「猫が急に嘔吐したと思ったら、しばらくしてから下痢もするようになった。様子を見ても大丈夫?」
「猫が2週間位前から下痢と嘔吐を繰り返している。最近元気や食欲がなくなってきたけれど、何か悪い病気?」
あなたはこんな疑問はありませんか?
猫が下痢と嘔吐をしていたら、どんな病気のせいでそのような症状が見られているか、このまま家で様子を見ていてもよいのか、と心配になりますよね。
そこで今回は猫の下痢と嘔吐が見られた場合について、詳しく解説したいと思います。
目次
猫に「下痢と嘔吐」が見られたら
下痢や嘔吐といった症状をまとめて「消化器症状」と言います。
猫に複数の消化器症状が見られたら、やはり何か病気になってしまったと考えた方がいいのでしょうか?
また飼い主の方は下痢や嘔吐の他に、どんなことに気をつけて猫を観察したらよいのでしょうか?
猫の「下痢と嘔吐」は病気のサイン!
下痢だけもしくは嘔吐だけであれば、消化不良など一時的なもの、もしくは生理的なものの可能性がありますが、両方の症状が同時に見られるということは何らかの病気のサインと考えなくてはなりません。
下痢と嘔吐が同時見られたら、できるだけ早めに動物病院を受診した方がよい症状と言えます。
猫の病状を正確に把握しよう
「猫が下痢と嘔吐をしている」との症状を訴えて動物病院に駆け込むと、どんな病気が考えられ、入院が必要な病気ではないかを判断するために、根掘り葉掘り猫の症状について質問をされます。
ぜひ以下のチェックリストに目を通して下さいね。
・いつから下痢/嘔吐をしているか(突然なのか、かなり前からなのか)
・便はどんな形か(形はあるが柔らかい、水っぽい下痢、カレー状、泥状等)
・いつもより1回の便量は少ないか
・だいたい1日何回下痢/嘔吐をしているか
・下痢をする時力強くきばっているか
・下痢の色はいつもと違うか(赤い、薄い、黒いなどの変化があるか)
・下痢にドロッとした粘液が混じっているか
・下痢にヒモ状の白い虫や肛門の回りに白い米粒のような虫がないか
・嘔吐するタイミングはいつか(食前、食べてすぐ、夜中等)
・吐物はどんなものか(胃液、フード等)
・元気や食欲はあるか
・何か変なものを食べた可能性はあるか
・最近食事は変えていないか
・最近痩せてきた、毛づやが悪くなってきたか
猫の下痢と嘔吐はどんな病気が原因?
どのような病気になると猫が下痢と嘔吐をしてしまうのでしょうか?
胃腸炎
胃や腸に起こる炎症を胃腸炎といいます。
突然の下痢と嘔吐であれば、ウイルスや細菌、寄生虫などの感染症による急性胃腸炎の可能性が考えられます。
寄生虫や細菌であれば検便で原因が見つかることもありますが、特定が難しいことも多々あります。
胃腸炎の治療としては、脱水補正のために点滴をしたり、制吐剤や抗生物質の投与、原因となる寄生虫の駆除といった対症療法が中心となります。
⇒猫の胃腸炎の原因や症状や治療法は?食事はどうしたらいいの?
膵炎
膵臓に炎症が起こる病気を膵炎といい、急性膵炎と慢性膵炎に分かれます。
急性膵炎では突然の激しい嘔吐や下痢、食欲不振、元気低下を引き起します。
急性膵炎の症状は急性胃腸炎と似ていますが、血液検査や超音波検査などで鑑別します。
慢性膵炎は、時々吐いたり、一時的な軟便をしたり食欲が落ちたりすることもあるが、自然と回復するというとはっきりとした症状がない病気で、診断も難しい病気になります。
⇒猫の膵炎の原因や症状とは?治療法や食事(フード)についても解説
食物アレルギー
猫では比較的まれですが、フードの中に含まれる特定のタンパク質に対し、アレルギー反応を起こして下痢や嘔吐が見られることがあります。
原因と考えられる食物を含んだフードを中止したり、療法食に切り替えることで下痢や嘔吐は改善します。
炎症性腸疾患(IBD)
炎症性腸疾患(IBD)とは、リンパ球プラズマ細胞性腸炎や好酸球性腸炎などの慢性的な腸炎を総称したものです。
下痢や嘔吐の経過は数週間以上続き(慢性的)、体重減少や嘔吐、食欲低下といった症状が見られます。
診断の多くは内視鏡検査が必要で、後述のリンパ腫などの悪性腫瘍と鑑別する必要があります。
消化管の悪性腫瘍
猫の消化管にはリンパ腫(低分化型・高分化型)、肥満細胞腫、腺癌など悪性腫瘍が発生することがあります。
腸管に悪性腫瘍ができると、慢性的に下痢をしている、嘔吐が認められる、やせてきた、食欲が落ちてきたという症状が見られます。
中でもリンパ腫は高齢猫において、非常に発生頻度が高い病気です。
低分化型リンパ腫に比べ高分化型リンパ腫は進行がゆっくりであり、内視鏡検査の結果も炎症性腸疾患との鑑別が難しいケースがあります。
⇒猫の肥満細胞腫の原因や症状や治療法は?良性や悪性とは?余命はどのくらい?
⇒猫の悪性リンパ腫の症状とは?ステージ別の余命、生存率はどのくらい?
⇒悪性リンパ腫の猫にステロイドや抗がん剤治療の効果は?費用はどのくらいかかる?
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症とは子宮内に細菌が感染する病気で、避妊手術をしていない中高齢の猫に見られることが多いです。
この病気になると、腹膜炎を起こしたり細菌の毒素が体にまわるため嘔吐や下痢を引き起こします。
またその他には、発熱、元気食欲低下、陰部から膿が出るなどの症状が見られることもあります。
放っておくと子宮が破裂し敗血症性ショックを起こすこともあるため、診断後すぐに子宮卵巣摘出(避妊手術)する必要があります。
⇒猫の子宮蓄膿症とは?原因、症状、治療方法、手術費用など詳しく解説
抗生物質などの処方薬
抗生物質を投与すると腸内細菌のバランスが乱れてしまうことがあり、下痢や嘔吐が誘発されることがあります。
処方された薬を飲ませると必ず吐いてしまう、飲ませてから便がゆるくなってきたのであれば、薬剤の影響が考えられますので獣医師に相談してみましょう。
原因となる薬剤を中止すると症状は改善します。
猫が下痢と嘔吐をした場合どんな対処をしたらよい?
どうしてもすぐには動物病院を受診できない時、自宅で飼い主の方はどんなことを心がけたらいいのでしょうか?
飼い猫が下痢と嘔吐をした時に、多くの飼い主の方が思われる疑問を2つ挙げて解説します。
絶食絶水にした方がよい?
嘔吐の回数が多く食欲もないのであれば、無理に食事をとらせる必要はありませんが、下痢と嘔吐によって脱水状態になってしまいますので、水は自由に飲めるようにしておきましょう。
猫が嫌がらずに飲んでくれるなら、猫用の「経口補水液」の方がミネラルも含んでいるため、脱水の改善に役立ちます。
もし、猫の嘔吐が落ち着いてきたという状況なら少しずつ食事を与えてみましょう。
猫は突然何日も絶食させると「肝リピドーシス」という肝臓の病気になることがありますし、腸内細菌のバランスを保ったり腸管が機能を回復するためには、できるだけ早く消化管を使った方がよいと考えられています。
なお、リンパ腫や炎症性腸疾患などの慢性的な病気の場合は、絶食絶水の必要はありません。
どんな餌をあげてみたらいい?
人が体調不良におかゆを食べるように、猫のドライフードもふやかした方がいいのかな?と思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、ふやけたフードでは味が落ちたり触感が変わってしまうため、グルメな動物である猫は、まず喜んで食べることはありません。
おそらく具合が悪い時は一層食が細くなるので、なおさら口にしなくなってしまうでしょう。
でしたら水分を摂取するという意味では、ウェットフード(缶詰やパウチ)を試していただいたらいいと思います。
ウェットフードは嗜好性も高いですし、電子レンジで少し温めてあげるとニオイが強くなり食欲を刺激されやすくなりますので、おすすめです。
さいごに
「猫の下痢と嘔吐」は様々な病気のサインということがおわかりいただけたと思います。
病気の発生頻度からすると、急性に発症したものなら急性胃腸炎や急性膵炎が、2週間以上と経過が長いと炎症性腸疾患やリンパ腫などの慢性病が多く見られる原因になります。
急性の病気は適切な治療をすれば1〜2週間程度で症状は改善されますが、慢性病は治療をしてもすぐに完治してしまうというものではなく、長期にわたって治療と付き合っていかなければならないことが多いです。
いずれにしても、早めに治療することで病態は複雑化しないで済みますので、このような症状が見られたら早めに動物病院を受診するようにしましょうね。
関連記事になります。合わせてご覧ください。
⇒獣医師が教える猫の下痢の原因と対処法まとめ。飼い主必見です
⇒猫が下痢をするけど食欲や元気はある。原因は何が考えられる?
「動物病院に連れていきたいけど治療費はどのくらいかかるんだろう?」
「愛猫の病気を治してあげたいけど高額費用を支払う余裕がない…」
という飼い主さんはとても多いです。
動物病院で治療する場合、病気によっては10万円以上かかってしまう場合もあります。
動物病院で治療すれば助かった命は実に多いです。
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