさずに駆除しましょう。

内部寄生虫症の治療

内部寄生虫の感染が疑われると動物病院では糞便検査または片節を検査して虫卵を確認し、それぞれの寄生虫に効果のある駆虫薬を投与します。
投与後は、お腹にいた寄生虫が一気に糞便中に出てくることがありますので、驚かないように覚悟しておいてくださいね。
駆虫薬には、錠剤だけでなく、首の後ろに垂らす滴下剤もあるので、飲み薬が苦手な猫でも安心です。
ホームセンターやペットショップなどで手に入る市販の駆虫薬もありますが、動物病院で診断の上、処方してもらい猫に適切な量や間隔、期間を守ることをおすすめします。
また、多頭飼育の場合は、トイレや食器の共有や接触などにより、ほかの猫にも感染している可能性がありますので、すべての猫の検査を行うか、予防的に駆虫薬を投与することがあります。
その他に下痢や貧血などの症状がみられる場合は、それに合わせた治療を行います。

さいごに

猫の便に付いた“白い虫”の正体について、おわかりいただけたでしょうか?
便に出てくるものはすべて、猫の状態を知る大切なサインです。
特に寄生虫に感染していると、特に体力のない子猫の場合、栄養を横取りされて成長できずに衰弱してしまいます。
新たに子猫を迎えた時、外で子猫を拾った時には、まずは動物病院を受診し、健康診断の一つとして猫の便も確認してもらってくださいね。

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